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2014.02.27

347  大阪市長選と日韓外交の日経記事に対する異論

2月27日の日本経済新聞の『大阪市長出直し選挙』の解説記事と『日韓は早期の首脳会談で難局打開をめざせ』と言う社説に違和感があったので反応したい.

・『大阪市長選出直し選挙』の解説記事に対する違和感

解説記事によると,大阪市会議員の過半数が都構想に反対しているのだから,橋下市長が再任されても議会は変わらない,さらに,市議会が市長の辞職を不同意とし,立候補を立てないのだから,出直し市長選の意味に疑問があるとしているのである.

そればかりか,橋下氏への期待や警戒が最近では失望や嘲笑に変わりつつあり,都構想を巡る徒労感が大阪の地域力の低下につながりかねないとまで論評したのである.

ところで,全国の政令市を持つ道府県に共通に2重行政の問題があるが,とりわけ大阪府と大阪市においては,その弊害が顕著であり,巨額な無駄と,大阪の地盤沈下を招いて来たと言われているのである.

そこで,出て来たのが,大阪都構想である.巨大政令市の大阪を区に分割し,きめの細かい行政を進める一方,広域に渡る公共事業を大阪府全体で進めると言う構想である.

この様に,地方自治あるいは中央集権の在り方を問う意味のある構想だと思うのだが,今回の解説記事はこの構想に関する論評がないまま,冷やかに『市長選は意味がない』と言っていると感じるのである.

もうひとつ,地方政治の『2元代表制』についての認識がない感じもする.蛇足ながら,市会議員の解散は議会の市長不信任で,市長が議会の解散を決めた時,有権者の3分の1のリコールがあった時のどちらかである.市長の辞任は自ら決める場合と議会から不信任を受けた時である.

これに従えば,市長の公約である都構想に議会が反対なら,議会が市長不信任を出せばよいのである.しかし,これでは大阪市議会が解散になる為,不信任は出さないのである.しかも,市長が言う民意の再確認の為の出直し選挙を不同意として,立候補者すら出さない戦略をとったのである.民主主義に反して,『市長選の無意味化』をねらったのである.大都市ではリコールが実質困難な事を見据えた居座り戦略である.

選挙の結果、明治以来の大改革について,進めるべきだとの民意が確認された時、議会はそれを無視するのだろうか.

橋下市長は暴挙に出たとの批判があるが、2元代表制では当然のやり方である.特に地方議員選挙は中選挙区制であり,単独過半数を占める事は困難であり、市長は自分の公約を実現する為に、常に民意をテコに議会を動かすしかないのである.自分の公約が実現できない事に鈍感な市長なら,議会に従うと思うが.

そんなわけで,日経編集委員の堀田昇吾氏の解説記事は解説になっていない感じがする.今回の出直し市長選は2元代表制や議員の中選挙区制度で起こる出来事であり,対立を打開する選挙なのである.

この選挙の意義を無視して,不信任を出さない,解散をさせない,市長選で立候補者も出さない,今の議席で都構想に反対する,市長を無力化する,議員の保身を優先する,と言った議会にこそ問題があると思うのである.

それだけに,これに触れない論評に浅さを感じるのである.新聞記者によくある上っ面で物を言う悪い習性かもしれない.

その議会の主張に乗せられて,巷では,選挙の為に7億支出するのは市長の無駄使いだ,との批判もあるが,無駄にしているのは議会が市長選を無意味化しているからである.2元代表制度のもとで,民意を再確認する選挙が行なわれるのだから,議会も候補者を出して,争点を市民に示し,意味のある選挙にする事が政治家の責務だと思うのである.

『日韓は早期の首脳会談で難局打開をめざせ』という社説に対する違和感

当日の社説によると、韓国が首脳会議を拒むのは、次の理由だと言う.

植民地支配と侵略を謝罪した村山談話,慰安婦問題で旧日本軍の関与を認めて謝罪した河野談話の継承など,日本側の『真摯な行動』(謝罪,賠償)が見られない限りは容易に応じられない.

特に,安倍首相が首脳会談を呼び掛けているが,自らの靖国神社参拝や河野談話の信ぴょう性を検証する動きが韓国の不信を増幅させ,会談の実現を一層難しくしている現実を日本政府は自覚していない.と言うのである.

いづれも,歴史問題をめぐる,安倍政権の言動を疑問視し,それを改めない限り,首脳会談は出来ないと,いつもの『自分は正しい,相手が悪い,解決は相手次第だ』との論法をとっているのである.中国と同じ論法である.

一方,安倍主首相としては、言いたい事は多くあると思うが,それを押しとどめて,『条件を付けた会談には応じない』,『問題あればこそ,条件を付けずに,首脳会談をやるべきだ』と言っているのである.

この『にらみ合い』が続いている中で,社説では,安全保障上も,経済上も,重要な日韓関係を打開する為に,両首脳が歴史問題を含めて胸襟を開いて話し合い,関係改善の糸口を探るのが近道だと言っているのである.

この社説に、何の示唆も、説得力も、感じないのである.話し合いが出来ないから、問題になっているのに、『胸襟を開いて、話し合いをする事が糸口を探る近道だ』は、ないのである.そもそも、『難局打開を目指せ』は、誰に言っているのかも分からないのである.そんなわけで、失礼ながら、社説には程遠いのである.

そんな事だから、韓国の言い分に従って,『村山談話,河野談話を継承して,韓国の言う通りに,真摯な行動で,いかなる要求,賠償にも応じますから,ぜひ首脳会談をさせてください』と言うべきだと言いたいのか.あるいは、安倍首相に賛成と言っているのか,あるいは,別のアイデアがあると言うのかも,わからないのである.

そんな理由で,とても,論客が書く社説とは思えないのである.せめて社説なら,論客としての歴史問題の見解を示したうえで,日韓関係を改善する為に,韓国,日本に提言すべき事を言うべきである.その見識がなければ,このようなプアな社説は書くべきではないと思うのである.

歴史認識問題に関しては,当ブログで度々触れているが,当ブログでは,日韓関係に限らず,世界が二度と悲惨な戦争を起こさない為に,有効な国際関係を築いて行く為に,

『歴史的事実をそれぞれの国で明らかにする事』
『その上で,国家間の,歴史認識(意思,意味)の違いを国民が知る事』
『ナショナリズムに塗られた歴史認識を他国に押し付けたり,世界に吹聴しない事』
『認識の違いを知った上で,二国間の関係を築く努力をする事』

と言った『考え方』を提案している.これからの国際化は,いかに『ナショナリズムを抑制』して行くかにかかっているからである.血統主義の日本,中国,韓国,あるいは民族対立国家の大きな課題である.

一方で,こんな事は不可能で,いつの世にも,ナショナリズムの衝突は続く,と言う事なのだろうか.だとしたら,政治としては『近くて遠い国』のままの方が,『』ナショナリズムを抑制』できる事になる.

日々、日経を愛読している事もあって、何度か、日経の政治関連の記事や社説に感想を述べているが、総じて,思考の浅さを感じるのである.経済専門の新聞だからだろうか.私のささやかな見聞によると、全国紙より、地方紙の社説の方が、じっくり論理付けと推敲がされた力作がが多いと感じているのである.

日経の論説委員に,このブログが届く事を期待している.

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2014.02.12

346 社会的必要経費の増大による国家財政への危惧

政府支出には、経済的波及効果が期待できる『投資』としての支出と、『社会的必要経費』としての支出がある.いづれも、『一時的な公共需要』を産む点は同じだが,将来のパイの拡大に繋がるかどうかが違う.

当然の事だが,景気対策と称して,『投資と必要経費』を甘くして,借金による大型予算を組めば、一時的な公共需要は増えるが,将来の国民に対しては、パイの見返り(経済的波及効果)のない借金返済を強いる事になる.

例えて言えば、先輩の付けで食った飲食代金を後輩が払うようなものである.しかも、後輩のパイが大きくなっていないのだから、後輩の可処分所得は減る一方になる.言い換えると,後輩の主権在民権(税制や税金の使い道の選択)を制約する事になるのである.

戦後の日本の経済成長は社会インフラ投資によって達成されて来たと思うが、いつか日本は『投資と必要経費』を甘くして,公共需要を増やし続けなければ、経済が持たない『公共需要依存症』に陥って行ったのである.その結果,政府の借金はGDPの2倍を超えるところまで,積み上がったのである.まさに日本は制御の効かない『高コスト国家』になっているのである.

しかも、今後,東日本震災復興対策、自然災害対策,原発被害対策,社会インフラ老朽化対策、社会保障対策,安全保障対策,エネルギー対策,等の政府支出の増大が予想される.さらに,借金は大きくなり、さらなる高コスト国家になって行く事が目に見えるのである.

これらの支出は、一時的に『公共需要』を増やし,景気を支える事はあっても,大半は『社会的必要経費』に属する支出であり,将来のパイの拡大に繋がらないのである.しかも、大半が借金による支出だとすると,プライマリーバランスの目標どころか、上記の例え』の通り,将来の国民や企業が負担に耐えられるのか、国債信用や国家の財政力が失墜するのではないか,等の深刻な問題に直面するのである.

国民の命を守る『社会的必要経費』を削る事は出来ないとしても、その前に、国家財政が破綻したら、生命も守れなくなるのである.今後,大増税は続くと思われるが,『パイの拡大』と『社会的必要経費の効果的支出』は必須の課題であり、加えて,インフレをコントロールしながらの『貨幣価値の下落』(債権債務の目減り)も,金融政策として必要になるのである.

以上、消費税増税で財政規律が緩くなっている感じがするので、あえて危惧することを述べてみた.

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345 小泉元総理の『原発問題』への高等戦術?

2月9日の東京地知事選挙は左でもない右でもない中庸の舛添氏が圧倒的支持(舛添候補 211万票、宇都宮候補 98万票、細川候補 95万票、田母神候補 61万票)を得て当選した.公約通り、福祉、災害、オリンピック、経済,に前向きに取り組んで欲しいと思う.

さて,この都知事選はもう一つの意義があった.それは原発問題に対する都民の意志である.結果として、『即原発ゼロ』を訴えた宇都宮候補、細川候補、の得票が合計193万票で舛添候補を下回った事である.とりわけ,小泉元総理が『即原発ゼロ』で細川候補と意気投合し、都民に訴えたのだが,思ったほど票は伸びなかったのである. 

そもそも『原発ゼロ』、『即原発ゼロ』、『脱原発』、とはどういう意味なのだろうか.『原発再稼働をせず廃炉にし,日本から原発をなくす』と言う意味で言っているとしても、その実現性や実現時期は今のところ全く描けないのである.

原発代替エネルギーの問題、電力料金の問題、国内産業に与える影響の問題、さらに根本的には核燃料の処分の問題、廃炉の技術的問題、それらの膨大な費用の問題、等々が全く見えていないのである.特に、現有原発の寿命の問題があり,宇津宮さん,細川さん,小泉さんが今更,騒がなくても、すでに深刻な問題になっているのである.

又、廃炉に至る実現性や時期が不明でも、とにかく『再稼働反対』と言う意味で言っているのかもしれない.この主張に、『稼働しなければ安全だ』と言う誤解があるようである.実は稼働しなくても、福島第4号機のように、核燃料が存在している限り、リスクはゼロにならないのである.

このように、原発問題は政治力ではほとんど解決できないのである.従って、選挙の争点にはならないのである.政治でやれる事は『稼働中・停止中の原発の安全性の確保』,『核燃料処分の方法の策定』、『技術開発支援強化』、勿論、『福島原発事故対策』、『原発被害者対策』なのである.

そんな状態の中で、『即原発ゼロ』あるいは『脱原発』と叫んでみても、実現方法のない事を叫んでいるだけになるのである.実現性のない事を公約にする事は都民・国民を騙す事になるのである.

従って,福島原発の悲劇を繰り返さない為に『原発をなくそう』と言って選挙に臨む事は,票を得る為でしかないのである.言い換えると原発問題を政治利用している事になるのである.戦争反対、核兵器反対、基地反対、と類似した手法なのである.しかし、都知事選の結果は,単純にその手に乗らなかった結果だったと思うのである.

小泉元総理は都知事選に懲りずに、来年の統一地方選で,原発立地県で,『原発反対』運動をやるとの憶測も飛んでいるのである. 原発立地県で安全性を言うなら、上述の通り,『稼働停止』ではなく、『基地問題』と同じように,核燃料施設の『県外移設』あるいは『廃炉』と言わない限り意味がない主張になるのである.

ところが『県外移設』も『廃炉』も、実現性が不明なのだから、上記の根本問題が解決しない限り,選挙の公約にはできないのである.立地県で必要な事は,原発の稼働、停止如何にかかわらず,『安全性の更なる向上』なのである.

そんな中で、なぜ、小泉元総理までが、声高に『即原発ゼロ』、『脱原発』を言い始め、政府に反旗を翻したのだろうか.私の推測を述べてみたい. 

私の結論からすると,『原発反対』、『即原発ゼロ』と言う、ポピュリズム政治を阻止する為の高等戦術のような気がするのである.

『原発反対と叫ぶ事は,支持を得る事が目的であって,原発問題の解決にはならない』事を国民に知ってもらう為に,あえて小泉元総理が『原発反対』を叫んで,その無意味さを露呈させているように感じるのである.

同時に,基地反対、安保条約反対、集団的自衛権反対、憲法改定反対、靖国参拝反対、増税反対、企業減税反対、等の勢力が原発反対勢力と一体化して、大きな勢力になる事を阻止する為に,『原発反対』勢力を引き付けておいて,一機にその勢力の無力化する事を考えたのではないかと,思うのである. 

以上が,私の勝手な推測であるが、反面、小泉元総理に,そんな高等戦術はなく,只,原発が稼働していないのだから,『原子力発電はゼロ』を続けよう、『使用済み核燃料をこれ以上増やさない』、と単純に言っているのかもしれない.

そうだとしたら,元総理なのだから,『原発停止の影響と,その対策』,『核燃料の処分計画』,『廃炉に至る計画』くらいは述べるべきだと思うのだが.しかし,それを言える政治家はいないのが原発問題なのである.

自由民主党の皆さん、小泉さん『ありがとう』ですか,それとも、『けしからん』ですか.

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