« 283 元財務官僚 『榊原英資氏』VS『高橋洋一氏』 | トップページ | 285 ヤマ場を迎えた民衆党内部抗争と政局②(採決) »

2012.06.23

284 ヤマ場を迎えた民主党内部抗争と政局①(対立)

民主党の『社会保障と税の一体改革』法案は実質自民党案に焼き直す事で,自公民が合意し,6月26日,衆院採決の運びとなった.

民主党マニフェストに端を発している実現不可能な諸政策が三党合意の形で実質撤回された事になったのである.ネジレ国会になってから,マニフェストを見直す約束で予算を通して来たが,結局,民主党内部で見直す事もできず,内部対立を引きずったまま,三党協議と言う他力で見直しが行われた形になったのである.

しかし,民主党主流派はあくまでも,民主党のマニフェストは間違っていないが,ネジレ国会対策で,マニフェストを実質引っ込めざるを得なくなったと,言うのだと思う.プライドにこだわる人の言い草である.

内心では,民主党主流派は間違いを認める屈辱から逃れられた上に,マニフェストの呪縛から解放されるとの思惑があったと思う.三党合意は民主党主流派にとって,渡りに船だったのではないか,と思うのである.

自民党は民主党のマニフェスト問題や一体改革案の問題を徹底的に追求し,ネジレを効かせて,解散を迫る戦法も取れたと思う.しかし,自公と妥協しても,増税法案を成立させたいと言う,総理の足元を見て,自民の増税案を丸のみさせた方が得策だと考えて合意協議に入ったのである.

この戦法は自公が民主党のマニフェスト違反に加担する事になるが,自公案が成立出来る,合意形成で民主党の内部対立が激しくなり,分裂が現実的になる,解散が早められる,と読んだのだと思う.

こんな思惑が飛び交う中で,自民党の思惑通りに,民主党反主流派が三党合意に異を唱えたのである.

①増税は選挙でも,マニフェストでも,主張していない
②増税の前にやる事をやっていない
③社会保障改革を先送りし,増税を先行させている
④三党合意は国民と約束した民主党マニフェストを反故にしている
⑤民主党で三党合意が議決されていない

が反対の理由である.マニフェストで当選してきた事を考えれば,主流派の政策も,三党合意も,『国民への背信』だと言うのである.

そして,三党合意内容の撤回,国会採決の先送りを主張したのである.もし採決になっても賛成しない,と筋が通った主張である.しかし,増税を言い始めた前総理の時,党内で決着しておくべき問題なのである.

この民主党反主流派の主張で,増税法案が否決される事はないが,その勢力いかんで,民主党分裂,衆院単独過半数割れ,と言う大きな政局に発展する可能性が出てきたのである.

6月26日の衆院採決を先延ばしにして,内部抗争を沈静化する動きもあるが,総理の裁決指示や自公との約束で,先延ばしは困難な状勢である.そこで,採決に向けた双方の説得工作が激しくなると思う.くつかの政局を考えてみた.

其の一:
主流派の説得工作,反対投票者の処罰の軽減,反主流派の先行き不安,解散の回避,等から離党者は限定的になり,新党が出来ても少数政党に留まるかも知れない.いつもの内部抗争と同じ結末になる.主流派の望むところかも知れない.

この場合は,法案成立後,解散との自公との密約がなければ,ネジレ国会のまま国会は推移する.しかし,自公は赤字国債法案などを人質に,解散を迫る事になると思う.反主流派の新党は粛々と選挙対策に専念する事になる.

其の二:
主流派の説得工作にもかかわらず,反主流派が多数離党して新党を立ち上げ,民主党が単独過半数割れになるかも知れない.そうなると民主党は少数与党に転落し,実質,死に体になる.

この場合,総理は増税法案が通った事と,分裂の責任をとって,解散に打って出るかもしれない.早期解散を目指す,自公にとっては思惑通りになる.しかし,新党は,新党を作ったものの,すぐ解散では政策も,選挙の準備も,出来ないまま,落選に向かって選挙に突入する事になる.

反主流派にとって,反対とか新党の動きは主流派を揺さぶる事が目的であって,民主党を分裂させたり,解散する事ではないとすれば,全く,不本意な結末になる.何の為の反乱かと言う事になる.

一方,新党が積極的に,民主党政権を潰し,解散に追い込み,選挙に打って出るとの考えなら,不信任案を提出するはずである.この不信任案に自公が賛成すれば,総辞職ではなく,間違いなく解散になる.これも自公の思惑通りになる.ただし,自公は賛成する理由に苦慮する事になると思う.新党と同調する事の問題もある.

自公からも,新党からも,不信任が出なければ,死に体の少数与党と自公との連立政権に近いような国会運営が行われ,不安定な国会になる.やはり,民主党が過半数を割れば,国民に信を問うのが常道だと思うのである.

其の三
もう一つ追加しておきたい.自公民の増税に対し,増税の前にやるべき事があると増税に反対する国民は多いと思うが,其の意思の受け皿がない.民主党反主流派は民主党マニフェストに固執しているから受け皿にはならないと思う.

是非,自民党,みんなの党の賛同者を結集して受け皿を作るべきだと思う.そして,高橋洋一氏の主張を前ブログで紹介しているが,増税より先に,氏の言う事をまず取り組んで欲しいのである.今のところ,この動きが見えてこないが,あえて政局の一つに加えておいた.これに気付く人が増えればと期待しているのである.

以上,三つの動きを想定したが,振り返ってみれば,民主党政権は,いつもマニフェストを国会で追及され,民主党内部の抗争もマニフェストが震源地になって来たのである.国民から見ると『うんざり』である.

その原因は,

『内心,間違いだと思っても,口をぬぐっている主流派』と
『間違っていないと,マニフェストに固執する反主流派』が

対立している事にある.しかし,所詮,両派とも,

『間違いを言って選挙に勝った集団』であるが故に,
『間違いを認めたくない集団』なのである.

こんな『偽装をし続ける政権』は,日本の政治を混迷させ,その損失は計り知れないのである.意味のない内部抗争など止めて,身づから間違いを認め,大政奉還する事が民主党に残された唯一の責任だと思うのである.

そんな政権に対して,当ブログでは,発足当初から批判し,早期の解散総選挙による政界リセットを主張してきた.

最近では,東日本大震災対策でも,消費税大増税でも,社会保障改革でも,まず国民に信を問うてから進めるべきだと主張してきた.国民に信を得た政権でなければ,日本の国難と対峙できないからである.今日においても,その考えは変わっていない.

このまま消費増税が実施されたら,穴のあいたバケツに国民の血税を流し込む事になる.予算規模も赤字国債発行も減る事はない.増税路線は国が滅びるまで続きかねないのである.とても筋肉質な国家になりそうもないし,政府とその政治家・官僚を『ゆでカエル』にするだけなのである.

ところで,自民党の長期政権の失政で日本が変になり,民主党の無責任なマニフェストと政権与党の資質の無さで,又,日本がさらに変になった.既成政党はどう政治を挽回するつもりなのだろうか.次の総選挙で,どんな顔で,どんな政策で,選挙をするのだろうか,その所信も聞いてみたいのである.

選挙をやるのは国民の為ではあるが,政党や政治家の反省と新たな決意の為なのである.今回の政局は建設的な意味あるものにして欲しいのである.

|

« 283 元財務官僚 『榊原英資氏』VS『高橋洋一氏』 | トップページ | 285 ヤマ場を迎えた民衆党内部抗争と政局②(採決) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/134518/55026712

この記事へのトラックバック一覧です: 284 ヤマ場を迎えた民主党内部抗争と政局①(対立):

« 283 元財務官僚 『榊原英資氏』VS『高橋洋一氏』 | トップページ | 285 ヤマ場を迎えた民衆党内部抗争と政局②(採決) »