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2015.10.01

410 VW社の排ガス規制違反車をどうするのか

フォルクスワーゲン(VW)の排ガス規制違反事件が世界に衝撃を与えた.違反車が世界で1100万台になると言うのだが、どう対応するのだろうか.

多くに記事は、なぜ違反行為をしたのか、とか、企業ぐるみの違法行為だったのではないか、とか、ドイツはじめ世界の製造や経済に与える影響とか、該当車の販売停止が始まったとか、VW社はどうなるのか、とか.或は、排ガス規制違反は他の会社にもある、等の報道ばかりである.

しかし、現在排ガスをまき散らしている車に対し、世界各国は走行禁止にするのか、リコールを出すと言うVW社は排ガス規制に従った修理が可能なのか、更には、世界各国で起こると予想される、刑事訴訟(規制違反、詐欺など)や賠償訴訟(環境汚染、軽減税率、欠陥車購入者に対して)への対応がどうなるのか、など、の報道は聞こえて来ない.多分,問題が大きすぎて、一概に結論を出せないからかも知れない.何れにせよ、極めて深刻な問題が生じたものだと驚くのである.

ところで、車に限らず、昨今の世界規模で製造販売される製品は技術開発、コストダウン、の為に、グローバルスタンダード(デファクトスランダード)部品が流通している.又、独自部品をグループ内で共有しているケースも多い.従って、現在の物作りは、世界規模で展開されている部品製造と、最終商品に向けた,それらの組み立て製造で構成されているのである.まさに製造は世界規模のサプライチェーンで結ばれているのである.

このようなモノづくり形態になったのは、激しい技術の競争、コストダウン、マーケットの国際的規模の拡大、によると思うが、その結果、かつての産業の垂直統合・産業城下町による自前製造主義から水平分散・国際分業による調達製造主義に変わって行ったのである.

しかし、良い事ばかりではない.一番大きな問題は、障害や設計ミスの影響の大きさ、責任所在の不明確さ、あるいは、その対応(修理、賠償、等)のしにくさ、である.

例えば、共通部品に欠陥が発見された時、その影響は限りなく広がるのである.責任もその部品製造企業だけでは負いきれず、多くの製造、販売企業にも及ぶのである.中には、その部品製造会社がなくなっている事さえある.

購入者から見ると、いくら製造物責任制度があるからと言って、購入先にクレームを言っても、すぐに治るわけでもなく、それどころか、暖簾に腕押しで、らちが明かない事態になるのである.又、クレームを付けられた会社は、頭を下げてはいるが,腹の中では、我が社のせいではないと、思っていたりするのである.中には、製造社間で責任のなすりつけ合いとか、部品製造社がすでに存在していないケースもあり得るのである.

もし,世界に普及している部品が規制違反品であったとすると、その対応は、VW社事件よりもっと複雑になるのである.しかも、代替部品がない場合、その影響は計り知れなくなるのである.もし、影響の大きさから、使用禁止に出来ないと判断されれば、まさに、悪貨が良貨を駆逐する事になりかねないのである.

さらに言及すれば、ソフトウエアーの世界も深刻な問題を抱えている.VW事件や調達製造方式とは違うが、リスクの大きさ、影響の大きさ、からすれば、同じような問題を抱えているのである.

現在、利用者は,インターネットの上で、多くの便利なアプリケーションを無償・有償、違わず、使っている.しかし、そのアプリケーションを提供している会社がどんな会社か、処理しているサーバーやネットワークが、どこの会社のものか、そのサーバーやネットワークがどこにあるか、など全く知らないのである.アプリもサーバーもサービス提供も、利用者も、まさに、ボーダーレスの中で運営されているのである.

これをクラウドコンピューテングと呼んでいるのだが、例えば、こんなリスクが考えられる.

・海外のサーバーが外交カード(人質)になるリスクがある.
・海外のサーバーにある秘密情報、個人情報が意図的に盗まれるリスクがある.
・クラウドサービス会社にある機密情報、個人情報が盗まれるリスクがある.
・サービスに問題が発生すると、多くの利用者に甚大な被害を与えるリスクがある.
・アプリ提供社、クラウドサービス提供社のサービスの停止や倒産のリスクがある.

クラウドコンピューテングは、調達されたハード・ソフトの製品群によって、多くのサービスが提供されているのだが、利用者にとって、きわめて便利な反面、上記のようなリスクを背負っているのである.特に今後、インターネットがあらゆる機器と接続され(IOT:internet of thing )、ますますクラウドコンピューテング(ビッグデーター処理や自動制御など)が拡大する中で、安全性が求められるのである.

以上、VW事件、部品調達製造方式、クラウドコンピューテング、について今までにないリスクが存在している事を述べた.どれも、利用者で回避不可能なリスクだけに、世界規模で、関係企業はリスク対策に取り組んで欲しいのである.世界規模でのサプライチェーンが毒をまき散らすチェーンにならない為に.

 

 

 

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