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2012.11.28

308 加熱する総選挙(12月16日選挙)で感じている事

政治は今,総選挙モード一色である.今回の選挙で感じている事をいくつか上げてみた.

『第1』 政党の乱立化と小選挙区制による野合の横行


既成政党離れ,無党派の増大,難問の多さ,民主党の分裂,地方からの立党,等を反映して,過去にない政党乱立状態になっている.初めて選挙に臨む政党も多い.

しかし,多党化は,小選挙区でも比例区でも,共倒れする政党が増える事になる.公示一週間前を控えて,急速に政党の合体(野合)が起こっているが,それにしても,乱立状態にある.

野合しなければ選挙に勝てない選挙制度が問題なのか,政治理念が未成熟が原因で多党化する事が問題なのか.今後,小選挙区制,小選挙区比例区併用制,中選挙区制,の議論がもう一度起こるかもしれない.

今回の総選挙は,民主党の凋落,小政党の潰し合いで,結局,若干有利とされる政党が,漁夫の利を得る形で,得票以上に議席数を得て,圧倒的勝利になる感じがする.

『第2』 『政策の立て方』にみる『票の取り方』の違い

日本は経済再生,消費税増税,社会保障(医療・介護・年金),財政再建,福島原発事故,原発,東北災害復旧,外交,TPP,安全保障,等々,極めて重大な問題に直面しているが,難問ばかりで,それを解決する政策は,簡単ではない.

これらの難問を前に,政党の大小を問わず,票を取る為の『政策の立て方』に三つある事が見える.


①『持論を訴えて票を得るタイプ』(持論優先)


国家の為の統治機構革命,経済再生政策,安全保障政策,憲法改正,など,持論に基づく政策を掲げ,その説得で得票を狙うタイプ.全体的には,『パイの拡大・国力の強化』を重視したタイプである.代表的な例は日本維新の会やみんなの党,あるいは野党を経験した自民党の政策である.

②『官僚の言いなりの政策を掲げて票を得るタイプ』(官僚優先)

実力・経験不足の為,官僚の受け売りを持論のように掲げる政党.増税,外交,省益予算,にその影響が現れる.その分,行政改革,規制緩和,予算削減は停滞する.『パイの拡大』も成功しない.

③『国民・諸団体が喜ぶ政策を掲げて票を得るタイプ』(得票優先)

国民や労働者,農家,からの得票を優先する為に,『パイの分配』を重視し『パイの拡大』は論じないタイプである.その為,裏づけや本質から離れ,しかも実現性においては,合成の誤謬になる傾向がある.先の民主党の給付政策,無料化政策,など,見事に,このタイプの結末を証明した.

今回の選挙では,即原発廃止,将来脱原発,反TPP,反消費税増税,各種給付制度,最低賃金アップ,格差是正,富裕層の増税,憲法堅持,等を連呼する政党は,票欲しさや存在感のアピールを優先している感じがする.その為か,経済のメカニズムを無視した,無責任な『素人の断言』に聞こえる.

民主主義である以上,どんな『政策の立て方』で票をとっても,間違いではないが,嘘はダメである.その上で,『難問解決につながるのか』,『国家の為になるのか』,が判断基準になる.

国民の選球眼が極めて大事になるが政策の信憑性を正す為にも,せいぜい,選挙戦で政策論争をして欲しいものである.

今回の前哨戦を見ると,③が多い為か,『不完全な選択肢』,『票狙いの我田引水の争点化』,が多いと感じる.それだけに『政策の精度』が総じて低い感じがするのである.これも,『難問山積み』,『多党化』の表れかもしれない.

国民としては,『票欲しさの中身の無い政策』か『真摯な政策』かを吟味したいと思う.そんな中で,『一票の格差問題』もあるが,偉そうに言えば,『一票の政治意識格差』も気になるのである.これを縮める努力は当然としても,選挙結果が気になるのである.

『第3』 選択肢になっていない原発問題

原発問題を論じる為には,少なくとも下記の事項がはっきりしていなければならない.そんな中で,『徐々に廃止』,『即廃止』などと,裏付けのないまま『方向性』を叫びあっている感じがするのである.

・原発と使用積み核燃料の安全基準と評価時期が不明
・上記基準による評価までの間,電力確保方法,電力料金が不明
・評価結果による使用済み核燃料,原発の取り扱いが不明

・有事の対応,原発行政の制度,仕組みが未完成
・使用積み核燃料処分方法,費用と負担
が不明
・廃炉処理の方法,費用と負担が不明
・原発ゼロ化と核拡散防止条約の関係が不明
・代替エネルギー確保や電力料金が不明
・今後の原子力技術者,研究者の確保が不明
・燃料輸入増大とエネルギー安全保障が不明,
・温暖化対策が不明

こんな状態で,よくも,『何年後メドに脱原発を実現する』とか,『即廃止をする』とか,言えたものである.ただ国民の顔色を伺った,票狙いの主張(得票優先)に見えるのである.

現実は『行くも地獄,止めるも地獄』の問題だと思うが,裏付けを持った選択肢を示すべきである.しかし,それが無理だとしても,次の現実的な問題に考えを示すべきだと思う.

①安全性基準や評価が何時,出来るのか,その間,再稼働はしないのか,その場合の電力不足問題,電力料金問題をどうするのか,

②『万が一の危険性がある以上,原発は止めるべきだ』とした時,電力不足問題,電力料金問題をどうするのか,あるいは,電力不足はやむをえない,と考えるのか,日本経済に与える影響は何か.

③安全性評価がOKなら,再稼働するのか,しないのか,その判断基準は何か,

④安全性評価がNGなら,原発を停止もしくは廃炉にするのか,その時の電力不足問題,電力料金問題,をどうするのか.それとも,電力不足はやむを得ないとするのか.

あるいは,評価内容によっては,再稼働に向けて対策を打つのか,さらに,現有原発が軒並みNGの時,どうするのか,

⑤原発行政の制度・体制や有事対応策を何時までに作るのか,その中で,上記,①ー④の判断を,立地自治体,電力会社も含めて,どういうプロセスで,誰が判断するとするのか,現行法制度の改正及び新法整備をどうするのか,判断にもとづく費用負担はどうするのか.

各政党は,票を気にしてか,上記の現実的な問題から逃げている感じがする.脱原発,即廃止などと裏づけの無い将来の神学論ではなく,この現実の問題に,真剣に答える必要がある.ここに国の存亡がかかっているからである.同時に国民も,この現実の問題に覚悟もって自問すべきだと思う.

ところで,『使用積み核燃料や原発に,万が一の事故が起こったら,人類が破滅する』,『破滅する事を思えば,原発廃止の影響など問題にならない』との主張は世界では少ない.むしろ,使用済み核燃料や原発の安全対策に必死に取り組んでいるのである.

いづれにせよ,人類は『原発を持つ事による万が一のリスク』と『原発を持たない事による日常のリスク』のそれぞれのリスクを無くす事に直面しているのである.

代替エネルギーが潤沢に,安定的に,安く,使える,事になれば,原発は不要になるのだが,それまで人類の苦悩は続くと思うのである.政治家がこの選挙で断言する程,この問題は単純でも,簡単でも,ない事だけは確かである.

『第4』 政党交付金の疑問

多党化の中で改めて,政党交付金制度が気になるのである.2012年度政党交付金は民主党165億,自民党101億だが,民主党は献金も含めて,選挙対策積立金150億を計上していると言う.他党にはうらやましい資金である.政権をとって失敗したのだから,交付金は返せと言いたいくらいである.

民主党はその資金で,既に活動費として300万配布済みだが,更に,公認料500万,政治活動費名目で500万,計1000万を配ると言う.供託金も公金で賄う事になる.交付金の無い生活第一や日本維新の会とは大違いである.日本維新の会は,立候補者は全て自腹の上に,逆に広報料として党に100万上納すると言う.

ところで,この政党助成制度(政党交付金)の目的は次の通りである.

『政党の政治活動の健全な発達の促進及びその公明と公正の確保を図り,もって民主政治の健全な発展に寄与することを目的とした制度』

この文言は,明らかに,『交付金は何に使っても良い』とした法律である.その理屈は,政治資金不足で政治活動が出来なくなる,選挙活動は重要な政治活動だが,金がかかる,企業・団体からの献金では足りない,交付金は選挙資金として使いたい,等と政治家は真面目な顔で言うはずである.

しかし顔には,『政治資金が無いと,癒着政治が起こる,だから公金を使わせろ』と書いてあるのである.まことに勝手な政治家の理屈である.

国民から見ると,良い政治を期待しているだけに,こんな風に感じるのである.

・金がないと健全な政治が出来ないとは何事だ,
・ごった煮の民主党であっても,巨額の交付金が出るのは何事だ,
・民主党のデタラメな公約を詫びるなら,せめて交付金を自主返納すべきだ,
・民主党は分裂したのだから,即刻,その年の交付金を返納すべきだ,

・『政党交付金が選挙費用に使われる事』は多党化の中で不公平だ,
・『政党交付金が落選議員の支援費に使われる事』は問題ないのか,
・交付金目当ての野合や政党の体をなさない政党は公金横領の政党だ,
・交付金支給の政党要件がいい加減だ,出すなら個人の方が公平だ,
・議員歳費(年間一人約7000万)と交付金(年間一人4000万)の関係が不明だ,
・交付金が選挙資金なら,選挙の無い年の交付金は不要だ,
・衆参727名で年間約800億円を議員に支給,その割に,国民への貢献が疑問だ,

とにかく,わけのわからない公金が議員・政党に支給されている事だけは確かである.『選挙制度,議員定数,歳費,政党要件,交付金,等の全面見直し』が必要だと,今回の選挙戦で感じたのである.

決して,消費税増税に伴う,身を切る議論ではなく,民主主義のあり方の視点で議論して欲しいのである.

ところで,この歳費や政党交付金もそうだが,予算や復興予算も,総じて,役人や政治家が作る法律は,政治家や役人が公金横領罪や詐欺罪にならないように,配慮がされている.

その結果,政治家や役人にとって,何でもありに近い,裁量幅を法律に持たせているのである.そこにシロアリがはびこるのである.

企業・団体が補助金の目的外使用をすれば,当然,公金横領罪,詐欺罪になるのだが,役人,政治家に対しては,極めて甘い法律になっているのである.

そんな法律だから,国民とのギャップが起こり,『法治国家』ではなく,『放置国家』と揶揄されるのである.其の意味で,統治機構を変えて,政治,行政,財政,の改革を迫る日本維新の会に期待と注目が集まるのである.

『第5』 時代遅れの選挙制度(インターネット利用の禁止)

現在の選挙制度は公示以降,インターネット,ツイッター,等による選挙運動は禁止されている.この事が選挙活動の費用を高くし,国民が政党,立候補者を知る方法を閉ざしているのである.

例えば,ユウチューブで政治討論会の映像があり,これに視聴者からの賛否の反応が付いているのだが,公示以降,このコメントは消去されているだけでなく,追加記入も禁止されているのである.

はたして,公示前に可能であったものが,公示後,禁止される事に現実性があるのだろうか.余りにも,杓子行事の現実離れした選挙制度である.即刻改正すべきだと思うのである.改正しないのは,インターネットを解禁すると,具合の悪い政党や政治家があるからだろうか.

ネット社会に,いろんな問題があるとは言え,何もしない事で,思考停止して済む問題ではない.まさに日本の政治の旧態依然ぶりを象徴している現象だと思う.

『第6』 テレビ報道への苦言

視聴率狙いのバライティ番組で,いい加減な政治談議が多いように感じる.キャスターもコメンティーターも,もっと勉強すべきだと思う.大衆の代弁者を装って,プアな事を言うのは,自分の無能ぶりを隠しているだけに見えるのである.視聴者はバライティの出演者が思う程,プアではないのである.

それともテレビとは,鋭い指摘は御法度で,人畜無害の適当な事を持って良しとする文化なのだろうか.そんなテレビ文化は無用である.むしろ,いろんな鋭い意見がある事を報道すべきなのである.本来,テレビは視聴者に情報を与える事が仕事のはずである.

以上,総選挙の前哨戦で感じたことを述べたが,今度の総選挙は,迷うことも多く,結果の予測もできない状況である.ただ,どんな結果になっても,正論が採用されるような政治を願いたいのである.

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