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2012.08.22

293 緊迫化する北方四島,竹島,尖閣諸島への所見

海に浮かぶ『離島』の領有権争いは,島の所有権だけではなく,領海・領空の支配につながり,漁業・鉱物資源,航路,空路,防衛,等に大きな影響を与えるのである.それだけに,国益をむき出しにした国際紛争が絶えないのである.

その離島問題を抱えている日本は,ロシア大統領の北方四島(国後島)への上陸,韓国大統領の竹島への上陸,中国・台湾の活動家の尖閣諸島への上陸,と立て続けに挑発行為を受け,にわかに離島問題が『日本の大きな政治問題』になって来たのである.

ロシアも,韓国も,中国も,政治体制の変わり目で,『領有権死守の引継ぎ』の意味があるのかも知れないのだが,私なりに,領土問題への所見を述べてみたい.

先ず『領有権帰属問題』に対する国際法の考え方を押さえておきたい.

『帰属の判断基準』を『紛争前,誰が実効支配していたか』,『帰属に関する条約等の合意文書,あるいは公開された行政文書等があるか』によって判断する.従って,侵略などによる紛争勃発後の実効支配は『帰属の判断基準』にしない.

韓国,中国のように,『反日の歴史認識』と『領有権』をゴチャマゼにした感情的な議論が時々見うけられるが,国際法の方がはるかにクレバーでクールなのである.

この国際法の判断基準を参考に,浅学ではあるが,自分なりに,領有権の帰属について整理してみた.

北方四島(ソ連の武力侵攻による占拠)

先の戦争末期,ソ連は日本の無条件降伏が近いとみて,日本との条約を破棄し,日本に宣戦布告をした.そして,日本が敗戦を認めた後,樺太南部,千島列島,北方四島に侵攻し占拠したのである.

この樺太南部,千島列島は日露戦争のポースマス条約で,日本に帰属した領域である.そして,日本は1945年9月ミズーリ号で降伏調印,1951年9月サンフランシスコ講和条約を締結し,この領域を放棄す事になったのである.

現実を見ると,講和条約で日本が放棄した領域に,講和条約に参加していないソ連が不法占拠している状態になっているのである.

講和条約締結国とソ連の交渉がどうなったのか調べていないが,日本が放棄した領域の国際法的な帰属先が宙に浮いたまま,ソ連が占拠している状態になったのである.それが現在まで続いているのである.

もうひとつ問題がある.サンフランシスコ講和条約で放棄した領域に北方四島が含まれるかどうかである.後年,米国は,この四島は日本固有の領域で,ポースマス条約で得た島ではない事から,日本の放棄には含まれない,としたのである.従って,不法占拠されている四島の帰属は日本にあり,一括返還は,国際法的にも,正当なのである.

どうやらソ連は樺太南部,千島列島,北方四島,をポースマス条約で失った領土を武力で取り返したとの認識の様だが,国際的には法的根拠はなく,不法占拠にあたるのである.しかも,北方四島はポースマス条約とは無関係で,サンフランシスコ講和条約でも放棄していない島である.従って,確実に,日本固有の領土へのソ連の不法占拠になるのである.

ソ連との返還交渉の過程を正確に把握していないが,以上のような筋の中にあると理解している.しかしながら,現在に至っても,北方四島の返還交渉は進まず,日ソ平和条約も締結できず,日本人のソ連感情は悪いままになっているのである.

そんな四島問題を知ってか,しらずか,最近,いかにも貫禄のない,退任間近の若輩のロシア大統領が,平気で国後島に上陸し,『日本人は,さぞ苦しむだろう』等と言って,あざけ笑うような言動をしたのである.

先の戦争で,ソ連は日本の無条件降伏が近いと見て,日ソ条約を破棄し,日本に宣戦布告をした.そして,日本の敗戦が明らかになっても,満州の多くの日本人をシベリアに送り,強制労働の上に餓死・凍死させ,北方領土を侵略して,日本人の島民を追い出して占拠したのである.

若造の大統領の挙動は,この『ソ連の汚い軍事国家の姿』に,だぶって見えたのである.

②竹島(日本固有の島の韓国による実行支配)

日露戦争中の1905年(明治38年)に,これまでの領有状態をもとに,日本は竹島を島根県に編入した.そして,1952年のサンフランシスコ講和条約において,竹島は日本固有の領土として,日本の放棄領域から外された.これに異を唱える韓国は李承晩ラインを宣言し,不法占拠による施設の建設,漁船の拿捕,等が始まったのである.

1965年の日韓基本条約で,韓国との戦後処理の決着と同時に,この李承晩ラインも廃止されたが,竹島の不法占拠は引き続き行われ,以来今日まで,韓国は日本の施政権が及ばない実効支配を続けているのである.

李承晩ラインで島が占拠された事を紛争の基点とすれば,国際法では,明らかに,竹島は日本固有の領土と判断される.サンフランシスコ講和条約承認国も日本の領有を認めているのである.史実や古文書でも日本固有の島と証明できるが,国際法の考えによれば,もっと明確に,それを判断できるのである.

一方,韓国は自国の国土のように実効支配し,『領土問題は存在しない』と言いながら.『独島はわが領土』と,場所をわきまえず,騒ぐのである.どう見ても『後追いの正当化』に見えるし,『語るに落ちた』言動である.政治家が,外交交渉のカードとして,又,反日ナショナリズムを煽る手段として,竹島を利用しているように見えるのである.

まさに,そんな姿勢を,任期終了間近でレイムダックの韓国大統領が自ら示したのである.8月10日,唐突に竹島へ上陸し,,領土奪回を鼓舞したり,従軍慰安婦問題への日本の対応を非難したり,韓国独立戦争の犠牲者への謝罪を天皇に求めたり,して,ナショナリズムを煽ったのである.

戦後の日韓関係を無視した,この唐突な大統領の行動に,国家を代表する政治家の度量も,礼節も,品位も,オーラも,全く感じられない,異常な行動に映ったのである.しかも,これまでの日韓関係など,どうでもよいと言った態度をとった事は,大統領の『最後っ屁』としても,無見識,無責任な行動だと思うのである.

こんな韓国大統領の挑発行動が,日本の,『日韓基本条約を守れ』,『竹島は日本の領土』,『韓国は竹島から出て行け』,『日韓関係を潰すつもりか』,との主張を強く言わざるを得なくなったのである.

そして,韓国の発展を支援し,日韓関係の発展を優先して,竹島問題にも,穏便な対応をして来た日本の対韓政策は,ここに来て,大きな転機を迎える事になったのである.

③尖閣諸島(中国による日本固有の島への侵犯)

尖閣諸島は1896年日清戦争中,無帰属の島である事を清国及び近隣諸国に確認した後,石垣市に編入した.その後、1971年,中国は海洋資源確保や領海・領空拡大が狙いだと思うが,尖閣の領有権を主張し始めたのである.フィリピン,ベトナムでの離島侵略作戦と同じ動きである.それ以降,実効支配をめざした活動家や漁船の不法侵入が繰り返されているのである.

国際法で言えば,中国のどんな理屈を持ってしても,この諸島は,日本固有の領土である.サンフランシスコ講和条約で,尖閣諸島は日本の放棄から外れているし,沖縄を占領した米国も,この島は沖縄に帰属していると認識し,現在も日米安保の領域にあるとしているのである.

そんな事から,日本は『尖閣に領土問題は存在しない』との立場を取って来たが,同時に,領海侵犯防止の策を取る事もなく,実力行使で主権を守る覚悟もなく,『国際紛争を恐れた及び腰の姿勢』を続け,他国からの侵犯に対し,穏便に対応していたのである.

そんな中で,8月15日,海保の制止を押し切って,中国・台湾の活動家が尖閣に上陸し,気勢を上げた.日本は入管違反で14名を逮捕するも,強制送還にし,活動家は悠々と凱旋帰国をしたのである.

日本としては,何故,上陸を阻止し,追い返せななかったのか,何故,良く調べもせずに,簡単に帰してしまったのか,との批判が上がった.これでは,何回でも,侵犯して来るからである.

どうやら,海上で阻止や追い返す行動に出ると,大きな事件になる可能性もあるし,法的にも,この行為がハッキリ裏付けられていないと言うのである.今の法体系では,上陸させて,入管法で逮捕し,強制送還する事が,無難だ,としたようである.

19日には日本の地方議員10名が上陸し,日本の領土である事をアピールしたが,これに対し,中国本土では,いつもの『愛国無罪の反日デモ』が各地で起こったのである.近いうちに,又,中国・台湾の活動家が尖閣に上陸するようである.

以上の通り,北方四島,竹島,尖閣諸島の帰属問題を国際法の判断基準を参考に,自分なりに整理し,改めて,どの領域も日本に帰属している事を再確認したのである.

しかし,相手国が領有権を主張している限り,又,国際法を認めない限り,紛争は続き,解決に向かうどころか,ますます深刻になっているのも現実である.残念でもあり,国際政治のもどかしさを感じるのである.

ところで,日本は戦後,奇跡的な経済発展を遂げたが,外交では,『謝罪外交』,『弱腰外交』,『支援外交』を続けてきた.国防に関しては日米安全保障に頼ってきた.自衛隊の装備は決して弱くはないが,自衛権行使の法制度がともなわず,幸か不幸か宝の持ち腐れになっているのである.

しかし,昨今の露骨な,ロシア,韓国,中国の日本への攻勢によって,従来の日本の穏便策を強硬策に変える引き金に成るかもしれないのである.今後の対策について,いくつかの所見を述べてみたい.

1.領土・領海・領空侵犯に対する法制度の整備

日本では,自衛権に基づく,実力行使や,国家主権の侵犯に対する刑罰に関して,法制度がなく,いわば,『自衛行為を法制度が支えていない』のである.

従って,いくら海保が『入るな』『出ていけ』,『けしからん』と言っても,総理が『粛々と国内法で処分する』と言っても,入管法による強制送還では,侵犯者を反日の英雄として凱旋帰国させるだけなのである.

こうなっているのも,憲法第9条の外側に自衛権があるとの解釈論で自衛隊を存在させてはいるが,肝心の実力行使に関する法制度が出来ていないのである.

尖閣諸島への中国活動家の不法占拠目的の不法侵犯は,国家主権への侵害であり,これに対し,単に入管法や公務執行妨害,器物破損,傷害,等の国内法では,抑止も出来なければ,厳しい撃退や処罰も出来ないのである.

従って,国家主権侵害に対しては,防止,撃退,処罰の法整備(自衛行動の法整備)が当然,必要なのである.その法制度が国家の意思を表し,抑止にもつながるのである.

近々予想される,大規模な尖閣への上陸を防ぐためにもこの法制度の整備を急ぐ必要がある.同時に,自衛権の行使に当たって日米安保の適用も準備しなければならないと思う.

2.『反日の歴史認識』と『領有権の帰属問題』の分離

韓国の『独島はわが領土』の様に,日本も『北方4島,竹島,尖閣は日本の領土』と騒ぎ立てる事も必要かもしれないが,それでは,ナショナリズムの紛争になりかねないのである.そのこともあって.日本は,『思考停止』していると思える中国・韓国の挑発に乗る事もなく,弱腰と言われながら,忍耐強く,冷静に,事実と国際法に則って,対応して来たのである.

改めて大事な事は,冷静に領有権がどう推移してきたのか,それぞれの国民が,正しく理解する事である.そこで,私なりに冷静に領有権の帰属を整理したわけだが,そこにあるように,ソ連は『武力侵略による占拠』であり,韓国・中国は『反日の歴史認識による領有権の主張』であると再認識したのである.中国.韓国の領有権の主張は客観的にも,国際的にも,根拠がないからである.

この『反日の歴史認識』で『領有権を主張』すると言う事は,『反日の歴史認識』で『サッカーの判定』をするようなものである.ナショナリズムでサッカーの判定をしたら,選手間,サポーター間で大騒動に発展する.従って,歴史認識と切り離して,冷静・公平なジャッジが必要なのである.領有権で言えば,『国際法的な根拠』で判定すべきだと思うのである.

その意味で,日本が,北方四島も,竹島も,尖閣諸島も,日本固有の島だと主張している事に,文句のある国に対しては『堂々と国際司法の場で受けて立つ』と宣言すればよいのである.

そもそも歴史認識は,英雄が相手国では犯罪者になるなど,双方で認識を一致させる事は困難である.この一方的な歴史認識で,領有権を主張したり,愛国無罪の精神で領海侵犯したり,不法占拠したり,或いは,双方の歴史認識で対立ばかりしていたら,国際社会は成り立たなくなるのである.

隣国同士の戦争が絶えなかったヨーロッパ諸国は,それぞれ自国の歴史認識を持っていると思う.その違いを乗り越えて,国際社会の形成に取り組んでいる事は,歴史認識が全てではない事の証明であり,これが人間の英知だと思うのである.今も続く,中近東の紛争などにも,人間の英知を取り入れて欲しいものである.

この人間の英知とは,経済交流,文化交流,人的交流,等によって,国家間の関係を多様化,複眼化する事である.この事で,何とか戦争を繰り返さないとするのである.

そんなわけで,国家間の領有権帰属問題は,『歴史認識との分離』や『国際法の考え方』を啓蒙したり,『国際裁判所の活用』も重要だと思うのである.勿論,『国際紛争への平和的解決力』を高める『国連改革』も必要だと思うのである.

3.『近くて遠い』隣国への対応

率直に言って,ロシアも,韓国も,中国も,国の統治の手段としてナショナリズムが大きな比重を占めていると思う.その分,『懐が狭い国』との印象を受けるのである.ナショナリズムが教育,政治,経済,文化,スポーツなど,あらゆる分野のエネルギー源になっている感じがする.ナショナリズムなしでは統治できない国家なのである.

日本は敗戦,教育,経済成長,多様化,の影響だと思うが,ナショナリズムが無いわけではないが,むき出しにする事は余り無い.日本人の感覚からすると,露骨にナショナリズムを振り回す人たちは,稚拙で,民度が低く,使う単語も時代遅れ,に感じるのである.

そんなわけで,何かに付け,自国の歴史認識とナショナリズムとを結びつけて攻撃してくる隣国とは仲が良くなるはずもなく,『近くて遠い国』になって行くのである.

これが戦後の問題を解決できない原因かもしれないのである.残念ながら,前述の欧米諸国の様な,人間の英知はあまり働いていないのである.

この様になるのは,私見によれば,歴史認識やナショナリズム以前に,中国,韓国,日本の『血統主義』に根本原因があるのかも知れない.

国籍を血筋で決める血統主義国の特徴は,文化には寛容だが,黒人は別にして,白人以上に,黄色人種同士の人間関係は,排他的である.同質異人種を嫌うのは血筋を守ろうとする本能がシビアに働くからかも知れないのである.

この国は色々な宗教,価値観,衣食住の文化には寛容で経済交流が盛んであっても,国際結婚はめったにないし,海外にチャイナタウン,コリアンタウン,ジャパニーズタウン等を作ったりするのである.

一方,国籍を出生地で決める生地主義国がある.その特徴は,文化には排他的であるが,有色,黒人は別にして,白人同士の人間関係には寛容である.移民による多民族国家の欧米諸国がこれに該当する.

この国はいろんな宗教,衣食住文化を取り入れる事は好まないが,白人人種系別に集団を作ったりしないし,結婚する事にも,こだわりがないのである.

この説によれば,中国,韓国,日本の人達が,お互いに仲が悪いのは当たり前だと言う事になる.だとしたら,『近くて遠い国』の関係が自然の姿かもしれないのである.

しかし,隣国同士が仲が悪いままでいる事は決して良い事ではない.そこで,『仲が悪いのは血統主義のせいだ』,と割り切る事で,新たな英知が見えてこないだろうか.そんな事を思いながら,今後の二国間の関係を考えてみた.

ロシアへの対応 

北方四島の帰属問題は,終戦時のソ連の侵攻に端を発しているのだが,前述の様に,サンフランシスコ講和条約で日本が放棄した樺太南部,千島に,講和条約に参加していないソ連が不法占拠しているのである.さらに日本が放棄していない北方四島にもソ連が不法占拠をしているのである.

日本の北方四島の一括返還要求は国際法的にも正当な行為なのである.是非とも『論理でロシアと交渉』して欲しいのである.ロシアは論理に弱いと思うからである.

ところで,日本人はロシアの事,特に極東ロシアの事はほとんど知らないし,当然,交流も少ない.実は極東ロシアもモスクワから遠く,ロシアでは偏狭な地,過疎地,寒冷地,である.古来ウラジオストックは極東の軍港として栄え,優秀な人材が集まっているのだが,現在は仕事がないのである.その多くの人達は日本でのビジネス展開を望んでいるのである.

その意味で,日本が主導的に,自然保護活動や,極東ロシアの経済発展及び開発をリードし,この計画の中で,北方四島の在り方を戦略的に協議すべきだと思う.又,『返還後の姿』を論じ,極東ロシアのメリットもアピールすべきだと思うのである.

韓国への対応

韓国の『反日の歴史認識』は現在に至っても,強いものを感じるが,本当に国民がそう思っているか,過激なナショナリズムの前に,そうせざるを得ない国になっているのか,『泣き女』の風習を見るにつけ,本当のところ,分からなくなるのである.

これでは,韓国が自由主義国家を標榜しても,成熟度の低い全体主義国家から脱出できていないと言わざるを得ないのである.

近年,韓国の国策による産業,スポーツ,芸能,等の世界進出は目覚ましい.日本との経済,文化の交流も活発になり,日本人の韓国感情も大きく改善しているのである.又,極東の安全保障や北朝鮮対策で『日米韓の連携』は重要なのである.

加えて,在日の韓国人は500万人だと言う.日本としては,日韓関係の発展を進める中で,竹島問題は静かに,穏便に対応してきたのである.

しかし,そんな日本の姿勢を無視するように,大統領が反日感情をむき出しに,辛辣に日本の批判をし,二国間関係を元も子もなくす程の大きな溝を作ってしまったのである.日本も看過できなくなって,報復・制裁処置は取らざるを得なくなるし,韓国も次期大統領に高い反日のハードルを与えてしまったのである.

そもそも,韓国の日本に対する反日感情は1910年(明治43年)の朝鮮併合に大きく起因していると言う.1905年(明治38年)の竹島の島根県への本編入も朝鮮併合の一貫として行われたと思いこんでいると言う.

しかし,竹島は前述の通り,史実としても,国際法としても,日本の島なのだが,韓国は証拠が曖昧であっても,『反日の歴史認識』といっしょにして『独島は我が島』と主張していると思うのである.『従軍慰安婦問題』も同じ構図である.

韓国は前2項の通り,『反日の歴史認識』と『領有権』を分離しないと,この問題は解決しなと思う.歴史認識に対立があっても,『領有権の帰属』や『日韓基本条約』は客観的に共有出来るはずであり,そこからの歩み寄りが必要だと思うのである.それを無視して,『反日の歴史認識』を持ちだす事は歴史を後戻りさせるだけなのである.

さて,今後の日韓関係は,米韓,米日で安全保障を保ちつつ,韓国への対応は強行路線になるのか,穏健路線で行くのか,間近に迫った韓国の次期政権を見ながら,それぞれの可能性を探る事になると思う.

中国への対応

中国も韓国と同様,『反日の歴史認識』でナショナリズムをあおり,尖閣諸島への中国の国家戦略にも利用している様に思う.この問題も,冷静に『反日の歴史認識』と『尖閣の領有権問題』を分離して考えるべきである.この分離によって,中国に,いかなる『反日の歴史認識』があろうとも,領有権は客観的に日本に帰属している事が証明されるのである.

そこで,『先刻諸島の領有権に文句があるなら国際司法の場で受けて立つ』と中国に宣言すればよいのである.

実は中国の領有権主張は,反日の歴史認識だけではなく,中国の覇権主義が背景にあると思う.近年のフィリピン,ベトナムとの紛争も,尖閣に対する行動も,この表れだとも考えられるのである.

この中国の動きは東南アジア,極東の安全保障に関わる問題であり,米国のアジアでの安全保障政策とかかわる問題である.従って,尖閣においても,日本国としての防衛機能の充実はもちろん,日米安保での対応も必要になってくる.

当面,中国に対しては,『経済活動における交流』と『安全保障における対立』,と言う2元対応になるが,その間,東南アジア全体の発展や経済的,軍事的,包囲網で中国の覇権主義を抑制して行くべきだと思う.

一方,中国の反日感情や覇権主義の問題,あるいは中国の民主化の問題の根底に『13億人の統治』と言う難問に関係していると思うのである.そう考えると,ソ連の崩壊の様に,中国の分割による民主国家の誕生が起こらない限り,中国の国内問題や国際政治の緊張関係は改善されないかもしれないのである.

以上,誤認識があるかもしれないが,自分なりに離島の領有権問題を整理をしてみたのである.国際間の問題や交渉事は中身が見えないし,本当のところわからないわけだが,机をたたいて熱弁を振う事はあるのだろうか,外務省や政治家の交渉力は訓練されているのだろうか.

敗戦からの経済の再建に向けて,米国との交渉で,日本国憲法,サンフランシスコ講和条約,日米安保条約を決めた吉田茂,吉田を支えた白州次郎,池田勇人のような人物の出現を,つい期待してしまうのである.

そう思うのは,吉田茂が残した『日本独立後の宿題』(主に憲法と日米安保の見直し)が手付かずに残っている事もあるが,国際情勢の液状化で,戦略立案力と交渉力が極めて重要になっているからである.

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2012.08.09

292 不毛な一体改革から理性ある政治を取り戻す為に

当ブログで,再々,民主党が進めた『社会保障と税の一体改革(消費税増税法案)』の問題点を指摘してきた.与謝野大臣就任に始まって,裏付けのない社会保障の公約,マニフェストにない増税,これをカモフラージュする為の『一体改革』と言う偽装,等,発案の時から,動機不純にまみれていたのである.民主党の実力では,身の丈を超えたテーマだと,誰しもが予想できたと思うのである.

率直に『マニフェストが間違っていた』,『予算が組めないから増税させていただきたい』と言う方が,まだ論理としては筋が通ると思うが,民主党のような,『合成の誤謬』政党では全体の論理性の問題や実現性の問題が出ると思ったが,案の定,無責任さ,無能力さ,を露呈したのである.特に『自らの非を認めない幼児性』がこれを増長させたと思うのである.

さて,自民党は,不完全な,問題だらけの民主党の『一体改革』案に対し,三党合意案を作って成立させる戦略をとった.その思惑は次の通りだと推測する.

①かねてからある消費税増税案を民主党政権で可決させる
②実現性のない民主党の社会保障案を潰す
③民主党内の増税反対勢力を焙りだし,民主党を分裂させる
④総理の政治生命発言に乗じて,早期成立を実現し,早期解散を迫る

そして,思惑通り,合意案を作り,民主党の分裂騒動を誘発させ,衆院を通過させたのである.そして,参院に舞台を移すが,いよいよ参院での採決が迫ってくると,民主党は再度の離党者を出したくない,早期解散をしたくない,との理由で,参院採決の引き延ばしともとれる国会日程を示したのである.

この事態に,自民党は早期解散を確約しなければ,不信任,問責決議,を提出し,三党合意案は破棄する,と迫ったのである.そんな攻防の中で,8月8日,党首会談が行われ,『法案成立後,近いうちに解散する』との玉虫色の合意がなされ,一端,自民党は鉾をおさめ,この法案は8月10日に参院を通過し,成立する運びになったのである.

しかし,私見であるが,自民党の『三党合意作戦』は間違いだったと思う.

まず,早期解散であるが,自民党は総理が政治生命をかけると言った事に乗じて,法案の中身を先送りにしてまで,早期成立を図ったわけだが,この考えは間違いである.

政治生命をかけるとは,普通なら,法案が成立しなければ,辞任,成立すれば続投するという意味である.だから,成立させない事が辞任・解散につながるわけで,成立すれば続投になるのは当たり前なのである.

従って,参院で成立しても,解散にはならないし,ましてや,民主党代表選後になれば,ますます解散は遠のくのである.目の前の欲に目がくらんだのか,明らかに,自民党作戦は失敗である.

次に間違いだと思う事は,法案の中身が,未完成になった事である.自民党としては,民主党の実現性の無い『一体改革』案を潰した事は成功かもしれないが,国民から見れば,三党合意といいながら,なんと,いい加減な法案を作ったのかと,あきれるのである.そもそも,三党合意案で民主党案を潰さなくても,つぶれる内容だったはずである.

結局,国民は三党合意より,『真正面からの政策論争』を期待していたはずである.昨年の民主党の最低保障年金案を責める自民党の勢いは民主党政権を崖っぷちに追い込んだと思う.三党合意で,その勢いが無くなり,解散どころか,民主党の延命に手を貸しただけになり,そればかりか,不信任や問責を出しずらくしたのである.結局,民主党を延命させた事が作戦にとっても,日本にとっても,最大の失敗だったと言えるのである.自民党総裁,執行部の責任は重いと思う.

そんな策を講じなくても,民主党政権の退陣理由は捨てる程あったはずである.それを思うと,自民党の選球眼は狂っているとしか思えないのである.この作戦は『自公民連立』を念頭に置いた長老のウルトラ案と聞くが,つくづく,自民党は古臭い手法から脱皮出来ていないと感じるのである.三党合意に反対した自民党議員こそまともなのである.

さて,法案の成立に対して,8月9日の日本経済新聞は増税法案が『ちゃぶ台返し』にならなかった事に『理性が保たれた』と論評した.同時に市場関係者の安堵の声を多く記事に載せた.日経新聞は,何が何でも,『増税を決める事が日本の理性だ』と考えているようである.どこか感覚がおかしいのではないか,と思うのである.

私に言わせれば,前述の通り,政争の具で成立するような法案は,所詮,『不完全な法案』で,理性などあるわけがないし,事実そうなのである.日経の『何が何でも増税が理性だ』,言い換えると,『法案の中身など,どうでもよく,増税さえ決まれば良い』とする意味なら『理性』という言葉は全く不適切だと思うのである.

改めて日経新聞に問いたい.下記のような不完全な法案の,どこに理性があると言えるのか,と.

そもそも,この法案に,『一体改革』の全貌もないし,目的も曖昧である.社会保障の制度改革や消費税の逆進性対策や耐久消費財の優遇措置を含む消費税制度設計等,肝心なところが先送りされている.さらに言えば,税制の全体構想も無ければ,三党合意内容にも,相違点が多く,論争の火種は多く残っているのである.結果として,増税による税収増も,何に使うかも,この法案からは見えて来ないのである.もっと根本的な事を言えば『経済と財政の一体改革』を論じなければ,財政再建も,社会保障も論じられないのである.

さてこの中身のない法案の今後であるが,是非,今度の総選挙で,各政党の『社会保障・税の一体改革法案』,或いは,『経済と財政の一体改革法案』を出し,争点にすべきだと思う.そして,信を得た次の政権が法案の見直しや改良をすれば良いと思う.これが正常な進め方なのである.

それにしても,つくづく,これまで,政権や国会は,何をやっていたのか,と言いたくなる.景気問題,大震災問題,原発事故問題,財政問題,社会保障問題,など手が打てているとは思えないのである.民主党及びその政権は発足以来,無能さと内部のゴタゴタを世にさらし続け,自民党は政権奪回しか眼中に無い,と言った印象なのである.

以上,日本の政治が混迷したり,不安定になるのは,しっかりした政治理念と体制が根付いていないからだとつくづく思うのである.小選挙区制による政権交代など程遠い政治体制と言わざるを得ないのである.

民主党は選挙に勝ったとは言え,よくも実力も無いくせに,政権に就いたものだと,しかも,3年間も続けている事に,その無責任さに愕然とするのである.

しかし,何としても,政治理念に基づいた政権交替可能な政治体制の形成が日本には必要である.残念ながら,その芽はまだ見えていない.

私見で言えば,自由主義国家を共有した上で,『大きな政府思考』と『小さな政府思考』の二つの対立軸で政治体制が形成される事を切望したいのである.既に,米国では,古くから,『大きな政府』思考の民主党(リベラル派)と『小さな政府』思考の共和党(保守派)が2大政党となって,政策のバランスを取って来ているのである.

日本の情勢を勘案して言えば,既に当ブログで発信しているが,次の三つの政治体制が必要だと思う.手っ取り早く,現在の政治家が,これまでのしがらみを捨てて,総選挙前に,このどちらかの勢力に移ってもらえないだろうか.

・『大きな政府を思考する伝統的な保守勢力』(演歌派)
・『大きな政府を思考するリベラル勢力』(フォーク派)
・『小さな政府を思考する新保守・改革勢力』(ジャズ派)

この観点で言えば,今の日本に必要な政党は,『小さな政府を思考する新保守・改革勢力』である.そして,『歳出削減策』,『景気回復策』,『税収増加策』,を主張して欲しいのである.1000兆円の借金を抱える政府は,すでに『巨大な政府』であって,これ以上の拡大は『貧しい社会主義』への道だと思う.日本にはもはや,『小さな政府』と言う厳しい道しか残っていないと思うのである.

しかし,現実は,自民党の保守勢力,民主党のリベラル勢力,の『大きな政府』思考の政治勢力だけである.この勢力が,一世を風靡した小泉改革路線を潰し,今日の日本の衰退を招いたと思うのである.この勢力では今後の日本が更に衰退を続ける事になると思うのである.

そんなわけで,次の総選挙は,社会保障問題,行政問題,増税問題,財政問題,景気問題,原発問題,TPP問題,など難題が多いが,政策の根底になる『日本の再興の考え方』を改めて論じて欲しいのである.この論議の中から,『改革勢力』が誕生する事を願っているのである.

最後に,『大きな政府』と言う『日本的社会主義』の居心地の良さや日本的文化に,どっぷりつかったまま,日本をずるずると,『方針転換出来ない』,『茹でカエル』にしているのではないか,と心配するのである.敗戦を決断できなかった,いつか来た道を思い出すのである.こうならない事が『政治の理性』だと思うのである.

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