« 299 現・民主主義政治の限界か『第三者機関依存症』 | トップページ | 301 知らなかった下水道料金の仕組みと課題 »

2012.09.30

300 現・民主主義政治の限界か『決められない政治』

政治家やマスコミ,有識者,あるいは,テレビ報道番組でのコメンティーターが,昨今の政治に対して,口癖のように,軽々しく,悟ったように,偉そうに,枕詞のように,『決められない政治はダメだ』と言う.単に『政治不信』を煽っている様に感じるのである.

確かに,政治家や政党の問題も多いが,制度,仕組みが要因になっている事もある.そこで,ただ単に,『政治はダメだ』と嘆くだけでなく,『決められない要因』について改めて考えてみた.確かな対策を持っているわけではないが,いくつか要因を列記したい.『民主主義のあり方』とも関係する事から,下記の当ブログ(1)(2)に加えて(3)のタイトルとした.

(1)NO296 現・民主主義政治の限界か『限りなく続く歳出拡大』
(2)NO299 現・民主主義政治の限界か『第三者機関依存症』
(3)NO300 現・民主主義の限界か『決められない政治』

①政府と与党で政策が一致していない.(政権・与党の問題)

現民主党政権の問題であるが,根本的には自民党も含めて,中選挙区のなごりで,政党が烏合の衆になっている事で起こる問題である.特に民主党は反自民で集まった『ごった煮政党』である.政権を取ったものの,思いで作った公約に裏づけがなく,具体的な政策も迷走し,いつも政策で内部対立が起こる.その挙句,分裂を避ける為に,決定を先送りするのである.

こんな『ごった煮政党』は政権与党以前に,政党ではないのである.政解党すべきである.こんな政党に,政党助成金が出ている事すら不思議なのである.

②総理,大臣の任期が短い.(政府体制の問題)

議員内閣制の下で,頻繁に総理が変わったり,内閣も頻繁に改造されてきたのである.まるで,総理,大臣の椅子に順番に座っている感じである.政権交代も含めれば,自民党では,阿倍,福田,麻生,民主では鳩山,菅,野田と総理大臣が一年毎に,変わってきたのである.

民主党政権では,3年間で3人の総理を作り,それぞれの総理が何回も内閣改造を行うものだから,大臣に就任した人が70人になると言う.一つの大臣席に,7~10人が座ったと言う.副大臣,政務官,補佐官,などを含めると,空前の数の議員がこのポストについたことになる.こんな実態では,まともに政策の決定など出来る分けがないし,政治主導など,全く,望むべくもないのである.

ここまで来ると,大臣の椅子は『名誉と尊敬される勲章』から『政治家失格の烙印』になる.そうすれば,元・前・大臣は落選し,政治家が浄化される事になる.

こんな状態で,よくも,官僚政治からの脱却,政治主導,適材適所の内閣人事,等と,真顔で国民に言ったものである.これだけ見ても,『嘘つきで無責任な政府』だといわざるを得ないのである.

国民に正直な総理を標榜するなら,堂々と,『政治は官僚に任せているから,名誉ある大臣の肩書を出来るだけ多くの党員にばらまいた』と言えば良いのである.

しかし,これだと,代議政治,議員内閣制は,完全に空洞化し,建前の上でも,官僚国家を標榜する事になる.そうすると,『決められない政治家』に変わって『決める官僚』,『政治家天国』になる.これでは民主主義も崩壊である.

③政策より,権力,保身を優先する.(政治家の根本的問題)

政治家は政策実行の為に権力を手にする事が必要になるが,手段である権力を手にする事が目的になると,取った後はその権力の保持,保身に走る事になる.そうなると,政党は①の様に,政策集団ではなく,権力欲,名誉欲,出世欲,選挙資金,保身が渦巻く集団になるのである.

手段が目的になると,選挙に勝つ為に,根拠のない公約を掲げたり,保身の為に,解決につながる政策を取りやめたり,その政策を先送りしたり,非を認めなかったり,決められない政治が加速して行くのである.

こんな政治を打破する最大の手段は国民に信を問う解散である.しかし,権力欲,保身に縛られた総理,政治家なら支持率が低迷するほど解散には反対するのである.国民は任期満了まで,こんな政治に耐え続ける事になる.その分,政治不信,政治離れ,が増幅するのである.これも民主主義の姿なのである.

④難問対策の決断ができない(究極の決断の問題)

現在日本では,増税・財政問題にしても,原発問題にしても,難問山積みである.これらの難問の対策は専門的要素も高く,しかも対策案によって,国民や業界が大きく影響を受ける事になる.

それだけに,対策を多数決で決められず,デッドロック状態になってしまうのである.結局,先送りされ,ますます難問の深刻さを増していくのである.こんな事態も民主主義の限界かもしれないのである.

⑤地域住民のコンセンサスが取れない.(政府と自治体の問題)

米軍基地問題,原発再稼働問題,原発廃止問題,放射能汚染物資の廃棄問題,使用済み核燃料保管問題,公共事業関連,さらには地方自治体のごみ焼却場問題,焼場問題,公共事業関係,等,住民のコンセンサスが取れない問題である.

しかも,法律の手続きや優遇措置で決着するほど単純でもないし,強行執行も,なじまない.この種の問題を解くカギは未だ見つかっていないのである.

⑥国会のネジレで決まらない.(二院制の必然的問題)

衆院優位の制度はあるものの,ほとんどの法案は両院賛成を成立条件としている.そこで,ネジレる可能性が非常に高いのである.一度ねじれると,半数議員づつ改選する参院制度では,その解消は2度の参院選挙が必要になる.二院制の再考が言われ始めている問題である.

⑦難問を前に,そもそも論が立ちはだかる

政策立案の前に,そもそもの議論が始まる事で,政策立案に行き届かない問題もある.例えば,右系・左系,保守・新保守・リベラル,等の『政治思想の議論』や『日本のビジョンの議論』,さらには『憲法論議』などが立ちはだかって,本論に行かないのである.安全保障問題などは顕著な例だが,これでは,目前の難問に対策すら立てられない事になる.

この問題は,『政治哲学や方向性』に基づいて政党が進化していない事が原因だと思う.同じ政党内でも,哲学はバラバラである.だから,問題に直面すると,いつも,そもそも論から始まるのである.これでは対策案と言う選択肢が出来るわけがないのである.

その結果,制度・仕組みと問題対策に隔たりが大きくなって,たとえ政策が出来たとしても,いつも『抜本的』となり,言うだけになるのである.さらに憲法を変えないと対策が打てない問題も多く,憲法改定問題が大きく難問の前に立ちはだかるのである.

米国の場合は,『小さな政府』,『大きな政府』と言う『政治の哲学』で共和党,民主党が存在し,選択肢としての政策がハッキリするのである.そして,国民は選挙の時,時代背景に応じて,政党を選択しているのである.

以上,『決められない政治』の背景を述べたが,その解消に向けて,大阪維新の会の言う,明治維新以来の中央集権機構から地方分権統治機構への移行構想は一つの有力な提案だと思う.

又,憲法改正も時代に応じて行えるように改定ハードルを低くする必要がある.いつも憲法に阻まれて,議論が深まらないのである.阻む事の意味もあるが,これでは国全体が思考停止状態になるのである.

これに加えて,私見で言えば,政治理念,政策の方向性を軸とした政党再編を行い,『政治の土台』を出来るだけ早く作る事も必要だと思う.そうでないと,決定に向けた議論が進まないし,国民の選択肢も鮮明にならないのである.

.

|

« 299 現・民主主義政治の限界か『第三者機関依存症』 | トップページ | 301 知らなかった下水道料金の仕組みと課題 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/134518/55779695

この記事へのトラックバック一覧です: 300 現・民主主義政治の限界か『決められない政治』:

« 299 現・民主主義政治の限界か『第三者機関依存症』 | トップページ | 301 知らなかった下水道料金の仕組みと課題 »