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2013.11.16

338  偽の時代

『虚偽』(キョギ)とは『真実ではないのに,真実のように見せかける事.嘘,偽り』と言う意味である.これをやれば『詐欺行為』となり,刑法の対象になる.一方,『偽りは虚しい』と言う意味もある.『やってはいけない行為』として戒めているのである.

『偽装』(ギソウ)とは『ある事実をおおい隠すために,他の物事・状況を装う事』と言う意味である.厳密に言えば,『虚偽行為』の一歩手前の『装う行為』と理解するか,『偽って装う』のだから,すでに『虚偽行為』だと理解するか,分かれるところである.

辞書をひいても,『虚偽』と『偽装』を区別することは難しい.語源でも調べれば,違いがあるのかもしれない.ただ何となく,『料理の偽装』と言うが『料理の虚偽』とは言わないように、『偽装』の方が多く使われているようである.『装う』の方がイメージに合うからだと思う.

思い返せば,『偽』は,いつの世にも存在する.

政党助成金や権力欲優先の『野合政党』,企業の苦し紛れの『粉飾決算』,儲け話で金を取る『詐欺商法』,法律や検査を潜り抜けた『耐震強度の偽装』,必要性があるとした『無駄な公共事業』,官僚の保身と裁量権を守る『霞が関文学』,客観報道のふりをして世論誘導する『マスコミ報道』,事実より演出を優先する『テレビのやらせ番組』,なりすましの『振込み詐欺』や『ネット犯罪』,そして,どこでもやっていた『食品・料理の偽装』,等,あげたら切りがないのである.

宣伝にも『偽装』が横行している.その手法の一つが,『宣伝と思われないように宣伝をする』,いわゆる『ステルスマーケテング』と言う手法である.宣伝より信頼感や訴求力があるとして,日本では最近,テレビ,ラジオ,ネット,を使った『通販』やブログ,ツイッターを使った『口コミ』,等で,この手法が多く採用されているのである.

例えば,テレビの宣伝や通販の中で,一般人や有名人に『個人の感想です』と但し書きをつけて,商品の良さを言わせたり,企業紹介番組や人生ドラマで商品が紹介されたり,するのである.特にラジオは番組の中で,司会者が堂々と通販の商品をヨイショしているのである.又,ブログやツイッターで,お店や商品をヨイショしている事はよくあるのである.

裏で,宣伝料や台詞などの約束をして,上記のような事をやっていれば,完全な『ヤラセ』『サクラ』であり,『宣伝の偽装』である.もし,言っている内容に,『優位誤認を誘発』したと認定されれば,景品表示法違反,不当競争防止法違反,になる.商品が実際と違えば,売れた段階で『詐欺』が成立するのである.

実際に,金品をもらっている事を隠して,ブログで感想を発信していた芸能人がいた.その商品の使用経験もないまま,『小遣い稼ぎ』程度の認識で引き受けたと言うのである.発覚後,その芸能人は仕事に大きなダメージを受けたと言う.

企業は,『クチコミで流布』させたり,『個人の感想です』と言わせておけば,『責任を回避できる』と思っているのだろうか.この『ヤラセ』を仕掛ける事に罪悪感はないのだろうか,バレないとか,効果の大きさで,罪悪感が吹っ飛んでしまっているのだろうか.何か,『料理の偽装』のように『常識がマヒ』しているように感じるのである.

ヨーロッパでは,『ヤラセ』『サクラ』の『偽装宣伝』,いわゆる,『ステルスマーケテング』は禁止されている.アメリカでは,部外者が商品紹介や感想を言う場合,『企業からの依頼や金品授受の有無』を明示する事になっている.『ヤラセ』『サクラ』ではない事の証明の為である.情報誌に載る,旅行,グルメ,あるいは企業,商品,等の取材記事も同じである.

欧米はこのように『偽り』から消費者を守る事にシビアである.『騙すヤツ』が多いからかも知れない.逆に日本では,『騙すヤツ』が少ないと思っているのか,このステルスマーケテングに限らず,『違法性の意識』や『法による消費者保護』には寛容である.

『激しい競争社会』に生きている中で,日本が『信頼で成り立っている国だ』,『偽は虚しく』,『偽は成長をむしばみ』,『偽は社会から淘汰される』等と達観しているだけでは,『競争のルールが曖昧』になったり,『アンフェアーな事が横行』したり,結果的に『偽りの温床』になってしまうのである.

『競争は悪だ』と叫ぶ事より,積極的に『健全な競争社会』,『ルールによるフェアー・フリーな競争社会』を目指すべきだと思うのである.勿論,そのルールは健全な競争を阻むものであってはならないし,参入障壁になるルールも避けなければならないのである.同時に,『偽りが蔓延している社会』からも脱皮する必要がある.その為に,TPPでも議論されると思うが,『国際基準作りの視点』も必要だと思うのである.

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