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2015.03.26

391 自転車から見た道路交通法の問題

自転車の事故状況を調べてみた.平成25年度の自転車事故の状況を見ると、交通事故件数(12万件)の20%が自転車事故である.自転車事故の20%は高齢者、40%は子供・若者である.自転車事故の相手で見ると、対車が85%、対2輪車が6%、対自転車及び対人がそれぞれ2%程度である.自転車事故の原因は、曲がり角での出会い頭の衝突、一時不停止、信号無視、歩道での歩行者との接触、等である.当然のことながら、圧倒的に車道での事故がほとんどなのである.

一方、自転車事故防止の為に、平成24年11月に「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」が国土交通省道路局及び警 察庁交通局より道路管理者(直轄,自治体),都道府県警察に発出された.ガイドラインにおいては,自転車通行空間の整備に関し,交通状況に応 じて歩行者、自転車,自動車が適切に分離された空間を整備することが重要とされている.また,自転車は車道通行が原則であることから、車道上で自転車の通行空間を確保することが基本とされ ているのである.

ここで、まず、通行路の種類を簡単に整理をしておきたい.(実際は複雑な定義がある)

・車道とは車両の通行路(車、自転車,歩行者が通る一般道)

・自転車道とは車道と物理的に分離された自転車の通行路
・自転車レーンとは車道上に白線で区別された自転車の優先通行路
・路側帯とは車道の左側の白線より
路肩側の空間(歩行者通行用)
・歩道とは車道と物理的に分離された歩行者の通行路(双方向通行)
・自転車歩行者道とは自転車の乗り入れを可能とした歩道(双方向通行)

歩行者、自転車、自動車の分離された空間の整備を理想としたガイドラインがどこまで出来ているか不明だが、実感するのは、自転車レーンはほとんど見あたらない.路側帯は極めて狭い.ガードレール等で仕切られた歩道の設置は増えている.自転車歩行者道は新しい道路で作られているが、郊外の道である為、歩行者も自転車も、ほとんど通らない.と言った状況である.

ガイドラインとは程遠い状況で結局、車道での自転車通行が多いのだが,自転車通行者も自動車運転手も危険性を感じながら、ひやひやしながら、お互いが邪魔だと思いながら、車道を自転車が走っているのである.自転車は車が接近すると、緊張でよろけたり、転倒したりする危険性が高いし、子供や高齢者が車道を走ること自体、極めて危険なのである.

そんな危険な車道であるにも関わらず、『自転車が車道を走らないと、道路交通法で罰せられる』と言うのだから、道路交通法が自転車事故を誘発しているようなものである.自転車通行空間が未整備な道路では、とても、『自転車は車道をれ』と言えるわけがないのである.

そこで、日本の道路事情の中で、いかに,『市街地の自転車通行空間の確保が出来るか』がポイントになる.いくつか必要だと思う事を列記してみたい.


①街中の歩道への自転車の乗り入れ(車道での事故防止の為)
➁自動車と共有した自転車レーンの新設(自転車優先レーンの設置)
③路側帯の幅の拡大(自転車通行を可能にする為)
④自転車通行禁止車道の新設(繁華街等、車が混雑する車道)

どれも難しい問題だが,自転車の通行空間が少ない状況では、『自転車は車道を走れ』と言う道路交通法の原則は、何が目的なのか、誰の為にあるのか、が分らなくなるのである.

どうも道路交通法は事故防止の為と言うより、事故の原因や責任を決めたり,罰金を取る為に存在していると勘繰りたくなる事がある.この自転車の原則も同じ感じを受けるのである.現実を見た、事故防止優先の道路行政と、臨機応変の道路交通法を策定して欲しいと思うのである.

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2015.03.17

390 日本の新幹線輸出に思う事

3月14日の北陸新幹線の開通で、観光や日本の新幹線の話題が多い.新幹線の話題のほとんどは、日本の新幹線の技術が、いかに優れているか、と言う話である.

言うまでもなく、日本の新幹線は、多くの、長いトンネル,高架,カーブ,坂,等の日本独特の地形への対応、台風,豪雨,地震、豪雪,等,自然現象への対応もある.さらに、振動や音の小ささ、等の乗り心地、あるいは過密な運行への対応も、要請されているのである.普段、気づかない事だが振動を抑える事は乗り物疲れを防ぐ上でも大事な要件なのである.

日本の新幹線は、このような厳しい要件・要請に対応した技術やシステムの開発によって、安全性.高速性、快適性,が実現しているのである.一方で、日本の高速道路も同じだが、線路の建設には他国より数倍の費用と期間がかかっており,運賃料金は高いのである.

このように、技術の粋を集めた、世界に誇れる新幹線だが、輸出に当たって、留意しなければならない事がある.

いかに優秀な日本の技術を誇っても、トンネル、カーブ、台風、地震、豪雨、豪雪、或は過密な運行、などの対応が不要な新幹線には、その技術は不要だと言う事である.地平線まで、まっすぐなレールの上を走る新幹線に対して、日本の技術を自画自賛しても意味がないのである.

そう考えると、日本の技術が役立つのは,日本と同じような厳しい環境の新幹線と言う事になる.その分、世界のマーケットは絞られる事になるが、反面、地質調査に始まって,路線網設計,トンネルや高架、橋の建設、車両製造,運行システム,保守,人の育成、に至るまで、総合的に日本の技術やシステムが提供できるのである.

このような最先端の技術で実現している日本の新幹線だが、輸出においては影は薄いのである.現在の輸出の状況は台湾の高速鉄道だけである.日本の技術が中国に流出したとの話もあると言う.

一方,車両ビジネスで見ると,カナダのボンバルディア、仏のアルストム、独シーメンスのビッグ3が,世界シェアの50%以上を占めており、日本メーカーはニューヨーク、ワシントンの地下鉄車両、英国高速鉄道からの受注などの実績はあるものの、トータル1割程度にすぎないのである.ヨーロッパの車両規格が日本と全く違う事も原因のようである.

このような事態に,国内だけで自画自賛する日本人の視野の狭さ、国際市場に対する戦略性の弱さ、を感じてしまうのである.新幹線に限らず、これまでも、散々言われてきた日本の弱点である.

そして,ようやく、非ヨーロッパ、アジアでの新幹線をターゲットに、政府を含めたオールジャパン体制が始動し始めたのである.是非とも、相手国のニーズを捉えた上で、日本の技術を発揮できる市場をリサーチし,先手の提案を行って欲しいものである.新幹線は飛行機と違って,その地域の地形や自然現象に対応する必要があるからである.

従って、一方的に、日本の新幹線を自画自賛して、あげくに、『日本の技術の優秀性はわかるが、そこまではいらない』と言われないようにして欲しいのである.

相手国の実状を踏まえた提案によって、『日本の技術は我が国の新幹線に不可欠だ』と言わせたいのである.これは、新幹線に限ったことではないのである.

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