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2016.06.29

438  参院選挙でまた始まった護憲運動

参院選真っただ中で、一部野党は、又、いつもの様に、『平和憲改定反対』と叫んでいる.9条を根拠に平和憲法だとしているようだが、,ふしぎな事に『自衛権と自衛隊を廃止して,非武装にしよう』とは言わないのである.平和憲法死守と叫んでいれば票がもらえると思っている感じである.何十年も同じ事を言っているのである.

その主張が功を奏しているのかわからないが、70年間、日本国憲法は凍結状態であり、70年間、国民投票もなく、一度も憲法改定の経験もないまま、現在に至っているのである.

ただいま、憲法無変更期間の世界新記録更新中である.ドイツやイタリア等は頻繁に憲法を変更している事からすれば、.この新記録は海外から、自分で憲法を作る能力がない、民主主義が定着していない、或は、憲法に興味がない、と揶揄されるのである.だとしたら、ワースト世界新記録である.決して、70年間も変更の余地がないほど立派な憲法で素晴らしい、との評価ではないのである.

ところで、憲法問題について、素人なりに、『NO412日本国憲法の問題点』(2015年10月4日)を発信している.その内容を、久しぶりに読み返してみたが、なるほどと、自分でも関心しているのである.勿論、専門家の語りつくされた指摘があると思うが、私は改めて憲法を丁寧に読みながら、問題点を洗い出してみたのである.

この内容を読んでもらえば分るのだが、国家政策の視点ではなく,条文間の論理性や国語的視点で問題点を列記しているのである.

①安全保障について

前文で、平和を愛する諸国民の公平と信義に信頼して、第9条の戦争放棄、非武装を制定しているが、諸国民とは、どこの国を言うのか不明だが、信頼がなくなった時、どうするのか、なにも触れていない事に驚くのである.

この事も、ブログで触れているが、多分、諸国民とは戦勝国のことを言い、戦勝国を信頼して、丸腰になる、と言う意味だと思う.マッカーサーが日本の無力化と米軍駐留を実現する為に指示して書かれた文言だが、朝鮮戦争で日本の無力化は間違いであったと非難され、アメリカのご都合主義が露呈したのである.

吉田総理はマッカーサーの指示を受け入れれば、賠償のない形で独立が出来る、日本は復興に専念できる,と考えたのである.そして、憲法の改定は独立後、日本がいかようにも変えられると考えたのである.

そんな経緯の中で、国防の規定もない、国民に国を守る義務もない、憲法を守る義務もない、憲法が制定され、今日まで続いているのであ.この憲法は米国占領下であり得ても、独立国としてはあり得ない憲法になっているのである.

吉田総理の宿題を放置してきた結果である.憲法作成にかかわった米国担当者も、独立後、当然、改定されると思っていただけに、一文字も改定されていない事に驚いていると言う.

今更ながら、世界のどこに、『国防を考えていない憲法』があるだろうか,『国防を考えていない憲法は欠陥憲法で無責任憲法だ』と思うのは私だけではないと思う.果たして日本国民はどう考えているのだろうか.

現在、自衛権と自衛隊が存在しているが、憲法で国防の規定がない為、自衛行為をする為の有事法制がないのである.これでは実質、自衛活動が出来ない事と同じである.その為にも、国防を憲法に規定しなければならないと思うのである.

護憲を言う人たちは『国防を考えていない憲法』を『平和憲法』だ、と言い『国の安全保障は不要』だと言っているに等しいのである.それが成立するのは、世界の国が非武装になった時くらいである.残念ながら現実にはあり得ないのである.

それでも現在の憲法に固辞すると言うなら、日本ではなく、先ず、近隣諸国に非武装を説得したらどうだろうか,非武装は日本だけでは成り立たないのである.

このように、国防を規定した普通の憲法にする事は必要であるが、同時に、個別自衛、個別的集団自衛、集団的自衛、或は、世界の安全保障へのかかわり方、等、の日本の安全保障のあり方について、遅ればせながら、国民のコンセンサスを形成する必要があると思う.

そこで、各党は少なくとも、次の問いに答える事で国民に、その方向性を示し,民意を集約して行くべきだと思うのである.

①日本が加盟している国連憲章は集団的安全保障、集団的自衛権を認めているが、賛成ですか、反対ですか、反対なら、国連脱会すべきですか.

②自衛隊は必要ですか,不要ですか、必要とした時、憲法を改定すべきですか、しなくても良いと思いますか.不要とした時、国防はどうしますか.

日米安全保障条約は個別的集団自衛の一つの姿ですが、賛成ですか、反対ですか,反対の時,②はどうなりますか.

④自衛隊を必要とした時、個別的集団自衛活動に賛成ですか、反対ですか、賛成の時、憲法を改定すべきですか、改定しなくとも良いと思いますか.

⑤将来、国連憲章にある集団安全保障活動、集団的自衛活動ができる憲法にする事に賛成ですか、反対ですか.

⑥武力行使に関して、抑制的な日本にとって、なんでもありの近隣諸国の法律は脅威になりませんか.

大きな方向として、これくらいの事は各政党が考え方を述べ、国民に選択肢を与えるべきだと思うのである.、また、マスコミも各政党の考え方を整理して報道する事も必要だと思う.

そして、大枠の方向について、国民の賛同を確かめた上で、改定条文の策定、国会発議の際の改定条文の選択、をしなければ、憲法問題は前進しないのである.表面的な『憲法改定に賛成・反対』だけでは、それでどうするかもわからず、国民の選択肢にならないのである.

➁安全保障以外の条文について

昨年のブログでは上記安全保障関連以外にも、条文や条文間の論理矛盾、条文の翻訳ミス、国民の義務の欠落、米国草案の一院制から二院制に変えた時の修正漏れ、全体として、つぎはぎで、唐突な箇条書き、等々,おかしな箇所を洗い出している.その多さに,これが70年間も保持してきた日本の憲法かと、改めて愕然とするのである.

政治家、憲法学者は何をしているのだろうか、そんな事はどうでも良いと言うのだろうか,或は,おかしな箇所がないと言うのだろうか.先ずおかしなところを直そうと言う考えがないのだろうか、或は、国会発議のハードルが高い(3分の2)せいで、文字の修正すら出来ない、と言う事なのだろうか.

いずれにせよ、憲法の不備については、即刻修正案を国会が発議し、国民投票をする必要がある.国民が初めての憲法改定に参加する意義も大きいし、立憲主義が色あせない為にも必要だと思う.国策と連動した憲法改定より前に,まず、憲法改定の経験をする意義も大きいと思うのである.

③国民投票のあり方について

当ブログは、この問題にも触れている.憲法を国民の物にする為には,発議内容にもよるが、国民投票実施までの期間、選挙運動のあり方、投票の期間、投票の仕方、賛否の表し方(新条文単位か一活か)、等々、通常の選挙とは違う、多くの課題が残っているのである.

更に言えば、改定が決定した時の既法律の改定や新憲法の実施日の設定、等の課題もある,このように、国会発議後にも、課題は多く残っているのである.この準備も、発議がある無しに係わらず、やっておく必要がある.とにかく、憲法改定には、初めてならではの課題が多く残っているのである.これらも、忘れてはならない準備である.

④最後に憲法改定に思う事

憲法改定問題について、不備による『憲法修正』、国策による『憲法改定』、実際の『国民投票の課題』を述べて来た.そんな事を言いながら、穏便に先送りが得意な日本の国民性からすると日本の憲法は無変更期間100年と言う金字塔を立てるかもしれないと、頭をかすめるのである.

その時には、確実に、日本国憲法は現実と乖離した歴史遺産になっていると思う.同時に、憲法解釈を広げながら、現実に対応せざるを得なくなっていると思うのである.

そんな記録を作らせない為に、憲法の無変更期間を最長10年とし、それまでに、何らかの憲法改定内容で国会発議をする、との国会決議をしたらどうだろうか.そうでもしない限り、日本の憲法は死んで行くと心配するのである.

本来、立憲主義を守る為にも、憲法改定に真剣に取り組むべきだと思うのだが、今、立憲主義を叫んでいる人は、憲法改定反対の人である.その人たちは、憲法無変更期間100年達成を盛大にお祝いするのだろうか.憲法を経典と勘違いしているのかも知れない.

いずれにせよ,日本は有史以来、『国民の手で憲法を制定していない歴史』を今日も続けているのである.民主主義は手続きの制度だが、海外から揶揄されるように、民主主義を軽んじていると言われても返す言葉がないのである.大日本帝国憲法を作った伊藤博文は『民意の危うさ』に悩んだと言う.現代の政治家も,民主主義に不安を感じているのかも知れない.

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