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2016.09.10

445 重国籍者の政治,行政への係わり方を考える 

9月15日の民進党代表選に出馬している蓮舫民進党代表代行の二重国籍疑惑が急速にクローズアップされている.もし,蓮舫民が重国籍だったとすると,永くそれを否定しながら、国会議員になったり、大臣になった事は、違法だったのではないか、政治資質的も問題ではないか、と言った声が湧き起っているのである.

蓮舫氏は1967年11月28日,台湾の貿易商である謝哲信氏(中華民国籍)と日本人の斉藤桂子氏の間に東京で誕生した.当時は日本も台湾も国籍法で父系優先主義を採用していた為,日本国籍を持たずに台湾籍となっていた.蓮舫氏が日本国籍を取得したのは日本が女子差別撤廃条約を批准したことで国籍法を改正した1985年のことだと言う.

蓮舫氏は日本国籍を取得時、台湾国籍の放棄手続きをしており、二重国籍者ではないと公言し、国会議員や大臣に就任し、今回の党代表選挙にも立候補しているのである.それに対し、蓮舫氏は重国籍者ではないかとの指摘があって、今更ながら,台湾に国籍の有無を確認すると言うのである.

そこで、現在の法律で,二重国籍がどう扱われているか国籍法を調べてみた.

二重国籍保有者(混血で二つの国籍を保有している場合、日本国籍を取得したが、一方の国籍の離脱が出来ていない場合)について、国籍法14条では,22歳まで国籍の選択を求めているのだが,国籍法16条1項では外国の国籍の離脱は(相手国の事情や本人の事情を考慮して,やむを得ない場合がある事から)努力義務としているのである.

ただし、22歳まで、以前の国籍を離脱しないと、日本国籍は失う事も有る、と定めている.現実は、離脱しないまま、二重国籍を保持し続けている人も多い様である.そこで、現法制度の問題点を整理してみたい.

日本の国籍法の基本は二重国籍を認めておらず、二重国籍保有者が期限までに他の国籍から離脱しないと、日本国籍を失うことがあると記述とされているものの、他国の国籍離脱は努力義務としている事から、二重国籍は合法か、違法か、曖昧になっているのである.海外では二重国籍を認めている国が多いが、公職(政治家や公務員)には制約を付けている様である.

選挙権や公職の条件について、法律では『日本人である事』となっている事が多いが、日本の国籍と他国の国籍を持つ人(二重国籍者)も法律で言う『日本人』になるのかはっきりしていない.

結局、法律の曖昧さがあって、二重国籍者は法律で言う日本人だから、政治家や大臣や首相になっても合法だと言う考え方と,日本国籍法の基本は、二重国籍を認めていないのだから、法律で言う日本人とは日本国籍だけを持っている人を指し、公職に就くことは違法だと言う考え方がある.

又、他国の国籍からの離脱期限が過ぎていても二重国籍を持っている事は国籍法違反であり、日本国国籍が消失される事も有るのだから、国籍法違反者は公職につけないと言う考え方もある.

更に言えば、利益相反の防止の観点から、重国籍者はマナーとして政治家にならないと言う常識を無視している、と言う考え方もある.ちなみに、国家公務員は暗黙の内に二重国籍者はダメと思っていると言う.

一方、はっきりしている法律もある.地方公務員の人事委員会規則で、基本的に「外国籍の職員については、公権力の行使に当たる業務又は公の意思形成に参画する職に就くことができない」としている法律.又,外交官に,二重国籍保有者(外国籍保有者)はなれないと言う法律もある.

このように、総じて、ニ重国籍者の扱いが不明瞭なのは、 血統主義で島国の日本は、帰化一世とか重国籍の人の政治や行政への係わり方について、考えて来なかったのではないかと推測されるのである.

或はこの問題を知りつつ、議論を避けてきたのかも知れない.しかし,このまま,放置できない問題だと思うのである.

そこで,改めて問題を整理すると.

二重国籍を認めるのか、認めないのか.
二重国籍を認める時、選挙権、公職への係わりをどうするか.
帰化一世の選挙権、公職への係わりをどうするか.
日本国籍取得条件が今のままで良いのか、

現在、政治家や役人に重国籍の人や帰化一世の人が、いるかもしれない.それだけに、この問題に、早急に結論を出すべきだと思うのである.

各国の法律を調べていないが、帰化する時の条件(国家への忠誠とか、家系図の提出とか、テストとか、共住年数とか)によって、重国籍や帰化一世の人達の公職への係わり方が違うい様である.

多民族国家で、国籍取得が生地主義(親がどこの国の国民であろうと、子は生誕地の国籍を持てる.一般的には大航海時代以後に移民により国家が形成された国での採用が多い)の国は重国籍を認めている事が多いが、公職への係わり方に制限を付けているようである.ちなみに、米国では帰化一世は大統領になれないと言う.又、州によっても、公職への係わり方が違うようである.又、米国内に帰化人が集まって,大きな政治勢力になっている事も問題になっている様である.

日本人の血統主義(国籍取得において、親のどちらかの国籍が子の国籍となる.一般的には,大航海時代以前から国家が形成されていた国での採用が多い)の文化からすると、特に,同じ血統主義の中國、韓国との重国籍や中国、韓国からの帰化一世の人が、日本の政治や行政に係わる事に正直、違和感を持つ人がいると思う.日本,中国、韓国、の血統主義同士は相互に排他的だと言う感情が背景にあるからだと思う.

又、日本では、中國、韓国からの帰化人であるとか、重国籍であるとかを,あまり口にしなかったり,日本名を名乗っていたりする事も、こんな感情があるからかも知れない.

法律の上でも、帰化人、重国籍、帰化一世を区別する事から逃げているようにも感じるのである.その結果、法律が曖昧になっている感じがするのである.

さらに、日本は徴兵制もなく、日本への忠誠宣言もなく、皆保険も適用される等、日本国籍取得のメリットは大きい反面、取得のハードルは低く、重国籍の扱いが曖昧で、国益と外国籍との利益相反の防止も,極めて無防備になっているのである.

蓮舫氏の二重国籍疑惑の問題もあるが、もっと本質的には、二重国籍を認めるのか、認めないのか、二重国籍者を認めた時、公職への就任に、制約を付けるのか、付けないのか、をはっきりさせる事である.はっきりした法制化を期待したい.

追伸(16・09・16) 

蓮舫氏は民進党の代表選終盤の9月13日、かねてから台湾国籍を放棄していると言っていた事に対し、台湾では除籍されていないことが分かったと発表したのである.

改めて、台湾籍の除籍を申請すると言うが、結果として、これまでの国政選挙も、国会議員及び大臣への就任も、そして、今回の民進党代表選の立候補も、二重国籍を持ったままであった事になるのである.

そして、9月16日、蓮舫氏は民進党代表選に勝利し,二重国籍を持った政治家が党代表が誕生したのである.このまま,総理大臣を目指すのだろうか.

この事態に対し、民進党内部から、これでは国民の信頼が得られない、そもそも、サポーター投票終了後に二重国籍を表明した事は代表選挙は無効だと言う人もいるようである.

そこで、重国籍者を党代表に選んだ民進党、及び,結果的に嘘を言ってきた蓮舫氏に、いくつか聞いてみたいことがある..

蓮舫氏は永い間、台湾籍を離脱していると公言し、国会議員、大臣にも、従事していたのだが、台湾籍離脱の確認もせず、離脱の努力もせず、国籍法違反ではないのか、嘘を言い続けてきたのだから,経歴詐称になるのではないか、公職選挙法にも違反しているのではないか、ごめんなさい,では済まないと思うのだが、蓮舫氏や民進党の見解を聞きたい.

維新の党が二重国籍者の公職への係わり方に利益相反の防止の観点で、何らかの制限を付けるべきだとして、法案を準備していると言うが、民進党は、これに賛成か、反対か,見解を聞きたい.

民進党が、二重国籍者の公職への係わり方に制限を付ける事に反対と言うなら、2国間の利益相反防止をどう考えるのか、制限のない国はあり得ないと思うのだが、見解を聞きたい.

蓮舫氏が再度、台湾国籍の離脱を申請するとしているが、二重国籍者に制限を付ける事に反対なら、申請する必要がないと思うが.或は、国籍法違反で日本籍を失う事を恐れてか,今後、制限が付く事を想定しているからか,それとも、全く別の理由があるからだろうか、この点も、蓮舫氏に聞いてみたい.

これは法務省に聞きたい事だが、蓮舫氏は実は中国籍になっているのではないか、だとすると、中國は二重国籍を禁止しているので、蓮舫氏が日本国籍を取得していた事は、中國から見て中国の国籍法違反者になっているのではないか.そこで、中國は蓮舫氏の中国国籍の離脱を認めるのか,認めないのか,逆に、日本国籍の離脱を求めるのだろうか.

いずれにしても、公職に重国籍者がどう係わる事が出来るのか、それによる『日本人』の定義が変わるのだが、大きな議論になると思うのである.



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