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2014.11.24

378 安倍総理の『解散の決断』への反応

11月21日,安倍総理は『景気条項による消費税増税延期』の決断と合わせて『安倍政権・政策の信任』を問う衆院解散・総選挙を決断した.12月14日投開票となる.この解散に不思議な反応が起こっている.いくつか列記してみたい.

①『解散の大義がない』との反応.

任期が残っている与野党議員,絶対多数を持っている与党,安倍政権支持者,等の立場の人達の声である.総選挙をやる必要がないのだから国費700億円が無駄になる,とも言っているのである.

この声で,特におかしな事は安倍政権を批判している人達の声が大きかった事である.この人達が『解散は当然だ』と言うならまだしも,『解散に反対だ』と言うのだから、自己矛盾も甚だしいのである.これに気が付いたのか,この声は下火になったが,この人達の『自説のない批判癖』や『自分の身分の保身』から,思わず出てしまった感じである.

②『争点がはっきりしていない』と言う反応.

解散は総理の専権事項であり、いくら解散権の乱用だと批判しても、一気に選挙モードに入らざるを得なくなるのである.ここでの反応にも,おかしいものがある.『増税延期は争点にならない』『争点がはっきりしない』との声である.これもまた自説のない人達、試験問題しかやった事がない人達、の声である.

これも、①と同じおかしな反応だが『争点は自分がつくるもの』である事に気づいたのか、この声も下火になった.

③『今回の解散総選挙は長期政権を狙った党利党略だ』と言う反応.

野党やマスコミから,自民党の党利党略の解散だとの批判の声が上がった.この反応を論理的に説明できない,上記①②と同じ,おかしな反応である.

そもそも政党政治は政策や保身や勢力拡大などの党利党略で動いている.選挙に勝つための露骨な野合,選挙協力なども,あるいは政策のバーター取引も,党利党略の最たるものである.与党が長期政権を狙うのも当たり前である.

特に日本の抱える難問(憲法,安全保障,借金,外交,社会保障,防災,少子化,教育,等々)に取り組もうとすれば,長期安定政権なくして解決できないのである.不安定政権では,日本の難問の深刻さが増すばかりなのである.

④安倍政権は『社会保障改革も,身を切る改革もしていない』と言う反応.

野党は急きょ,公約作りや立候補者の選定に入る事になるが,自民党への攻撃だけは早くも始まっている.今年の4月,消費税5%から8%への増税に対し『社会保障改革も、身を切る改革もしていない』と言う批判である.

そもそも『社会保障と税の一体改革』を民主党政が唱えた時,当ブログで批判した.民主党の社会保障改革案が根拠のない出鱈目であった事,増税だけでは解決しない事,にも関わらず,増税の大義として社会保障改革をかざしていた事,が理由である.しかし,残念ながら,民主党政権の幼稚な発想に,自民党の増税派が悪乗りした事で,三党合意がなされてしまったのである.

案の定,社会保障の改革は部分的な改定はあるものの,抜本的改革の姿は描き切れていないのである.従って,出来ていない事が悪いのではなく,出来ると嘘を言った事が悪いと思うのである.したがって,この反応に違和感がある.

安倍第2次政権では,財政健全化問題も,社会保障財源問題も,デフレ脱却せずして解決しないと考えており,その考えからすれば,不純な三党合意は破棄すべきだったと思う.それだけに,4月の5%から8%への増税は苦渋の決断だったと思う.しかし,懸念通り,増税の悪影響が大きく,結局,来年度の8%から10%への増税は延期と決断し,デフレ脱却,経済成長に重心を移す事にしたのである.

もう一つ『身を切る改革ができていない』との反応の事である.当時の野田首相と安倍氏の党首討論で増税と議員定数の削減に同意し、野田政権は解散したのだが,定数削減が出来ていないとの反応である.また、増税を国民に求める以上、議員や公務員の身を切る改革も必要だとの声もあり、これにも安倍総理は実行していないと言うのである.

当時、増税をするなら『議員定数削減や議員・公務員の身を切る改革』が必要だとの論調が多かったが,当ブログで疑義を述べていた.本来、議員定数の問題は増税有無とは無関係に、民主主義の根底にかかわる問題であり,統治機構の問題や参院不要論などの問題にもかかわってくる問題なのである.

議員や公務員の費用削減も、増税有無とは無関係に,行政改革も含めて,常に考えるべき問題なのである.国民に増税をお願いするからと言う感情論,姿勢論ではなく,常に不要不急な歳出は即削減していかなければならない問題なのである.

したがって,論理や仕組みの議論をせずに,身を切る改革と称して,何人削減、何%カットなどと言い合っている事自体が幼稚に見えるのである.これでは,何も決まらないのは当然なのである.いや、何も決めたくないから,幼稚な事をしているのかもしれない.

そんなわけで『身を切る改革』の意味が全く不明だが,これをよく口にする政治家に立論力を感じないのである.それとも,『身を切る改革』などと浪花節を打てば,支持が増えるとでも思っているのだろうか.『身を切る改革が出来ていない』と叫ぶ人に,一度、この意味を聞いてみたいと思うのである.

以上,解散・総選挙が決まった瞬間、各党のくだらない反応が乱発したが,そんな事より,日本が抱えている難問に建設的な主張をして欲しいのである.各党の選挙公約に期待したいのである.

特に安倍政権が取り組もうとしている,憲法改正問題,中国・韓国・北鮮、等の外交問題,集団的自衛権問題、財政健全化問題、経済政策問題,社会保障問題,行政改革問題,そして,国家予算の構想にも言及して欲しいのである.

安倍総理としては、任期が2年ほど残っているが、日本の政治が避けて来た難問に取り組むにあたり、国民の信を問うているのである.又、難問の解決には長期政権が必要だと考えるのは当然だと思う.野党も国民も、しっかり安倍総理の投げかけに、正面から反応すべきだと思うのである.

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