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2016.09.04

444 築地市場から豊洲市場への移転に思う事

就任1ケ月の小池都知事は11月7日に予定されている築地市場の豊洲への移転を延期すると発表した.来年の1月予定されている水質検査を待って、改めて、移転計画を作るとしたのである.

東京オリンピックの選手村(晴海)と環状2号線をつなぐ未着工道路,数100メートル(築地市場の敷地部分)の建設の為に、水質検査の完了を待たずに,築地市場を移転する事は見きり発車だ、として移転延期を決断したのである.

何故,築地市場を11月7日に移転しなければならないのか、虎ノ門から豊洲までの5キロで何故、総事業費4000億円もかかっているのか、も不可解だとしているのである.

こてに加えて、豊洲市場の運用性の問題、交通アクセスの問題、不透明な巨額の費用増加の問題、情報公開不足の問題、等、疑問点が多く、このまま、見切り発車できないとした事も延期の理由に挙げたのである.

ところで、築地市場は1935年(昭和10年)中央卸売市場として開設された.その後、建物の老朽化や手狭になった事もあって,東京都は,築地市場の再整備に取り組んだ.しかし,営業中の再整備は難しく、2001年、再整備を断念、2004、市場の豊洲移転計画を策定した.そして2007年,就任した石原都知事は築地市場にアスベストが使われている事も理由に挙げ,豊洲への移転を決断した.

ところが、2008年、豊洲(東京ガス工場跡地)に大規模な土壌汚染問題が発覚した.これに対し,豊洲移転を白紙に戻すのではなく、巨額の費用で土壌改良事業を実施する事としたのである.そして,2010年,都議会で豊洲移転が決議されたのである.

その後,土壌改良費用,豊洲市場建設費用が増加の一途をたどり、結局、総額で,2011年段階で3926億円であった予算が、2015年には5884億円にまで膨れ上がったのである.

その主な内訳は、土地購入費1859憶円、建設費が990億円から2747億円、土壌改良費が586億円が858億円に、工事費が370億円から420億円である.

特に,建設費は坪単価 220万円になり、世間相場の50万円から60万円に比べて4倍ほど高い建設になっているのである.何故,そんな事になっているのか,誰もがその原因を聞きたくなるのである.

移転が2か月に迫った段階での小池都知事の延期の決断は大きな問題が起こるのだが、それでも、小池知事は上記のような多くの疑問点をもったまま見切り発車できないとして、延期を決断したのである.

同時に小池都知事は都政の自立改革を進める為に、都庁部局、外部の専門家による都政改革本部を9月1日発足させた.都民ファースト、情報公開、税金の有効活用を目的として、先ず、この豊洲移転問題と、これも又、膨大な費用増になっているオリンピック関連事業も取り上げて,プロジェクトチームを編成し、懸念事項の解明と都政の改革を進めるとしたのである.

この都政改革は政権交代時しかできない取り組みだが,当然、これまで都政を牛耳ってきた自民党都連との大バトルが始まるのである.

さて、当面の築地移転問題がどんな形で決着するか、極めて注目されるところだが、マスコミ等の報道を参考に、私なりの心配事、そもそも論も含めて、いくつか挙げてみた.(勿論、充分な検討が行われ、心配はないと言う事かも知ないが)

①今後とも、豊洲市場の一極集中化に問題はないのか.
②豊洲市場に築地市場なみのブランド力が付くのか.
③築地と豊洲の市場外食品街は共存できるのか.
④豊洲の交通アクセスに問題はないのか.
⑤豊洲の海水禁止や床積載荷重制限,耐震性能に問題はないのか.
⑥地震による液状化で土壌汚染問題が再発しないのか.
⑦巨額な費用をかけて東京都の独立事業が成り立つのか.

先ず①の卸売市場の一極集中への懸念だが.

全国の卸売市場は東京一極集中やスーパー等の大口顧客の産地契約、或は、相対取引、消費者への産地直送によって、市場の集荷量、セリの扱い量は減少の傾向にある.特に地方の卸売市場は存亡の危機に直面しているのである.(市場経営の収入はセリの手数料,賃料)

こんな情勢の中で、築地移転の話ばかりが話題になるが、卸売市場の東京一極集中を続けて良いのか、このままでは、東京一極集中市場も斜陽になって行くのではないか、と懸念されるのである.巨額に費用を投じた豊洲市場が10年後、無用の長物、赤字の垂れ流しになるのではないかと、頭をかすめるのである.

そんなわけで、卸売市場は農業・漁業の2次産業化、食品流通の変化、グローバル化、冷凍・輸送技術革新、ネット社会、等を見据えて,今後の食品流通全体の構造変化をどうとらえているのか、気になるのである.もし、豊洲市場が,これまでの大艦巨砲主義の発想だけで作られたとしたら,戦艦大和になってしまうかもしれないのである.

次に②の豊洲市場のブランド力の懸念だが、

築地から豊洲の移転は、文化の側面で言えば、日本古来の平屋の仕切りのない広場で、戸板商売する集まり(いちば文化)から、ショッピングモール風の仲卸商売に変わる事を意味している.従って、黒山のような人だかりと熱気に満ちた築地の雰囲気が,そのまま豊洲に引き継がれるわけがないのである.

それどころか、むしろ、築地と豊洲は全く別物であって、豊洲には独自のブランド力の構築が求められていると考えるべきだと思うのである.

今のところ、豊洲の巨大な建物は食品の集荷・仕分けのビルにしか見えないのだが、これでは新たなブランドにはならないと思うのである.ただハッキリしている事は築地市場の文化が消える事だけである.

次に③の市場外食品街の懸念だが、

築地の市場外食品街は残ると言う.都心に隣接した立地と歴史を手放せないのは当然である.一方、豊洲市場にも市場外食品街が計画され、テナントを募集している様である.しかし、都心から離れたところに食品街が栄えるだろうか、懸念されるのである.

最後に⑦の豊洲市場経営の問題だが

豊洲市場は他の市場と同じように、独立事業のはずだが、収支計画、採算計画、巨額な投資に対する回収計画、はどうなっているか.一言で言うと、豊洲市場経営は成り立つのだろうか、それとも、築地市場跡地の売却で、元が取れると言う事なのだろうか.さっぱり見えないのである.

これまでの投資額の増大を見ると、豊洲市場は独立事業ではなく、一般の公共施設の建設として進めているように見えるのである.

そうだとすると、小さな予算でスタートし、後は随契で業者の要求によって予算を増やして行くと言う、利権の手法がまかり通るのである.

以上、懸念される事を述べたが、是非、プロジェクトチームの精査に期待したい.同時に,小池都知事の東京大改革(都民ファースト、情報公開、税金の有効使用)の取り組みによって、都政の改革が進む事を期待したい.

更に、大阪、名古屋、に続く、この東京大改革は全国各自治体の改革に波及する事を期待したいのである.地方再生は地方政治・行政の改革なくして出来ないと思うからである.

 

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