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2014.07.29

365 集団的自衛権行使容認に関する世論調査に一言

日経新聞の世論調査によると,今月,閣議決定した,『必要最低限の集団的自衛権』の行使容認を,評価しないが48%,評価するが38%,であったと言う.評価しない理由の多くは歯止めがかからなくなるが53%,歯止めがかかっているが23%だと言う.

この結果から見ると,『戦争に巻き込まれるから,集団的自衛権行使容認には反対だ』,言い方を変えると,『専守防衛以外は傍観する』が半数近くの人の意見である.

戦勝国による『日本の無力化』と,『戦争はもぅいやだ』と言う国民感情によって,戦争放棄の現行憲法を受け入れて来たのだが,今回の反応は,これとあまり変わらない結果になった.

しかし,これは,現憲法に関係なく,今後の日本の安全保障のあり方として考えた結果なのか,現憲法の許容範囲を超えていると考えた結果なのか,あるいは,憲法を変えれば評価できるのか,不明なのである.

いずれにせよ,国際情勢の変化,日本の世界における立場,を踏まえて,今後の日本の安全保障のあり方に関する世論調査ではないのである.

当ブログ『357 日本の安全保障問題と憲法の考察』(6月18日発信)で日本の安全保障と現憲法の問題を,自分なりに考察した上で,『日本の安全保障のあり方』が議論されていない事を懸念して,先ず,この議論が先だと提言したのである.これなくして,国民の意識も深まらず,日本の安全保障に関する憲法解釈も,憲法改定も,考えられないと思うのである.

そこで,議論を分かり易くする為に,現憲法の制約を外して,今後の『日本の安全保障のあり方』を次の選択肢で議論する事を提言していたのである.

①いかなる戦争も放棄し,交戦権も武力も持たない.(現憲法)
②限定的な個別的自衛行動(専守防衛)を行う.(自衛隊発足時の憲法解釈)
③国連憲章で認められた個別的自衛行動を行う.
④限定的な集団的自衛行動を行う(今回の憲法解釈)
⑤国連憲章で認められた集団的自衛行動を行う.
⑥国連決議に対し、限定的な集団安全保障活動を行う.
⑦国連決議に従って,集団安全保障活動を行う.

この分類で言えば,今回の閣議決定は②にプラスして,④を認める,としたのである.それに対し,今回の世論調査の結果は②に留まれと言う結果であったのである.

私見で言えば,政府は現行憲法に違反しない範囲で『針の穴を通すような事』を言い,国民は『戦争に巻き込まれるからいやだ』と言い,どちらも,『安全保障に対する考え方と覚悟』がないままの議論や世論調査でしかないと感じるのである.

率直に言えば、政府は将来の安全保障のあり方を言わずに、国民は一国平和主義に思考停止したままの中での世論調査だと思うのである.

本来なら,政府与党,野党とも,上記選択肢に対して,『日本の安全保障はこうあるべきだ』とビジョンを示したうえで,当面,現憲法下では,こうしたい,と言うべきだと思う.国民も,世界の安全保障,集団自衛行動に傍観し続けるのか,何らかの形で参加するのか,腹をくくる必要があると思うのである.

この問題は避けて通れない問題であり,何時までも,思考停止状態ではいられないと思う.是非,世論調査も,本質的な,たとえば,上記①~⑦の選択肢を示して,世論調査をお願いしたいのである.出来たら,議論の経緯を踏まえて,何回かこの世論調査を繰り返し,意味ある世論調査を続けて欲しいのである.さて、どんな結果が出るのか、安全保障に関するリトマス試験紙を見る思いである.

この『日本の安全保障のあり方』を議論せずに,国民の安全保障への認識は深まらないし,そんな状態での,いかなる政策も,憲法改定も,『戦争はイヤだ』の国民感情で,吹き飛ばされるのである.

そんなわけで、今後の憲法改定行動の前に、『安全保障のあり方』の世論調査をし、国民のある程度のコンセンサスを得て、憲法改定草案を作るべきだと思うのである.

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