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2013.03.29

321 一票の格差問題を考える

昨年12月の衆院総選挙を巡り,全国の高裁,支部で審理されていた計16件の『一票の格差訴訟』の判決が出揃った.

2件は違憲状態,12件は違憲但し選挙無効請求は棄却,2件(広島高裁と同高裁岡山支部)は違憲で選挙も無効,を命じた.同高裁は最高裁の違憲審査権が軽視されて来たとして,初めて無効に踏み込ん判決を出したのである.

この16件の『一票の格差訴訟』の最終決着は最高裁に持ち込まれる事になるが,もし『選挙無効』の判断がされた場合どんな事になるのだろうか.

①訴訟対象の選挙区のみ無効になるのか,比例も含めて,全選挙区が連鎖して無効になるのか.

②選挙無効になった選挙区の当選議員は遡って失職するのか,遡及せずに,判決確定時に失職するのか.猶予期間を持って失職するのか.遡って失職する時,これまでの立法や歳費はどうするのか.


③全国会議員が猶予期間を持たず失職した時,選挙法も改正できず,選挙も出来ず,無政府状態に陥る事になるのか.

等,不明だらけである.果たして,『選挙無効の判決』を出した高裁岡山支部はどう考えているのだろうか.最高裁はどう考えるのだろうか.

それにつけても,いろんな判決が出たり,判決後の処置方法が曖昧であったり,日本の民主主義や司法はどうなっているのだろうか.

元来,法律の立法時に違憲性がチェックされる訳だが,もし,立法後に違憲の判決が出た時は,遡って無効とは出来ないと考えるのが法治社会の原則だと思う.違憲判決が確定するまで,その法律は有効と考えなければ,法秩序は保てないのである.まさに,『悪法も法』なのである.

この考えに立てば,ある特定の選挙区の選挙違反事件で,『選挙無効』になる事はあるとしても,『公職選挙法の違憲』で,遡って『選挙無効』はないと思うのである.

その意味で,高裁の多くが『選挙法は違憲だが,選挙無効請求は棄却』とした事は,違憲性に疑義があるとしても,判決の在り方としては妥当していると思うのである.

この事を別の例で言えば,ある特定納税者への課税の問題で,『課税無効』になる事はあるとしても,『税法の違憲』で,遡って『課税無効』はないと思う.そんな事が起これば法社会は成り立たないのである.

さて,ここで,立法府の『一票の格差問題』への取り組みを振り返って見たい.

国会は過去に,度々定数是正を図って来た.最近では,自民党は昨年の民主党政権下で,小選挙区制度で規定されている格差2倍以内を守るべく,『0増5減』(人口の少ない地域の別枠の廃止,人口密集地の選挙区の人口平準化の為の行政区を超えた区割りの再編)をまず実現すべきだと主張して来た.

一方,民主党は政権の延命を意図して,連用制と称する不明朗な案を出し,自民党案を拒否して来たが,結局,当面の策として,昨年11月,解散直前で『0増5減』が成立した.しかし区割り法案が決まらないまま,12月の解散,総選挙に突入したのである.

政権についた自民党は,『0増5減』をもとに,区割審議会で新区割り案(いつの人口を使うのか不明)を作り,遅ればせながら,4月末をメドに衆院を通過させたい意向である.又,議員削減を含む,選挙制度の抜本改革は,この格差問題とは別に,慎重に各党協議を進めるとしているのである.

それに対し,野党は成立済みの『0増5減』を反故にし,一票の格差問題と議員削減問題を一体で議論すべきだと主張し始めたのである.(具体内容は不明)

高裁の判決をテコにした野党の開き直った主張は,夏の参院選を意識した政争に見える.昨年,民主党は一票の格差問題を解決しない事で,民主党政権の延命を図り,今度も,一体改革だと開き直って,参院選挙の政争の具にしようとしている感じがするのである.

以上,衆院選の話しだが,今年夏予定されている参院選も構造的な一票の格差問題がある.比例区は全国区であり,格差問題はないが,選挙区は都道府県単位であり,定数の調整をやっても,5倍位の格差は狭まらないのである.

島根県,鳥取県の選挙区を他県と合体(定数の減)をし,かつ,首都圏の定数を大きく増やさない限り,格差は5倍以下にはならないのである.

衆議院の『一人別枠方式』と同じ様に,都道府県単位の定数割り当て方式が大きな格差を生んでいるのだが,地方自治体優先か,一票の格差是正を優先するか,議論の分かれるところである.改めて,法のもとの平等とは何かの議論が必要である.いっそのこと,全国区一本にすれば,格差問題も,地方自治体優先問題もなくなるのだが.

この参院選挙の一票の格差是正対策は,まだ政治の土俵に上がっていない.又,弁護士グループが違憲訴訟を全国で起こすと思う.立法府はどうするのだろうか.

この様な動きに対し,感じる事を3点述べたい.

・まず一票の格差問題だが,

最高裁は『憲法14条の法の下に平等』は『参政権の保障』を規定しているのであって,選挙制度による格差問題は国会の裁量権に任せられているとして,選挙制度の違憲訴訟を退けてきた経緯がある.死に票が多く出る小選挙区制の議論の時に出た考え方だったと記憶している.

その後,今回の様に選挙制度の違憲判決が出たわけだが,改めて,法の下の平等とは何を持って言うのか,と言う問題を提起したのである.

この憲法第14条は選挙制度だけではなく,税制でも,裁判制度でも,社会保障でも,物差しが定まらない事から,幾らでも,この条文を掲げて,違憲訴訟が出来るのである.

しかし,裁判所によって,違う判決が出るような,曖昧な事を裁判所の裁量で判断させては,法社会の信頼が失われるのである.

そんなわけで,選挙制度の合憲・違憲の判断基準をどこに置くのか,一定の結論を求めたいと思うのである.

・又,議員数削減問題だが,

議員数の問題は代議政治の根幹の問題であり,前野田総理の言う,国会議員の身を切るコストカットの話ではないのである.又,単純に比例区の定数を減らす案が多いが,これも,安易な数合わせに感じる.そこに,代議政治の哲学が見えないのである.

・次に,選挙制度に関する,第三者機関への丸投げに対してだが.

必ずしも,良い案が出る保障もない.現在の選挙制度も,第三者機関で作られているが,それが違憲問題に発展しているのである.

ところで,最近,第三者機関にゆだねる問題が多くなっているが,議員のアリバイ作り,保身,あるいは能力不足,の為の様だが,第三者機関への丸投げは,民主主義,代議政治の空洞化を意味するのである.それなら,議員は極く少数で済む.いっその事,代議政治の看板を降ろし,第三者機関政治と言った方が分かり易いのである.

そんなわけで,せめて,民主主義の土台である選挙制度作りは国民の代表である政治家に作らせるべきである.真剣に自分達の利害と民主主義のあり方を葛藤させたいのである.それなくして民主主義は定着しないと思うのである.

ところで,諸外国の一票の格差問題への取り組みが気になるが,簡単に取りまとめてみた.

・ルールに長けた米国では上院は州の代表者で構成され,州毎の人口格差は問わない.下院は10年毎の国税調査をもとに,州の定数を割り振り,それを州内の選挙区に平等に割り振る,とされている.

・英国も10年毎の人口に応じて,選挙区,定数を見直す事になっている.島などは,人口が少なくても,議員を出せる特例もある.

・ドイツは選挙の都度,区割りと定数を見直すが,格差が2倍程度以内なら許容されると言う.比例区は開票後,投票数に応じて,各比例区への定数配分が決まる方法をとっている.

・フランスは原則は1.5倍以内になるよう,区割りや定数を調整している.イスラエルやオランダは全国区制をとっているので格差問題はない.

要するに,各国とも,選挙区の区割りと定数で格差が生じないように,原則を持って,常に維持管理されているのである.政党や政治家の思惑が入り,政争の道具になる日本とは大違いである.民主主義の歴史の差かもしれないのである.

もし日本での『選挙制度が違憲で選挙は無効』にでもなれば,世界の笑いものになるは必然である.それどころか,国家の信頼も日本の民主主義も,失墜するのである.

最後に,『法の下の平等』,『一票の格差』の問題について,『素朴な問題』を,まとめて列記しておきたい.

①『一票の重み』を図る方法を議論しているのか.

人口か,有権者数か,各当選者の得票数差か,比例区と選挙区の合計の定数比較か,死に票数か,その他の指標か・・)

②『法のもとで平等だ』と判断できる①の格差幅はどれくらいか.

国民,議員,裁判官の許容する格差幅が1倍か1.5倍以内か,2倍以内か,・・・

③選挙無効の選挙区は議員一人当たりの人口が少ない方か,多い方か.


④各高裁や最高裁の判決基準は何か.
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違憲状態,違憲&選挙有効,違憲&選挙無効,等の判断基準は何か

⑤地方行政区準拠の区割りは『法のもとの平等』に反するのか.
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都道府県の選出,行政区準拠の区割り,小人口選挙区への一人別枠付与,等

⑥『選挙無効』の判決での議員の失職時期はどうなるのか.

遡って失職,判決確定時失職,猶予期間をもって失職,のどれか

⑦『一票の格差』の判決を裁判所の裁量権に委ねてよいのか.

欧米の様に,国民のコンセンサスによる法律で対処すべではないか,司法に大きな裁量権を与えている法社会は法治国家,民主主義国家と言えるのか

等と疑問が湧くのである.民主主義の根幹を曖昧にしておいて,
司法の裁量権が幅を利かせて,『ちゃぶ台返し』するような国は,『法治国家』どころか『お代官様国家』と言った方がふさわしいのである.

そもそも,日本国憲法は『法のもとの平等』の様に理念的な条文が多い.しかし,その定義は極めて曖昧なままであり,その分,司法の裁量権が極めて大きいのである.

理念と現実のギャップを,『司法の裁量権』で埋める事は,日本の法社会は条文ではなく,裁量権で成り立っている事を意味する.まさに,お代官様国家なのである.

いろんな事象を想定して書かれているスポーツのルールやビジネスの契約書にたとえて言えば,日本流では,いろんな事象が別途協議となり,もめた時の決着は裁判所に委ねるのである.

いろんな事象が起こる前に,その処置を決めておくのが法治国家の法律とすれば,起こってから決着の仕方を考えるのは,間違いなく法治国家ではなく,お代官様国家なのである.

これでは,良くも悪くも,恣意的にお代官様の裁量権が使われる可能性が大きくなる.そこに,封建社会の残像と民主主義・法社会の未熟さを感じるのである.

この未熟さを乗り越える為に,日本は,『お代官様意識』や『曖昧の合理性』(曖昧にする事の方が,ハッキリさせるより,うまく事が運ぶ,とする日本独特の文化)から卒業しなければならないと思う.

時代の変化に,国内法が立ち遅れたり,海外との理論闘争に負けるのは,日本人の意識や文化が関係していると思うのである.

司法の裁量権が小さくなる方向で,哲学や法律がしっかり定義されない限り,日本の民主主義,法治社会は国民に定着しないと思う.『一票の格差問題』から,そんな事を連想するのである.

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2013.03.27

320 ネット選挙解禁論議

60年前に制定された公職選挙法では選挙活動の公平性を保つ為,選挙期間中は,法定選挙ポスター・法定ビラ・法定ハガキ・新聞広告,以外の文書図画は使えないのである.従って,日頃の政治活動で使っていたインターネットによる情報発信は選挙期間中は出来ない(更新できない)のである.

そこで,遅ればせながら,普及したインターネット(HP,SNS,ツイッター,YOU TUBE,等)を選挙活動で利用可能にしようと言う動きが,ここにきて,やっと現実味を帯びてきたのである.

言うまでもなく,利用可能になれば,候補者や政党の主張や候補補者の様子(街頭演説・選挙カーでの遊説など)が,いつでも・どこでも見る事が出来るようになる.又,直接,立候補者や政党がSNSやツイッターを使って,住民とコミュニケーションする事が可能になる.

さらに,日常の政治活動で使っているインターネットを,そのまま選挙期間中にも使う事が可能になる.と言う事は,ネットの上では,政治活動と選挙活動の曖昧な線引きも,選挙期間中と言う意味不明の期間設定も,なくなる事を意味しているのである.

おおよそネット選挙解禁は以上のような内容であるが,今年の参院選から実施される予定である.そこで,いくつかの検討事項と今後の政治への影響について考えてみた.

①公選法は公平性を守る為に,政党及び立候補者を縛る法律である.ネット解禁によって,情報開示や住民とのコミュニケーションに少し縛りが緩くなる.その分,言論の自由が広がるわけだが,問題は一般住民や団体のネットを使った政治活動や選挙活動である.

こちらは公選法の守備範囲ではないし,今でも,言論の自由のもとで,情報や意見が飛び交っているのである.敢えて問題を挙げれば,一般住民や団体による,誹謗中傷や落選運動,或いは推測情報や我田引水の情報,人気度ランキング情報,等の流布で起こる選挙の不公平性の問題である.しかも,ネット選挙解禁で,拡大する可能性である.

これをを縛る方法は技術的にも,法的にもないのである.あるとしても,人格権侵害,選挙妨害に関する法律くらいである.結局は読み手の判断に委ねるにしても,選挙に与える影響は大きいと思う.公選法やマスコミ報道で公平性を守ろうとしても,ネットの力で不公平な選挙になりかねないのである.ネット利用のメリットと裏腹にあるデメリットである.

②前述の通り,ネット上では政治活動と選挙活動の区別や選挙期間と言う区別,はなくなるが,公選法上も,これらの区別をなくすのだろうか.現在,事前の選挙活動を禁止しているが,政治活動を装って,自前選挙活動をやるケースが多く,この禁止事項は空洞化している事を考えれば,ネットと同じように,政治活動と選挙活動は区別できないと思う.

そこで,ネット選挙解禁に伴う公選法改正においては,『現公選法にインターネットの利用を加える』のではなく,『現在の理にかなう公選法を作り直して,インターネットを利用する』,との考えに立って,改正すべきだと思うのである.

③なりすましや情報改ざん,或いはサイバー攻撃等への対応も問題になる.プロバイダーに発生時の処置や,犯人追及の協力をするにしてもプロバイダーやサーバーや情報が国内にある保障はない.或いはプロバイダーが特定政党,立候補者を優遇しない保証もない.いづれにしても,政党,立候補者は不正,犯罪によるネット上の不利益は覚悟しなければならないのである.

④選挙活動に関わらず,政治活動全般に,政治家の片腕として,専門の『ネットスタッフ』が必須になる.ネット利用技術,コンテンツの表現,情報の分析,情報の発信,などを担うことになる.政治家にとって新たに必要になる重要なスタッフである.

⑤最後にネット選挙解禁の影響をいくつか想像してみたい.

現在の選挙区制の下では,従来のどぶ板にネットが加わって,さらに競争が激化すると思う.一方,ネットは元来,場所を超越しているのだから,選挙区が広いほど,ネットの威力が高まる事になる.ネット上で頻繁にリモート討論会も出来る.当然,選挙費用削減目的の小選挙区制の意味が薄れる事になる.行く末は国会議員は地方選出の意味がなくなり,全て,広域もしくは全国区で選ぶようになるかも知れない.選挙区毎の一票の格差問題もなくなる.

さらに,ネットの利用拡大で,人物像が浮き彫りになり,多様で複雑な政策論争の中で,政党より人物に選択の比重が移る感じがする.政党を選んで,わけのわからない人物が政治家になる比例制はネットにそぐわなくなると思う.政党政治,比例代表選挙はネット時代にそぐわなくなる可能性がある.

デジタルデモクラシーの突破口がネット選挙解禁だが,さらに,ネット投票解禁,ネット国民投票開襟,ネット立法解禁,ネット行政解禁など,ネットによって,国民の政治参加が進み,直接政治に近づいて行く思うのである.政治家の比重は低くなるが,そんなデジタル・デモクラシーの時代が来るのかもしれない.

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2013.03.23

319 グローバル化・ボーダレス化と日本の対応

昔から日本人はグローバル化やボーダレス化と言うと,『輸出や海外進出する事』をイメージするが,海外の商品や企業や人が日本に入って来る事は余りイメージしない.イメージしたとしても,国内の市場,制度,文化が乱れるし,受け入れる準備も出来ていない,として,拒否反応を示すのである.島国ならではの感情かも知れない.

しかし,今回のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の構想に日本が賛同しているのだから,『フェアー・フリー・グローバル・ボーダレス』に反するような島国感情は受け入れられないのである.

そこで,改めて『自由競争を守るグローバルな自由貿易』について,世界で議論されている協定を簡単にまとめてみた.(ウイキペデアより)

①関税および貿易に関する一般協定(GATT)

自由貿易の促進を目的とした国際協定である.現在は世界貿易機構(WTO)の一部を構成している.GATTは次の三原則により自由貿易を目指しているのである.

イ.自由(GATT11条:貿易制限措置の関税化及び関税率の削減)
ロ.
無差別(GATT1条:最恵国優遇,内国優遇)
ハ.多角
(ラウンド,交渉)

②世界貿易機構(WTO)

GATTウルガイ・ラウンドにおける合意によって,1995年,GATTを発展解消させて成立.基本原則はGATTと同じだが,物品貿易だけでなく金融,情報通信,知的財産権,サービス貿易も含めた包括的な国際通商ルールを協議する場である.現在159ケ国が参加.

(実際の地域間の貿易のルール作りはWTOを通した多国間交渉の形から,WTOを補う地域間の新しい国際ルールとして,次のFTAやEPAに移っている.)

③由貿易協定(FTA)

物品の関税及びその他の制限的通商規則やサービス貿易の障壁等の撤廃を内容とするGATT第24条及びGATS(サービス貿易に関する一般協定)第5条にて定義される協定.

④経済連携協定(EPA)

FTAの要素を含みつつ,締約国間で経済取引の円滑化,経済制度の調和,協力の促進等,市場制度や経済活動の一体化のための取組も含む対象分野の幅広い協定.

⑤地域貿易協定(RTA)

FTAと関税同盟の双方を含む概念.WTO協定上は,双方とも関税及びその他の通商規則の撤廃とサービス貿易の障壁の除去を内容とする.また関税同盟は参加国間の共通通商政策を前提として,対外的には共通関税を設定することがFTAと異なる.関税同盟の方がFTAより参加国内の統合度は高い.

現在,世界では3つの巨大な通商交渉が進んでいる.

・環太平洋経済連携協定(TPP)・・・・・・・米国他,日本交渉参加表明
・米欧自由貿易協定(FTA),・・・・・・・・・・・米国・EC
・東アジア地域包括的経済連携(RCEP)・・・中国・韓国,他

アジアにはアジア太平洋経済協力会議(APEC)を発展させ,2020年に,アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)を作る構想がある.

中国は米国不在のRCEPを土台に,米国,日本はTPPを土台にFTAAPを目指す.FTAAPが形成されると,世界のGDPの半分を占める巨大経済圏になる.是によって,日本のGDPが7兆円増えると言う試算もある.

この様に世界の通商交渉は,刻刻と変化しているが,日本が交渉参加を表明したTPPの概要について次に触れておきたい.

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)

環太平洋地域の国々による経済の自由化を目的とした多角的な経済連携協定(EPA)である.2006年5月28日にシンガポール,ブルネイ,ニュージーランドの4か国で発効した.

2015年までに全ての貿易の関税を削減しゼロにすることが約束されており,産品の貿易,原産地規則,貿易救済措置,衛生植物検疫措置,貿易の技術的障害,サービ貿易,知的財産,政府調達(国や自治体による公共事業や物品・サービスの購入など),競争政策を含む,自由貿易協定のすべての主要な項目をカバーする包括的な協定となっている.

2010年3月から拡大交渉会合が始まり,アメリカ,オーストラリア,ベトナム,ペルーが交渉に参加し,10月にマレーシアが加わった.大西洋条約機構(NATO)の太平洋版で『中国封じ込み』の感もある.

2010年11月に開かれたAPECで,TPPは,ASEAN+3(日中韓),ASEAN+6(日中韓印豪NZ)とならび,FTAPP(アジア太平洋自由貿易圏)の構築に向けて発展させるべき枠組みと位置づけられた.

現在,ASEAN+3,ASEAN+6は政府間協議の段階にとどまっているのに対し.TPPは交渉が開始されているのである.

2011年11月12日にTPP拡大交渉は大枠合意に至り,輪郭が発表された.その中で,次の事が挙げられている.

・包括的な市場アクセス(関税その他の非関税障壁を撤廃)
・地域全域にまたがる協定(TPP参加国間の生産とサプライチェーンの発展を促進)
・分野横断的な貿易課題を取り込み,APEC等での作業を発展させる
・既
協定及び,その後の課題に対応する為,協定を適切に更新する

尚,拡大交渉中のTPPは日本を加えた10か国のGDPを比較すると域内GDPの91%を日本とアメリカの2か国が占める為,実質は『日米のFTA』だとする見方もあるが,あくまでも,原加盟国4か国間で発効している環太平洋戦略的経済連携協定の位置づけは変わっていないのである.

さて,TPPによる『自由貿易圏の形成』に日本はどう臨むのだだろうか.TPPの理念や輪郭が決まっているだけに,後参加の日本の要求がどこまで受け入れられるのか,大変注目されるところなのである.

筋論で言えば,TPP構想に賛同しているのだから,『経済圏全体から,ボーダーを取り除く交渉』になり,極めて建設的な交渉になるはずである.

しかし,実際は,『他国にはボーダーレスを要求し,自国にはボーダーを設ける』交渉,『総論賛成だが各論は反対』の交渉になり,『筋の通らない交渉』になりそうである.

もし本当に,そんな交渉をするなら,『理不尽な日本』,『プリンシプルが見えない日本』と言う烙印を押され,『日本の信頼感も失われ』,挙げくに,『TPPへの加盟も出来なくなる』,のではないかと大変危惧するのである.

そんなわけで,『国益と言う我利我利』の主張する交渉ではなく,国が違う事によるボーダーを相互に認めつつ,各国がTPP構想の実現に向けて『ボーダーレス可能分野』の拡大を協議する場にして欲しいのである.

そして,決められた『各国共通のボーダレス可能分野』の実施に際しては,経過措置も含めて,各国の事情が加味される事も許容すべきだと思うのである.無限にあるボーダーを上げ連ねて交渉しても,TPP構想に反対の論理にしかならないのである.

この姿勢にもとづいて,『関税障壁』の問題と『非関税障壁』の問題を分けて議論しておきたい.

先ず関税障壁の問題だが,1988年の関税貿易一般協定・多角的貿易交渉(ガット・ウルガイ・ラウンド)の事に触れておきたい.

この交渉では,米に778%の輸入関税をかける事は許容されたが,毎年,一定量のコメを無税で輸入(ミニマム・アクセス)する事を義務付けられたのである

その結果,初年度40万トン,2008年度77万トン,が輸入されたが国内で売れず,赤字を税金で穴埋めする事になったのである.2011年度は362億の穴埋めだったと言う.

一方,農業対策費は8年間で6兆円を投入したが,土地改良等の農業整備事業のみならず,温泉施設などにも使われ,結局,民主党政権時の戸別保障制度も含めて,競争力強化に繋がらないまま,予算が投入され,今日に至っているのである.

そして今度のTPP交渉である.又,農業団体や族議員はこれに大反対である.落としどころはTPP加盟は認める代わりに,巨額の支援金を確保する事のように感じる.そんな事を繰り返せば,瀕死の農業に安楽死のお金を出すような物である.

本当にグローバル化に対応した農業の産業化を考えるなら,『こんな事をやって行くのでTPP加盟は賛成』と言うべきである.そんな建設的な発想なくして,農業はTPP以前に消滅するのである.

次に『非関税障壁』の問題であるが,

国内制度,例えば,資格,免許,国の許認可,手続き,規格,安全基準,環境基準,労働基準,特許・著作権などの知的財産権,プライバシー,性能,品質,税制上の優遇措置,等,相手から見ると合理性が乏しければ,参入障壁に見えのである.

そもそも,この『非関税障壁』は『海外参入の障壁』の為ではなく,『国内制度』として作られている.そして常に『規制緩和』を主張する『改革派』と,規制を守ろうとする『守旧派』が対立している問題でもある.TPPにおける非関税障壁撤廃問題も,是と同じ対立構造になる.そしてTPP加盟と言う外圧で,この攻防が一層激しくなるのである.

関税障壁は特例を除いて,既に低くなっている事から,TPPの主戦場は,この『非関税障壁の撤廃』,『制度の共通化』になると予想されるのである.

日本としては,安全,効率,フェアーを軸に国内の制度を見直し,自らを変える中で,『多国間の制度の共通化』をリードすべきである.ここでも日本の事情,国益を声高に言えば,総論反対の理屈にしかならないのである.

政府は100人のTPP体制を組むと言う.『グローバル化の理念と展望』をもって,世界平和のインフラとして,その実現に積極的に取り組んで欲しいのである.

最後に,島国日本の文化の特徴の中に,『内と外を分ける文化』があるが,このボーダーを,いかに低く出来るか,言い換えると,ドメステックな企業が国内も海外も一つの市場に見えるかどうかである.結局,日本のグローバル化,ボーダレス化は日本国民のグローバル化,ボーダーレス化の意識にかかっていると思うのである.まずプロ野球の閉鎖性から変えたらどうだろうか.

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2013.03.14

318 東日本大震災から2年,復旧に立ちふさがる問題

2011年3月11日,日本で最も恐れられていた巨大地震・巨大津波,原発破壊が東日本で発生した.2万人に及ぶ命が奪われ,街や住宅,農業,漁業,産業が破壊され,陸は荒れ野と化し,ガレキは街や田畑や海を覆った.原発周辺地域は死の街と化し,放射能汚染は広域に広がったのである.

あれから2年,報道で見る限り,街や田畑のガレキの山は少なくなり,広大な更地が広がっているが,人々の暮らしは,依然として,『避難・仮設状態』のままである.『復旧・復興』の足音は,未だに聞こえて来ないのである.

その原因は,報道でも取り上げられているが,どうやら,難しい問題が立ちふさがっている様である.2年前にも想像できた問題ばかりだが,改めてその問題を列記してみた.

1.震災,津波被害からの復旧に立ちふさがる問題

最大の問題は全滅した街の復旧計画が未だに決まらない事である.土地利用に関する法制度の問題,特例処置の問題,許認可・予算の縦割り行政の問題,被災地域の減災・避難計画の問題(高台移転,防潮堤,土地の底上げ,避難場所,等),農地・港の復旧計画の問題,街の区割りの問題,地権者との同意の問題,行政の要員不足の問題,住民の合意形成の問題,高齢化の問題,人口や産業の流出の問題,等々が相互に絡み合って,なかなか復旧計画が作れていないのである.

さらに言えば,復旧計画が決まったとしても,それを実現する,防災・減災建設,社会インフラ建設,住宅建設(集合住宅,戸建住宅),事業所・工場建設,等がすぐ出来るわけではない.当然,それが出来るるまでの仕事や住民の生活の問題が立ちはだかる.会社や個人で言えば,2重ローンや資金の問題もある.下手をすると,街を作れど,仕事も人もいない街になりかねないのである.

2.放射能汚染からの復旧に立ちふさがる問題

放射能汚染による帰還困難地域,居住制限地域,避難解除準備地域のそれぞれの今後の生活や仕事の見通しが付いていない.これからの生活,仕事,田畑,除染,汚染物資,風評,医療,介護,健康,損害賠償など深刻な問題が山積みである.

帰還困難地域は集団移転にしろ,個人の移転にしろ,移転先での新生活になる.農業,水産業含めて,移転先での生活設計が出来ているようには思えないのである.

住居制限地域は,いつまで続くのか,帰還して,生活や仕事が出来るのか,不透明である.めどが立たないのであれば,実質,帰還困難地域と同じ問題になる.又帰還が可能になっても地震や津波で破壊されていれば,上記1.の問題が立ちふさがるのである.

避難解除準備地域は希望を持たせる言葉だが,ここも,帰還して,生活や仕事ができるのか,不透明である.めどが立たないのであれば,実質,帰還困難地域と同じ問題に成りかねないのである.又,帰還できたとしても,この地が地震,津波の被災地であれば,ここも,上記1.の問題を抱えるのである.

3.福島原発に立ちふさがる問題

原子炉,使用積み核燃料及び発電所全体の被害状況の実態調査の問題,放射能飛散流出の防止問題,廃炉までの福島原発の防災対策の問題,
冷却用汚染水,高濃度汚染物資の処分の問題,核燃料(炉心分,メルトダウン分,使用積み分)の取り出し方法の問題,廃炉計画策定と実施の問題,等,何十年とかかりそうな問題が,全く不透明なのである.

4.全国に立ちふさがる問題

・電力問題で言えば,原発の再稼働に必要な新安全基準の問題,設置自治体の合意形成の問題,電力不足対策の問題,など,未だ不透明なのである.

・財政問題で言えば東北地区の復旧・復興対策,全国の減災強化,デフレ脱却,等を大義にして消化できない程の巨額の財政出動が行われる.その陰で,利権や無駄が横行する可能性がある.もちろん地方も国も財政破綻に向かって行く事になる.いよいよ日銀が国債を買って,国の債務を塩漬けにする事に向かう。

・法制度で言えば,憲法を含めて,平時の法制度では甚大な災害の発生時,避難時,復旧時,に役立たないどころか,足かせになる事が多い.個々に特例を考えて対応するのも,時間がかかる.有事と言うと,安全保障問題で取り上げられる事が多いが,自然災害,放射能災害,でも考える必要がある.

・放射能の海洋汚染の影響がどの程度あるのか不明である.回遊する魚類の検査をやるなら,世界中の陸揚げ港でやる必要がある.もし汚染が発見されれば,風評被害を含めて,損害賠償の問題も出てくる.考え過ぎだろうか.

・150万トンと言われるガレキが太平洋に漂流し,一部,アメリカ海岸に到達しているが,問題は,太平洋に滞留したプラスチック製品が劣化し,粉状になって,魚類,鳥類に害を与えている事である.さらに,問題は,食物連鎖で,広く生態系に害を及ぼす可能性がある事である.粉状になる前に,プラスチック製品をどう回収するか,きわめて難しい問題がある.帯状に浮遊する漂流物を燃やす方法などないのだろうか.

以上の様に,予想された難問が,きっちり具現化しているのである.

5.私なりの提言

『地震,津波の被災地』の復旧問題について,いくつか提言したい.

復旧の仕方は多分,次の4っに集約されると思う.勿論,同一地域で,この組み合わせもあると思う.このように柔軟な発想で復旧計画を住民と共に作るべきだと思うのである.

①もとの場所で復旧を図る.減災,避難対策も進める.
②被災地で区画整理をし,新しい街づくりを図る.減災,避難対策も進める.
③近隣の安全な場所(高台等)を確保し,集団移転する.
④個人の判断で,危険地帯から離れる.

①②は巨大災害リスクを覚悟して,現状復帰を目指す考え方である.もし,①②が行政で認可されない時は③になる.

しかし,③は,将来を見据えた案としても,それが簡単に出来る保障も無い.長期間かかれば,その間の仕事や生活の問題もある.さらに言えば,出来上がった時,産業や住民がいなくなっている可能性もある.

③はまさに,絵に描いた餅になりかねないのである.復興構想会議の答申をブログで批難した通りの問題が発生するのである.

そこで,現実的には,①②を進めるべきだと思う.勿論,減災,避難対策も進める.この選択は住民の希望に近いと思う.

しかし,最近分かったことだが,この考えに余計な問題が付きまとっている.この①②をやる為には東日本太平洋側に万里の長城のような防潮堤を作ることが条件だと言うのである.何百キロ,何兆円,かかるか知らないが,それを受け入れないと,元の土地での復旧は許可されないと言うのである.

しかも,防潮堤は今回,役に立たなかった釜石の世界一の防潮堤ほど大きいものではなく,少し小さめだと言う.それなら条件にするのもおかしいし,その程度なら,いらないと言う意見も当然ある.

釜石の避難が遅れ,多くの犠牲者が出たのは,世界一の防潮堤があったからだとも言われている.その教訓も忘れてはならないのである.

事前に防潮堤計画の説明が住民になされていなかった事も含めて,『防潮堤工事ありき』の政策に見えて来るのである.今後,大いにもめそうである.これで又,復旧計画が遅れそうである.

是非,これらの難問を乗り越えるべく,まず,復興庁をトップとする縦割り行政の廃止,現地主導の復旧計画の立案と復興庁による支援強化を行うべきだと思う.

次に,日本全体の災害への対応だが,それぞれの地域や住民や仕事の事情に応じて,次の選択肢を組み合わせて,『減災,避難対策』を進めるべきだと思う.

①現状に減災,避難対策を加える.
②近隣に安全な場所を確保し,徐々に集団移転をする.
③個人の判断で,危険地帯から離れる.

次に,自然災害,放射能災害に対する有事法制の問題である.今回の巨大災害の対応における問題を踏まえて,万が一の甚大な災害が発生する前に,有事法制と救済,避難,仮設,復旧,復興のオペレーションをあらかじめ用意すべきだ思う.

災害が発生する都度,関東大震災はどうした,阪神淡路大震災はどうした,新潟大震災はどうした,と過去の例を引っ張り出したり,行政の動きが悪い,平時の法制度では対応できない,避災状況が分からない,緊急物資が届けられない,医療,介護の手当てができない,仮設住宅の用意が遅い,復旧計画が立てられない,等と言っている様では,災害多発国としては,余りにもプアだと思うのである.

防災ハードは限界があるが,このソフト対策には限界がない.有事のノーハウを有事法制やオペレーションに反映しながら,改善して行けるのである.

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2013.03.01

317 非摘出子への遺産相続規定は合憲か違憲か

民法900条4号は摘出子も非摘出子も遺産相続順位は一位だが,『摘出子である兄弟同士の遺産相続分は均等とするが,非摘出子の遺産相続分は摘出子の2分の1とする』と規定している.

最高裁はこの規定を合憲と判断してきたが,今回,遺産相続訴訟が最高裁に上がり,再度,合憲か違憲か,が争われる事になった.そこで,改めて論点整理をしてみた.

・合憲とする主張

これまで,最高裁が合憲としてきた理由は次の通りである.

この規定は『家を基本とした家督相続と言う社会通念を背景に,法律婚主義(法律上の夫婦)に基づいて,摘出子の立場を尊重すると共に,非摘出子にも配慮して調整を図っている』と妙にバランスを取っているのである.

さらに,合憲論者は次の事を懸念し,遺産相続の平等化に反対している.

非摘出子の相続格差をなくせば,家を基本とする家督相続の意味がなくなり,家族の崩壊やシングルマザーと非摘出子の増加に拍車をかける事になる.家族は婚姻関係にある夫婦と子供で構成され,社会の基本的な構成単位である.この家族の形成に逆行するような規定は反対だとしているのである.

欧米の均等化や国連の日本への勧告には,家を基本とする家督相続の文化,概念がなく,単に,『平等な遺産贈与』としか考えていない,として,これに反対しているのである.

・違憲とする主張

この民法の規定は『相続での区分は憲法の個人の尊重と平等の原則に反する』,『法的に結婚していない事実婚が増えている社会状勢に適さない』,『子供の権利は親の婚姻関係に関係なく平等にすべきだ』,等を理由として,この規定は違憲だと主張しているのである.

この考えの根底に,家を基本とする家督相続や法律婚主義は時代遅れだと言う考えがあると思う.夫婦別姓にも繋がる考えだと思う.

この様な,家族のあり方,遺産相続の考え方,の議論が又,最高裁で始まるのである.

そこで,若干,私見を述べてみたい.

私見によれ,最高裁審判の前に,『チョット待った』と言いたい.この問題は,専門的知識もあまり必要としていない,社会通念と隣接したテーマである.従って,社会通念を変えるような事を裁判所に委ねる事に大きな疑問を持つのである.むしろ,国民的議論を踏まえて,政治家が改正すべきか,否かを判断すべきだと思うのである.

民法における遺産相続の分配の規定は,遺言があれば別だが,骨肉の争いにならないように,社会通念に基づいて規定していると思う.従って『2分の1』か『均等』かの議論は,『家を基本とした家督相続』の考えを『許容するか否か』にかかっていると思う.

そこで,私見で言えば,単に『均等でないから不平等で違憲だ』に違和感を感じるのである.もしこれを違憲と言うなら,税制や年金制度などは不平等で違憲だらけである.それでも,許容されているのは,社会通念や国民の賛同(国会の決議)があるからである.この遺産相続も同じだと思うのである.

あくまでも,論理的に『均等論』で『権利の平等化』を主張するなら,相続に関わらず,『摘出子と非摘出子の平等化とは何か』,『家族や家督の文化をどう考えるのか』,を論理的に説明する必要がある.多分,立論は出来ないと思うし,それを裁判所が判断する役割も無いのである.それゆえに,この種の問題は,裁判所ではなく,政治に訴えるべきだと思うのである.

そもそも法律とは非論理的な事も含めて,国民の総意で作られる.司法は,最低限,憲法に照らして問題がないかチャッケする事はあっても,時代背景や民意と無関係に,社会通念を変えるような判断を独断でやる能力も機能も役割も,持たないのである.

そもそも,司法に正義や平等などを判断する役割はないのである.ただあるのは,法律に照らした判断である.

さて,この問題はどう決着するのだろうか.もし従来の判例を覆して,最高裁で違憲判断がされ時,立法府はどうするのだろうか,日常の遺産相続はどうなるのだろうか,大きな財産や非摘出子を持つ人は遺言を書いていると思うが,興味津々だと思う.

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