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2014.12.23

383 朝日新聞第三者委員会報告書への疑義

朝日新聞の従軍慰安婦記事の取り消し報道に際し、当ブログでは、『何故、間違った記事を書き、30数年間も、それを放置して来たのか』を徹底的に調査し,其の報道姿勢・体質を明らかにすべきだ、と主張していた.NO367 嘘の従軍慰安婦報道を続けた朝日新聞の報道姿勢を問う

これを主張した理由は、朝日新聞が記事の取り消しを発表した時、ミスは大した事ではない,広義の強制連行があったのだから朝日新聞の報道は間違っていない、等と,とれる態度であった為に,逆に『重大な事』を隠しているのではないか,との『疑念』を感じたからである.

その『重大な事』とは、『朝日新聞の主張に沿った政策や世論を誘導する為に記事をでっち上げたのではないか』と言う疑いである.もし,そうであれば,『朝日新聞の存亡どころか,報道の自由を汚す重罪』になるのである.

この疑いを朝日新聞が自ら認める事はないと思うだけに,この疑念を第三者委員会で調査して欲しいと思っていた.これなくして、朝日新聞の大事件にに決着を付けられないからである.

さて,その第三者委員会が,2014年12月22日、報告書を発表した.はたして,上記の『疑念』がどうだったのだろうか.

さっそく,100ページに及ぶ報告書に目を通そうとしたら、『はじめに』のところに、朝日新聞からの依頼による,慰安婦報道についての『調査と提言をする』、と記しているだけで、委員会として、どんな視点で、どんな問題意識で調査をするのかと言う『委員会の目的』が記載されていないのである.いくらなんでも、目的が記載されていない報告書等、見たこともない.これでは、何の為の報告書か,わからないのである.

目的が定められない程の,いい加減な委員会だったのだろうか.それは,朝日新聞のアリバイ作りの儀式だったからだろうか.所詮、朝日新聞内部の委員会でしかないからだろうか.

有識者の委員に報道の自由を汚したり、朝日新聞の存続にかかわる事が無かったか、どうか、を調査し、裁断を下すと言う使命感はなかったのだろうか.

あるなら、その使命感に基づく目的を明示した上で、どうであったかの報告をすべきなのである.ざっと見た結果、案の定、そんな報告書ではなかったと思う.何の先入観も持たず実態を調べてみよう、と言う事なのだろうか.

釈迦に説法だが、目的を定めて,調査をし、結果を出す、これが、世間の常識である.こんな基本的な事が欠落している報告書は中身を見る前に,ごみ箱入りになるのである

そんなわけで、私が抱いた『疑念』が,うやむやになっているのではないか,との不安が,読む前から早くも、頭をよぎったのだが、案の定、ざっと見た範囲では、前後左右の状況や記事の内容の羅列が多く、結論が見えないのである.

期待した私が甘かったのだろうか.本来なら、朝日新聞の依頼ではなく、新聞業界の自浄作用として検証委員会を設置すべきだったと思うのである.

そこで、本来なら委員会がやるべき事だが、私が知りたかった『何故、間違った記事を書き、32年間も放置していたのか』、『政策や世論操作の為に,記事のでっち上げがなかったか』を、私なりに、この委員会報告書の中から読み説く事にしたのである.(前回のブログでは朝日新聞の発表を基にに書いたが、今回は委員会報告が元になる)

その調査は『吉田証言による強制連行記事』、『挺身隊を従軍慰安婦と誤認した記事』を中心に読み解く事にした.その結果を次に記したい.(本来、報告書の骨子はこうあるべきだとの思いも込めて)

1.何故、吉田証言(従軍慰安婦の強制連行)を報道し続けたのか.

①吉田証言記事の概要

朝日新聞は太平洋戦争中、済州島において、吉田清治氏が、山口県労務報国会下関支部動員部長として、いわゆる慰安婦とする目的の下に多数の朝鮮人女性を強制連行したとする証言を取り上げ、1982年から1997年までの合計16本の記事を書いた.

その間、歴史学者の秦郁彦氏は,1992年4月30日付産経新聞及び同年5月1日発行の「正論」において、吉田氏に対する取材及び慰安婦の強制連行があったとさ れる済州島での現地調査等を踏まえ、吉田証言は疑わしいと指摘した.

秦氏の上記指摘があった後も,上記のとおり、朝日新聞は吉田証言記事の掲載を続 けた. 朝日新聞は1997年3月31日付朝刊における特集紙面において、吉田証言について、「真偽は確認できない」旨記載したものの吉田証言記事について訂正または取り消しを行わなかった.その2014年検証に至る まで,吉田証言記事について訂正又は取消しを行わなかったのである.

事の発端は1982年9月2日,朝刊(大阪本社版)社会面(22面)に「朝鮮の女性 私も連行」、「元動員指導者が証言」、「暴行加え無理やり」、「37年ぶり 危機感で沈黙破る」などの見出しのもとに、吉田氏が講演したことが掲載された事である.

同記事は、吉田氏が、昭和17年から20年にかけて山口兼労務報告会下関支部の動員部長として,10数回にわたり朝鮮半島において朝鮮人約6千人(うち慰安婦950人)を強制連行したこと,朝鮮人慰安婦は皇軍慰問女子挺(てい)身隊という名で戦線に送り出したこと、昭和18年の初夏の1週間に済州島で200人の若い朝鮮人女性を完全武装の日本兵10人を伴って、狩り出したことを述べたとする内容であった.

同記事には壇上で講演する吉田氏の写真が「『日本軍が戦争中、犯したもっとも大きな罪は朝鮮人の慰安婦狩りだった』と話す吉田清治さんとの 説明が付けられて掲載されたのである.

その後、朝日新聞は1997年までの15年間、慰安婦の強制連行の調査記事として、吉田氏の言動、講演、出版物、或は慰安婦証言を記事にしたのである.

②第三者委員会の所見

吉田氏が当時講演やインタビューにおいて報道されたような内容の発言をしたこ とは否定できない.したがって、当時吉田氏が講演やインタビューで証言したこ と及びその内容を報道したこと自体を非難することはできない.

しかしながら.,正確な事実を報道する責務を負う報道機関としては,事実を証 言する発言については,その事実に関する発言の真偽を確認して報道を行うべき ことは当然であるとして、次の見解を述べている.

吉田証言に関する各記事の前提となる取材経過を見ると、その取材方法は吉田氏の発言の聴取(講演傍聴、その記録確認、インタビューによる直接取材)にとどまっており,吉田氏の発言の裏付けとなる客観的資料の確認がされた事はなかったと.

又、慰安婦としての強制連行にかかわる吉田氏の証言内容が生々しく、詳細であり,朝鮮人男性については強制連行の事実が確認されてもいるので、女性についても同様 のことがあったであろうと考え、これを事実であると判断して、記事を書いた、とした.

一方、過去の朝日新聞における吉田証言の記事や、戦場に慰安婦が「連行」されていたという内容の記事等と相まって,韓国や日本国内において,慰安婦の強制連行に軍が関与していたのではないかというイメージを世論に植え付けたという趣旨の批判に対し次の判断をした.

記事には誤った事実が記載されておらず、記事自体に強制連行の事実が含まれているわけではないから、朝日新聞が本記事によって慰安婦の強制連行に軍が関与 していたという報道をしたかのように評価するのは適切でないと.

しかし,本件記事の「従軍慰安婦」の用語説明メモに「主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した.その人数は八万とも二十万ともいわれる」と記載されており、あたかも「挺身隊として『強制連行』された朝鮮人慰安婦の人数が8万人から20万人」であるかのように不正確な説明をしている点は、読者の誤解を招く ものであったとしたのである.

1997年朝日新聞の特集については、その時点での慰安婦問題を総括して,その後の議論の土台とする、という意図のもとに作成されたのであれば、吉田証言に依拠して,徴募の場面において日本軍などが物理的な強制力により直接強制連行をしたといういわゆる「狭義の強制性」があったことを前提に作成された記事について,訂正又は取消しをすべきであった.さらに,必要な謝罪もされるべきであった.1997年特集において、訂正・取消しをせず、謝罪もしなかったことは、致命的な誤りで あったとした.

この訂正、取り消しをしなかった朝日新聞の言い分が報告書に記載されている.

「97年の特集で御紙は吉田氏の証言について『疑問視する声があがった』と述べているが、氏の証言をかつて前面に押し出して報道した御紙 の誤りについては、言及していませんでした,それはなぜですか?」 との問いに出ている.

「私どもは、歴史の証言が批判と反批判の中で鍛えられ、事実の解明に至るこ とを歓迎するものです」 「誤りについて,言及していませんでした』というご質問が「なぜ、訂正記事を出さないのか」という意味でしたら,そのような性格のものではないとお 答えするしかありません」 「従軍慰安婦問題は政府の調査や学術研究,ジャーナリストの取材などによって徐々に全体像が明らかになってきたテーマです.発掘された資料や証言がさまざまな批判にさらされ、新たな通説や定説が形成されて,その過程の話なのだと考えております」 と.

回答書には,他にも吉田氏との接触の内容や、週刊新潮も訂正していないこと,などが記載されているが、いずれも、この質問に対して,真摯に正面から回答したも のとは言い難いと委員会は指摘した.

③私の感想

驚きの委員会の所見である.根本にある考えは、朝日新聞の記事は間違っていない.間違っているのは嘘を言った吉田氏である.ただ、嘘が発覚した段階で、嘘を見抜けなかった事に対し謝罪をすべきだった、とした論調である.

これで済むなら、裏をとっていない誰かの発現を記事にしても、たいした問題にならない事になる.これは真実を伝えると言う使命を放棄し、別の目的で記事を書くなら『報道の自由の自殺行為』に当たると思うのである.

これを朝日新聞に当てはめると,私の疑念にあるように、朝日新聞の思想、主張に都合の良い発言は裏を取らず、記事にする、その記事で政策や世論を朝日新聞の主張に誘導する、後で発言内容に嘘があったと判明しても、その責任は発言者にあり、朝日新聞は騙されたと言ってお詫びすればよい.しかも、後で嘘が発覚しても、すでに流布した強制連行のイメージは消す事が出来ない、と言う事ではなかったのか.

その証拠に、嘘がある事を他から指摘された時点の朝日新聞内部の議論で、自ら裏をとりにいかず、しかも、発言者が訂正しないのに、朝日新聞が先に訂正するのはおかしい、勝手に嘘だったと言えない、等と言う理屈がまかり取っていたようである.

釈明文では真実の追及はいろんな議論の中で行われるものであって、記事を取り消したり、訂正する性格のものではない、という言い方で訂正や取り消しをしない理由を言っているが、いずれにしても、自分の記事に対して全く無責任なのである.

委員会は,この釈明に不満を述べるだけで、それ以上の追及はしていないのである.私見によれば、朝日新聞の記事は、真実を報道する為に記事にしたのではなく、朝日新聞の思想、主張を正しいものとする為に記事にした、言い換えると、世論操作の為に記事にしたと、とれるのである.とんでもない重罪である事を委員会も指摘すべきだったと思う.

そんなわけで、委員会報告は何故、裏をとらない事を平気で何年も続けたのか、徹底した掘り下げが出来ていないと感じた.これは、朝日新聞の依頼であった事、委員会の目的がはっきりしていない事にも起因していると思うのである.

2.何故、挺身隊を従軍慰安婦と誤認した記事を書いたのか.

①第三者委員会の所見

1980年代当時の韓国においては、「挺身隊」がほぼそのまま「慰安婦」を指す言葉として用いられていた.日本においては、挺身隊と慰安婦が別のものではあるが、韓国においては,一部又は多くが重なるのかどうかについては、定説があったとはいえない状態であった.

朝日新聞の記事だけをみても,1991年5月22日付記事においては「『従軍慰安婦』は、太平洋戦争の戦線が拡大するにつれて連行が本格化し、『慰安婦』にされた朝鮮女性は8万人説から20万人説まである.」と説明されているが、同年8月11日付記事には「朝鮮人慰安婦は5万人とも8万人ともいわれるが、実態は明らかでない」と記載されている.

1992年1月11日付記事の「従軍慰安婦」と題する用語説明メモにおいては, 「太平洋戦争に入ると、主として朝鮮人女性を挺身(ていしん)隊の名で強制連行した.その人数は八万とも二十万ともいわれる. 」と説明されており、ほぼ同時期の記事においても、執筆者が何を参照し たかによって内容が異なっていると指摘した.

そな中で朝日新聞は誤用していた事を認めたのだが、言い訳をするだけではなく,誤用を避けるべき努力が十分にされていたのか、誤用があった後、訂正等が行われてきたのか、という経緯や、今後、こうした混同・誤用が生じないようにする為,どのような態度で臨んでいくのか、等について、踏み込んだ姿勢を示すべきであった、とした.

②私の感想

どう見ても朝日新聞の知識や調査不足で誤用したのではなく、吉田証言を事実と思ったり、韓国が挺身隊と慰安婦を同一視している事から、誤用ではなく、事実だと思って記事にしていたのではないか、と類推するのである.その方が強制連行のイメージが強くなるし、朝日新聞の意思に合致するからである.

第三者委員会が朝日新聞の言い訳を認めたように報告しているが、本当に知識不足の誤用だったのか、もっと掘り下げた調査が必要だと思ったのである.

又、米国に慰安婦像が何体かあるが、そこに記載された『数十万人の韓国女性が性奴隷にされ』と言う文面をどう見ているのか,朝日新聞の見解も聞くべきだったと思う.

『あの文面は嘘と言うのか、正しいと言うのか』
『あの文面は朝日新聞の記事と関係していると思うか、どうか』
『あの文面の取り消しを主張するのか、しないのか』

3.32年後に記事を取り消した『2014年検証』の問題点

朝日新聞においては、2012~2013年にも吉田証言に対する 調査を行っていたが、特段、紙面化する具体的な予定もないまま2014年を迎えた.しかし、同年2月中旬ころから,政府による河野談話の見直しが実際に行われることになった場合には、改めて朝日新聞の過去の報道姿勢も問われることになるとの危機感が高まり、慰安婦問題についての本格的な検証を行わざるを得ないとの考えが経営幹部を含む社内において強まってきたのだと言う.

そこで改めて本格的な検証作業に入る(いわゆる2014年検証)のだが、既に吉田証言については,1997年特集の際、「真偽は確認できない」と結論づけたことから、朝日新聞としては、これで事実上、訂正をしたと総括してきた.

しかしこれでは訂正したものとは到底見ることができず、吉田証言を「訂正していない」との強い非難を受け続けてきた.このような経緯から14年の検証では、97年の特集の内容を超える、より徹底し た検証が行われなければならなかったのである.

その結果、記事の取り消しに決まったのだが、謝罪する事は慰安婦問題全体の存在を否定したものと読者に受け取られるのではないか、かえって読者の信頼を失うのではないか等の意見があった一方、謝罪もなく慰安婦問題をこれまで通り報じていくのは開き直り
に見えてしまうのではないかという懸念も表明された.

最終的には,8月1日の経営会議懇談会を経て,吉田証言については、虚偽と判断して取り消す事とするが、謝罪はしない,1面の編集担当の論文で「反省」の意を表明するという方針が決定 した、と言う事だった.

そして,新聞発表になったのだが、記事の一部に事実関係の誤りがあったこと、問題の全体像がわからない段階で起きた誤りであり、裏付け取材が不十分だった点は反省するが,「慰安婦問題は捏造」との主張や「元慰安婦に謝る理由はない」といった議論には決して同意できない.戦時中、日本軍兵士らの性の相手を強いられた女性が、慰安婦として自由を奪われ、女性としての尊厳を踏みにじられた事が問題の本質であると、 訴える事としたのだと言う事だった.

①第三者委員会の見解

これに対し、委員会の見解は朝日新 聞の意気込みがうかがえるものである.それだけに、この発表は読者に対し何を訴えるかは、朝日新聞にとって極めて重要な意味を持つものだとしたのである.

しかし、論文は吉田証言を記事にするに際して、裏付け調査が不十分であったことを「反省します」と述べるにとどまって、「慰安婦問題の本質は女性が自由を奪われ、尊厳を踏みにじられた事である」との主張を展開し,他メディアにも同様の誤りがあったこ事を指摘するという論調であった.このような構成であった事が、読者に対し朝日新聞の真摯さを伝えられず、かえ って大きな批判を浴びる事となった、としたのである.

加えて、記事を取り消すに当たっては、取り消すか否かといった結論のみでなく、記事掲載に至った経緯や取消しの判断が2014年にまで遅れることとなった経緯も含めて検証すべきであった.これなくして、問題を真摯に受け止め、再発を防止しようとする朝日新聞としての覚悟を読者に示せるはずがないと指摘した.

この2014年検証では、そもそも、1982年9月2日付記事を掲載した後、吉田氏の証言内容について何らかの裏付け調査を行っていたかどうか、朝日新聞はそれをどう評価するのかについては書かれていないと指摘した.

又,1992年4月の秦氏や産経新聞の吉田証言について疑問が提起されたが,1997年3月の特集記事までの間、朝日新聞として検証を行わないまま、吉田証言を記事にとり上げ続けたことについて,今回の検証でも、説明もされていないと、朝日新聞の対応を批判した.

最後に、2014年の検証において,ようやく多方面にわたる調査を行い、吉田証言を虚偽と判断し、取り消すことにしたのだが,そもそも、この段階でなければならないと言う理由はないと,『対応の遅さ』の指摘と、『その理由』の説明がない、と批判したのである.

その結果、今日まで積み上げられた報道による社会的な影響の有無に関しても、朝日新聞の見解が示されていない、との指摘もした.

②私の感想内容

朝日新聞の2014年検証時、世間が朝日新聞側は、世間の指摘する内容は承知していっと思う.にもかかわらず、それに答えず、逃げている感じがした.又、委員会の指摘も、すでに、朝日新聞の記事取り消しを発表した時の世間の指摘とほぼ同じであって,これでは,委員会の意義がないと思ったのである.

私としては、すでに、疑問、問題、重大な疑念、が挙がっているのだから、その事に対して、徹底的に解明すべきだったと思うのである.この事が委員会の意義であり、目的だと思うのである.

そこで、改めて、うやむやにならない為に解明すべき、『朝日新聞事件の本質的問題』を挙げておきたい.

・裏も取らず、訂正もせず、結果的に嘘の記事を出し続けた事、
・広義の強制性があり、誤報は大きな問題ではないと言う論調がある事、
・慰安婦問題の消滅を恐れて謝罪しなかった事、
・軍による従軍慰安婦の強制の問題を慰安婦の人権問題にすり替えている事、

以上の事から、次の『重大な疑念』が生まれているのである.

朝日新聞の思想、主張に沿って、意図的に世論を操作しようとする報道姿勢があるのではないか、言い換えると、真実の報道より、自己主張を優先する報道姿勢があるのではないか.

・その報道姿勢が、『軍による従軍慰安婦の強制』を企画報道にし、裏も取らないキャンペーン記事を出しつづけた事に繋がったのではないか.

これが『朝日新聞事件の本質的問題』であり、この問題を第三者委員会が徹底的に解明すべきなだったのである.

もし、そんな事があったなら、朝日新聞の記事全体への信用が失墜するだけではなく、朝日新聞の存亡どころか『報道の自由を汚す重大な事件』になるのである.これを外した今回の委員会報告では、朝日新聞事件は終わらないのである.

繰り返すが、朝日新聞事件は従軍慰安婦の問題や慰安婦の人権問題ではなく、朝日新聞の報道姿勢が問われている問題なのである.朝日新聞が歴史認識を言う以前の問題なのである.

この問題意識が第三者委員会に欠けていた.冒頭に書いた第三者委員会の目的が定まっていない事とも関係していると思う.

4.朝日新聞の誤報道の影響

報道の影響を調べることは、元来無理があり、調べたとしても、主観的になったり、意図的になったり、断片的になったり、するのである.その事を承知の上で,第三者委員会のメンバーが各国の報道振りを定量的に調べ、所見を述べていた.

私の感じでは、国内外は、朝日新聞の報道を『やっぱり』と受け止めたと思う.戦時下で、あり得ると思われやすいからである.『まさか』と思った人は極めて少ないと思う.吉田氏、朝日新聞は、その心理を利用したと思うのである.

定量的調査の母集団を広げれば、影響は低い方向に出やすい事もあるが、折角調べるならば、朝日の報道を見た人に対し、事実と思ったか否かを調べるべきなのである.世論の心理からすれば、誤報であっても、ほぼ100%事実だと認識したと思う.それほど、政策や世論に影響があった事になるのである.

加えて、私が知りたかったのは、上記2.項で上げたが、米国の慰安婦像の文言が吉田証言、朝日新聞記事、と一致しているだけに、この文言への影響を調べて欲しかったのである.

5.朝日新聞および新聞業界がやるべき事.

総じて、第三者委員会の報告に新の発見はなく、すでに言われている指摘ばかりである.折角の委員会なのだから,すでに指摘されている問題に集中して解明して欲しかったと思う.

いづれにしても、朝日新聞事件の解明及び今後の対応は、朝日新聞及び業界の自浄作用を働かせて取り組むべきである.勿論、読者の反応も報道の健全化には不可欠である.

私見で言えば、朝日新聞においては、政治報道部門の分社化、休刊、あるいは廃刊もありだと思う.記事の問題を超えて朝日新聞の報道姿勢が問われているからである.

又、マスメデアに共通する事だが、各社は慰安婦報道に関する総括を行うべきである.なんだか、だんまりを決めている感じである.

特に大事だと思う事は、報道の姿勢である.客観報道の振りして主観報道をしないでもらいたいのである.新聞社なのだから、自分の考え方をベースに報道してもよいが、それならそうと、はっきり考え方を述べた上で、署名入りの主観報道をすべきなのである.勿論、嘘はダメである.

ところで、客観、主観の話だが、『坂道』に対し、坂の上に立ば、『下り坂』、坂の下に立てば.『上り坂』、真上の上空から見れば、『平坦な道』に見えるように、立位置によって、三つの真実がある.だから真実を言う時、立位置を言う事が大事になるのである.これが主観報道の基本である.ちなみに客観報道とは、この三つの立ち位置での事実を併記して言う事である.

6.私の最後の感想

釈迦に説法だが、記事には時として間違いがある.真実の報道に忠実なら、間違いに気づいた時は即時に訂正するはずである.

ところが,記事の裏を取らなかったり、間違いに気づいても、取り消さなかったり、32年後になって、取り消さざるをえなくなっても.全体の問題がなかった事になりかねないとして、謝罪はしない事にしたり、あげくに、本質的問題は女性の人権問題だ、と強制性の問題から論点をすり替えたり、全く、真実を伝えようとする姿勢が見えないのである.

このように、朝日新聞事件の本質的問題は,従軍慰安婦や人権の問題ではなく、朝日新聞の報道姿勢の問題なのである.この事を朝日新聞も調査をした第三者委員会も,認識しなければ,朝日新聞事件は解決しないのである.

そして,この認識に立てば、すでに私見を述べているように、朝日新聞の報道姿勢は,『自分の思想にそって、世論や政策を誘導したい』と言う事としか思えないのである.

この報道姿勢は,かっての戦争報道の反省からきているのか,韓国の反日運動との連動からきているのか、あるいは,思い込みの正義感からきているのか、不明であるが、いづれにしても、報道姿勢の根本的な見直しなしで,朝日新聞事件は終わらないと思うのである.

以前、橋下大阪市長が自分の事に関す記事について、その報道姿勢が問題だと指摘した時、『謝罪の仕方を知らない』と朝日新聞を強く叱責していた事があったが、ほかにも同じような問題があるのかもしれないだけに、うやむやにしてはならないと思うのである.

日本の報道の健全化の為にも、誤報道の影響を少しでも修復する為にも、朝日新聞の責任感と覚悟を見せて欲しいと思うのである.

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