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2015.11.27

417 ふるさと納税制度の存続にかかわる大問題

当ブログNO393で『ふるさと納税』の法的疑念を発信したが、年末を控えて,税額控除と特産品目当ての,ふるさと納税が過熱しているので、再度、問題点を発信したい.

昨今,寄付金に対し,還元率が100%を超える返礼品を出しているところもある.地方自治体としては他地域からの寄付金だから、還元率が100%でも、腹は痛まないし、地方企業にとっても財源が何であれ,商品が売れれば助かるのである.

この,ふるさと納税制度は平成20年度から地方の活性化を目的にスタートした.平成27年上期の寄付金額は全国で453億円(前年同期比 3.5倍)だと言う.還元率競争激化とともに伸びているのである.

人気が急速に高まっている事を受けて、政府は更に寄付を拡大する為に、手続きの簡素化、寄付上限の引き上げ、企業版の検討、などが考えられていると言うのである.

このふるさと納税制度の概略は次の通りである.

①寄付金(2000円を除いて)を税控除対象とする(主に住民税)
②納税者は返礼品(特産品)目当てに,該当自治体に寄付をする(上限あり)
③寄付金で地元特産品を購入し,寄付者に寄付のお礼として特産品を贈る.

(図はクリックすると拡大)
Photo_2
この制度は、地方が寄付金で特産品を買って、寄付者にお礼として特産品を返すと言うだけなら、物販と同じである.ところがこの寄付金(2000円を除いて)は税控除されると言う事から、居住地の税控除金で地方の特産品を買って,寄付者にお礼の特産品を返す事に変質するのである.

寄付者は寄付しなかったとした時の納税額より、2000円が負担増になるが、この2000円で特産品がもらえるように見えるのである.しかし、その特産品の代金は,居住地の税金(税控除額)で払っているのである.

この事を広く周知徹底させず、一部のテレビでは、年末の大バーゲンセールの様に、あたかも、2000円で高額な特産品が手に入ると吹聴しているのである.

この制度を利用して地方の事業に寄付をすると言う、まさに真のふるさと納税もあるようだが、ほとんどが特産品目当ての寄付である.

以前にも発信しているが,この制度がさらに拡大しようとしている今、再度、この制度の存続にかかわる根本的な問題点を指摘しておきたい.

①この制度の寄付金は国語的にも、税法的にも、寄付ではない.

・返礼品(見返り)付の寄付は寄付とは言わない.
・ましてや、高い還元率の返礼品は寄付のお礼とは言えない.贈与である.

・寄付者はふるさとへの寄付が目的ではなく、特産品の取得が目的である、

②特産品をあげるから寄付をくれ、寄付をくれたら税控除する、は違法行為だ.

お礼(特産品)をあげるから寄付をくれ、は贈賄罪、寄付でもない金額を税控除すれば脱税である.又、還元率の高いお礼は贈与であり,贈与税を払わなければ脱税である.

このように、見返り付寄付を税控除対象に出来るなら、税法で言う寄付控除の意味が曖昧になり、税の公平性が失われるのである.どうして、こんな簡単な事が許されているのか,理解できないのである.

総務省は、寄付金と返礼品は別の事象であり、お礼(返戻品)の内容は自治体の判断だとしている.あくまでも、寄付は地方活性化の寄付だと言いたいようである.

この理屈が通るなら、通販の特産品購入も地域活性化の為とすれば、その代金は寄付になり、2000円を除いて、税控除の対象にできる事になるのである.

この違法な制度への保身か、総務省は他人事の様に,自治体の返礼品競争の過熱に自粛を要請しているのである.しかし,返礼品がお礼ではなく,贈与に当たるから税控除出来ないとか,見返り付寄付金は税控除出来ないとか、この制度の根幹にかかわる問題には触れていないのである.

③この制度は課税の公平性を無視している.

ふるさと納税した人と、しない人、で返礼品額分、実質納税額に差が出る事から、この制度は明らかに税の公平性が失われているのである.又、高額納税者は多額の寄付(税控除)が可能になり、2000円で多額な特産品が手に入れる事が出来る事も大きな不公平を生むのである.

この制度を利用しない人の中に、居住地の税金で地方の特産品を買う事に反対している人もいるかもしれないのである.

又、この制度の運用で、自分の居住地にふるさと納税を認めないと、税控除の公平性が失われるのである.

④税金で一般商品を買って、安く配る事は税金の使途としては許されていない

公共財でもない商品を買って、個人に安く配る事は、個人資産に税金を使う事になり、許されていない.近年になって、やっと、災害見舞時のみ、これを認めるようになったくらいである.従って,一般商品を税金で買って,2000円で配る当制度は税法の根幹にかかわる問題になるのである.

⑤地域活性化策としても疑問である.

税金で商品を買う事が、通常の通販ビジネスや一般の物販の足を引っ張りかねない.又、このまま,ふるさと納税制度を拡大すると、ますます地方企業は農業や建築土木業と同じように、税金依存体質を強めて行く事になる.

そんな事で、地方の展望が開けるのだろうか.自力で地域特産品を内外に打って出ている企業の芽をつぶすかもしれないのである.

要は経済原則に反する政策・制度は悪貨が良貨を駆逐するように、経済全体に悪影響を及ぼすのである.勿論、そんな政策・制度はいつか破綻するのであって、その前に、手を打たなければならないのは当然である.

この制度を考えた人は、財務省の腹も痛まず、地方自治体も、地方企業も、寄付者も喜んでいると、自画自賛していると思うが,税制度面の検証や地域の持続的産業振興の視点が全く欠落していると思う.この制度が税法にも触れず、しかも、持続的な地域振興になっているかどうか、拡大する前に、検証が絶対必要だと思う.

問題点は以上の通りである.これに対し、私見は次の通りである.

税制は決め事だとしても、論理の整合性、課税の公平性、或は、公金の使途、を無視してはならないし、それを無視している,現ふるさと納税制度は即刻、廃止すべきだと思う.

同時に、地方税、交付金、と整合した、真のふるさと納税制度(納税者による特定事業や自治体への寄付)の拡大策を考えるべきだと思うのである.

又、地域活性化策においては、一時的な救済と言った経費の視点ではなく、リターンを意識した投資の視点で再考する必要がある.プレミアム商品券や地域創生交付金も同じである.

以上,『ふるさと納税制度』は、ふるさとでもなく、納税制度でもなく、寄付制度でもなく、地域活性化策でもなく、単に、地域活性化と称して、税金で商品を買う制度であり、しかも、税法で許されるわけもなく、即刻廃止すべきだと発信したのである.

こんな指摘をする人は私だけかもしれないが、早急に検証を要する大問題だと思うのである.

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