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2012.12.12

309 キャッチフレーズに見る各党の戦略比較

総選挙の投票が間近に迫っているが,選挙におけるキャッチフレーズの重要性について発信したい.この事は当ブログ2005年5月,NO11小泉政権の圧勝(戦う構図の勝利)でも発信した.

当時,バブル崩壊後の失われた10年を経て,不良債権の一掃,聖域なき構造改革,規制緩和,官から民,を掲げて小泉政権が誕生した.そして,改革の本丸とした郵政民営化の信を得る為に,総選挙を行ったのである.

その時のキャッチフレーズは『改革を止めるな』であった.国民へのメッセージである.この旗の下,『自民党をぶっ壊す』とまで言って,守旧派を追いだし,改革の必要性と熱意を国民に訴えたのである.その結果,選挙は圧勝したのである.

これに対し,民主党のキャッチフレーズは『日本をあきらめない』であった.民主党は日本をあきらめないで頑張る,との意味のようだが,国民から見ると,『お前の問題だろう』で終わる.自分の決意を言っているだけで,ビジョンや政策が見えて来ないのである.これでは自民党のキャッチフレーズと戦えないのである.最悪のキャッチフレーズだったと思う.

その反省からか,2009年の政権交代を実現した時の民主党のキャッチフレーズは『生活第一』であった.この旗の基で,給付や無料,と言う『ばら撒き政策』を公約したのである.選挙戦略,キャッチフレーズとしては見事だったと思う.自民党の自滅もあったが,政権を奪取した事で,この戦略の妥当性が証明されたのである.しかし,裏付けのなさが露呈した事で,民主主義選挙を冒涜する,最悪のキャッチフレーズになったのである.

さて,今回の総選挙のキャッチフレーズを見てみたい.

自民党は『日本を取り戻す』である.民主党政権でおかしくなった経済,外交,教育,財政,災害復興,から,日本を再生したい,との意味だと言う事は誰れでもわかる.『政権を取り戻す』との熱意も連想させる.このキャッチフレーズのもとで,『パイの拡大』に向けたデフレ脱却,景気回復,などの政策を提示しているのである.

只,『日本を取り戻す』としても,何を持って取り戻すと言うのか不明である.集団的自衛権や憲法改正も含めるのかも知れない.しかし,常識的には,円高,株安,デフレ,貿易赤字,を金融政策,財政政策で解消し,まず,経済の再生を図る意味だと思う.

勿論,その先に,やるべき課題は山程ある.それらの対策の中心になるのが,『日本の新しい立国』をどうするかである.世界の経済や技術の勢力図が大きく変貌している中での根本的なテーマである.

例えば,技術立国,海洋立国,自然立国,防災立国,環境立国,医療立国,長寿立国,文化立国,などのビジョンを掲げて,教育,研究,事業を展開し,日本の難問と対峙して行く必要があると思うのである.自民党としても,是非,取り戻した先の姿を描いて欲しいものである.

一方,民主党は『動かすのは決断』である.民主党は難問を先送りせず,決断して政治を前に進めるとの意味だと思うが,今までの民主党政権の公約違反や党内のゴタゴタや先送りで,決められない政治との批判を受けていた事を思えば,決断できなかったのは民主党であって,『お前の問題だろう』と思われるのである.

さらに言えば,民主党が『決断する』と力んでも,『お前の決断など不要だ』,『これからも政権に座るつもりか』等と,反感を買う可能性も高いのである.だとすると,このキャッチフレーズは『力んで空振り』して,『反感を買う』,感じになるのである.

民主党のキャッチフレーズ,『日本をあきらめない』,『決断』,ともに共通している事は自分の心構えを言っているだけで,『ビジョンと取り組む政治のコンセプト』が見えない事である.『生活第一』はそれが見えたが,嘘を言ってはダメである.

こんな風に民主党のキャッチフレーズがピンボケになるのは,憲法問題,安全保障問題,経済政策,社会保障問題,財政政策,金融政策,貿易政策,など,党としての政策理念が定まっていないからだと思う.ごった煮政党の歴史があるからである.

同時に,政治のリアリティへの覚悟,当事者としての責任感も不足している感じがする.野党精神,批判精神,から未だに脱していない感じがするのである.そんな事がキャッチフレーズや政治活動に表れていると思うのである.

その反省からか,分裂後,今回の総選挙に際し,民主党は『中庸政治』を表明した.しかし,中庸では,政策の特徴が出しづらい事には変わりがないのである.

私見によれば,総じて『パイの分配論』,『所得の再分配論』が多い事から,民主党の理念として,『脱・貧困社会』をキャッチフレーズにした方がふさわしいと思う.同時に,率直に政権の混迷,失政を認めるなら,新しい綱領のもとで,『新生民主党』を宣言する事も必要だと思う.これは分裂を起こし,政治を混迷させた政党のマナーだと思うのである.

日本維新の会のキャッチフレーズは『今こそ維新』『日本を賢く,強くする』だが,抽象的すぎる感じがする.むしろ,これまでの主張に沿って,『脱・中央集権国家』,もしくは,『統治機構改革の断行』と言った方が,維新の意味がはっきりし,しかも,日本の課題解決の土台になる事を強く訴えられると思う.

みんなの党は『闘う改革』だが,熱意を表明するにしても,キャッチフレーズから政策が見えて来ない.むしろ,『脱・官僚国家』,『脱・肥大政府』のように,政策から熱意を感じさせる表現が必要だと思う.この方が,もっと訴求力が出ると思うのである.

この様にキャッチフレーズは日本の状況,政治活動の実態を踏まえて,『何をしたいのか』,『具体的なアクティビティ』が見える表現が必要である.

『心構えや決意』は国民に言う話ではないし,それを言えば,それが無かった事を白状するようなものであり,国民へのメッセージにならないのである.

今回の総選挙のキャッチフレ-ズだけで比較すれば,自民党のキャッチフレーズ『日本を取り戻す』に軍配が上がると思う.熱意を持ってやる事が見えるからである.

勿論,私案のように『脱・貧困社会』,『脱・中央集権国家』もしくは『統治機構改革の断行』,『脱・官僚国家』もしくは,『脱・肥大政府』が採用されれば,自民党と,がっぷり四つの勝負が出来た思うのである.どうだろうか.

ところで,政党の主張は勿論,自由であるが,各論の前に,政党の目指す国の姿や政策の方向を国民意示すべきだと思う.例えば,『大きな政府思考』なのか『小さな政府思考』なのか,あるいは『社会主義的思考』(勿論大きな政府)なのかである.この前提を言わないと,政策の真意や論理が理解出来なくなるのである.

この観点で各党を勝手に分類すると,大よそ,次のようになる.

『社会主義思考』  (左派)は共産,社民党(大企業・富裕層への重税)
『大きな政府思考』(リベラル・中道左派)は民主党(弱者救済・パイの分配)
『大きな政府思考』(保守)は自民党(財政出動による産業振興・パイの拡大)
『小さな政府思考』(新保守)は,みんなの党
,維新の会(規制緩和・競争・自立)

これは私の仮設であるが(度々当ブログで度々発信済み),政治の思考は音楽の好みと関係していると思っている.『フォークの好みはリベラル思考』,『演歌の好みは保守思考』,『ジャズの好みは新保守思考』である.この逆もある.

フォークは平和,幸せ,愛情等で,一体感・連帯感に浸る若者文化,演歌は伝統的な義理・人情・浪花節の村社会的文化,ジャズは国境,人種を越えて個性,自由を尊重する文化,であって,それぞれの政治思考とよく似ているのである.

議員に確認したわけではないが,今のところ,意外と当たっていると思う.是非,議員に音楽の好みを聞いてみたいものである.国民も,これを自問し,自身の政治思考を確認してみたらどうだろうか.

ちなみに,私自身はジャズ派であり,新保守思考である.好み以前に,日本の『ゆで蛙状態』から脱出する為には,この選択肢しか残っていないと考えるのである.ジャズの持つ自由化,個性化,国際化が今の日本に必要だと思うのである.

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