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2016.05.21

431 舛添都知事の政治資金私的使用疑惑の核心

舛添都知事の海外出張費高額問題や公用車私的使用問題に続いて,今度は国会議員時代の政治資金不正使用疑惑が発覚した.

先の兵庫県議の政務活動費不正使用が大きな話題になったが、今度は、国会議員、都知事両方における公私混同疑惑である.

まず週刊紙に掲載された舛添氏の国会議員時代の政治資金不正使用疑惑は

・2回の正月家族旅行を会議費で計上

・何回かの家族飲食を会議費で計上

であったが、これに対し、舛添氏は記者会見で、家族旅行先のホテルで会議を行ったので会議費として計上した、しかし、家族の費用が会議費に含まれているので、全額、取り消す,家族との何回かの飲食を会議費で計上していた件は事務方の計上ミスであり、取り消すと説明したのである.

この説明に対し、2回の正月の家族旅行費について,会議の実態の説明を拒んだ事から、会議などなかったのではないか、私的費用を政治資金で支払う為に、宛て先を政治団体にし、費用の但し書きに会議費としたのではないか、との疑念が深まったのである.事実なら、領収書の偽装、収支報告書の虚偽記載、政治資金の不正使用(詐欺)になるのである.

また、家族との飲食も、事務方のミスで計上されたとして、取り消すと弁明したのだが、領収書の宛先が政治団体と書かれ、但し書きが会議費となっていれば、事務方のミスはあり得ないのである.これも同じように、私費を会議費としたのではないか、との疑惑が深まったのである.事実なら,これも、領収書の偽装、収支報告書の虚偽記載、政治資金の不正使用(詐欺)になるのである.

この記者会見後、次々と政治資金の不正使用疑惑が挙がった.

・オークションによる100回を超える美術品の購入、
・購入した車の資産計上回避偽装と別荘での私的使用、
・自宅に設けた事務所の高額な家賃,
・本人の似顔絵付の饅頭を大量購入(お土産として配れば公職選挙法違反)

・政党政治団体から個人政治団体への政党交付金の移動(寄付)、

そして5月20日の定例記者会見で舛添氏は、これらの疑惑毎に説明を求められたのだが、それに答えず,ひたすら『第三者の政治資金規正法の専門家が公正で厳しい調査を行った後、説明したい』と繰り返したのである.

舛添氏は個々の疑惑に自分が答えるリスクを避ける為に、調査期間を取って、世間のブーイングを沈静化させる為に、さらに、調査結果にもとづく、いくつかの訂正をして,幕引きをする為に、このような発言を繰り返したと思われるのである.

しかし、疑惑を指摘された案件が私的費用であれば、領収書の偽装、収支報告書の虚偽記載、政治資金の不正使用(詐欺)になるのである.今回の会見で、この疑惑に対する説明責任を果たしていないとして、舛添氏の政治家としての資質が問われる事態になったのである.

常識人なら、『私はこの様に判断して計上した、その計上が間違っていたかどうか、再度、点検したい』と言うはずである.そして、『再度の点検の結果、こうであった』と説明すると思う.その説明が納得できるかどうかは、都民や専門家の判断になるのである.

この一連の知事の言動に、誰もが,『自分の行為を,他人が調査してから、説明する』と言うのだから、重責な東京都知事をやる資格がない、と感じたと思う.自ら『政治家の資質が自分には無い』と言っているようなものである.

そこに、重大な問題に直面した時、自分の意見を言わず,他人に言わせる、と言う、典型的なインテリの保身本能を感じるのである.勿論、そんな人は政治家失格である.

この2回の記者会見で、舛添氏の資質、信頼は大きく崩れ、辞任要求の声も高まっているのである.加えて、さらなる疑惑が発覚するかもしれないのである.そんな中で、舛添氏のシナリオをよそに、都議会や政党でポスト舛添対策が取り沙汰されているのである.

ところで政治資金規正法に詳しい専門家は何を調査するのだろうか.

記者会見で調査の内容を説明しなかったが、誰が考えても、調査の核心は領収書の偽装の有無と偽装があれば、誰が偽装を指示したかである.

勿論、領収書の偽装があれば、政治資金収支報告書の虚偽記載、政治資金の不正使用あるいは架空使用になるのである.

この調査を舛添知事は弁護士や会計士、等の専門家にやらせると言うのだが、あくまでも私的な調査であり、どの程度の調査力があるか疑問である.

本当に調査するなら、司法や議会の公的な調査権が必要である.いずれ,その必要性が出てくると思が,マスコミや都民が公開されている領収書に対して、偽装・偽造があるかどうか、鋭い目でチェックする事が必要だと思う.もともと、政治資金の不正使用を抑制する為に、領収書が公開されているのだかから.

次に、ザル法と言われている政治資金規正法について考えて見たい.

政治と金の問題が出る度に、政治資金規正法がザル法だからと言う意見がでる.確かに政治資金規正法では政治家がいろんな支出に対して、政治活動費だと言えば合法になるからである.

しかし,上記の様に、明らかな私的支出を政治家が政治活動費だと偽装すれば,領収書の偽装、政治資金収支報告書の虚偽記載、政治資金の不正使用、架空使用、あげくに、詐欺の罪に問われるのである.

これだけではなく、政治家の資質や信頼が厳しく問われ、政治生命も失うのである.過去に、説明に窮して自殺した政治家もいるのである.

政治資金規正法は一見、なんでもありのザル法に見えるが、虚偽があれば違法になる.言い換えると、ザル法ゆえに政治家の資質が見えやすくなるのである.従って、公開された領収書の厳しいチェックが大事となり、それが不正抑止になると思うのである.

それでも、政治資金の使用内容に厳しい規制をかけるべきだとの意見がある.しかし,禁止する使途内容や公私の区別を法律で定義する事は極めて困難である.又、細かく規制する事は政治活動を狭めるか、虚偽を誘発する事になりかねないと言う問題もある.

又、収支報告書に虚偽があった時の政治家,会計責任者の連座責任や罰則強化を主張する人もいるが、政治生命にかかわる事であり、選挙と言う住民の判断に任せるべきだとの意見も根強い.

一方、明らかに、規制すべき事がある.政党交付金の入った、政治資金を他の政党政治団体や個人政治団体に寄付する事である.公金が個人に流れたり、政党の離合集散が起こる都度、政治資金がどこに流れたか不透明になる問題である.資金の移動に関しては、一旦、国庫に返金する事を検討すべきだと思う.

ところで、政治生命を落とすくらい重要な事を、何故、政治家は繰り返すのだろうか.幾つか類推してみた.

①私的費用を計上しても、ばれない,ばれても言い訳が立つから、
②政治活動も費用も公私一体だ、と言う感覚があるから、

③自分の歳費(給与、期末手当)が足りないから、
④政治資金の裏金を作りたいから、(私的領収書の流用)

だろうか.どう考えても、理由が幼稚で希薄である.もっと深刻な理由があるのだろうか.解せない事ばかりである.率直に言って、世界的にも多くの公費を政治家は貰っていて、どうして’せこい’事をするのか理解できないのである.

そこで,国会議員に支払われる公金を整理しておきたい.こんなに貰っているのである.

所得税がかかる給与(歳費)は退職金を除いて,年間約2200万円である.
・月額歳費約 130万円、
・期末手当、約 635万円、
・退職金

所得税のかからない手当(政治活動費)は年間約6000万円である.
・文書通信交通費手当月額一人当たり100万円(領収書不要)年間1200万円,
・会派が受けとる立法事務費一人当たり65万円(領収書不要)年間780万円、
・政党交付金、一人当たり年間4000万円(政治資金収支報告書必要)
・旅費及び手当(実費精算)

このように、国会議員に支払う金はすべて税金であるが、使途が問題になるのは、政党交付金である.文書通信交通費,立法事務費一人当たり年間2000万円は歳費と同じような扱いで、使途が問われない、しかも、所得税がかからない、第2の歳費になっているのである.

この世界の中でも最も多い歳費、手当に対し、次の議論がある.

・政党交付金は実質、選挙資金になっている、減額すべきだ.
・文書通信交通費や立法事務費は廃止すべきだ、
又、次のような根本的議論もある.
・議員数を大幅に減らすべきだ、
・参院のあり方を考え直すべきだ、

真に民主主義の代議政治をやる為の、二院制の可否、政治家の数、一票の格差、政治家の歳費、政治活動費の公費負担、をどうすべきか、今、問われているのである.

いっその事、政治資金は私費と寄付で賄え、それなら、議員数が多くなっても、何に使っても構わない、と言う衝動に駆られるのである.

 

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