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2016.09.22

447 豊洲市場問題の釈明予想と意思決定への提言

前ブログで記載した豊洲市場開発の経緯(築地の再整備に400億かけて推進していた後の経緯)を、ここにも掲載しておきたい.

1998年07月 豊洲移転案浮上(築地跡地売却益、湾岸開発の為)
1999年04月 石原都知事(一期目)就任
2001年01月 東京ガス調査結果(ベンゼンが環境基準の1500倍)
2001年04月 都の審議会が豊洲移転を答申、築地再整備断念
2001年07月 都と東京ガスが基本合意

2001年12月 都が豊洲の東京ガス工場跡地への移転を決定
2003年02月 土壌汚染対策法成立
2004年07月 豊洲基本計画策定(市場協議会)

2005年03月 農林水産省が新市場の整備、築地市場の廃止を決定
2006年03月 ゆりかもめ(株) 市場前駅と命名
2007年03月 東京ガスが豊洲の土壌汚染対策完了

2007年04月 石原知事(三期目)就任
2007年04月 石原知事 豊洲移転を正式に決定

2007年05月 都が専門家会議設置(土対法による汚染状況再調査)
2007年10月 都が再調査結果発表ベンゼン基準値の1000倍)
2008年05月 都が詳細調査結果発表(ベンゼンで4万3000倍、シアンが860倍)
2008年07月 都が絞り込み調査結果発表(シアン930倍)
2008年07月 専門家会議が最報告書提出(敷地全域に盛土案)

2008年08月 都が工事に関する技術会議設置
2009年02月 技術会議が報告遺書提出(敷地全域に盛土案)

2010年04月 土壌汚染対策法の大幅改定
2011年03月 11日、市場設計予算都議会で可決(1票差)
2011年03月 11日、都議会終了後、東日本大震災発生(豊洲地区,液状化)

2011年03月 土地の売買契約(559億、東京ガスは78億汚染対策費負担)
2011年03月 豊洲市場の仕様書作成(ビルの下に空間がある事を明記)
2011年06月 豊洲市場の設計図作成(盛土なし、地下空間を明記)

2011年08月 土壌汚染対策工事に着手(586億から849億に増加)

2012年12月 猪瀬都知事就任
2013年09月 東京オリンピック誘致決定

2014年02月 舛添都知事就任
2014年02月 豊洲市場の建設に着手(1360億から3167億円に増加)
2014年11月 都は土壌汚染工事完了を技術委員会に報告
2015年07月 移転日確定(2016年11月7日)
2016年05月 豊洲市場の主要設備・建物が完成

2016年08月 小池都知事就任
2016年08月 移転延期を決断、都政改革本部、豊洲市場問題プロジェウトチーム発足
2016年09月 
建物の地下が盛土がなく、空洞であった事を小池都知事が発表
2016年09月 都政改革本部、豊洲市場問題プロジェクトチームに全面総点検を指示

先が見えない豊洲市場問題が連日,大騒ぎになっている.これまでの多くの指摘が正しいのか不明だが,問題の根幹にある意思決定の仕方、組織のあり方、について提言したい.

そこで先ず,都庁の意思決定の仕方、組織の実態、を見る為に、大問題になっている下記問題に対する都庁の釈明を聞きたいのだが、いまだ、公表されていないので、こんな風に、正直に言うのではないかと、想像して書いてみた.

勿論、釈明内容は違うかもしれないが、意思決定の仕方、組織のあり方、の問題点は共通すると思う.

①何故,東京ガス工場跡地を選んだのか、の釈明.

既に、豊洲地区を選んだ理由を明らかにしている.その理由は

・長年、築地市場の老朽化問題が議論されてきた中で、築地移転が決まり、いくつかの移転先が候補に挙がった.そこで、次の項目で評価し、豊洲に決定した..

㋑築地に近い事  ㋺敷地が40ヘクタール取れる  ㋩交通アクセスが良い事、

大問題の汚染問題は日本の技術で解決できるとして、比較項目から外した.決して,豊洲ありきの選定ではなかった.

本当は公に言えないが、次の理由だったかもしれない(全くの想像だが).

・築地市場の移転は土地の売却で資金を得る事が目的だった..
・売却資金で湾岸開発の赤字(5000億)や東京銀行の赤字を消す予定だった.
・東京ガスとの売買に,何らかの裏取引があった..
・食品卸売市場の風評や豊洲ブランドを作る事に、何の興味も持っていなかった.

②何故、ビルの下に盛土ナシの地下空間を作る事にしたのか、の釈明.

善意に想像すると、こんな理由を挙げるかもしれない.(建築部門の釈明)

・ビルの基礎工事の為に盛土をしなかった.
・ビルの下の空間は配管類のメンテ、汚染発生時の対応の為に必要だった.
・高架道路の下にビル間の通路を作る為、地下空間にした(高床式不可).
・13ヘクタールの面積が盛土不要になり、コスト削減、工期短縮になると考えた..
・この設計は建物の設計であって、汚染対策の設計は土木部門の仕事と考えた.

この釈明は説得力あるが、出来上がった地下空間が耐震上、汚染対策上,問題はないのか、の検証はされていない.

③何故、地下空間案を、土木部門、専門家会議と協議しなかったのか、の釈明

・上記の理由で、建設部門は、地下空間を作る事は当然と考えて、相談をしなかった.設計は日建設計と詰めて決めた.

・しかし、土木部門、専門家会議、技術委員会に報告と相談をしなかった事は大いに反省している.

④この大変更を、何故、公表しなかったのか、の釈明.

(正直に言うなら、こんな感じの釈明になるかもしれない.)

・全敷地盛土と言う事で安全性は確保できると公言していたので、盛土なしの地下空洞に変更した事を公表すると,豊洲市場の汚対策が不完全だと思われ汚染問題がぶり返される恐れがあった.

・ぶり返されると築地市場跡地の売却豊洲市場移転環状2号線の貫通築地地区の再開発豊洲地区の再開発等が大幅に遅れる事で大きな影響が予想された.追い打ちをかけるように東京オリンピックが決まった事で,一層公表するタイミング失い速やかに移転する事に専念した.

・もし,豊洲市場開場後建屋の下に空洞がある事が発覚した時、『万が一建てやの下に汚染が出た時それを除去する為に空洞にしてあると説明すれば理解が得られると考え公表しなくても、問題はないと考えた.

・しかし安全の為に全面盛土を公表し納得を得ていたにもかかわらず今日まで全盛土がない事を公表しなかった事は行政として大問題であったと反省している.又、不信感を持てれた事に深くお詫びしたい.

あるいは)

・建設部門としては,地下空間を作る事は常識であり、変更したという意識はない.従って変更を公表するのは全敷地に盛土をするとした土木部門が行うべきだった、と釈明するかもしれない.

水質検査が未完了のまま、何故、2016年11月7日を移転日にしたのか、の釈明

・2016年5月に豊洲市場が完成するので、移転日を11月7日に決定した.又,水質検査は土壌汚染対策法の規定でやっているのではなく、独自にやっている検査であり、完了前に移転する事は違法ではない.過去7回の検査で問題が無かった事で、日程の都合を優先して決めた.

本当は公に言えないが、次の理由だったかもしれない.

・東京オリンピック関連工事(環状2号線工事、等)や築地移転後の開発工事の予定から、11月に移転する必要があり、何とか、これに答えようと考え、11月移転を決めた.

⑥空洞を設けた設備、建屋の最終チェックをしたのか、の釈明

(13ヘクタールに盛土がない事による水質検査、空洞(地下ピット)内の水質検査、空洞付建屋の耐震性、地下ピットの運用性、環境アセスメント、土壌汚染対策法対応、等をしたのか、この問いに、すでに、いくつかの問題が指摘され、全面再チェックが予定されている事から)

・最終チェックをせずに、完成を表明し、強引に移転しようとした.

と正直に釈明するしかない.

以上、都庁の精いっぱい誠意を持った釈明を想像で書いたが、いくら誠意をもって釈明しても、突っ込み所や違法性は満載である.

従って、『しょうがない』では済まされないのである.それを感じ取って,都庁関連部門は『物言えば唇寒し』で、だんまりを決め込んでいるのかも知れない.

しかし、小池都知事の言うように、都庁の信頼を回復意する為にも、都庁の自律改革を進める為にも、当事者が事実を公表する事は避けられないと思う.都庁は速やかに事実を公表すべきである.

このように豊洲市場問題は『意思決定の仕方の問題』、『組織のあり方の問題』によるところが大きいと思われる.役所や政治家の共通の問題として、いくつかの提言をしておきたい

1.やるか、やらないか、どの案を選ぶか、の決断をする時、自問すべき事

・意思決定者の立場、性格で決断が行われる場合

戦争突入の賛否を決断する例で言えば、田舎のお年寄りは、こんなに貧しいのに、戦争に勝てるわけがないから反対と言う、一方、軍部はいろんな条件を付けて、勝てると言う.

組織論理の危うさは、冷静に見て勝てないと言う意見を出しずらかったり、一部でも勝つ見込みがあれば、勝てると言ったり、軍部の立場から負けるとは言えないとか、組織論理に危うさがある.こんな時、田舎のお年寄りの方が善手,もしくは最善手を言っている事が多いのである.

東京ガス工場跡地に高度の汚染がある事が分った時、石原都知事は『日本技術なら解決できる』として、専門家会議に対策を依頼したのである.多分、石原都知事が豊洲を決断した後だっただけに、プライド的にも、性格的にも、白紙に戻す、等と言う選択肢は頭に浮かばなかったように思う.そうであれば、上記の軍隊と同じである.私は、石原知事の責任は極めて重いと思う.

・関連する他の事案の思惑で決断される場合

政治でも、企業でも、事案の賛否の決断で、その事案の内容より、これと関係した他の事案への思惑に目が行って決める時がある.この時、.だいたい,失敗する.この事案の検討が浅くなるからである.決断する時、自問すべきである.

豊洲移転の決定は築地市場跡地の売却による資金稼ぎ、湾岸地区(埋め立て地区)の開発に目がくらんで.卸売市場のことなど二の次であったのかも知れない.当時の築地再整備を断念した資料から見える事である.

素人の感覚で言えば、卸売市場の場所として、ガレキの埋立地で、しかも、汚染まみれの東京ガス工場跡地を絶対に選ばないと思う.素人には、都庁や都議と違って、築地市場の跡地の売却による資金調達や豊洲エリアの再開発等、余計な思惑がないからである.

・比較項目を設けて選択される場合

いくつかの案から選ぶ為に、比較項目を挙げて選定する場合がある.その時.比較項目に抜けはないか、最も重要な比較項目は何か、比較項目の重要度を設定しているか、の確認が必要である.

これによって、恣意的な、或は、俗人的な決断が防げるのである.もし、比較項目そのものが当を得ていれば、豊洲は選択されなかったかも知れないのである.これも、自問すべき事である.往々にして、比較項目が適正ではない時、裏に、恣意的な思惑がある.

築地市場の移転先候補地の比較項目で言えば、何故か、一番重要な安全性の項目が抜けているのである.意図的に、豊洲に決めたい意図があったと疑われても、仕方がないのである.そんな事が、比較項目を見るだけで想像できるのである.

このように、意思決定の 仕方の中に、悪手でも、最悪手でも、選んでしまう、『組織論理の危うさ』がある.特に行政は、税金を使うだけに、この事を自問して意思決定をすべきだと思うのである.

特に行政は倒産も失業もないだけに、『組織論理の危うさ』が生まれやすいのである.詳細は知らなくても、利害のいない個人の意見の方が、善手か最善手を選ぶのではないかと、大きな決断をする時は、常に,『組織論理の危うさ』を自問して欲しいのである.

2.事業や設計の内容に、大幅変更が生じた時、自問すべき事

こんな時は役所としては大変である.すべての手続きのやり直しが発生したり、市民含めて、多くの人の了解が必要になったり、責任問題や損害賠償問題にも発展しかねないからである.

民間企業なら、そんな事はよくあるわけで、頻繁に変更手続きが行われるのである.逆にその事が、事業推進のチェックにもなるのである.

そんなわけで、役所は、出来るだけ大げさにしないで、裁量の範囲として、変更してしまう心理が働くと思う.それは、役人にとって、大変危険な心理である.手続きとは、危険を回避する為にあることを理解すべきである.勿論、どんなに手続きが大変でも、これを避けてはならないのである.

当然、豊洲市場の大規模な設計変更を、独断で、担当部局だけでやる事は許されないのである.上記の釈明の様に、たとえ、言い分が正しいとしても、この変更を公表してこなかった罪は極めて大きいのである.

3.完了間際で問題が発生し、続行か、撤退かを決断する時、自問すべき事

そもそも、早期に、問題が発生すれば、このような決断は難しくないのだが、膨大な費用が費やされていた時は、苦しい決断になる.

役所の習性からすれば、よほどの事がない限り、撤退はない、突っ込んでも、金は自分の金ではないし、無用な物を作っても、誰も責任問題にはならないからである.こんな事例は枚挙に暇がないいくらである.

もし、撤退を決断するとなると、損切りになり、しかも、損害賠償も、住民訴訟も、覚悟しなければならないのである.従って,撤退の決断はほとんど行われないのである.

小池都知事は見切り発車できないと延期を決断した稀有な政治家だと思う.小池都知事は専門家に再総点検を依頼し、対策を出してもらって、その上で、最後の決断をする段取りを取ったのである.この小池流は過去の行政にはなかったやり方である.

企業なら、損金処理を考えた上で、延期も撤退もあり得る.将来への悪影響をなくしたいからである.続行の決断は、将来、利があると考えられる時である.勿論,資金計画の裏付けを取っての話である.企業の決断は企業経営とにらめっこして、行われるのである.

4.組織の役割・責任を自覚させる為にやるべき事

どうも、今回の豊洲問題で、都庁のガバナンスが出来ていない事が露呈した.知事も、副知事も、卸売市場長も、めくらばんを押し、予算が付き、実行される実態が明らかになったのである.まさに、組織は無責任の塊になっているのである.

企業でも行政でも,組織はミッションを実行する機能体であり、組織内のハイアラキーは、間違いを防止する為、問題の大きさに応じて、責任をとる為にある.

良くある『皆で協力』とか、『一致団結』とかは日本のお家芸だが、ともすると、役割分担や責任の所在を曖昧になる.もしそうだとすると、これは機能体組織(役割、権限、責任の体制)ではなく、運命共同体の組織(機能が曖昧な組織)と言わざるを得ないのである.

豊洲市場開発でも、オリンピック推進体制でも、組織は運命共同体組織に見えて、決して、機能体組織には見えないのである.予算、役割分担、責任所在、計画変更対応、進捗管理、等々、はっきりしていないからである.

又、役所の組織人事は、どうやら、幹部役人は仕事に精通せず、昼行燈のまま、短期で移動を繰りかえしながら地位が上がる仕組みになっている.責任が来ないようにする為の知恵でもある.その結果、人事異動もなく、仕事に精通した、ノンキャリアが幹部を無視して、実質の決断をする事になるのである.豊洲市場問題も、これと関係していると思う.

機能体でもない組織に加えて、責任回避の異動が頻繁に行われる様では、とても、大きな事業を任せられないのである.

都政の組織を責任を持った機能体に変えるなら、大きな事業に、プロジェクト制度を導入する事である.プロジェクは、知事と直結した位置に置き、ラインとは切り離す形をとる.事業が完成するまで、プロジェクトに全責任を負わせ、事業に当たらせるのである.

以上の様に意思決定の仕方、組織のあり方、を変える事が、都政改革の中心的テーマでであり、今後の試金石になると思うのである

一方、都庁の失態の代償である、6,000億かけて作った豊洲市場をどうするのか、と言う、現実の問題が、目の前に立ちはだかっているのである.

もし、出来上がった物が問題なく、早期に豊洲移転が出来る状態なら、ケガは最小になり、『大山鳴動すれど鼠一匹』と言う事になる.一方、多くの問題が出てくれば,『大山鳴動して鼠百匹』と言う事になる.

豊洲市場問題が鼠一匹』か『鼠100匹』かを恣意的に画策する人はいると思うが、専門家会議、豊洲市場問題PT、或は市場関係者、都民による下記の総点検と評価を待ちたいと思う.そこで、今後の対応を列記してみた

・出来上がった新市場の評価と対策&見通し

①土壌汚染の再測定
②地盤沈下,液状化,の再評価
③耐震性の再評価と建築確認
④環境アセス、農水省認可
⑤地下空間の評価と改善
⑥建屋の運用性評価

⑦豊洲卸売市場経営計画
⑧卸売り市場関係者の評価
⑨移転か中止の方針決定
⑩追加開発実施計画の策定
⑪移転実施計画の策定
⑫豊洲卸売市場経営計画


・延期期間に応じた対策&見通し.

①移転予定の卸売業者への保障問題、
➁豊洲市場の維持費問題、
③豊洲地区再開発問題
④築地地区環状2号線問題
⑤築地市場の維持改善問題
⑥築地地区再開発問題

・豊洲市場開発の経緯と問題対応

①築地から豊洲に決定した経緯
➁費用増大の経緯
③入札の経緯(落札率問題)
④盛土の虚偽経緯と責任
⑤11月7日移転を決めた経緯
⑥建設済み豊洲市場の欠陥を生んだ経緯
⑦豊洲市場総括(経緯と問題)

こうなると、築地市場の豊洲への移転時期は年単位に遅れる事が予想される.もし,3年もかかるとすれば、豊洲市場は白紙に戻して、代替案を考えるべきだ、或は、もう豊洲市場にケチが付いて、風評は消せない、従って、白紙に戻して、代替案を考えるべきだ,と言う声も上がるかもしれないのである.

いずれにしても、都庁の無責任さで、莫大な代償を払う事になりそうである.これまでも、全国で同じような代償を国民は背負ってきたのだが、意思決定の仕方、組織のあり方、を間違うと、戦争にもなる事を、政治家や役人は常に自覚せねばならないと思うのである.

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2016.09.16

446 豊洲市場の新たな問題と埋立地利用への警鐘

築地市場から豊洲新市場への移転(11月7日)に関して,小池都知事は,水質検査の終了前の移転は安全性確保から見て,納得できない.加えて、豊洲市場の運用性,交通アクセス,不透明な巨額の費用増加、情報公開不足、等にも疑義があり、見切り発車は出来ないとして移転延期を決断した.

この時点で,豊洲新市場への私なりの懸念事項をそもそも論も含めて、NO444で発信した.

その後、移転延期で、大騒動になったのだが、その矢先、敷地の3分の1(13ヘクタール)にあたる建物の地下に、高さ4.5メートルの空洞があって、全面、盛り土がされていない事が発覚した.

誰が、いつ、どんな理由で、土壌や建物の構造を変えたのか、それを公表しなかった理由は何か、汚染や建物の安全性は大丈夫か、都庁関係者の説明がないま、騒動がさらに大きく広がって行ったのである.

この事態に、小池都知事は、次の体制で、総点検をする事にしたのである.

豊洲市場問題プロジェクトチーム(再立げした専門家会議と連携)

①完成した土壌、建物の再総点検(汚染、地盤沈下、耐震性、運用性、等)
②豊洲市場問題点の解決策の策定
③環状2号線の築地地区道路建設の見直し
④豊洲移転計画の策定
⑤豊洲市場の経営計画の総点検

東京都庁の卸売市場部門(体制強化)

①豊洲市場建屋の下に空洞を作った理由と意思決定の経緯
②全面盛土(嘘)を広報し続けた理由の精査
③卸売り各社への補償対策
④豊洲市場追加予算策定


都政改革本部(都庁幹部、外部委員)

①情報公開総点検と改善

②五輪施設計画の総点検(費用,設備の代替策)
③内部統制(五輪、豊洲市場、他の不正取引の総点検)

いろんな難題が起こると、素人の感覚だが、そもそも、ガレキの埋立地で、しかも、汚染にまみれた東京ガス工場の跡地を卸売市場の場所として選んだ事体が間違いだったと思わざるを得ないのである.

素人でもわかる豊洲の不適格性を挙げておきたい.

①たとえ汚染問題を技術力で、完全に抑え込めたとしても、汚染土壌の上に、生鮮食品市場がある事自体があり得ないのである.いくら、汚染対策技術で汚染問題を解決したとしても、どうして,そんな場所に、6000億円もかけて作ったの、と聞かれるだけである.誰もそんな市場は評価しないと思うのである.

②選定当時、敷地の広さ、築地との距離の近さ、交通の利便性、を比較して、豊洲の東京ガス工場跡地に決めたようだが、安全の上でも、風評の上でも、最も重要な土壌汚染が比較項目から抜けている事に、意図的な選定を感じるのである.

③しかも、豊洲に決定後、土壌汚染のひどさが発覚しても、白紙に戻さなかった事も大きな間違いだったと思う.資金も投入していない段階であり、引き返せたと思うのである.それとも、引き返せない理由があったのだろうか.結局、続行し、汚染対策で858億円を投入する事になったのである.この段階で、何故、白紙にも戻さなかったのか、きっちり精査する必要がある.一度決めた事を白紙にしない行政の習性をただす為のも、この精査は重要である.

いずれにせよ、すでに豊洲市場が完成している段階で異論亜問題が噴出している現段階では、もはや、続行も撤退も地獄の様相を呈している.築地市場の存続も移転も地獄である.

豊洲を選んで、しかも、初期の段階で白紙撤回しなかった付けが、現在の地獄を招いていると思うのである.『何事も始めが肝心』 とは良く言ったものである.

現実的には、問題解消に取り組み、豊洲市場の開場に持って行くしかないと思う.しかし,築地の敷地売却収入があっても、市場事業経営は赤字の垂れ流しになる事や豊洲ブランドの低下、集荷量の低下、仲卸業者の撤退、巨大設備の遊休化、は覚悟しなければならないと思うのである.

さて、豊洲市場の総点検がこれから始まるが、『大山鳴動して鼠一匹』を画策する人も、『鼠100匹』にしたい人も、暗躍すると思う.都政改革本部や豊洲市場問題プロジェクトチームは冷静に、徹底した調査をし、その内容によって、その後の対策を立てて欲しいものである.

ところで、全国の埋立地の利用に関して、豊洲問題は、大きな警鐘を鳴らしていると思う.

狭い日本は海の埋め立て土地を創出してきた.埋め立てが本格化したのは高度成長期である.各地の臨海工業地帯で 埋め立て造成が進み,代表的なものとしては,大阪南港,川崎の東扇島、長崎空港、神戸のポートアイランド゙・神戸空港,関西国際空港,横浜八景島,和歌山マリーナシティ,中部セントレア空港などがある.

東京湾で言えば、東京湾は遠浅の内湾であり,江戸時代以降の後背地の人口増加に伴って、海を埋め立て、土地を創出してきた.江戸の発展に埋立地は大きく貢献してきたのである.東京湾の埋立地 の現在の利用状況を見ると,コンビナートなどの重工業地 帯,住宅団地,テーマパーク・海浜公園・ホテルな どの大都市リゾート,港湾などの物流施設,空港等の交通施設,商業務用地など,様々である.埋立地は様変わりである.

そこで、これらの埋立地を分類すると三つある.

①廃棄物の捨て場所として埋め立てられ、その後、工場等に利用している所
②利用目的を持って埋め立てをし、土地利用している所
③埋立地が都市的土地利用の場所に変貌している所

今話題の豊洲は,もともとは1923年(大正12年)の関東大震災の瓦礫処理で埋め立てられた.この埋め立て地が豊かな土地になるように,将来への発展の意味も込めて1937年(昭和12年)7月に“豊洲”と名付けらた.

豊洲はその後、工業地として発展して行た.20世紀前半までに、石川島播磨重工業などの工場、新東京火力発電所(もとは東京電力ですが、廃止後は新豊洲変電所)などの他に様々な流通設備が立地し,その関係者向けの商店、社宅等も立ち並んだ.

今話題の豊洲新市場の敷地(40ヘクタール、40万㎡)は、ここにあった東京ガス(石炭からガスを作る工場)の跡地である.したがって、豊洲市場の敷地は①から③になった埋め立て地だと言う事になる.

そんなわけで、全国の埋立地は何を埋めたかで、当初,利用制限があったと思うのだが、年月の経過で、都市的利用(住宅、商業施設、工業施設、好況施設、公園、ゴルフ場、駐車場、道路、鉄道、等)が可能な土地になっている感じがする.

一方、埋立地は当然と思われる現象が発生する.

・陸の気象ではなく海の気象であったり,
・塩害が発生したり,
・常に強い風が吹いていたり,
・植えられた植物が生き生きしていなかったり,

・浅海域の自然環境が喪失していたり,
・軟弱な土壌の為、地盤沈下や液状化を起こしたり,
・甚大な津波被害が発生したり

・埋め立てに使われた廃棄物や工場廃棄物で土壌が汚染されていたり,
・人工的で無機質な土地柄であったり.

従って,豊洲問題は全国の埋立地の再利用に対して、『慎重にせよ』、『利用制限をせよ』と警鐘を鳴らしているように感じるのである.

一方、埋立地を含む、土壌汚染問題が多くなる傾向の中で、東京ガスによる土壌汚染問題が引き金になって,『土壌汚染対策法』が,2002年(平成14年)に成立したのである.

そこで、土壌汚染対策と豊洲市場の関係を調べる必要があるが、先ず、豊洲市場の経緯(築地の再整備に400億かけて推進していた後の経緯)をまとめてみた.

1998年07月 豊洲移転案浮上(築地跡地売却益、湾岸開発の為?)
1999年04月 石原都知事(一期目)就任
2001年01月 東京ガス調査結果(ベンゼンが環境基準の1500倍)
2001年04月 都の審議会が豊洲移転を答申、築地再整備断念
2001年07月 都と東京ガスが基本合意

2001年12月 都が豊洲の東京ガス工場跡地への移転を決定
2003年02月 土壌汚染対策法成立
2004年07月 豊洲基本計画策定(市場協議会)

2005年03月 農林水産省が新市場の整備、築地市場の廃止を決定
2006年03月 ゆりかもめ(株) 市場前駅と命名
2007年03月 東京ガスが豊洲の土壌汚染対策完了

2007年04月 石原知事(三期目)就任
2007年04月 石原知事 豊洲移転を正式に決定

2007年05月 都が専門家会議設置(土対法による汚染状況再調査)
2007年10月 都が再調査結果発表ベンゼン基準値の1000倍)
2008年05月 都が詳細調査結果発表(ベンゼンで4万3000倍、シアンが860倍)
2008年07月 都が絞り込み調査結果発表(シアン930倍)
2008年07月 専門家会議が最報告書提出(敷地全域に盛土案)

2008年08月 都が工事に関する技術会議設置
2009年02月 技術会議が報告遺書提出(敷地全域に盛土案)

2010年04月 土壌汚染対策法の大幅改定
2011年03月 11日、豊洲市場設計予算都議会で可決(1票差)
2011年03月 11日、都議会終了後、東日本大震災発生(豊洲地区液状化)

2011年03月 土地の売買契約(559億、東京ガスは78億汚染対策費負担)
2011年03月 豊洲市場の仕様書作成(モニタリングキット明記)
2011年06月 豊洲市場の設計図作成(盛土なし,地下ピット付建屋)

2011年08月 土壌汚染対策工事に着手(586億から849億に増加)

2012年12月 猪瀬都知事就任
2013年09月 東京オリンピック誘致決定

2014年02月 舛添都知事就任
2014年02月 豊洲市場の建設に着手(1360億から3167億円に増加)
2014年11月 都は土壌汚染工事完了を技術委員会に報告
2015年07月 移転日確定(2016年11月7日)
2016年05月 豊洲市場の主要設備・建物が完成

2016年08月 小池都知事就任
2016年08月 移転延期を決断、都政改革本部、豊洲市場問題プロジェウトチーム発足
2016年09月 
建物の地下が盛土がなく、空洞であった事を小池都知事が発表
2016年09月 都政改革本部、豊洲市場問題プロジェクトチームに全面総点検を指示

この豊洲市場の土壌汚染問題が,どのように『土壌汚染対策法』をかいくぐって来たのか不明だが、土壌汚染、環境汚染の問題に取り組み、環境大臣(2003年~2006年)も経験してきた小池都知事は、当然、土壌汚染対策法や環境アセスに精通し、これを基に,豊洲市場の安全性に徹底して追及して行くと思われるのである.

 

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2016.09.10

445 重国籍者の政治,行政への係わり方を考える 

9月15日の民進党代表選に出馬している蓮舫民進党代表代行の二重国籍疑惑が急速にクローズアップされている.もし,蓮舫民が重国籍だったとすると,永くそれを否定しながら、国会議員になったり、大臣になった事は、違法だったのではないか、政治資質的も問題ではないか、と言った声が湧き起っているのである.

蓮舫氏は1967年11月28日,台湾の貿易商である謝哲信氏(中華民国籍)と日本人の斉藤桂子氏の間に東京で誕生した.当時は日本も台湾も国籍法で父系優先主義を採用していた為,日本国籍を持たずに台湾籍となっていた.蓮舫氏が日本国籍を取得したのは日本が女子差別撤廃条約を批准したことで国籍法を改正した1985年のことだと言う.

蓮舫氏は日本国籍を取得時、台湾国籍の放棄手続きをしており、二重国籍者ではないと公言し、国会議員や大臣に就任し、今回の党代表選挙にも立候補しているのである.それに対し、蓮舫氏は重国籍者ではないかとの指摘があって、今更ながら,台湾に国籍の有無を確認すると言うのである.

そこで、現在の法律で,二重国籍がどう扱われているか国籍法を調べてみた.

二重国籍保有者(混血で二つの国籍を保有している場合、日本国籍を取得したが、一方の国籍の離脱が出来ていない場合)について、国籍法14条では,22歳まで国籍の選択を求めているのだが,国籍法16条1項では外国の国籍の離脱は(相手国の事情や本人の事情を考慮して,やむを得ない場合がある事から)努力義務としているのである.

ただし、22歳まで、以前の国籍を離脱しないと、日本国籍は失う事も有る、と定めている.現実は、離脱しないまま、二重国籍を保持し続けている人も多い様である.そこで、現法制度の問題点を整理してみたい.

日本の国籍法の基本は二重国籍を認めておらず、二重国籍保有者が期限までに他の国籍から離脱しないと、日本国籍を失うことがあると記述とされているものの、他国の国籍離脱は努力義務としている事から、二重国籍は合法か、違法か、曖昧になっているのである.海外では二重国籍を認めている国が多いが、公職(政治家や公務員)には制約を付けている様である.

選挙権や公職の条件について、法律では『日本人である事』となっている事が多いが、日本の国籍と他国の国籍を持つ人(二重国籍者)も法律で言う『日本人』になるのかはっきりしていない.

結局、法律の曖昧さがあって、二重国籍者は法律で言う日本人だから、政治家や大臣や首相になっても合法だと言う考え方と,日本国籍法の基本は、二重国籍を認めていないのだから、法律で言う日本人とは日本国籍だけを持っている人を指し、公職に就くことは違法だと言う考え方がある.

又、他国の国籍からの離脱期限が過ぎていても二重国籍を持っている事は国籍法違反であり、日本国国籍が消失される事も有るのだから、国籍法違反者は公職につけないと言う考え方もある.

更に言えば、利益相反の防止の観点から、重国籍者はマナーとして政治家にならないと言う常識を無視している、と言う考え方もある.ちなみに、国家公務員は暗黙の内に二重国籍者はダメと思っていると言う.

一方、はっきりしている法律もある.地方公務員の人事委員会規則で、基本的に「外国籍の職員については、公権力の行使に当たる業務又は公の意思形成に参画する職に就くことができない」としている法律.又,外交官に,二重国籍保有者(外国籍保有者)はなれないと言う法律もある.

このように、総じて、ニ重国籍者の扱いが不明瞭なのは、 血統主義で島国の日本は、帰化一世とか重国籍の人の政治や行政への係わり方について、考えて来なかったのではないかと推測されるのである.

或はこの問題を知りつつ、議論を避けてきたのかも知れない.しかし,このまま,放置できない問題だと思うのである.

そこで,改めて問題を整理すると.

二重国籍を認めるのか、認めないのか.
二重国籍を認める時、選挙権、公職への係わりをどうするか.
帰化一世の選挙権、公職への係わりをどうするか.
日本国籍取得条件が今のままで良いのか、

現在、政治家や役人に重国籍の人や帰化一世の人が、いるかもしれない.それだけに、この問題に、早急に結論を出すべきだと思うのである.

各国の法律を調べていないが、帰化する時の条件(国家への忠誠とか、家系図の提出とか、テストとか、共住年数とか)によって、重国籍や帰化一世の人達の公職への係わり方が違うい様である.

多民族国家で、国籍取得が生地主義(親がどこの国の国民であろうと、子は生誕地の国籍を持てる.一般的には大航海時代以後に移民により国家が形成された国での採用が多い)の国は重国籍を認めている事が多いが、公職への係わり方に制限を付けているようである.ちなみに、米国では帰化一世は大統領になれないと言う.又、州によっても、公職への係わり方が違うようである.又、米国内に帰化人が集まって,大きな政治勢力になっている事も問題になっている様である.

日本人の血統主義(国籍取得において、親のどちらかの国籍が子の国籍となる.一般的には,大航海時代以前から国家が形成されていた国での採用が多い)の文化からすると、特に,同じ血統主義の中國、韓国との重国籍や中国、韓国からの帰化一世の人が、日本の政治や行政に係わる事に正直、違和感を持つ人がいると思う.日本,中国、韓国、の血統主義同士は相互に排他的だと言う感情が背景にあるからだと思う.

又、日本では、中國、韓国からの帰化人であるとか、重国籍であるとかを,あまり口にしなかったり,日本名を名乗っていたりする事も、こんな感情があるからかも知れない.

法律の上でも、帰化人、重国籍、帰化一世を区別する事から逃げているようにも感じるのである.その結果、法律が曖昧になっている感じがするのである.

さらに、日本は徴兵制もなく、日本への忠誠宣言もなく、皆保険も適用される等、日本国籍取得のメリットは大きい反面、取得のハードルは低く、重国籍の扱いが曖昧で、国益と外国籍との利益相反の防止も,極めて無防備になっているのである.

蓮舫氏の二重国籍疑惑の問題もあるが、もっと本質的には、二重国籍を認めるのか、認めないのか、二重国籍者を認めた時、公職への就任に、制約を付けるのか、付けないのか、をはっきりさせる事である.はっきりした法制化を期待したい.

追伸(16・09・16) 

蓮舫氏は民進党の代表選終盤の9月13日、かねてから台湾国籍を放棄していると言っていた事に対し、台湾では除籍されていないことが分かったと発表したのである.

改めて、台湾籍の除籍を申請すると言うが、結果として、これまでの国政選挙も、国会議員及び大臣への就任も、そして、今回の民進党代表選の立候補も、二重国籍を持ったままであった事になるのである.

そして、9月16日、蓮舫氏は民進党代表選に勝利し,二重国籍を持った政治家が党代表が誕生したのである.このまま,総理大臣を目指すのだろうか.

この事態に対し、民進党内部から、これでは国民の信頼が得られない、そもそも、サポーター投票終了後に二重国籍を表明した事は代表選挙は無効だと言う人もいるようである.

そこで、重国籍者を党代表に選んだ民進党、及び,結果的に嘘を言ってきた蓮舫氏に、いくつか聞いてみたいことがある..

蓮舫氏は永い間、台湾籍を離脱していると公言し、国会議員、大臣にも、従事していたのだが、台湾籍離脱の確認もせず、離脱の努力もせず、国籍法違反ではないのか、嘘を言い続けてきたのだから,経歴詐称になるのではないか、公職選挙法にも違反しているのではないか、ごめんなさい,では済まないと思うのだが、蓮舫氏や民進党の見解を聞きたい.

維新の党が二重国籍者の公職への係わり方に利益相反の防止の観点で、何らかの制限を付けるべきだとして、法案を準備していると言うが、民進党は、これに賛成か、反対か,見解を聞きたい.

民進党が、二重国籍者の公職への係わり方に制限を付ける事に反対と言うなら、2国間の利益相反防止をどう考えるのか、制限のない国はあり得ないと思うのだが、見解を聞きたい.

蓮舫氏が再度、台湾国籍の離脱を申請するとしているが、二重国籍者に制限を付ける事に反対なら、申請する必要がないと思うが.或は、国籍法違反で日本籍を失う事を恐れてか,今後、制限が付く事を想定しているからか,それとも、全く別の理由があるからだろうか、この点も、蓮舫氏に聞いてみたい.

これは法務省に聞きたい事だが、蓮舫氏は実は中国籍になっているのではないか、だとすると、中國は二重国籍を禁止しているので、蓮舫氏が日本国籍を取得していた事は、中國から見て中国の国籍法違反者になっているのではないか.そこで、中國は蓮舫氏の中国国籍の離脱を認めるのか,認めないのか,逆に、日本国籍の離脱を求めるのだろうか.

いずれにしても、公職に重国籍者がどう係わる事が出来るのか、それによる『日本人』の定義が変わるのだが、大きな議論になると思うのである.



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2016.09.04

444 築地市場から豊洲市場への移転に思う事

就任1ケ月の小池都知事は11月7日に予定されている築地市場の豊洲への移転を延期すると発表した.来年の1月予定されている水質検査を待って、改めて、移転計画を作るとしたのである.

東京オリンピックの選手村(晴海)と環状2号線をつなぐ未着工道路,数100メートル(築地市場の敷地部分)の建設の為に、水質検査の完了を待たずに,築地市場を移転する事は見きり発車だ、として移転延期を決断したのである.

何故,築地市場を11月7日に移転しなければならないのか、虎ノ門から豊洲までの5キロで何故、総事業費4000億円もかかっているのか、も不可解だとしているのである.

こてに加えて、豊洲市場の運用性の問題、交通アクセスの問題、不透明な巨額の費用増加の問題、情報公開不足の問題、等、疑問点が多く、このまま、見切り発車できないとした事も延期の理由に挙げたのである.

ところで、築地市場は1935年(昭和10年)中央卸売市場として開設された.その後、建物の老朽化や手狭になった事もあって,東京都は,築地市場の再整備に取り組んだ.しかし,営業中の再整備は難しく、2001年、再整備を断念、2004、市場の豊洲移転計画を策定した.そして2007年,就任した石原都知事は築地市場にアスベストが使われている事も理由に挙げ,豊洲への移転を決断した.

ところが、2008年、豊洲(東京ガス工場跡地)に大規模な土壌汚染問題が発覚した.これに対し,豊洲移転を白紙に戻すのではなく、巨額の費用で土壌改良事業を実施する事としたのである.そして,2010年,都議会で豊洲移転が決議されたのである.

その後,土壌改良費用,豊洲市場建設費用が増加の一途をたどり、結局、総額で,2011年段階で3926億円であった予算が、2015年には5884億円にまで膨れ上がったのである.

その主な内訳は、土地購入費1859憶円、建設費が990億円から2747億円、土壌改良費が586億円が858億円に、工事費が370億円から420億円である.

特に,建設費は坪単価 220万円になり、世間相場の50万円から60万円に比べて4倍ほど高い建設になっているのである.何故,そんな事になっているのか,誰もがその原因を聞きたくなるのである.

移転が2か月に迫った段階での小池都知事の延期の決断は大きな問題が起こるのだが、それでも、小池知事は上記のような多くの疑問点をもったまま見切り発車できないとして、延期を決断したのである.

同時に小池都知事は都政の自立改革を進める為に、都庁部局、外部の専門家による都政改革本部を9月1日発足させた.都民ファースト、情報公開、税金の有効活用を目的として、先ず、この豊洲移転問題と、これも又、膨大な費用増になっているオリンピック関連事業も取り上げて,プロジェクトチームを編成し、懸念事項の解明と都政の改革を進めるとしたのである.

この都政改革は政権交代時しかできない取り組みだが,当然、これまで都政を牛耳ってきた自民党都連との大バトルが始まるのである.

さて、当面の築地移転問題がどんな形で決着するか、極めて注目されるところだが、マスコミ等の報道を参考に、私なりの心配事、そもそも論も含めて、いくつか挙げてみた.(勿論、充分な検討が行われ、心配はないと言う事かも知ないが)

①今後とも、豊洲市場の一極集中化に問題はないのか.
②豊洲市場に築地市場なみのブランド力が付くのか.
③築地と豊洲の市場外食品街は共存できるのか.
④豊洲の交通アクセスに問題はないのか.
⑤豊洲の海水禁止や床積載荷重制限,耐震性能に問題はないのか.
⑥地震による液状化で土壌汚染問題が再発しないのか.
⑦巨額な費用をかけて東京都の独立事業が成り立つのか.

先ず①の卸売市場の一極集中への懸念だが.

全国の卸売市場は東京一極集中やスーパー等の大口顧客の産地契約、或は、相対取引、消費者への産地直送によって、市場の集荷量、セリの扱い量は減少の傾向にある.特に地方の卸売市場は存亡の危機に直面しているのである.(市場経営の収入はセリの手数料,賃料)

こんな情勢の中で、築地移転の話ばかりが話題になるが、卸売市場の東京一極集中を続けて良いのか、このままでは、東京一極集中市場も斜陽になって行くのではないか、と懸念されるのである.巨額に費用を投じた豊洲市場が10年後、無用の長物、赤字の垂れ流しになるのではないかと、頭をかすめるのである.

そんなわけで、卸売市場は農業・漁業の2次産業化、食品流通の変化、グローバル化、冷凍・輸送技術革新、ネット社会、等を見据えて,今後の食品流通全体の構造変化をどうとらえているのか、気になるのである.もし、豊洲市場が,これまでの大艦巨砲主義の発想だけで作られたとしたら,戦艦大和になってしまうかもしれないのである.

次に②の豊洲市場のブランド力の懸念だが、

築地から豊洲の移転は、文化の側面で言えば、日本古来の平屋の仕切りのない広場で、戸板商売する集まり(いちば文化)から、ショッピングモール風の仲卸商売に変わる事を意味している.従って、黒山のような人だかりと熱気に満ちた築地の雰囲気が,そのまま豊洲に引き継がれるわけがないのである.

それどころか、むしろ、築地と豊洲は全く別物であって、豊洲には独自のブランド力の構築が求められていると考えるべきだと思うのである.

今のところ、豊洲の巨大な建物は食品の集荷・仕分けのビルにしか見えないのだが、これでは新たなブランドにはならないと思うのである.ただハッキリしている事は築地市場の文化が消える事だけである.

次に③の市場外食品街の懸念だが、

築地の市場外食品街は残ると言う.都心に隣接した立地と歴史を手放せないのは当然である.一方、豊洲市場にも市場外食品街が計画され、テナントを募集している様である.しかし、都心から離れたところに食品街が栄えるだろうか、懸念されるのである.

最後に⑦の豊洲市場経営の問題だが

豊洲市場は他の市場と同じように、独立事業のはずだが、収支計画、採算計画、巨額な投資に対する回収計画、はどうなっているか.一言で言うと、豊洲市場経営は成り立つのだろうか、それとも、築地市場跡地の売却で、元が取れると言う事なのだろうか.さっぱり見えないのである.

これまでの投資額の増大を見ると、豊洲市場は独立事業ではなく、一般の公共施設の建設として進めているように見えるのである.

そうだとすると、小さな予算でスタートし、後は随契で業者の要求によって予算を増やして行くと言う、利権の手法がまかり通るのである.

以上、懸念される事を述べたが、是非、プロジェクトチームの精査に期待したい.同時に,小池都知事の東京大改革(都民ファースト、情報公開、税金の有効使用)の取り組みによって、都政の改革が進む事を期待したい.

更に、大阪、名古屋、に続く、この東京大改革は全国各自治体の改革に波及する事を期待したいのである.地方再生は地方政治・行政の改革なくして出来ないと思うからである.

 

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