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2013.07.09

327 原発再稼働論議とは別にある重要な問題

福島原発災害後,やっと『新安全基準』が制定され,各電力会社は緊急に再稼動をしたい原発(4社6原発12基)に対し,安全審査を申請した.審査期間はどれ位になるのか,審査に合格するのか,合格しても住民との合意がとれるのか,等,再稼働に向けての見通しは今のところ立っていない.

電力会社,政府としては電力の安定供給,電力料金の値上げ回避,燃料費用の抑制,財政破綻の回避,貿易赤字の回避,等で新安全基準のもとで,何としても再稼働したい意向である.

一方,安全基準が出来たとは言え,再稼働に反対する人もいる.再稼動しなくても代替エネルギーで電力は賄えるし,何よりも再稼動しなければ,万一の原発リスクがなくなると考えているようである.

この様に『原発の再稼働』に関する論議が活発になっているが,長期に続くと思われる『停止中の原発』に対する下記の論議が忘れられている感じがするのである.

①停止中の発電所の安全性確保の問題(原子炉,冷却貯蔵の核燃料
②停止の長期化による電力供給体制問題,電力料金値上問題,財政破綻の問題
③使用済み核燃料問題,
廃炉問題への展望と取り組み

まだ全貌がつかめない福島第一原発は現在も,極めて危険な状況にあるのだが,全国の停止中の原発も,停止していた福島第一原発4号機の危機に見るように,停止中でも原発リスクは存在しているのである.『再稼働しなければ安全』ではないのである.

従って,再稼働問題とは別に,全国の停止中の原発の安全性の総点検と安全性の確保が極めて重要なのである.安全性確認は再稼働したい原発だけではないのである.停止中の原発の中にも,リスクの高い原発が存在しているかも知れないのである.

『停止中の安全基準』と『稼働中の安全基準』がどうなっているのか調べていないが,余り差がないと感じている.停止中であっても,原子炉や冷却貯蔵されている使用済み核燃料に対する自然災害やテロ,あるいはミス等による原発リスクは存在していると思うからである.是非,専門家の所見も聞きたい所である.

そこで,安全審査を申請せずに停止中の原発も,安全審査で不合格になった原発も,『停止中の原発の安全性の確保』は無条件に必要だと思うのである.

原発の設置自治体は再稼働問題とは別に停止中の原発の総点検あるいは万が一の事故対応を積極的に進めるべきだと思う.再稼働に反対する,あるいは,新安全基準に不満がある,からと言って,安全審査を断っている自治体もある様だが,安全確保を使命とする自治体の姿勢と矛盾する行動になる.

停止中の原発について,各電力会社や規制委員会が安全チェックをしているかもしれないが,その状況はほとんど聞こえて来ないのである.

又『稼動見込みのない原発』に,どれくらいの防災投資が出来るのかも懸念される.勿論,技術的に,経済的に,あるいは確率的に,これ以上の防災投資ができない原発があれば,この対応も大きな問題になる.『知らぬが仏』,『余計な心配のタネをばら撒かない』との心理も働くと思うが,この心理も議論すべきだと思う.

以上が上記①の問題である.さらに停止によって起こる②③の問題も現実的問題である.総じて,この①②③の現実的問題は避けて通れない問題なのである.この対策なしに,『原発反対』と叫んでも,『念仏の域』を脱しないのである.また,『当面再稼働,徐々に脱原発』も『全原発の展望と対策』なしには説得力を持たないのである.

今,参院選を控えているが,残念ながら,現状は『現存する原発の難問』について,どの党も,争点にする割りに解決策が見えていないのである.『票を得やすい』からと言って,『原発反対』を叫ぶのも無責任だと思うのである.

実は現実的な原発問題への対策は時間軸を考えれば,多分,次の様になると思う.勿論,平行して,福島第一原発対策,放射能被害対策に取り組む事は言うまでもない.

1.停止中の原発の安全確保
2.火力発電等による電力確保
3.新安全基準による原発再稼働
4.再生可能エネルギーの拡充
5.技術開発と使用済み核燃料処理・廃炉処理への取り組み

万が一を思って,『原発反対』『再稼働反対』と叫んでも,原発が存在している以上廃炉まで30年以上は『原発リスク』が存在するのである.もちろん,原発に変わるエネルギー対策も必要である.そこで,現実的には,上記のような対応しかない(選択肢はない)と思うのである.

そんなわけで,『原発反対』『再稼働反対』と叫ぶのは『選挙対策』でしかないと思う.真剣に考えるべきは『上記の段取り』だと思うのである.

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