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2015.10.01

411 安全保障関連法案への代表的な批判と私の感想

限定的集団的自衛権の行使を可能にし,自衛隊の海外での活動を拡大する安全保障関連法が30日,公布された.6カ月以内に施行される.

防衛省は,これに向け,自衛隊による米艦防護や、国連平和維持活動(PKO)での任務拡大に対処するため,武器使用基準の緩和などの作業を加速させる.

南スーダンでのPKO活動に派遣している自衛隊部隊に関しては、離れた場所にいる,文民要員を警護する「駆け付け警護」を任務として追加する方針.政府は法律施行後の来年5月にも実施可能とする方向で調整している.

この安全保障関連法案に対し、代表的な二つの批判を.あげてみたい.

■中国外交部の論評.

(ダイヤモンドオンライン(2015年09月25日掲載)より抜粋)

「戦後日本の軍事安全領域でこれまでになかった挙動」とし,日本は軍事力を強化し、専守防衛政策と戦後歩んできた平和的発展を放棄するのか」と中国外交部はコメントを発表した.

日本の安保関連法案をめぐる動向については,以前から中国でも取り上げられており、中国の民衆もこれに関心を向けていた.

「中国をターゲットにした法案」だと受け止められているため,中国では法案が可決されると同時に動揺が起こった.

人民日報は「安保法案を無理やり押し通す安倍政権,将来に無数の禍根」「安保法案成立,時代の流れに逆行する危険な動き」などと掲げ,これを牽制した.

一般市民からも「日本はこれから戦争を始めるのか」「世界大戦がまた始まるのか」などの声が上がっている.

国際問題の専門家も日米同盟の強化がもたらす中国への影響を懸念している.

「日米同盟の強化で米国は魚釣島にも介入し,日中両国による話し合いでの解決がいっそう困難になる.

台湾海峡での衝突に米国が武力介入すれば、国家統一の大きな妨げにもなる」(中国社会科学院アジア太平洋と地球戦略研究員)

「米国は日本を利用し,(日本列島,台湾,フィリピン,ボルネオを結ぶ)“第一列島線”の防衛を開始し,太平洋に出ようとする中国の海洋進出を封鎖するだろう.米国は第一列島線の防衛を日本とオーストラリアに負わせようとしている」(中国の海軍軍事学識戦略研究室研究員)

中国はこの法案を「安全保障上の新たな脅威,アジア太平洋地域の均衡を狂わすもの」と受け止めている.

→不遜ながら、私なりのコメント(反論)はこうである.

中國(外交部)は敗戦国日本の軍事力強化はけしからん、日本と米国の連携強化は、中國の覇権政策の邪魔になる、中日関係は悪化する、と述べている.

日米を分断させ、アジアに覇権を広げたい中国としては,極めて分かり易い論評である.それだけに,今回の安全保障関連法案は中国の覇権政策の抑止に効いているとも言えるのである.

一方、中国国民の反応は大間違いではあるが、反日思想・教育からすれば、これも又、わかり安い反応である.日本の武力行使の法的基盤が世界一抑制的で、限定的である事を知っていればこんな反応はしないと思うのだが、それだけに、『ナショナリズムで歪められた反日思想、教育の危うさ』を感じるのである.

しかし、あまりにも,ばかげた反応だと放置してはならない.独裁国家ゆえに、その内、わかるだろうと期待はできないからである.中國政府や中国マスコミの発表に、間違いがあれば、日本政府や日本のマスコミは堂々と反論すべきだと思う.『穏便な大人の対応』は通用しないのである.

習近平政権は一党独裁国家・非民主主義国家・富国強兵国家であるにもかかわらず、大国を自認し,米国と新しい大国関係を築き、世界秩序を作ろう(中華思想の影響か)と言うのだが,異常に感じる.

今や世界は民主主義や自由・平等と言った普遍的な価値観を物差しに動いているのであって、習近平政権はこれに逆行しているからである.中國国内でも一党独裁国家を批判する動きがあるように、大国を自認する前に、この潮流を取り入れる政治改革が、まず必要だと思うのである

中国の政治は王朝にしろ、共産党にしろ、独裁政治が続いている国である.民主主義を一度も経験していない国である.12億の民を統治する為に独裁政治が必要だとの考えかも知れないが、そうだとしても、中國の内政問題にとどめて欲しいのである.覇権主義、大国主義で他国を巻き込まないで欲しいのである.

■平和論者のカルトウング氏の論評.

(ダイヤモンドオンライン(2015年9月30日掲載)より抜粋.)

安保法制が憲法違反であると厳しく批判する一方,アジアの平和構築に向けて,北東アジア共同体の設立を提案するカルトゥング博士(平和学の第一人者)はインタビューで次のように論評した.

憲法解釈の問題ではない,つまり、安倍総理は憲法の解釈を変えているのではなくて、それを侵害している.憲法9条第1項は、国際間の紛争を解決するために武力を行使しないと謳っているからである.

はっきりと憲法に謳われているにもかかわらず、いわゆる集団的自衛権という旗を掲げて,世界で最も好戦的な国・米国と共同行動を取ろうとしています.それはまさに戦争を国際間の紛争の解決策として使うということを,宣言していることになる.

日本が集団的自衛権を容認し,米国との同盟関係を強化すれば,もっと危険な状態になると思う.結果、軍拡競争が起こり、戦争に導く要因を増大させる.

私が言う積極的平和では、平和に向かって共同作業をしようという平和である.戦争に向かって協力関係を築こうというのは大きな問題だ.私たちとしては、核の傘というようなものではなく、平和の傘を広げようと言っているわけだ.

→不遜ながら、私なりのコメント(反論)はこうである.

カルトウング氏は『安保法制は憲法違反だ』『安倍総理は憲法第9条1項を侵害している』と言う.

私から見ると、カルトウング氏は、

・自衛権も日米安保も、違憲だと言うのだろうか、
・或は、自衛に限った集団的自衛権が違憲だと言うのだろうか、
・又,限定的な国際平和活動はどう考えているのだろうか,

・日本と各国の武力行使の法的基盤の大きな格差に触れないのはなぜか、
・だから憲法を変えろと言うのだろうか、変えてはいけないと言うのだろうか,

このように、氏が安全保障のあり方をどう考えているのか、さっぱりわからないので、国語的に言っているだけの様に感じるのである.違憲論者にも抱く疑問と同じである.

そう感じる理由は、『じやどうすればよいのか』と言う本来的な主張が見えないからである.氏が社会・政治学者なら、これを言わなければ無責任だと思うのである.

氏の言う『北東アジア共同体の設立』と構想も、日本あるいは各国の武力行使の法的基盤をどうしろと言うのかも見えないのである.武力行使の法的基盤が大きく違っていても、共同体の設立が可能だと言うのだろうか.

更に氏は、日本が集団的自衛権を容認し、米国との同盟関係を強化する事は、憲法で禁止している国際紛争に巻き込まれる事になるし、軍拡競争が起こり、戦争に導く要因になる、と主張しているが、今回の法案は世界で言う集団的自衛権(相互に自衛)ではなく、日本の自衛に限定した集団自衛である事から、氏の主張は間違っているのである.

又、氏は一般論として、同盟を結ぶことが、緊張を高めるとの考えのようだが、国連憲章の集団安全保障や集団自衛に反対なのだろうか、平和は一国では作れない事をどう思っているのだろうか、不明である.

最後に氏は『戦争に向かって協力関係を築こうと言うのは大問題、平和に向かった協力関係を』と言うが、理念としては正しいと思うが、日本は、戦争に向かって協力関係を築こうとしているのではなく、『戦争抑止に向かって協力関係を築こう』としているである.

そもそも日本の武力行使の法的基盤は今回の安保関連法案でも、限定的集団自衛と国際貢献に限った、しかも、必要最低限の範囲である.現憲法では、国連憲章の集団的自衛活動や集団的安全保障活動も出来ないくらい、武力行使を抑制しているのである.この法的基盤でどうして、日本が戦争に向かって準備をしている等と、言えるのだろうか.

氏の言う事が正しいとすれば、国連憲章を認めた国連加盟国はすべて、戦争に向かった準備をしている事になる.ならば、日本に言うより、国連や世界国々に日本並に武力行使の法的基盤を小さくするよう説得すべきなのである.平和は日本だけでは作れないからでである.

人類誰しも,平和を望み,その為に、戦争もして来たと思う.この戦争のリスクは残念ながら、現在も続いているのである.この戦争のリスクをどうしたら縮小できるかが、人類の最大の課題になっているのである.そんな中で、世界の主要国は、国家間の交流を深めたり、国連活動を展開したり、集団安全保障や集団自衛で,戦争の抑止に取り組んでいるのである.

私のカルトウング氏に関する勉強不足かも知れないが、氏に対し、不遜ながら『平和に向かって協力関係を』と詩を歌って自己満足している人に見えるのである.対案が見えないからである.従って、氏を論評する事に煩わしさ、さえ感じるのである.平和主義者を自認する人に感じる苛立ちさと同じである.

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