« 327 原発再稼働論議とは別にある重要な問題 | トップページ | 329 歴史認識の封印より人類の英知の主張を »

2013.07.26

328 自民党一強時代の課題と期待

7月21日行われた参院選は自民の圧勝,民主惨敗であった.改選議員数で言えば自民は34が65になり,民主は44が17になったのである.

結局,昨年12月の衆院選,今回の参院選で次の様な政治勢力図になったのである.党名(衆院議員数・参院議員数)で表記.

自民(295,115),民主(57,59),維新(53,9),公明(31,20),みんな(18,18),
共産(8,11),生活(7,2),社民(2,3),みどり(2,0),改革(1,0),諸派無所属(7,4)

昨年の総選挙もそうだったが,民主党政権が党を分裂させてまで,消費税増税,TPP参加,原発再稼動に口火を切った事で,すでに,民主党は自民党との対立軸を失っていたのである.自民党からすれば,民主党政権は官僚に乗せられて,自分たちが言いづらい事を良く言ってくれたと思っているかも知れない.

又,憲法問題も民主党内でまとまっていないし,アベノミックスの影の部分の説明だけでは,何をやりたくて選挙に臨んでいるのか,まったく分からなくなったのである.それでも参院選で17議席をよく確保出来たと思う.

以上の如く,『衆・参国政選挙』を通じて,『政権奪取で野合』しただけの『民主党の醜態』に,国民は厳しい判定を下し,『自民党一強体制』が出現したのである.

もともと2大政党の一翼を担う民主党ではなかったし,政権交替可能な2大政党など幻だったのである.民主党は政党の原点に返って,解党,再編が必要だと思う.

今後の政治は『与野党対立』から『自民党内対立』に政治の軸が移る事になる.

自民党はもともと保守思想のもとで,各分野の利益を実現する政治集団である.経済対策を大義に掲げながら各分野への積極的財政出動を行い,政党の基盤を築いて来たのである.

当然ながら党の体質としては『大きな政府志向』である.現在も,その事が戦後復興や高度成長を成し遂げ,国民の支持を得て政権を担当して来た,との成功体験が残っているのである.

一方,日本人の特徴だと思うが,保守といってもナショナリズム思考から穏健なリベラル思考まで,多彩な政治思考が混在している.自民党としても,ウイングが広い方が幅広い支持が得られると考えてきたと思う.

これによって,多様な考え方や立場が混在する事から族議員や派閥が形成されているのである.従って,いかに選挙公約を掲げていても,政策決定においては,族議員や派閥による党内調整が必要になっているのである.

この伝統的自民党の体質から脱却し,日本の危機を救う為に,小泉政権以来,族議員や派閥と距離を置いた『新保守勢力』が台頭して来た.その結果,現在の党内勢力は,大きな政府志向の『保守派』,大きな政府志向で穏健な『リベラル派』,そして,改革と小さな政府志向の『新保守派』が混在しているのである.

一方,この自民党政権の前には難問が多く待ちかまえている.中・韓外交問題,デフレ脱却問題,消費税増税問題,TPP問題,規制緩和問題,社会保障問題,東日本復興問題,福島原発問題,原発再稼働問題,財政再建問題,行政改革問題,憲法問題,安全保障問題,等々である.

どれをとっても,思想・心情・利害がガチに衝突する課題ばかりであり,熾烈な党内対立が起こる事は確実である.阿倍総理の政治路線と党内運営の手腕が極めて重要になるのである.

私見によれば,日本の状勢では『小さな政府志向』で規制緩和と重点投資が不可欠だと思う.是非,この路線に阿倍総理は舵を切って欲しいと思う.経済政策を掲げて積極的な財政出動をするような『先祖帰りの政策』はやめるべきだと思うのである.

し,党内対立で阿倍総理が退陣するような事態になると,圧倒的議席を温存したまま,難問も解決しないまま,又,総理のたらい回しが始まると思う.そうなれば,日本は大きな危機に突入す事になる.

もうひとつ気になる事がある.『政界再編の問題』である.

政界再編の目的は,自民党の様な『伝統的な百貨店型政党』ではなく,民主党の様な『数合わせの野合政党』ではなく,保守,新保守.リベラル,の政治・政党体制を作る事である.そして,選挙や国会で政党が激突する体制にする事である.

自民党の保守,新保守,リベラルが混在した『百貨店型政権政党』は上述の如く,『国会での与野党対立』ではなく,『自民党内対立』で政治が動くのである.しかし,党内対立と言っても,『野合集団』であった民主党のように『離党や分裂』は起こらないと思う.

自民党から離脱しても,メリットがないからである.対立が激しくなっても,予算上の配慮で妥協するケースが多いのである.自民党の内部対立は『条件闘争』に近いのである.従って,対立が激しくなる程,国家予算は大きくなるのである.

そんなわけで,自民党から政界再編の動きは起こらないと思う.政党政治の進化は自民党の『百貨店型政党』からは期待できないのである.

一方,野党側は『一強自民党』と対決する為,自民党が決断できない政策をかざした『新保守勢力』,『リベラル勢力』の野党再編が起こると思う.それが現実になれば,少しは政党政治の理想に向かって進化する事になる.もし,これに,自民党の一部が合流すれば,理想の『保守』,『新保守』,『リベラル』の政治体制が出来上がるのである.

但し,『保守』,『新保守』,『リベラル』と言っても,国の状況からすると,1000兆の借金だけみても,,これ以上,『大きな政府』になる道はないし,もはや『小さな政府志向』しか,選択肢は残っていないとすると,この政治体制の中で,『新保守勢力の拡充』が極めて重要になると思うのである.

阿倍総理も前述のように,自民党の『大きな政府志向』の体質から,『小さな政府志向』『改革志向』に舵を切る必要があると思う.そして野党の『新保守勢力』がこれを後押する.こんな形で,小泉政権ではないが,『保守,リベラルの大きな政府志向』を抑え込めば,日本の難題に光が見えて来ると思うのである.

そんなわけで,安部総理の決断,野党再編はきわめて大きいと思う.党利党略ではなく,是非,日本の難問解決に立ち向かう『政治体制作り』をめざして欲しいのである.

国民も,政府の借金をさらに積み上げて,『大きな政府志向』で『茹でカエル政策』を求めるのか,新自由主義社会,新保守志向,で『国民主体で必死に復活の道』を求めるのか,厳しく問われていると思うのである.

以上見てきたように,日本の『百貨店型政党』や『数合わせ政党』あるいは『政策立案力のない政党』では,いくら選挙公約を掲げて選挙をやっても,政治の方向性は決まらず,上述のように,選挙後に路線や政策の対立が起こるのである.言い換えると,『政治の路線,政策』を国民が選択できないのである.国民は『政党に丸投げ』するしかないのである.

どうやら投票率がいつも低いのは,これが原因だと思う.だから国民が選択が出来る『政治理念による政党再編』が必要だと思うのである.

.

|

« 327 原発再稼働論議とは別にある重要な問題 | トップページ | 329 歴史認識の封印より人類の英知の主張を »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/134518/57841660

この記事へのトラックバック一覧です: 328 自民党一強時代の課題と期待:

« 327 原発再稼働論議とは別にある重要な問題 | トップページ | 329 歴史認識の封印より人類の英知の主張を »