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2014.06.27

359 2014 W杯一次リーグを終わっての感想

2014年のW杯一次リーグC組の日本は,最終戦の対コロンビア戦に1-4で敗れ,C組の最下位が決まった.日本の成績は初戦のコートジュボワール戦で1-2で逆転負けをし,ギリシャとは0-0で引き分け、都合 0勝2敗1分けで終わった.大事な初戦で逆転負けした事で波に乗れなかったのか知れない.

しかし,全体的には『悔しい』,『残念』と言うより,『やっぱり』,が実感である.『本来のサッカーが出来なかった』ではなく,『日本の力を存分に出した結果だった』と思ったのである.

今回のW杯一次リーグでは,アジア勢が1勝もできず全て予選敗退、スペイン、ポルトガル、イギリス、イタリアも敗退.中南米、南米の活躍が目立った.これから激しい決勝トーナメンドが始まるが、どの試合も決勝戦のような激戦と,これぞサッカーと言う試合を見せてくれると思う.

そんなわけで、いよいよW杯は佳境にはいるのだが、これまでの感想を述べてみたい.

1.日本サッカーの感想

FIFAの公式記録にもあるように、日本の戦い方がデータにはっきり表れている.C組の国別比較でみると日本は,

①ボールの支配率が50%を超えている,
②ボールのパス回数が断トツに多い,
③シュート回数も多い
④しかし,シュートの7割が枠外であり、決定率は最低である

これが日本の『パスサッカー』の実態である.これに加えて,PKもなく,CKやFKによるセットプレーも点に結びつかず,これでは勝てるわけがなかったのである.

サッカーはもともと点が入らない難しいスポーツである.日本はそれに輪をかけて、パスサッカーと言う、針の穴を通すような難しいサッカーで時間を費やしてしまった感じがするのである.

肉体的な,或いは,個人技の差を補う為に,パスサッカーと言う組織力で戦う事を日本の戦い方にしたのだと思うが,はっきり言って,通用するところまで,力がついていなかったと思う.

また,5月に代表に入ってきた大久保の『俺が俺がの性格』によって,本田,香川,長友,岡崎の長年の微妙なコンビネーションを崩したとの批判もある.なぜ代表に,との疑問が5月時点であったことは確かである.ザック監督は決定力の弱さを強くしたいと考えたのかもしれない.しかし,土壇場の手は善手にらない事は勝負師なら知っているはずだが.

又,長友の攻撃力を抑える為に,攻めによって,押し下げられた事も,日本の組織力の分断につながったと思う.

その事もあって,パスサッカーが機能せず『インターセプトによるカウンター攻撃』の格好の餌食にされ,日本選手は上がったり,下がったり、振り回わされたのである.

パスサッカーが通用しなかった真の原因は,サッカーの基本である『キックの精度の悪さ』である.相手のプレッシャーを受けた時、無理な姿勢のまま、苦し紛れに、キックしている事が多かったように思う.これではパスにしろ、クロスボ-ルにしろ、シュートにしろ、キックの精度が落ちるのは当然なのである.

日本人の習性かも知れないが、プレッシャーを受けると、ボールを奪われないように、すぐボールを離したがるところが見える.シュートの7割が枠外だと言うのも、相手にボールを奪われない内に、シュートで攻撃を終わりにしたい、との『逃げの心理』が働いているように感じた.

日本戦を戦ったコロンビアを見ると、ボール支配率が低く,パス回数も,シュート回数も少なく,全く日本に劣っているように見えるが,枠内シュート率と決定率は断トツに高いのである.見事なシュートだけに,いとも簡単に決めているように見えるのである.

コロンビアが簡単にゴールを決めているように見えるのは、『打つ姿勢を作ってから,打っている』からだと思う.これに対し日本勢は,激しいプレッシャーの中で、苦し紛れに、やみくもに、ムリな姿勢で,打っていると感じたのである.これではシュートの精度が上がるわけがないのである.

『シュート力』とはボールを受けて,相手をかわして、打つ姿勢を作って,シュートするまでの一連の動作の事を言うのだと思う.決して、止まっているボールを正確に打つ能力ではないのである.従って、CK、FK、PK、の練習と、シュート、クロスボール、パスの練習とは全く違うと思うのである.

この『シュート力』はコロンビアの選手だけではなく、どの国の有力選手も、高い能力を持っている.当たりの強さもさることながら,身をかわすにしても,走りぬけるにしても,スピードが全く日本選手と違うのである.今後,日本がパスサッカーを続けるとしても、サッカーの基本である,この一連の動作による『シュート力』の向上を徹底的に鍛える必要があると思う.

その為には,『背があって,足が速く,骨太の人』が必要だと思うのだが,無いものねだりだろうか.以上,サッカーに素人ながら,勝手な感想を述べた.

2.高温多湿の場所、季節の問題

まず、どの試合も、高温多湿の中での激しい戦いであった.アジア勢が惨敗し、ヨーロッパ勢が苦戦し,中南米,南米の活躍が目立った事と関係しているかもしれない.

特に、こんな季節では、日本チームのように、一人何役もこなすサッカーは適していない.割分担をはっきりさせたサッカーの方が,いざと言う時,力が発揮されると思う.いづれにせよ、4年に一度の開催なのだから、涼しい場所、季節を選ぶべきだと思ったのである.

3.施設の遅れなど気にしない、ブラジルの精神

あれだけ施設が間に合わないと言われていた中で、なんとか開催にこぎつけた.いくつか未完成の施設はあるものの,大会に大きな支障は起こっていない.サッカーさえできれば何の問題もないと言うサッカー大国らしい感覚なのかもしれない.

日本的完璧主義から,ブラジルの国民性を軽蔑するような報道が多くあったが,おおざっぱなブラジル精神に、そんな完璧主義が拍子抜けになって,逆に,『これもありか』と感心したりするのである.

かといって,2年後のリオデジャネイロ・五輪の準備遅れに問題がないと言えるのだろうか.貧富の差が大きい中で,五輪投資にに反対す勢力もある.はたして,サッカーで国を統治できても,五輪で同じことができるか,きわめて心配になるのである.

4.一番の問題は日本のマスコミ

最後に日本のマスコミの問題である.日本のマスコミはW杯特需を狙ってか、人気を煽る側に立って騒ぎ、まともなサッカー論議も批判も出来ない空気を作っていたのである.

まるで戦争を煽っていた戦前のマスコミと同じような対応である.しかも、この人気の煽りは敗戦とともに,一過性で終わってしまうのである.それどころか,今まで伏せておいた主張が関を切ったように,手のひらを返したように,吹き出てくるのである.マスコミのいい加減さ,無責任さ,に唖然とするのである.

海外のマスコミはサッカーの興味を盛り上げる為に、徹底的に戦力分析や戦術論議や厳しい評価をしているのだが、これが、国民のサッカーの見る目を育て,サッカーへの興味を盛り上げているのだと思う.

そこで,日本の『人気を煽るテレビ番組』から『サッカーの興味を盛り上げるテレビ番組』になって欲しいと思った.こんな感じである.

人気を煽るテレビ番組の場合

『W杯がいよいよ始まりますが、日本に必要な事は何ですか』
『充分、決勝トーナメントに進出できる力があり、まずは初戦に勝つ事です』

サッカーの興味を盛り上げるテレビ番組の場合

『W杯がいよいよ始まりますが、日本に必要な事は何ですか』
『実力はどの相手も日本より上だと思います.そこで、パスサッカーで攻めまくるとしても、カウンター攻撃でやられる可能性が高くなります.そこで、逆に,守りを固めて,カウンターを狙う戦術も有効な選択だと思います.いずれにせよ、作戦の徹底とメンバーの人選がきわめて重要になると思います.監督がどんな作戦をとるのか注目したい』.

以上、一次リーグを通じての感想だが、一番の印象は『人気を煽るだけのテレビ番組』である.これでは日本のサッカーは世界に通用しないと思ったのである.

決勝トーナメントでは,人気を煽る日本チームがいないのだから,名誉挽回する為にも,サッカーの興味を盛り上げる番組を提供して欲しいと思う.戦術,選手,技量,日本との差,等,試合を通して,徹底的に分析し,日本の若者に伝えて欲しいのである.これこそ,W杯のもう一つの大きな意義だと思うのである.

ところで、プロスポーツは言うまでもなく、選手も、チームも、用具業界も、マスコミも、ビジネスとして行われているのだが、今回のサッカーーと同じように、前人気を煽る事に走りすぎて、結果がついてこない事が多い.サッカーだけでなく、人気があるゴルフ等も、人気を煽る割に、世界ノレベルにほど遠い状態が続いている.

これではテレビ放映もスポンサーも減って行くと思う.色んなスポーツがビジネスとして発展する為には世界レベルの選手を育成する事である.そこに向けた施策が乏しい様に思うのである.繰り返すが、実力を無視して人気を煽る事はビジネスの衰退に繋がるのである.

5.もう一つ気になる事(刺青の事)

日本や韓国以外,どの国のチームも多民族人種の混成である.それだけで,日本は劣勢を感じたり,日本の異質さを感じてしまうのだが,今回、改めて感じた事がある.それは,刺青をした選手の多さである.極限にいる人にとって刺青は心の支えなのだろうか.単なるファッションなのだろうか.

とにかく,日本の『刺青を良しとしない文化』が異質であるかのような多さである.日本文化など吹っ飛びそうである.『刺青した人はお断り』などと言えなくなるのである.

日本人は刺青への抵抗感を持ちつつも、『表向きには』,入学も、学生も、スポーツ選手も、就職も、社員も、公務員も、教師も,政治家も、温泉・旅館も、公序良俗の感覚も、『刺青は自由』と言う事になるのだろうか.それとも『日本人だけ刺青はダメ』と言う事にするのだろうか.

更に,『刺青はダメ』と言う日本文化を世界に広めて行くべきなのだろうか.それとも,『刺青は自由』と日本人の文化を変えて行くべきなのだろうか.サッカーを見ながら,そんな余計なことが頭をかすめ,ゴールの瞬間を見逃してしまったのである.

又,米国大リーグで、現在も、試合中、唾を吐く選手が多い.日本人としては、生理的に気分が悪くなる.だらしない人間に見えて来る.こちらの方は,個人の自由や文化の問題ではなく、自信を持って,マナーの問題として,世界的に禁止を訴えるべきだと思う.放映権を買う時,これを条件にしたらどうだろうか.

プロスポーツは貧困者のドリームとして形成されて来た側面があり,文化度,マナーは,もともと低い所がある.文化度,マナーを上げる為にも,『刺青をしない国』,『試合中,唾を吐かない国』は,世界から支持されるのではないか,と思ったりもする.それとも,多勢に押されて,異質な国として孤立するのだろうか.

国際化とは文化を認め合う事,個性を発揮する事,だと,きれいごとを言うが,はっきり言って文化の衝突であり,葛藤であり,淘汰である.今,世界は日本文化ブームだと言う.日本は文化を受け入れて来た歴史が長かった事を思えば,今度は,熟成された文化を世界に出す時代に入ったのかもしれない.日本文化に自信を持つ時代なのかもしれないのである.

当ブログで度々,文化論を述べて来たが,その中で,洋風化が蔓延している中で,日本文化の最後の砦は『靴を脱いで家にはいる文化』だと言った.これは,『内と外を分ける日本文化の象徴』なのだが,現在,世界各国で,『靴を脱いで家に入る文化』が増えていると言う.近いうちに,靴を履いたまま,リビングや寝室に入る事が異常なことになると思う.日本文化に自信を持ってもよい決定的な例である.

サッカーに負けたが,『なぜ日本選手は刺青をしないのか』をアピールしたらどうだろうか.自然と刺青をしない日本文化が世界に浸透しないだろうか.

追記(7月10日)

本日決勝進出チームが決まった.ブラジルを大差で破ったドイツとPK戦でオランダを破ったアルゼンチンである.

ところで、決勝戦の前日にブラジルとオランダの3位決定戦があると言う.優勝を狙って全力で戦ってきたチームに、3位,4位を決める試合をさせる事に大きな違和感を感じるのである.

興行的意図があるのかも知れないが、世界の頂点であるワールドカップの品格としては、『優勝』以外は順位を付けず、『ベスト4』、『ベスト8』、『ベスト16』で良いのではないかと思う.

又、3位決定戦にサポーターも選手もモチベーションが上がらないと思うのである.世界の観衆も、ブラジルとオランダのどちらが3位、4位になるか、興味があるだろうか.『ベスト4』のままで良いと思うのである.

最後に備忘録として『ベスト4』の決勝トーナメントの戦歴を記しておきたい.ブラジルの7失点を異常値とすれば、どのチームも失点が極めて少ない事が特徴である.まさに強いチームの証である.

ドイツ     :アルジェリア(2-1)、フランス(1-0)、ブラジル(7-1)
アルゼンチン  
:スイス(1-0)、ベルギー(1-0)、オランダ(0-0)PK

オランダ   :メキシコ(2-1)、コスタリカ(0-0)PK、アルゼンチン(0-0)PK負け
ブラジル   :チリ(1-1)PK、コロンビア(2-1)、ドイツ(1-7)

上記ベスト4は ドイツ、オランダの『組織力サッカー』 対 アルゼンチン、ブラジルの『個人力サッカー』の対決であったが、はたして決勝はどちらに軍配が上がるだろうか.

 

 

 

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