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2013.09.14

333 モバイル情報ネット社会への変化

スマートホン,タブレットによる、『モバイル情報ネット社会)』が第二段階を迎えた中で,その変化を整理してみた.

1.モバイル端末メーカー

2013年第2四半期で世界のスマホ出荷台数はIDC調べによると,2億3000万台(150%伸張)である.メーカー別で見ると,サムスン(30%),アップル(13%),LG(5%),レノボ(5%),だと言う.サムソンの躍進が顕著だと言う.

2012年度の日本国内携帯電話出荷台数は4281万台であり,そのうちスマホ台数は71%で2972万台(昨対123%の伸張)だと言う.メーカー別で見ると,アップル(35%,1066万台),富士通(13%,387万台),ソニー(12%,363万台),シャープ(11%,253万台),NEC(5%,134万台)である.

日本ではサムスン(galaxy)がまったく売れていない.ほとんどがアップルと言ってよい.一方,依然として,ガラ系の携帯電話が1209万台,出荷されているのである.

2012年のマメリカにおけるプラットホーム(OS)の比率は,Google・Android(51%),Apple・iOS(44%),Microsoft・windows(4%)である.Google・AndroidはApple・Iphone対抗で,サムスン始め多くのメーカーに供給されているのである.

このように,世界のモバイル端末は,『通信系の携帯電話(通信屋の作った端末)』から『米IT系の汎用モバイル端末(パソコン屋が作った端末)』に完全に移ったのである.世界シェアー40%を誇ったノキア(フィンランド)は Microsoftに買収され,次のMicrosoftモバイル戦略に組こまれる事になったのである.

日本においても,ドコモと国内メーカが護送船団でガラ系の携帯電話を広めてきたが,ソフトバンク,auによるiphone 旋風で,ドコモは350万の顧客を失い,いよいよドコモもiphoneを取り扱う決断をしたのである.これから、キャリア間の競争に焦点が移る.

これによって護送船団が崩れ国内メーカーの勢力図が大きく変わる.その中で,ソニーはカメラ、画像技術で世界市場に打って出ると言う.富士通は高齢者にフォーカスし,一定の市場を狙う.

そんなわけで,世界的には,AndoroidからtizenへのOSシフトを予定している『サムスン』,価格ライン細分化で対応する『アップル』,ノキアとの戦略を進める『マイクロソフト)』、の3グループによる、第2ラウンドの戦いが始まる.これに『レノボ』や『ソニー』が参戦して,モバイル端末の『低価格化・差別化競争』と通信網の『キャリア間競争』が繰りひろげられる事になる.

一方,かつての,レガシーコンピュータ,パソコンと同じように,モバイル端末は『ハードからソフト』に主戦場が移ると思う.基本ソフト,ミドルソフトの『アップル,グーグル,マシクロソフト』の御三家を中心に,アプリ競争,クラウドサービス競争が激しくなる.これに,アマゾンも,ソフトバンクも,サムソンも,世界のソフト事業者も,クラウド事業者も,参入すると思うのである.モバイル情報ネット社会は多くの参入者で急速に発展すると思うのである.

2.パソコンメーカー

2013年第一四半期の出荷台数は11%減の7563万台,5期連続の減少である.メーカー別で見ると,中国Lenovo(17%),HP(16%),dell(12%),台湾acer(8%),台湾asus(6%),であった.2015年にはタブレットがPCを台数で超える予想もある.

そんな中で,かつて,世界一のパソコンメーカーだったDellはパソコンでは中国や韓国に押され,その上で,スマホやタブレットに乗り遅れ,ITサービスやサーバーなど企業向けで収益の拡大を図るも,クラウドの普及で,様相が変わってしまったのである.結局,MBO(経営人の自社買収)で上場を廃止し,大胆な改革を図る事にしたのである.

中国のlenovoはパソコンでトップに立ったが,2016年めどに,スマホとタブレットを社内比14%から50%に引き上げて,パソコンと並ぶ柱にすると言う.

その為に,スマホ新製品を50種類(1万円~5万円)品揃えし,新興国を中心に市場開拓をすると言うのである.勿論,ドコモにも取り扱い交渉をしていると言う.タブレットも企業向けの上級機種から1万円程度の低価格機種を揃えて,アップルなどと対抗すると言う.そして,パソコン・スマホ・タブレットを合わせて世界一を目指すとしているのである.

サムソン,アップル,マイクロイソフト,のモバイル端末競争にレノボが参戦する事になる.

3. プロバイダー業界

プロバイダー(通信接続事業者)は通信網を持った『第一種通信事業者』と,ここから網を借りて接続事業をやる『第2種通信事業者』がある.ところが,この業界にも大きな変化が起こっている.

モバイル端末と無線通信使用をセットで販売している第一種通信事業者は寡占状態ではあるが,激しい競争をしながら事業が拡大している.一方,有線回線による接続サービスをしてきた第2種通信事業者の事業は激減傾向にあるのである.

今後は,『第一種通信事業者』と多くの『クラウドサービス事業者』(アプリケーション処理サービス事業者)で構成されて行くと思う.ただし,第2種通信事業者と光通信で接続している利用者も多く残るはずであり,第2種通信事業者の行く末が問題になると思うのである.

4. モバイル情報ネット社会

ネットワーク技術や半導体技術の飛躍的向上によって,ネットワーク網やモバイル端末が革新し,その利用者の拡大によって,早くから言われてきた『いつでも,どこでものユビキタス時代』が現実になって来たのである.

従来から言われてきた『情報ネット社会』が,一人一人への『汎用モバイル端末』の普及によって、近年には『40億人』とも言われる個人が利用する,『モバイル情報ネット社会』が形成されるのである.

従来と比べ物にならない利用者数,アプリケーション数,情報量,サービスプロバイダー数,がこのネット社会に出現するのである.思い返せば、『通信の自由化』,『通信網とデータ網の融合』と叫んでいた時代,今日の姿を誰が想像しただろうか.

この『モバイル情報ネット社会』は言うまでもなく,『パソコン』から『汎用のモバイル端末』にシフトするだけではなく,あらゆる分野に大きな影響を与えて行くのである.いくつかピックアップしてみたい.

企業では,社員の汎用モンバイル端末と連動した企業内情報システムが構築され,更なる効率化、スピードアップが図られる.同時に,情報設備は自営からアウトソーシング(プライベートクラウド化)にシフトする.企業は情報設備やネットワークから解放される事になるのである.

従って,企業向けクラウドコンピューテングサービス事業者が急速に拡大して行くと思う.ただし,サーバー設備が必ずしも国内にあるとは限らず,むしろ,海外に設置される方が多くなるかも知れないのである.

この『汎用モバイル端末と連動した企業情報システム』は従来の『業務システムのモバイル化』にとどまる事なく,『システムによる新事業開発』に焦点が移ると思うのである.高度成長の頃,『戦略的情報システム』が叫ばれたが,新たなネット環境の中で,改めて,『企業情報戦略』が問われて来ると思うのである.

又、『ネット販売ビジネス』,音楽や電子書籍等の『ネット配信ビジネ』,等の,いわゆる『無店舗系ビジネス』はモバイル端末の普及とともに,市場は確実に拡大して行く.国内ネット販売(BtoC)は数年間で10兆円から20兆円くらいまで拡大すると思われる.勿論、海外との売買も急速に拡大すると思う.消費税の節税も、これを後しすると思う.

ネット販売の拡大で起こる,いくつかの現象を上げてみたい.

・ネット販売による価格破壊が起こる.
小売業のネット販売拡大で,同じ商品が,店頭とネットで扱われるようになる.そうすると,小売業全体で,店頭がショールームになって,買うのはネットで,あるいは,ネットで探して,店頭で買う,となる.結局,安い方で購入する事になるのだが.今でも,ネット価格はきわめて安い事を考えれば,店頭もこの価格に合わされて行くのである.かくして,小売業全体に価格破壊が起こり,企業の淘汰が始まると思うのである.

・大手小売グループの全商品がネットで買えるようになる.
上記現象も踏まえて,グループ内の百貨店,チェーンストー,専門店,コンビニ,が,マーケテング,商品管理,価格,物流,決済,購入ポイント,等を一体化して,顧客の囲い込み,顧客の利便性向上,を展開して行くと思う.

・ネット販売代行サイトの競争が激化する.
大手ネット販売代行業者は出展費用,販売ロイヤリティ,広告料,等を得て,ネット販売サイトを運営している.勿論,海外展開もしている.全国の中小企業がネット販売をする事に,大いに貢献して来たと思う.
ただ,年々,出展企業確保の競争が激化し,出展費用やロイヤリティの低料金化が起こると思う.又,自営直販サイトの拡大と共に,このサイトとの競合が激化し,代行業に止まらず,自社仕入商品のネット販売も手がけるようになると思う.当然,物流,商品管理,事業リスクも負う事になる.

このように,小売業界は大きな転換期を迎えるのである.飲食業やサービス業もネット活用なくして成り立たなくなる.サイトによる宣伝だけでなく,積極的なダイレクトマーケテングやタイムサービス等も必要になると思う.

『モバイル情報ネット社会』は人間のコミュニケーションにも大きな影響を与える.端末がテレビカメラになり,簡単に実況放送が可能になる.個人あるいはグループ間では動画によるフェースtoフェースに近いコミュニケーションが当たり前になる.

教育分野にも大きな影響を与える.子供のモバイル端末の保有,電子教材の活用,勉強や授業の仕方の変化,等である.社会実験の要素もあるが,すでに,その取り組みが始まっている.

個人用のデータ、資料,書物,等も,モバイル端末、あるいは,クラウドに蓄積され、膨大な情報が体の一部のように,いつも参照可能になる.個人の医療情報も当然考えられる.勿論,これらの個人情報はセキュリティで保護される.さらに、個人用のアプリケーションも世界規模の市場を相手に開発される.

さらに言えば,『モバイル情報ネット』は『リモート制御』を可能にする.制御する方は『いつでも,どこからでも』、あるいは、制御される方も 『いつでも、どこにいても』 制御可能になる.

この様に考えれば切りがないが,『モバイル情報ネット社会』はいろんな可能性を秘めているのである.企業も個人も,知恵の出し所なのである.

一方では『モバイル情報ネット社会』は人間の行動に従来以上の負の影響を与える.ネット犯罪、プライバシー問題もさることながら,.『端末を見ていないと不安になる症候群』『モバイル端末中毒症』にでもなれば,社会生活すらも危うくなり,深刻な問題になる.

いくら『モバイる情報ネット社会』と言っても,『時間潰しの道具』『不安を癒す道具』ではなく、あくまでも,『利便性の道具』にとどめたいものである.

5. 日本のIT産業

ITの世界は汎用機及びそのOSはIBMに,パソコンのOSはマイクロソフトに,パソコンの半導体はインテルに,ネットワークのTCP/IPルーターはシスコに、インターネット検索はグーグルに、DBはオラクルに,そしてモバイル端末(スマホ,タブレット)はアップルに,すべて米国のIT企業に牽引されて来たのである.

この様に,IT分野においては,『米国以外の国』で,システムの『アーキテクチャーの確立とそのデファクト化』が出来なかったのである.ずっと米国の独断場が続いているのである.

そして,日本はじめ,韓国,中国,台湾が部品の技術革新や製造に活路を見出してきたのである.日本は家電も含めて,この分野で世界を席巻した時もあったが,新興勢力にその場を奪われているのである.

この『米国のアーキテクチャー』と『国際分業によるテクノロジー開発と製造』と言う構図は,上記のように,IT分野で長く続いているのだが,今後の家電,産業機器,車,医療機器,等のデジタル革命でも,IT技術が採用される事を考えると,同じ構図で進展しそうなのである.

又,ソフト開発はアーキテクチャーと連動する基本ソフトは今後も米国企業が牽引すると思うが,アプリ開発やクラウドサービスは世界的群雄割拠の中で行われると思うのである.

いづれにせよ,国際分業化時代の中で、日本の立ち位置を確保して行く事は極めて重要になるのである.

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