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2014.06.20

358  東京ブラックホール現象からの脱却

日本創生会議(座長;増田寛也氏)は人口データをもとに、2040年までに消滅する可能性のある896の自治体を発表した.示唆している内容は次の通りである.

長い間、地元に仕事がなく,交通の便が良い事もあって,長男も含めて,若者が東京に集まった.地元では若者が減り,子供もいなくなって,高齢者ばかりになる.そのうち高齢者の死亡とともに,住民がいなくなると言うのである.これが自治体の消滅である.

一方,人口が集中する東京では,人口は増えるが,結婚年齢も高くなり,出生率が低くなる.子供が増えず,結果的に国全体の人口減の原因になる.又、一極集中の東京では高齢者も集中している.介護施設も、介護士の数も、社会福祉財源も、対応できなくなるのである.

この東京一極集中が引き起こす一連の現象を『東京ブラックホール現象』と言うのである.

従来より、東京一極集中の問題は議論されて来たが,東京集中の経済的メリットが大きく,一極集中が止まる事はなかった.そんな中で、『東京ブラックホール現象』が『新たな一極集中の問題』として提起されたのである.

この『東京ブラックホール現象』から脱出するには,地方の中核都市を中心に、東京の負荷分散をし、東京の限界をカバーしなければならないのである.これによって、国全体の経済、医療、介護,人口増加,を確保しなければならないのである.

ところで、この『東京ブラックホール現象』は,これまで巨額の国家予算を使って進めて来た地域振興策が失敗だったことを意味している.その理由は簡単である.経済性や必然性をでっちあげて予国家算を取ってきただけだからである.いわゆる,『ばらまきの景気対策』でしかなかったのである.

一時しのぎの金が欲しいだけの公共事業の残骸が全国にどれほど多くあるだろうか.しかも,借金だけが残っているのである.この轍を踏まずに,どう地方を活性化すべきかが今、問われているのである.いくつか施策を考えてみたい.

一番目は国の統治機構の改革である.維新の会が主張している央集権体制から地方分散体制への転換である.これによって,地方の」責任,自立,都市間競争を進めるのである.勿論,国家の統治機構の再設計が必要になる.

二番目は地域拠点作りである.その為に,特定地域に,インフラ,産業,人口を集中させて行く事である.この地域拠点が栄えなければ,その地域は衰退するだけである.人口流出は問題だと言っても,流入する方からすれば,歓迎なのである.まさに人口流出,自治体消滅は理にかなった現象だとも言えるのである.

三番目は従来とは違った地方経済の振興である.ネット社会を前提に,自然立地,産業立地,経済立地,等の競争優位性,あるいは独自性の発揮が期待できる事業の振興である.又、市場として、地域、国内,世界,のどこに視点を置くかも大事である.この軸を外すと確実に失敗する.

四番目はそれぞれの地方都市が世界に認知された国際都市になる事である.海外からの受け入れ体制も,海外企業の誘致も大事である.海外都市へのマーケテングも必要である.今までの様に,日本の地方都市が世界に知られていない事から解消しなければならないのである.

五番目は,就労人口の拡大である.その為、大学の数を抜本的に見直すべきである.大学は,遊びの機関,フリーターを作る機関であってはならないのである.具体的には大学の数を県の数くらいに縮小し,専問学校にシフトする事である.その生徒の就職先も地方で可能にする事である.同時に教育を生涯学習に切り替える事である.

六番目は地方分散もよいが,その中で,『関東平野の拡充』の方が効果的だとする意見もある.広い関東平野に産業,人口を分散させる事で,集中の限界を弱め,出生率を改善し,人口を増やそうとする案である.

この様に東京ブラックホール現象の抜本対策は地方への産業・就労人口の分散をどう図るかである.分散が出来なければ地方は栄えないのである.これなくして,東京一極集中による晩婚化や出生率低下の問題は解決しないのである.現在の東京で,いくら子供を育てやすい環境を作っても,この問題は解決しないのである.

最後に覚悟すべき事もある.経済が発達し,社会が成熟に向かうと人口が減ると言う現象である.『貧乏人の子だくさん』が自然の摂理だとすると,日本の人口は減少方向にあると言えるのである.

経済が発達し,社会が成熟して行くと,高学歴化,価値観の多様化,晩婚化,女性の社会進出化,個人消費の増加,生活費用の増加,核家族化,共稼ぎ所帯の増加,専業主婦の減少,高齢化,等,が起こり,明らかに,少子化要因になるからである.

そう考えると,出生率を2.0以上にする事は難しい事になる.だとすると地方の活性化で,たとえ人口が地方に移っても少子化が止まらない事になるのである.

かと言って,古来の専業主婦文化を持ち出して,女性に出産,育児,家事,介護,をお願いする事で少子化を防ぎ,公助の費用も削減できると考えても,政策として打ち出せば,今日では人権問題になってしまうのである.ましてや妾文化,や一夫多妻文化も持ち出せないのである.

そう考えると,少子化を前提にした社会の考え方も必要になる.勿論,国家運営のあり方も,個人の考え方も,変える必要がある.それを,国民一人一人が考え始めると,少子化が止まるかもしれないのである.これが一番重要な事かもしれない.

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