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2016.10.02

448 大会組織委員会の役割見直しと新五輪体制

都政改革本部のオリンピック調査チームが929調査結果を発表した.その中で東京五輪体制に社長も財務部長もいないこれでは全体の予算がどうなるのか予算管理を誰がやっているのかも分らないと問題を提起し東京都もしくは、国がこの問題に対応すべきだと提言した.

まさに誰もが抱く問題である.今の流行言葉で言えば、『誰が、何時、予算を決めているのか』,『議会は何をやっているのか』と言いたくなるのである.

まさに、一番大事な『お金の裏付け』がないまま,政治家も、行政も,大会組織委員会も,,国内外の競技団体も、アスリートも,IOCも、JOCも、皆,勝手な事を言っているように感じるのである.これではとてもオリンピックが成功するとは思えないのである.

東京五輪体制やお金の問題は,オリンピック競技大会組織委員会会長に森氏が就任した時から、懸念をしていた.その懸念は早速国立競技場問題やエンブレム問題で露呈してしまったのである.この時、五輪組織の問題を当ブログで発信していた.

本来なら,五輪誘致決定に伴い即時に,全体を統括するヘッドクオーターを設定し、その配下に、役割に応じた実行組織を編成すべきであった.そして、ヘッドクワーターは実行組織と協議して、全体構想の立案、予算の策定、費用の分担、を考えるべきだったと思うのである.

 
しかし残念ながら、日本のお家芸で、All japanで一致団結して、オリンピックの成功に向けて頑張りましょう、と掛け声を掛け合うだけで、本質的なお金の問題や各組織の役割分担も、曖昧なまま五輪体制が組まれたのである.

組織論で言えば、これを『運命共同体組織』と言う,役割,権限,責任,が曖昧な組織をこう呼ぶのである..この組織で使われる言葉は,連携、調整、根回し,である.企業組織にもよく見受けられる組織である.この組織は垣根を超えて、皆が助け合う事が出来そうな組織だが,現実は皆が助け合う事はあまりない.この組織の最大の問題は、役割に抜けが出来たり、問題の未然防止や問題発生時の対応が遅れる事である.

この弊害をなくす組織が『機能別組織』である.役割,権限,責任,を明確にした組織である.特に巨大な組織にはこの機能別組織は必須である.この組織は組織間の壁の問題が発生しやすいのだが,それらを解決する為に、フラットな組織ではなく,3階層程度のツリー構造の組織にするのである.


残念乍ら現在の五輪体制はしっかりしたツリー構造が出来ていない.国、IOC、大会組織委員会、東京都、の役割.権限、責任が曖昧なのである.オリンピック担当大臣、文部省、大会組織委員会、の役割、権限,責任を調べたけれども、さっぱりわからないのである.

どうやら日本は『曖昧の合理性』文化の影響で『運命共同体組織』を好み、しっかりした機能別組織を作る事が苦手なのである.仕事でも、仕事の前に膨大な契約書を交わす事は苦手なのと同じである.だから、問題が起こると、大騒動になるのである.


そんな状況下で、今回、小池知事配下のオリンピック調査チームが総額3兆円超になりそうなオリンピック費用問題に誰が統制と管理をしているのか、誰が金を払うのかと現状の無責任な組織運営に鋭く切り込んだのである.

東京都としては、このまま青天井の請求書が回ってくるなら、都民にも説明がつかないし、都民に負担もかけられないのである.こんな状態を打開する為、主催都市東京が全体の予算の統制、管理をやるしかない、と主張したのである.

どうやら私の理解するところ、IOC配下の『オリンピック競技大会組織委員会』の位置づけに問題がありそうである.この組織の考え方、変遷を整理してみた.

そもそも、IOCは開催国の大会組織委員会をIOCの配下におき財源も含めて独立して存在させオリンピックの準備から運営までを,すべて行う組織として考えていたのである.オリンピックを政治から切り離す、開催費用を抑える、と言う考えかあったと理解している.

これを見事にやってのけたのが、ロサンゼルス・オリンピックである.大会組織委員会の収入ですべての費用を賄ったのである.このロサンゼルスオリンピックは『オリンピックは民間が行うイベント』(商業オリンピックイ)だと言う事を実証したのである..

しかし、どの国も、オリンピックの肥大化や開催国の国威発揮の場になって、現実は大会組織委員会収入ですべてを賄うことは殆ど出来なくなったのである.実際、どの開催都市も国の予算が投入されているのである.東京五輪で言えば、大会組織委員会収入(放映料入場料)は5000億程度である.とても、3兆円どころか、運営費も賄えないのである.

この時点で、もう、大会組織委員会はIOCの言うオリンピックの全体を仕切る独立した組織ではなく、開催都市の計画をIOC及び世界競技団体に伝え了解を得る機能しかないのである.


従って、東京都としては、大会組織委員会が企画した費用の負担に反発したくなるし、どうせ費用を東京都が負えと言うなら、予算の決定権や管理統制を東京都に移せと言うのは当然の主張になるのである.東京都は都民に費用負担の説明をする必要があるからである.

この考えから、東京都は大会組織委員会(東京都の出資する外郭団体)を監理団体として位置づけたいと提案しているのである.(現在は報告団体)

一方、これまでの大会組織員会森会長の発言を聞くと.

『大会組織委員会はIOCの規定で作られたオリンピック企画・実施組織だ』
『大会組織委員会は行政が用意した設備を使って、オリンピックを運営する組織だ』
『大会組織委員会は東京都の下部組織ではない』(東京都の監理団体ではない)
『競技場を今更変えられない』(東京都の競技場再検討に対して)


役割認識がその都度違うのだが、どうやら、森会長自身が、大会組織委員会の役割を認識しているのか,不安になるのである.

日本文化が持つ『曖昧の合理性』(ハッキリ決めるより、曖昧にしていた方がうまく行くとの考え方)が暗黙の内に働いて、しっかりした『機能別組織体制』を作らず、曖昧な『運命共同体組織』を森氏に丸投げしたのかもし知れない.だとすると、森会長が大会組織委員会の役割をしっかり認識していない事は当然と言う事になる.


この責任体制の問題に対し政府は

『オリンピックはIOCと東京都が行う大会だ』
『東京都と大会組織委員会で責任体制をハッキリすべきだ』
『責任体制が曖昧なまま、国が費用を負担する事はない』


等と,国はオリンピックから距離を置いたような発言をしているが、新設されたオリンピック担当大臣、文科省はじめ各省庁の役割は曖昧である.

どうやら,下記の事が整合されないまま、曖昧な五輪体制が組織されている所に根本問題があると思うのである.

・政治を排除し、IOCと大会組織委員会でオリンピックを開催すると言う理念.
・税金(政治介入)で費用を賄わなければオリンピックは開催できないという現実.


そこで、先ず、オリンピックを成功させる為、大会組織委員会を機能分化し、次のような機能別組織体制に再編する事を提案したい.

・五輪統括部門の設置(企画,予算、運営、の統括と管理、IOC連携)
・設備準備部門の設置(競技場、仮設の計画と予算化,建設)
・運営事業部門の設置(事業収入、運営サービスの独立採算法人化)

・セキュリティ部門の設置  (国の対応)

統括部門は設備及び運営、各部門との協議で全体計画を取りまとめ,予算の統制と管理を行う..同時に、国内外への広報、IOCとの連携を担う.この組織は行政組織とし、東京都に置くか、国に置くかの検討が必要である.

設備準備部門は国内外の競技団体と協議し,予算の検証によって、競技場、仮設設備を決定する.予算の負担については、統括部門交えて協議する.この部門は東京都、東京外競技場の自治体、国、で編成する.

運営事業部門は東京都の独立採算の法人とする.赤字予想の時は改善策、行政負担含めて統括部門で協議する.


又、今後のオリンピックの事も考えて、IOCは次の対応が必要だと思う.


・IOCは各国のオリンピック競技大会組織委員会の役割の変更.


政治と切り離す為に、IOCの出先機関として、大会組織委員会が全てを仕切る形を取っているが、実態は税金で費用を賄う必要があり、政治抜きでオリンピックは開催できないのである.従って、大会組織委員会の役割はIOCとの窓口機能に変更すべきだと思う.

・IOCや世界競技団体は競技場や選手村に条件を付けない(場所、観客数、等)


IOCはオリンピックの企画をし、開催都市に実行してもらう、と言う立場で、いろいろ細かな事に介入してくるのだが、それが、費用の増大を招いているように感じる.費用を落とし、世界の都市でオリンピックが開催できるように、開催都市の状況に合わせた企画にすべきだと思うのである.是非、この検討をすべきだと思うのである.

・オリンピックと競技別世界大会のすみ分け

オリンピックの規模縮小から、既に存在しているプロを中心とした世界大会(ゴルフ、サッカー、野球、等)はオリンピックから外しても良いと思う.オリンピックでやっても同じ顔ぶれになるからである.

又、莫大な税金を使うオリンピックうの将来を考えると、規模縮小の先に、アマも含めた競技別世界大会にシフトしていくのではないかと思う.オリンピックの社会的役割も終焉していくような気もするのである.

以上、五輪体制の問題は、まさに、オリンピックが過渡期にある事を露呈していると思うのである.

 

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