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2016.09.16

446 豊洲市場の新たな問題と埋立地利用への警鐘

築地市場から豊洲新市場への移転(11月7日)に関して,小池都知事は,水質検査の終了前の移転は安全性確保から見て,納得できない.加えて、豊洲市場の運用性,交通アクセス,不透明な巨額の費用増加、情報公開不足、等にも疑義があり、見切り発車は出来ないとして移転延期を決断した.

この時点で,豊洲新市場への私なりの懸念事項をそもそも論も含めて、NO444で発信した.

その後、移転延期で、大騒動になったのだが、その矢先、敷地の3分の1(13ヘクタール)にあたる建物の地下に、高さ4.5メートルの空洞があって、全面、盛り土がされていない事が発覚した.

誰が、いつ、どんな理由で、土壌や建物の構造を変えたのか、それを公表しなかった理由は何か、汚染や建物の安全性は大丈夫か、都庁関係者の説明がないま、騒動がさらに大きく広がって行ったのである.

この事態に、小池都知事は、次の体制で、総点検をする事にしたのである.

豊洲市場問題プロジェクトチーム(再立げした専門家会議と連携)

①完成した土壌、建物の再総点検(汚染、地盤沈下、耐震性、運用性、等)
②豊洲市場問題点の解決策の策定
③環状2号線の築地地区道路建設の見直し
④豊洲移転計画の策定
⑤豊洲市場の経営計画の総点検

東京都庁の卸売市場部門(体制強化)

①豊洲市場建屋の下に空洞を作った理由と意思決定の経緯
②全面盛土(嘘)を広報し続けた理由の精査
③卸売り各社への補償対策
④豊洲市場追加予算策定


都政改革本部(都庁幹部、外部委員)

①情報公開総点検と改善

②五輪施設計画の総点検(費用,設備の代替策)
③内部統制(五輪、豊洲市場、他の不正取引の総点検)

いろんな難題が起こると、素人の感覚だが、そもそも、ガレキの埋立地で、しかも、汚染にまみれた東京ガス工場の跡地を卸売市場の場所として選んだ事体が間違いだったと思わざるを得ないのである.

素人でもわかる豊洲の不適格性を挙げておきたい.

①たとえ汚染問題を技術力で、完全に抑え込めたとしても、汚染土壌の上に、生鮮食品市場がある事自体があり得ないのである.いくら、汚染対策技術で汚染問題を解決したとしても、どうして,そんな場所に、6000億円もかけて作ったの、と聞かれるだけである.誰もそんな市場は評価しないと思うのである.

②選定当時、敷地の広さ、築地との距離の近さ、交通の利便性、を比較して、豊洲の東京ガス工場跡地に決めたようだが、安全の上でも、風評の上でも、最も重要な土壌汚染が比較項目から抜けている事に、意図的な選定を感じるのである.

③しかも、豊洲に決定後、土壌汚染のひどさが発覚しても、白紙に戻さなかった事も大きな間違いだったと思う.資金も投入していない段階であり、引き返せたと思うのである.それとも、引き返せない理由があったのだろうか.結局、続行し、汚染対策で858億円を投入する事になったのである.この段階で、何故、白紙にも戻さなかったのか、きっちり精査する必要がある.一度決めた事を白紙にしない行政の習性をただす為のも、この精査は重要である.

いずれにせよ、すでに豊洲市場が完成している段階で異論亜問題が噴出している現段階では、もはや、続行も撤退も地獄の様相を呈している.築地市場の存続も移転も地獄である.

豊洲を選んで、しかも、初期の段階で白紙撤回しなかった付けが、現在の地獄を招いていると思うのである.『何事も始めが肝心』 とは良く言ったものである.

現実的には、問題解消に取り組み、豊洲市場の開場に持って行くしかないと思う.しかし,築地の敷地売却収入があっても、市場事業経営は赤字の垂れ流しになる事や豊洲ブランドの低下、集荷量の低下、仲卸業者の撤退、巨大設備の遊休化、は覚悟しなければならないと思うのである.

さて、豊洲市場の総点検がこれから始まるが、『大山鳴動して鼠一匹』を画策する人も、『鼠100匹』にしたい人も、暗躍すると思う.都政改革本部や豊洲市場問題プロジェクトチームは冷静に、徹底した調査をし、その内容によって、その後の対策を立てて欲しいものである.

ところで、全国の埋立地の利用に関して、豊洲問題は、大きな警鐘を鳴らしていると思う.

狭い日本は海の埋め立て土地を創出してきた.埋め立てが本格化したのは高度成長期である.各地の臨海工業地帯で 埋め立て造成が進み,代表的なものとしては,大阪南港,川崎の東扇島、長崎空港、神戸のポートアイランド゙・神戸空港,関西国際空港,横浜八景島,和歌山マリーナシティ,中部セントレア空港などがある.

東京湾で言えば、東京湾は遠浅の内湾であり,江戸時代以降の後背地の人口増加に伴って、海を埋め立て、土地を創出してきた.江戸の発展に埋立地は大きく貢献してきたのである.東京湾の埋立地 の現在の利用状況を見ると,コンビナートなどの重工業地 帯,住宅団地,テーマパーク・海浜公園・ホテルな どの大都市リゾート,港湾などの物流施設,空港等の交通施設,商業務用地など,様々である.埋立地は様変わりである.

そこで、これらの埋立地を分類すると三つある.

①廃棄物の捨て場所として埋め立てられ、その後、工場等に利用している所
②利用目的を持って埋め立てをし、土地利用している所
③埋立地が都市的土地利用の場所に変貌している所

今話題の豊洲は,もともとは1923年(大正12年)の関東大震災の瓦礫処理で埋め立てられた.この埋め立て地が豊かな土地になるように,将来への発展の意味も込めて1937年(昭和12年)7月に“豊洲”と名付けらた.

豊洲はその後、工業地として発展して行た.20世紀前半までに、石川島播磨重工業などの工場、新東京火力発電所(もとは東京電力ですが、廃止後は新豊洲変電所)などの他に様々な流通設備が立地し,その関係者向けの商店、社宅等も立ち並んだ.

今話題の豊洲新市場の敷地(40ヘクタール、40万㎡)は、ここにあった東京ガス(石炭からガスを作る工場)の跡地である.したがって、豊洲市場の敷地は①から③になった埋め立て地だと言う事になる.

そんなわけで、全国の埋立地は何を埋めたかで、当初,利用制限があったと思うのだが、年月の経過で、都市的利用(住宅、商業施設、工業施設、好況施設、公園、ゴルフ場、駐車場、道路、鉄道、等)が可能な土地になっている感じがする.

一方、埋立地は当然と思われる現象が発生する.

・陸の気象ではなく海の気象であったり,
・塩害が発生したり,
・常に強い風が吹いていたり,
・植えられた植物が生き生きしていなかったり,

・浅海域の自然環境が喪失していたり,
・軟弱な土壌の為、地盤沈下や液状化を起こしたり,
・甚大な津波被害が発生したり

・埋め立てに使われた廃棄物や工場廃棄物で土壌が汚染されていたり,
・人工的で無機質な土地柄であったり.

従って,豊洲問題は全国の埋立地の再利用に対して、『慎重にせよ』、『利用制限をせよ』と警鐘を鳴らしているように感じるのである.

一方、埋立地を含む、土壌汚染問題が多くなる傾向の中で、東京ガスによる土壌汚染問題が引き金になって,『土壌汚染対策法』が,2002年(平成14年)に成立したのである.

そこで、土壌汚染対策と豊洲市場の関係を調べる必要があるが、先ず、豊洲市場の経緯(築地の再整備に400億かけて推進していた後の経緯)をまとめてみた.

1998年07月 豊洲移転案浮上(築地跡地売却益、湾岸開発の為?)
1999年04月 石原都知事(一期目)就任
2001年01月 東京ガス調査結果(ベンゼンが環境基準の1500倍)
2001年04月 都の審議会が豊洲移転を答申、築地再整備断念
2001年07月 都と東京ガスが基本合意

2001年12月 都が豊洲の東京ガス工場跡地への移転を決定
2003年02月 土壌汚染対策法成立
2004年07月 豊洲基本計画策定(市場協議会)

2005年03月 農林水産省が新市場の整備、築地市場の廃止を決定
2006年03月 ゆりかもめ(株) 市場前駅と命名
2007年03月 東京ガスが豊洲の土壌汚染対策完了

2007年04月 石原知事(三期目)就任
2007年04月 石原知事 豊洲移転を正式に決定

2007年05月 都が専門家会議設置(土対法による汚染状況再調査)
2007年10月 都が再調査結果発表ベンゼン基準値の1000倍)
2008年05月 都が詳細調査結果発表(ベンゼンで4万3000倍、シアンが860倍)
2008年07月 都が絞り込み調査結果発表(シアン930倍)
2008年07月 専門家会議が最報告書提出(敷地全域に盛土案)

2008年08月 都が工事に関する技術会議設置
2009年02月 技術会議が報告遺書提出(敷地全域に盛土案)

2010年04月 土壌汚染対策法の大幅改定
2011年03月 11日、豊洲市場設計予算都議会で可決(1票差)
2011年03月 11日、都議会終了後、東日本大震災発生(豊洲地区液状化)

2011年03月 土地の売買契約(559億、東京ガスは78億汚染対策費負担)
2011年03月 豊洲市場の仕様書作成(モニタリングキット明記)
2011年06月 豊洲市場の設計図作成(盛土なし,地下ピット付建屋)

2011年08月 土壌汚染対策工事に着手(586億から849億に増加)

2012年12月 猪瀬都知事就任
2013年09月 東京オリンピック誘致決定

2014年02月 舛添都知事就任
2014年02月 豊洲市場の建設に着手(1360億から3167億円に増加)
2014年11月 都は土壌汚染工事完了を技術委員会に報告
2015年07月 移転日確定(2016年11月7日)
2016年05月 豊洲市場の主要設備・建物が完成

2016年08月 小池都知事就任
2016年08月 移転延期を決断、都政改革本部、豊洲市場問題プロジェウトチーム発足
2016年09月 
建物の地下が盛土がなく、空洞であった事を小池都知事が発表
2016年09月 都政改革本部、豊洲市場問題プロジェクトチームに全面総点検を指示

この豊洲市場の土壌汚染問題が,どのように『土壌汚染対策法』をかいくぐって来たのか不明だが、土壌汚染、環境汚染の問題に取り組み、環境大臣(2003年~2006年)も経験してきた小池都知事は、当然、土壌汚染対策法や環境アセスに精通し、これを基に,豊洲市場の安全性に徹底して追及して行くと思われるのである.

 

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