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2012.10.31

302  説得力ある論理で政局の攻防を

解散したくない政権与党と解散を迫る野党の駆け引きが激しくなっている中でやっと臨時国会が始まった.

先の通常国会で参院の総理への問責が成立し,国会が閉会となった.その後,民主党代表選,自民党総裁選が行われ,新しい布陣で,臨時国会が開催される事となったのである.野党の一段と厳しい解散要求の中で公債特例法,一票の格差是正,等の重要法案が審議される事になる.

この臨時国会開催にあたって,自公としては『近いうち』の具現化を要求し,幹事長会談を経て党首会談に臨んだが,総理から何の意思表示もなく,臨時国会の開催も危ぶまれた.結局,臨時国会が遅ればせながら開かれる事になったが,民主党としては思惑通り,年内解散が困難になる時期まで開催を遅らせる事が出来たのである.

自公とすれば三党合意以来,『近いうち』に騙されて,ズルズルと民主党の延命が続いている事に民主党への不信感が募るばかりである.そんな状態で,いよいよ主戦場が臨時国会に移ったのである.

この臨時国会の最大のテーマは国民生活や国防まで影響が出る公債特例法案である.解散を条件に通すと言う野党と,成立後,『近いうち』を考えるとする総理のチキンレースが始まる.

率直に言えば,『ひたすら解散をしたくない一点』の党利党略の民主党政権には日本を預かる資格は既に無いと思う.今後の難題対策に対しても,国民に信を得た政権しか対応できないとすれば,民主党の延命は日本にとって邪魔なのである.

ならば潔く,解散を決断して,重要法案を通すべきだと思うのである.党利党略の為に解散権を封印しては誰の為の総理かと言う事になるのである.

そんな与野党の対立の中で,総選挙に向けて『日本維新の会』,『みんなの党』,『石原新党』等の第三極の政治勢力も動き出した.今のところ各政党の『錦の御旗』(政治理念),『選挙公約』(政策)がはっきりしているわけではないが,各政治勢力へ,提言をしておきたい.

ー民主党ー

枚挙に限りがない多くの理由で,政権与党としては失格である.民主党が,いくら続投の理由を掲げても,延命策にしか聞こえないのである.その事を自覚し,責任を感じるなら,一刻も早く解散すべきなのである.政権にしがみついて,解散が遅れるほど難題が政権に覆いかぶさって来るのである.既にその兆候が現れて,いよいよ日本が抜き差しならなくなっているのである.党利党略で解散から逃げている場合ではないのである

私見によれば,民主党が将来の真面目な分配重視の『中道・リベラル政党』(大きな政府,分配重視)を目指すなら,潔く反省して,自ら解党し,党の政治理念を確立してから,再立党すべきである.解散して負けるより,よっぽど建設的である.

ー自民党ー

当ブログでも発信しているが,どうも目先の政権奪取に目がくらんで,倒幕の『つめ』が甘い感じがする.いうなれば『喧嘩べた』である.解散権は総理の専権だけに,作戦に限界はあるが,それだけに,もっと,論理的な詰め将棋をしなければならないのである.独断であるが,いくつか,これまでの『甘い』ところを指摘したい.

先ず,一体改革で,『増税を先に成立させ,民主党の社会保障案を否定しながら先送りにし,しかも,解散も早められる』と算段し『三党合意』をした事である.これで,自民の民主党攻撃の迫力がなくなり,国民から見ても,民主党のマニフェスト違反に加担し,中身の定まらない大増税を推し進めたと見えるのである.その意味で合意作戦は失敗だったと思う.又合意の見返りに『近いうちに解散』するを信じた事も間違いである.

そんな算段をするより,むしろ,率直に,『足りないからとりあえず増税したい』として,民主党の『一体改革案の非実現性』を攻撃すべきだったのである.詐欺的なマニフェストに,いくらでも倒幕の理由はあったはずである.

又,総理の『政治生命をかける』と言う意味の取り違いも問題である.『これをやったら止める』ではなく,普通なら『成立しなかったらやめる』の意味である.『成立すれば,やめる必要がない』となるのである.

更に,通常国会終末で参院の他党の出した問責決議に同調した事である.決議を優先して,その理由にある増税反対にも同調したのである.これも筋が通らない行動である.そこまで問責にこだわるなら,三党合意を今後継続せず,国民の信を得て,改めて,社会保障と税に関する法案を出し直すと言うべきである.その覚悟がなければ,解散目当てに問責に同調してはならないのである.

臨時国会開催においても,本来なら早く開かせて,国会の中で解散論議をすべきところ,開会前に『近いうち』の具現化を求めた為に,幹事長会談,党首会談での押し問答で時間を使ってしまい,開会が遅れたのである.結局,年内解散を困難にするまで開会を遅らせたい与党の思惑に加担してしまったのである.

いづれにせよ,これからは,臨時国会に主戦場が移る.そして,まな板の重要法案に与党と野党のチキンレースが繰り広げられる事になる.

ところで,自民党にとって,解散要求以上に大事な事は国民への提案である.民主党の自滅で,何もせずとも,政権奪取ができると思ったら間違いである.そんなに国民は甘くない.バブル崩壊後10年間,小泉改革の5年間,その後の3年間,保守(大きな政府),新保守(小さな政府)の政治路線が揺らぎっぱなしであった.

その総括も出来ていないし,今後の政治路線もはっきりしていない.直面している難題への提案もはっきりしていないのである.是非,臨時国会の中で,『自民党の政策』をしっかり掲げて,『総選挙の一環』として,正攻法で国会論戦に臨むべきだと思うのである.今のままでは,賞味期限切れのままであり,賞味期限をも一度設定し直して総選挙に臨む必要があると思う.

ー第三極の政治勢力ー

自民,民主に対して第三極と言うのだろうが,既成政党が政治理念や政策の違いで,政治勢力を形成していない以上,第三極と言っても,只単に議席数による第三勢力出現の話しになるのである.

私見によれば,第三極とは,『新保守』(小さな政府,改革派)の政治勢力の結集だと言いたい.なんとなく自民党の『保守』,なんとなく民主党の『リベラル』があるが,この『新保守』勢力は『みんなの党』や『自民党』,『民主党』の中に分散している.

今回,『新保守』勢力が政界の一角として形成されれば,既成政党を含めて『保守』,『リベラル』,『新保守』に再編されていくと思うのである.だから,第三極は『新保守』勢力の形成にしたいのである.

この視点で言えば,『新保守』勢力として有力な,『日本維新の会』と『みんなの党』の政策共有,選挙協力,は整合すると思う.一方,『石原新党』の『日本維新の会』,『みんなの党』,『立ち上がれ日本』等を束ねて第三極体制をつくる構想は野合になるだけである

そもそも『石原新党』の母体の『たち上がれ日本』は政治理念,政策を想像するに,古来よりの『右翼系保守勢力』であって『,穏健な自民党保守』とも,『新保守的小泉改革派』とも,肌が合わず飛び出した勢力である.それを思うと,『日本維新の会』,『みんなの党』の新保守勢力とは,価値観がちがうのである.

もしこの『石原新党』野合構想が第三勢力になれば,『新保守』と言う改革を唱える勢力がぼやけてしまうのである.なによりも,『日本維新の会』のピュアーな新鮮さ,勢いがなくなり,つぶれると思う.

『たち上がれ日本』としても『新保守』の言う『自立社会』,『小さな政府』,『道州制』,『消費税の地方税化』などに宗旨替えすれば別だが,これに反対のまま,大同団結はあり得ないのである.

ところで,話題の『日本維新の会』について私見を述べたい.この勢力の成長は次の3ステップで考えるべきだと思う.

第一ステップは今回の選挙である.最初が肝心だとすれば,国政政党の土台を作る為に,厳選された論客が立候補すべきである.第二ステップは橋下市長が大阪都構想を実現し,国会議員になるフェーズである.第三ステップはいよいよ橋下党首で政権に迫るフェーズである.今回の選挙で,一気に政権に迫る事は可能であったとしても,早すぎると思うのである.

以上のように,第三極の話しは,数の上での話しではなく,新たな政治勢力の誕生に意味があると思うのである.そうでなければ,日本の政治は又,数合わせの政権抗争で終わってしまい,安定的な政治体制が遠のいてしまうのである.

そんなわけで,やっと臨時国会が始まるが,国会内の与野党の攻防,院外での新保守勢力の結集と,しばらく目が離せないが,是非,論理的な筋の通った正攻法による攻防を期待したいのである.

総選挙に向けて,国民が期待しているのは閉塞感を打破する思い切った改革とそれを推進するリーダーシップだと思う.小泉改革の再来を羨望している人は多いと思うのである.

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2012.10.05

301 知らなかった下水道料金の仕組みと課題

最近,老舗有名ホテル『山の上ホテル』で『下水道料金の不正』が発覚した.記事によると,厨房などの掃除に使っていた井戸水を少なく偽って,1800万円を逃れたと言う.3600万の課料処分(倍の罰金)になったと言う.

水を多く使うホテルや温浴施設の下水道料金は,随分,重荷だと言う.スーパー銭湯の例だが,その重荷を逃れようと,計測に掛からないように,バイパスの配管で地下水を汲み上げ,5年間で1億円以上の下水道料金の支払いを逃れていたと言う.スーパー銭湯ブームで,この様な下水道料金の不正が増えていると言うのである.

このような記事に,一瞬,面食らった.そもそも,『下水道料金がどうやって決められるているのか』を知らなかったからである.いまさらながら調べてみると,自治体毎に料金は違うのだが,その仕組みは,おおよそ次のようである.

排水される汚染水は下水道を通って集められ,浄化処理され,再利用か放流される.この下水道は上水道と並んで,社会の巨大なインフラになっているのだが,上下水道料金は,この巨大な社会インフラを支えているのである.

さて,この下水道料金の仕組みであるが,その料金は排水量で決まる.その排水量は,水の使用量で決まる.その水の使用量は,水道以外に,地下水,井戸水,温泉水の使用量で決まるのである.

家庭の地下水や井戸水の使用量は見なし値で設定される.ホテルやスーパー銭湯など営業用の施設では計測値で設定される.地下水を吸い上げてペットボトルにして出荷している場合の排出量をどうやって決めているのか,又,購入した大量の水や雨水を使って,生活している場合の排出量をどうやって決めているか,は調べていない.

この排出量に排出量規模毎に決められた単価をかけて,下水道料金が決まる.(特別に汚れた汚染水を排水する場合は,追加料金が加えられる).勿論,単価テーブルは自治体によって異なっているが,上下水道事業の独立採算が取れる基準に設定されているようである.

さて,この予備知識の上で,『下水道料金の不正』を単に『コンプライアンスの欠如』として片付けられない感じがして,その背景を考えてみた.

①排水量に実感が伴わない問題

先ず,上水道料金は水道水を使ったと言う実感がある.これに比べて,排水量に応じてかかる下水道料金には,排水したという実感が伴わない.ましてや排水量を示すメーターが付いているわけではない事も原因である.

加えて,下水道料金は,水の使用量から自動計算される論理的な数値であ為に排水量に特段の注意を払う事はないのである.

そんな実感がない下水道料金ゆえに,誰でも高いと感じるの当然だと思う.特に,水道水より地下水や温泉水を多く使っている場合は,水道料金に比べて,下水道料金が高く感じる筈である.

『山の上ホテル』も厨房等の掃除用の井戸水は只くらいにしか思っていなかったと思う.掃除用の井戸水に,下水道料金がかかる事など,バカバカしく思ったに違いないのである.こんな感情がコンプライアンスの壁を低くしたと思う.

②銭湯優遇制度とスーパー銭湯の下水道料金不正問題

もう一つ,スーパー銭湯競争時代で起こる巨額の下水道料金の不正問題である.現在,お風呂ブームで,スーパー銭湯,ホテル,温泉,などが激しい競争を展開している.そんな中で,従来の銭湯(公衆浴場)とスーパー銭湯(その他の公衆浴場)の違いがよく分からないにもかかわらず,昔ながらの銭湯には,優遇制度が残っている.銭湯の場合は,上下水道料金で言えば,一般の3分の1から10分の1,くらいの上下水道料金だと言う.

昔,銭湯は公共施設の色合いが強く,料金規制,距離規制,或いは,上下水道料金や固定資産税,更に融資などに優遇制度が適用されて来たのである.銭湯は内風呂で町から消えたが,制度だけは,今も生きているのである.

そこで,お風呂ブームの中で,新設の施設が,銭湯として登録できれば,優遇制度が使え,競走上極めて有利になる.実態は知らないが,田舎の立派なスーパー銭湯などは,登録上は銭湯なのかもしれない.

そうなると,銭湯ではない,スーパー銭湯や温泉,ホテルは不利な競争を強いられる事になる.これも,コンプライアンスに壁を低くしている要因だと思う.かろうじて残っている昔ながらの銭湯は別にして上下下水道料金の優遇制度について見直す必要がありそうだ.

③お風呂ビジネスの厳しい現実的な問題

次に,お風呂ビジネスには下水道料金とも関係して共通の苦悩がある.それは,大勢が入る湯船の浄化,殺菌問題である.勿論,かけ流しの場合は,お湯が入れ替わるので汚れはたまらない.従って浄化,殺菌,循環,設備は不要になる.しかし,莫大な下水道料金が発生するのである.

かけ流しせず,お湯を,浄化し殺菌して循環利用すれば,大きな設備投資が伴う.反面,下水道料金は安く済む.この下水道料金は自営でお湯を浄化,殺菌し,公共の下水道を使わずに放流する事で節約できるが,これもコスト比較の判断になる.

又,風呂事業にとって燃料費もバカにならない.勿論,高温の温泉が大量に出るなら,かけ流しが可能になり,設備も燃料費も,抑えられる.勿論,顧客集客上も,願ったりなのである.高温の源泉を持った温泉地は,温泉料を払っていると思うが,自然の恵みに感謝しても,しきれない御利益があるのである.

そんな事を考えながらスーパー銭湯に行くのは気が重くなるが,たまには,こんな事を考えるのも社会勉強になると思う.しかし,やっぱり,何も考えずに,『温泉かけ流し』で,思う存分『天然の恵みに浸る幸せ』を味わいたいものである.

④公共料金,税などを細分化して安く見せる問題

最後に,上水道料金と下水道料金を分けている理由である.考えようによっては,上下水道料金として,一本で徴収し,役所で分割すればよいのではないかと思うのである.しかし,夫婦2人で,上下水道料金月7000円とすると,極めて高く感じる.多分,この事もあって,料金への抵抗感を少なくする為に,上水道料金4000円,下水道料金3000円,と分けているのだと思う.しかし,夫婦で月7000円かかる事実は変わらないわけで,国民としては,これに騙されないようにする事は大事である.

この様な事は健康保険料,介護保険料,等も同じである.所得税と住民税も同じである.いづれも片方が決まると自動計算できる仕組みになっているが,わざわざ分離徴収しているのである.

とにかく日本の税制,公共料金は,細分化して,個々を小さく見せて,役所の所管毎に,広く課税の網をかけるのである.その膨大な種類の課税種目や公共料金,手数料に,優遇制度を入れるものだから,さらに,複雑で,分かりづらくなる.当然,国民が文句を言えない様になるのである.

サラリーマンに対する税や社会保険料の天引きも,徴収の合理性と引き換えに,仕組みのブラックボックス化が起こっているのである.(天引き制度は世界ではまれな制度)今や政治家も税制の全貌を知っている人はいないと思う.役人も,担当税以外は知らないと思う.まさに税制全体が『ブラックボックス』なっている感じがするのである.

こんな事から,日本は,他国に比べて,『国民負担率が低いから,消費税を増税しても,おかしくない』等と言う話がまかり通るのである.(負担率とは,税と社会保険料の所得に占める割合)

一見正しそうな話だが,国民負担率には,電気,ガス.水道などの公共料金,学校費用,自動車や住宅購入時の税金やパスポート等の手数料,あるいは物品税などは,入っていない.従って単純に負担率が低い等と言えないのである.

北欧の国民負担率は高いが,学校も医療も無料だと言う.日本の国民負担率は,北欧より低いとしても,学校や医療の費用を利用者が負担しているのである.この様に,単純に負担率で国際比較はできないのである.

以上,日本では,税金や公共料金の細分化,複雑化で,負担を低く見せる狙いがあるのかもしれないが,『制度・仕組みのブラックボックス化』が進み,国民は負担に対し,盲目的になり,不要な歳出の増大,増税,公共料金値上,の温床になっていると思うのである.

さらに,全体の統計が取れなくなったり,我田引水で断片的な数字が使われたり,不正を誘発する事にも繋がっていると思うのである.下水道料金の不正も,こんな背景の中で起こっていると思うのである.

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