« 394 改めて一票の格差問題を整理する | トップページ | 396 高浜原発再稼働差し止め仮処分判決にみる疑問 »

2015.04.14

395 統一地方前半選結果と大阪都構想の行方

統一地方選前半戦の41道府県議選と17政令市議選は13日午前、全議席が確定した.今回の統一地方前半選はアベノミックスへの地方評価と,5月17日に大阪都構想の住民投を迎える大阪維新の会への評価、が注目された.

全国で見ると、

道府県議選(総定数2284)は,自民が1153議席(追加公認除く)を確保し、1991年の統一選以来24年ぶりに改選議席の過半数を占めた(得票率40%),民主は317人から264議席(得票率12%)になった..共産党は80人から111人(得票率8%)に躍進した.公明は169人(得票率8%)、維新と大阪維新合わせて70人となった.

同時に行われた10知事選では現職が全員当選.与野党対決となった北海道、大分とも自民、公明両党支援の候補が勝利しており、前半戦は与党の堅調ぶりが目立った.

政令市議選(総定数1022)は仙台、静岡、北九州を除く17市が対象.党派別では自民301、公明174、共産136、民主126、維新・大阪維新84、となった.

全国を総括すると,アベノミックスへの期待感が勝った結果となった.公明は相変わらず、政策と関係なしに、ほぼ全員が当選すると言う意味では、政治政党なのだろうかとの疑問を感じた.最大の変化は、民主の凋落,共産の躍進である.特に、民主は何を訴えていたのか、まったく聞こえてこない事が凋落の原因だったと思われる.

この結果について、読売新聞の報道によると、民主党の枝野幹事長は13日午前,国会内で記者団に『政権を失った2012年衆院選以来,マイナスからの再出発だったので,底打ちの流れは作れた』と語り,『党再生の足がかりになる』との認識を示した.

この発言に、枝野氏が官房長官の時の福島原発事故に関する発言を思い出す.当時、あまりにも責任感のない発言が多く,当ブログで批判したが、今回も、相変わらず無策のままの惨敗であっても、『底打ちの流れは作れた』、『党再生の足掛かりになる』と鼓舞しているのである.

きっと、『底は突いた、あとは再生のみ』と言う意味だと思うが、まるで、他人事である.自分の反省、責任、対策、など、自分のリスクになる事は一切言わないのである.福島原発事故対応とまるで同じである.政策もさることながら、性格を直さないと、『底なしの流れは作れた』、『党消滅の足がかりになる』と揶揄したくなるのである.

次に、大阪都構想の住民投票を控えた大阪に注目してみると,次の通りである.

・大阪府議選(定数88・過半数45)(前回定数109・過半数55)

(今回;維新42・自民21・公明15・共産3・民主1・無所属  6)
(前回;維新45・自民12・公明21・共産4・民主7・無所属12)


・大阪市議選(定数86・過半数44)

(今回;維新36・自民19・公明19・共産9・民主0・無所属 3)
(前回:維新29・自民18・公明19・共産8・民主6・無所属 5)

この結果について、大健闘した大阪維新の会の松井大阪知事、橋下大阪市長、の談話はこんな感じであった.(テレビ報道を参考)

『皆が嫌がる改革を進めて早5年.何とか、府議会、市議会の第一党になった.府民、市民のご理解に、心より感謝したい.同時に、立候補者の大健闘に、心より、敬意を表したい.しかし、それぞれの議会で、過半数を取れなかった事は、敗戦であり、大反省点である.』と.

中選挙区の下で、過半数を取る事のむずかしさを言わずに、5月の大阪都構想の住民投票に向けて、兜の緒を締め直す発言をしたのである.

注目の大阪都構想の行方

この行政の大革新の賛否を問う住民投票は我が国、初めての事になる.大阪市民にとっても、両陣営の政党にとっても、天下分け目の最後の激しい決選になる.特に、公職選挙法のようなルールはなく、ほぼ、なんでもありの戦いになる.又、住民投票の運営側も、初めての経験になる.

この大阪都構想の住民投票は,憲法改正の住民投票における、国民、政党、運営の貴重な経験にもなるのである

大阪都構想の賛否を決める住民投票の結果予想だが、今回の大阪市議選の結果から見える事は次の通りである.

①大阪府議選投票率45.18%、市議選投票率48.64%であった.
➁出口調査では大阪都構想の賛否はほぼ同数であった.
③大阪維新の会の府議得票率41.2%、市議得票率37.0%であった.


この値をそのまま住民投票に当てはめると、投票率48.6%、賛成 37%となり、都構想は頓挫する事になる.しかし、住民投票は賛成か反対かの2択であり、何人かの立候補者の中から選ぶ議員選挙とは違う事から、この値をそのまま当てはめるには無理があると思う.

そこで、市議会議員選挙に投票した人だけが住民投票をした時は、市議選で維新に投票した人は賛成に回るとして、賛成票はこうなる.

賛成票A=〔維新の会得票率37%]+[他政党候補支持者の都構想賛成者]

又、投票率が高くなった時は、このようになる.

賛成票B=[賛成票A]+[市議選に投票しなかった人の賛成票〕

逆に、住民投票率が48.64%より低くなった時は、

維新支持者の37%の人が投票するとすれば、他党支持者が投票しなかったとなる.その数如何で維新のの得票率は上がる事になる.それで50%を超えるかどうかである.

いづれにせよ、現在、アンケートによると、都構想の賛否は拮抗しており、これからの賛否両陣営の活動が注目されるのである.

大阪維新の会としては、

賛成票=[大阪維新支持者+アルファー]

で反対を上回る必要がある.この鍵を握るアルファー対策に言及してみたいと思う.

このアルファーの人は、賛否の理屈で判断するタイプではなく、性格的には、変える事に躊躇するタイプであるが、今回、この人たちの中で、賛成に傾き、賛成を投じた人がアルファーになる.

とすると、大阪維新の会としては、変える事に躊躇する人達に、いかに賛成してもらうかが大事になる.そこで、この人達には、

『変えなくても良いと思っている市民は多いと思いますが、大阪府と大阪市が一体となって,魅力ある大阪にして行く事に、是非とも力を貸してください.不幸せと言われている行政を終わりにしましょう』

もう少し言えば、

『狭い大阪で、同等の機能を持つ大阪府と大阪政令市がある事が不幸.260万人の住民に、一人の政令市長は無理.大阪全体の事を考える行政機構と、住民サービスの事を考える行政機構に分けて、機動力ある大阪、活力ある大阪を作りましょう.』

で良いと思う.大阪市を『分割]して、住民サービスの向上・・・と言う説明が多いが、『分割』と言うより、大阪府と『一体』になって・・・、魅力ある大阪の姿を示しながら、訴えるべきだと思うのである.

そんなわけで、未来を語る方がアルファーの拡大につながると思うのである.できれば、有識者が夢を語るのも良いと思う.橋下市長の孤軍奮闘だけでは、アルファーの人の心は動かないと思うからである.

変える事に性格的に躊躇する人に対して注意すべき事は、過去の悪かった事を挙げ乍ら、こうしたいと、理路整然と説得しようとする事である.これをやるほど,半信半疑になるからである.

反対陣営はどうだろうか.

都構想に反対するなら、現状維持が良い、或は、このようにしたい、と、はっきり対案を示すべきだが、今のところ、『批判はするが対案が無い』状態である.

そうなる理由は、『政令市の利権・利点を失いたくない』市会議員や業界と、『大阪市労働組合を分断されたくない』『日本一の職員厚遇を維持したい』と言う公務員の集まりだからである.

この既得権意識が大阪市260万人で市職員3.9万人、市長は職員の言いなり、と言う巨大な役人天国を作ってきたのである.(ちなみに横浜市は370万人で市職員2.8万人である)この既得権が長い間の大阪府と大阪市の2重構造を生んでいる元凶なのだが、それを守ろうとする以上、現状死守となり、建設的な対案など出せる分けが無いのである.

従って、この陣営の戦略は、変える事に躊躇する人に対して、『反対の投票をしよう』とのキャンペーンしかない.正面から都構想議論をしても、対案が無ければ、説得力が出ないからである.

『反対投票キャンペーン』が必要なのは、通常選挙では賛成投票はするが、反対なら投票所に行かないからである.選挙のように、賛成者しか投票所に行かなければ、投票率が落ちて、賛成得票率が上がるのである.

いずれにせよ、両陣営の激しいバトルが予想されるが、この両陣営の戦い方のマナーも評価の対象になると思う.

さて、投票結果の予想だが、

希望的観測で言えば、『大坂都構想の勝利』と言いたい.賛成の人は確実に投票する、はっきり反対と言う人も、投票する.この両方が拮抗しているので、躊躇している人の投票行動が決め手になる.結局、賛成に傾いた人は投票、反対に傾いたか、迷っている人は投票しない、と呼んだ結果である.

然し、僅差である事には変わりがなく、最後は、大阪人の政治への無関心さ、茶化して終わる性格、が働いて、折角の有史に残る大改革の機会を逃がす可能性もある.そうなると、残念ながら、『地盤沈下の大阪』を払しょくできないまま、続く事になる.

思い返せば大阪は、戦後以来,地盤が軟弱であった為か、都市計画の青写真が描けなかった.開発があっても、断片的、単発的であったと思う.2重行政の影響も大きかったと思う、大手のデベロッパー企業も育っていないのである.

その結果、私鉄、JR、市営、の鉄道網や道路網も、それらの沿線の開発も、ベイエリアの開発も、緑の多い公園作りも、バラバラになっているのである.殺伐とした街のイメージは今も変わっていないのである.

特に、私鉄駅周辺、JR環状線駅周辺の再開発は全く遅れている.又、阪急、阪神、近鉄、京阪、JR、地下鉄、の各路線は大阪から放射線状である為、郊外では、横の連携が出来ていないのである.都市全体の価値を損ねている原因だと思う.

もう一つ、大阪地盤沈下の原因として、多くの大阪発祥の企業が本社を東京へ移転した事である.大手企業の本社移転は、その取引会社も含めて、人口の大移動を起こして来たのである.同時に、家電の街大阪も世界的な技術変化や産業構造変化に淘汰され、今や見る影もないのである.大阪の官・民ともに、産業振興に手を打てなかったのである.

結果、東京への対抗心はあるものの、リーダーシップのある政治家も輩出せず、都市開発も大きく遅れ、犯罪の多い、子供の学力も低い、吉本芸人と、阪神タイガースで湧くだけの大阪、役人天国の大阪、になっているのである.

そんな時代背景の中で、大阪維新の会が台頭し、大阪都構想が生まれ、今まさに、大阪市民の審判が下されようとしているのである.

この重大局面で、大阪市民は、危機感を持ちながら、関ヶ原、以来、失われた大阪の政治意識を取り戻し、明治維新で長州、薩摩、土佐が動いたように、平成維新は大阪が動く、としたいところである.その気概なくして、大阪の未来の展望は開かないと思うのである.

大阪市民の皆さん、まさに『 CHENGE は CHANCE 』(GをCに変えるだけの同意語)であり、大阪にとって、『変えるリスクより、変えないリスクの方が大きい』と思うのである.

.

|

« 394 改めて一票の格差問題を整理する | トップページ | 396 高浜原発再稼働差し止め仮処分判決にみる疑問 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/134518/61434167

この記事へのトラックバック一覧です: 395 統一地方前半選結果と大阪都構想の行方:

« 394 改めて一票の格差問題を整理する | トップページ | 396 高浜原発再稼働差し止め仮処分判決にみる疑問 »