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2014.07.03

360 男女共同参画社会基本法は,何か,ずれていないか

少し古い話だが,平成11年6月,『男女共同参画社会基本法』が制定された.

骨子は,固定的性別役割分担(男は仕事,女は家庭)意識からくる仕事や法制度の仕組みを改革し,女性の人権を守り,雇用の機会均等を図り、仕事や法制度における男女差別をなくし、女性の社会進出や指導的立場への女性登用を増加し,性犯罪・セクシャルハラスメント・家庭内暴力等を撲滅し,国際的な女性人権向上運動とも連動して、これら進める,と言うものである.

最近では『男女雇用機会均等法』の立場から、女性に対し、『女は家庭』と言う通念を言うと、セクハラになると言う指針が出された.女性への侮辱、嫌がらせ,になる事だとして追加されたのである.

この調子で行けば,『嫁さん・奥さん・上さん・家内・正室・側室・主婦・主人』なども問題になりそうである.もっと言えば、女偏の漢字はすべて禁句になるかもしれない.

この女性の社会進出を推し進め、『女性の就業率の向上』、『就業人口の増加』,が起こると、『所得税収の増加』、『配偶者控除がなくなる分の所得税増税』,『厚生年金や健康険料収入の増加』,『厚生年金の第3号被保険者の減少と国の年金負担の軽減』,等が起こるのである.

又、企業から見ると,配偶者手当を支給していれば,それが軽減される事になる.逆に女性就業者が増加すれば,厚生年金加入者が増え,年金保険料の企業負担分は増える事になる.

これらは女性の就業人口が増えると,必然的に起こる事であるが,これが本音の目的になるかも知れないのである.又,女性の社会進出で起こる『少子化』を防ぐ為に『女性が働きやすい,子育てしやすい,環境作り』が必要になるが,その財源としても,女性の就業人口の増大は必要になるのである.

この運動を主導しているフランスでは,地位ある立場に女性を現在の30%から40%に引き上げる事を法律で定めたり,選挙の立候補者数を男女均等にする事も決めているのである.又,教科書では従来の固定的な家族観の強調は禁じているのである.

一方,少子化対策として,出産手当,人数に応じた子供手当,教育無料化,育児休暇期間の設定とその間の育児手当の支給,子供医療補助,子供のいるシングル親への補助,等,手厚い制度を作り,出生率を2.0以上にしているのである.

この制度を狙って,貧困者の移民が増えていると言う現象もあると言う.フランスの個人主義(個人の尊重・他人の尊重)の表れかもしれない.

総括すると、人類の歴史でもある『男は仕事、女は家庭』と言う家族観の固定化が,男尊女卑、男女差別の土壌になっているとして,この家族観を変えようと言うのである.

その為に,固定的な家族観を前提とした制度を見直し,女性の就業率を向上させ,女性の指導的立場への登用を増やそうと言うのである.同時に,この女性の社会進出による少子化を止める為に,出産・育児・就業への支援を充実しようと言うのである.

家族の在り方は,あくまでも、個人の自由が大前提であるが、あまり、古来の家族観の打破を主張すると,かつての『ウーマンリブ運動』や,どこかの全体主義国家で,子供を施設に集め,女性はすべて労働に付かせた事を連想するのである.

現実は、『男女共同参画社会』,『女性の家からの解放』などと言わなくても,高学歴化、核家族化、価値観の多様化、,個人消費の増大化、ローンの利用、等で、専業主婦が急速に減っているのである.それが少子化の要因にもなっているのである.

又,専業主婦を単純に男尊女卑の温床だと決めつけるのも抵抗がある.そもそも,家庭か仕事かの,どちらが理想かは一意に決まらないのである.出来たら,専業主婦になって,出産・育児・家事・介護,等をした方が,働いたり,指導的立場になるより,立派な仕事だと思っている人もいると思うからである.

それを思うと,『男女共同参画社会』『女性の就業人口増加』『女性に指導的立場を』を声高に叫んでいる事が,少し時代感覚とずれている感じがするのである.

ここで考えなければならない事は、人権を御旗にした『男女共同参画社会』,『女性の家からの解放』の運動が,晩婚化や出生率の低下、その結果、少子化を生み、挙句に、離婚,シングルマザー,夫婦別姓、等を生み、親子関係も、家族関係も希薄になり、育児・医療・介護の公助が増える社会になるのではないか,と言う心配である.

はたして、人類の有史以来,男女の役割分担としての『男は仕事,女性は家庭』の文化を人権の御旗で変えようとする事が正しいのだろうか、もう一度、立ち止まって、考えてみたいのである.

改めて思う事だが,女性が家庭にいて、家事、出産,子育て,医療・介護をする事が、そんなに悪い事か、それが男尊女卑、男女差別の温床になっているのか,むしろ,女性が家庭にいる事の大切さをもっと啓発する必要があるのではないか,従って,『女性が家庭』の文化が『諸悪の根源』だと断定するのは間違っているのではないか,あえて言えば『男は仕事,女性は家庭』はと,生物的に適材適所ではないのか,共稼ぎが当たり前の時代に,出来たら『女性は家庭』が理想だと,思ったりもするのである.

私事で言えば,私が仕事で頑張れたのも,子供がなんとか育ったのも,双方の親の面倒を見れたのも,全て家内のおかげだと感謝している.家内は,それが当たり前のことではあるが,自慢であり,達成感もあると言う.私からすると,家内に感謝の気持ちでいっぱいである.そんな姿を子供が見ているのである.そこに,尊敬,感謝はあっても,女性を蔑視したり,差別したりする思考はないのである.

余りにも保守的な考え方かもしれないが,決して,この価値観を他人に押し付ける事はない.又,仕事をしている人に対しては,専業主婦になれとも言わない.あくまでも個人の判断だと思っている.更に言えば,出産や育児や介護で離職しないで済むような支援策には賛成である.

その意味で言うと、『男女共同参画社会基本法』は一つの価値観を押し付けるものであり、行き過ぎだと思うのである.ましてや、それが幸な人生につながるなどと言えば、これはもう宗教である.

現在においては,専業主婦であろうと,仕事をしていようと,人権問題とは無関係だと言う事である.ましてや,どちらが人権軽視だ,などと言えるわけがないのである.『女性の家庭からの解放が女性の人権向上になる』との思考は,何か時代錯誤をしている感じである.

この事と無関係に,男女差別や人権問題があれば勿論,是正しなければならないし,働く女性の支援策が必要なら哲学など論じなくても,実行すれば良いのである.

更に,人権問題で喚起しておきたい事がある.人権は人間の尊厳にかかわる事から,誰も人権運動に反論はできない.それだけに.人権問題を政治的プロパガンダに利用されやすい事である.

大小いろんな事象をとらえて,人権が守られていない国だ,女性蔑視の国だ,昔の封建社会が残っている国だ、等とレッテルを張る事が時として見受けられる.そうではないとは証明できない事を承知でレッテルを張るのである.これは『悪意のある人権運動』である.人権専門家はそれに寛容なばかりか,人権意識が高まると歓迎している節すら感じられるのである.

以前より、日本の女性の就業率が低いとか、指導的地位(管理職、役員、政治家、官僚、各種専門家、等)についていないとの批判が内外からある.この事実を持って,日本の女性が差別されていると言わんばかりのレッテルを日本に張るのである.

女性の就業率が高く,女性の指導的地位への登用が多ければ,女性の人権が守られていると言えるのだろうか.『女性は家庭』の文化が『人権なし』だと言う人が『女性の就業』は『人権あり』と言っているようなものである.いかにも短絡的である.人権とは何かを改めて問いたくなる.

逆に、専業主婦で子育て、医療・介護をしている事が理想だと考える人は,日本の女性の就業率の低さや,指導的立場に立つ人の少なさは,仕事より,もっと,大事な家庭の事をしている人が多いと考えるかもしれないのである.

要するに、一つの価値観を押し付けたり,自説に都合の良いデータで物事を評価してはならないのである.

人権運動は啓蒙と助言はあっても、政治的プロパガンダに利用したり、固有の文化の排除を後押ししてはならないと思う.それぞれの文化に、長い間,培われた,道理があるからである.あくまでも、当事国が考えるべき問題だと思うのである.

特に多民族の西洋文化は自分の文化を押し付けたがる.これには要注意である.人権は豊かさと比例しているところもあるし,他の価値観との比較もある.歴史の違いもある、人権向上運動は郷に入りて郷に従うべ所もある.国民の納得次第と言うところもある.人権向上運動は単純ではないのである.机上で短絡的に考えてはならないのである.

さて男女共同参画社会であるが、以上のように、価値観を一つにして運動する事に違和感を感じるのである.どんな家族を目指すのかは、夫婦の役割分担をどうするか,女性の生き方をどう考えるのか,等は個人が考える問題なのである.その上で,個人の考えを支援する方策を考える事になる.一つの価値観を強要すれば,新たな、固定的性別役割分担を進める事になるのである.

ところで,最近,『世界○○ランキング』が流行っている.大体,ランキンクを付けるルール作りは競争を重んじるアングロサクソン人が得意なのだが,ゲルマン人はそのルールには乗らない事が多い.日本人はそのランキングの付け方より,いきなり,何番かに興味が行き,一喜一憂するのである.もう少し,本質を見て判断する国民でありたいものである.

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