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2014.10.24

374 公共の場での女性のトップレスは是か否か.

これまでの日本の常識で言えば,公共の場での女性のトップレスは軽犯罪ないしは公然ワイセツ罪に抵触する.しかし,所変われば,品変わるのである.ニューヨークなどは,トップレスが男性なら問題にならないが,女性だと罪になるのは,性的差別で,不平等だと言う理由で罪にはならないのである.

この判例には疑問を覚える.ある行為に対し、社会的妥当性から見た判断や自由,平等,人権と言う基本的権利から見た判断、そして、どちらを優先するかの判断、すべてを裁判官の裁量権で決めて良いのかと言う疑問である.

社会的妥当性とはその時代の,その場所の,社会の秩序,善良の風俗から見て許容される事である.勿論,時代の変化で社会的妥当性は変化するのである.

特に日本には社会的妥当性で決められたしきたりや法律が多い.伝統的文化で言えば、相撲,歌舞伎、落語、華道、茶道.、あげたらきりがないが、それぞれの世界には伝統的なしきたりがある.更に法律で言えば,国籍、結婚、相続,選挙制度累進税制,福祉,等,社会的妥当性のもとで作られた法律が多いのである.

一方,基本的権利は人間尊重の哲学であり,思想、表現、政治、等における各個人の権利として制定されたものである.しかし,何をもって,守られている,守られていない、と言うのか判断の物差しは極めて曖昧なのである.

そこで,社会的妥当性と基本的権利が衝突した時、裁判官の裁量権の中で判断されるのだが、それで良いのだろうか,と言う疑問を覚えるのである.

社会的妥当性と言う大衆の感覚が裁判官の基本的権利の拡大解釈で,法的な合否が決まる、言い換えると,社会の秩序、しきたり、制度を,裁判官の独善で決まるのである.こうなると法治国家ではなく、お代官様国家になるのである.

私見によれば、基本的権利を社会的妥当性が犯しているなら別だが、日常、許容されている社会的妥当性にまで、この基本的権利を拡大解釈して違法と言うのは基本的権利の乱用だと思うのである.何よりも,そのような判断を裁判官の裁量権に任せる事自体が問題だと思うのである.

このように,社会的妥当性に基づく法律と基本的権利の拡大解釈とが衝突する場合,裁判官の判断が優位にならない様に、立法と司法の間に,何らかの法的仕組みが必要だと思うのである.主権在民の判断は民主主義の基本として大事だからである.

さて,冒頭の女性の公共の場でのトップレスを公然ワイセツ罪にするのか,しないのか,の問題に戻るが,日本では、どう考えるべきなのだろうか.

日本の場合は公共の場でトップレスをしたいと言う女性はいないと思うし、もし、訴訟が起こっても、この種の問題に公序良俗を優先する裁判官が多いと思う.

法的に言っても、女性と男性の違いをなくし、好きにやれば良い、と言う事が基本的権利だとは思わないと思う.女性の公共の場でのトップレスを禁止しても、その女性の自由,平等,人権と言う基本的な権利が奪われるわけではないからである.どうしてもトップレスになりたいなら公共の場以外でやれる自由は確保されているのである.

他にも同じような判例がある.米国で同性愛者が法的な夫婦になる事が許されたようだが、これにも異論を覚える.多分、これを主張している人は,子供の養子縁組,社会保障制度、税制,相続,など広範にわたる性的差別を訴えたと思うが,日本では社会的妥当性から大きくかけ離れている事から国民も裁判官も認めないと思う.

しかし,人権派の主張が強くなったり、社会的妥当性が変われば,基本的権利の拡大解釈の方が勝ることになるかもしれないのである.たとえば、公然ワイセツと写真や映像の表現の自由の問題のように徐々に変化しているように.

そこで、大事なことは、上述しているように、その行為が社会的妥当性に反するのかどうか,社会的妥当性より基本的人権の拡大解釈の方が勝るのかどうか、の判断を裁判官の裁量にゆだねない事である.立法と司法の間に,何らかの判断機関が必要だと思うのである.

最後に、何故、裁判官の裁量権の大きさを危惧するのか、を整理して置きたい.

・裁判官の裁量権が世の中の制度仕組みを作る事になってしまう.
・社会的妥当性と基本的権利の衝突を裁判官の裁量に任せるのはおかしい.
・人権運動の圧力で基本的権利の拡大解釈、拡大適用,が多くなる傾向にある.
・政治的意図で裁判官の判断が行われる可能性がある.
・弱少政党が国会ではなく司法の場を主戦場にする傾向がある.

以上、トップレス裁判に社会的妥当性(現実)と基本的権利(哲学)の衝突があり、本来どうあるべきか、思いをはせて見たのである.

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