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2016.12.06

454 東京五輪の財政負担が納得される条件

依然として,オリンピック関連の財政負担の大きさに不透明感があり、国民も都民も財政負担の評価ができない状況におかれている.オリンピックが終わるまで、財政支出の額が分らない事態になるのだろうか,これでは,東京の財政が後の祭りになりかねないのである.

東京都、組織委員会、政府は早急に,財政支出の考え方、規模、有効性について、国民、都民に示す必要がある.これは民主主義における,政治,行政の基本中の基本だと思うからである.

そこで、評価判断できる財政支出の条件をまとめてみた.果たして,どのような検討結果が示されるのだろうか.

1.競技場に関する財政支出が納得される条件

競技場の準備に関する財政支出については、次の検討結果を示す必要がある.

①既存の競技場を利用する場合

スリムなオリンピックを開催する為に、先ず、既存競技場の適否の判断を最優先で行い、競技場毎に判断結果、財政支出規模、負担元、を公表する必要がある.判断に当たっては、新設ありきの既存競技場評価には要注意である.

②新規に競技場を建設する場合

既存競技場の利用が出来ない場合、新設となるが、当然、オリンピックの為だけではなく、将来にわたって、その資産が有形、無形,含めて,有効性があるかどうか、新設、維持管理費の軽減が図られているかどうか、が重要になる.

財政負担の軽減策として,機能削減による費用削減、既存資産の売却による財源確保、あるいは、オリンピック後の新設競技場の転売、もしくは、利用権売却、等の検討が必要である.

この議論なくして、都民,国民の承認は得られないし、将来に大きな負の遺産を残すことになるのである.

現在、競技場関連(ハード)で1兆円かかると言われているが、財政負担の軽減策や新設の有効性が説明されていないと思う.早急に、軽減策を踏まえた競技場毎の財政支出規模、将来の有効性を明らかにすべきだと思うのである.

2.オリンピック運営に関する財政支出が納得される条件

オリンピックの運営費用はまさに費用であり、運営収支が赤字になれば,その赤字額は財政を直撃することになる.この運営収支は競技施設を無償で使うとすると,下記のように算出される.

オリンピック運営収支=オリンピック関連売上ー運営費ー仮設費用

現在、ロゴ使用料、放映料,入場料、グッズ販売の売り上げは、5000億程度と言われている.一方、運営費、仮設費、は1.3兆程度かかると言われているのである.したがってオリンピック運営収支は8000億の赤字と言うことになる.

この8000億の赤字を財政支出で賄うことになるのだが、オリンピックの大義,意義,経済効果,税収増,等,有形,無形の有効性を考慮して、国民、都民が納得できる負担なのか、どうかが評価される.

今のところ、この問題が話題に挙がっていないのだが、この赤字負担は財政を直撃するだけに、大問題になると予想される.しかも、記1.3兆は,なんの根拠もない、無責任な数字だけに、当然、大幅な運営費の削減が求られる事になる.早急な見積もりが必要である.

以上1.2.のように,大雑把であるが,今後の費用削減が無ければ、総額2.3兆円の支出に対し、5000億の売り上げで、1.8兆円の財政負担になるのである.

この1.8兆円の負担が,オリンピックの大義,意義,経済効果,税収増,等,有形,無形の有効性を考慮して,国民,都民が納得できるかどうかが最大の争点になるのである.

是非、この収支について、積算結果を公表すべきである.

3.私見での試算

競技場関連の資産支出を2割削減し、8000憶、オリンピック運営収支は運営費用の3割削減で9000億、収入5000億として、差し引きオリンピック運営費の収支は4000憶の赤字,とすると,全体の財政負担は競技場関連で8000億、オリンピック運営収支の赤字4000億、都合、1,2兆円がトータルの財政負担となる.

この1.2兆円の財政負担に対し、有形、無形の有効性で国民や都民が納得するかどうかが最終的な争点になる.勿論、納得性は向上すると思うだけに、上記削減を実現すべきだと思うのである.

以上、メリハリのある財政支出をすべきだが、あんまりにも、遅すぎる感じがするのである.そもそも、国立競技場問題、エンブレム問題、で、組織作りとマネージメント力に大きな心配をしたのだがその心配が払しょくされないまま、まだまだ、大きな問題が目の前に迫っているのである.つくづく、日本の巨大プロジェクトのマネージメント力の弱さを感じるのである.

4.最後に、東京オリンピックの検討状況を通じて,感じた事を述べておきたい.

①オリンピックの開催は開催都市とIOCの契約によって、行われる.事になっている.したがって、国内組織は開催都市の配下で、組織委員会、等の実施組織が編成される.決して組織委員会が税金の使い方を決めるわけではないのである.

一方、オリンピックが政治に利用されない為に、民間のイベント事業として、オリンピックを開催する事をIOCの理念にしているが、現実は、巨額の公金が投入される事から、政治介入なしには開催はできない状態になっているのである.

従って、今やオリンピックの開催はIOCと国の契約で行う方が現実的だと思うのである.そうすれば、国内の各地で競技が行えるのである.勿論、財政、設備の負荷分散も可能になるのである.

そもそも、1.5万人の選手村を作り、その周辺で競技をやる事がオリンピック理念に適っている、などと言う理念は間違っていると思う.世界各国の交流の場にする為に、1.5万人の選手村が必要なのだろうか.選手村を分散すると交流の場にならないのだろうか.恋流とは何をさせたいのだろうか,本心は強大な建築物を作りたいだけかもしれないのである.

IOCはスリムなオリンピックを実現する為に、競技場の観客数や設備の規定を緩和し、国情に合った開催が出来るようにすべきである.

③近年、競技別の世界大会が世界各地で開催されている事やオリンピックの巨大化から、オリンピックの役割は終わっている感じがするのである.これからは、競技別世界大会を世界各地で行う事の方が理に適っているように思うのである.

少なくとも、サッカー、ラクビー,テニス,ゴルフ、野球、,等,のプロ選手がオリンピックに参加できる競技はオリンピックには不要だと思うのである.世界レベルのプロの競技大会があるからである.アマチュア(アマチア規定がいるが)だけの競技にすれば別だが.

④頭をかすめる事がある.招致決定で日本は歓喜の声をあげたが,実は、IOCに乗せられていたのではないか、競合したトルコ、イスタンブールの国情を見れば、とてもオリンピックなど開催出来る状況ではなかったからである.

その事を知らずに、日本は招致を決める為に、実現できそうもないオーバーコミットまでしてしまった感じである.IOCは開催できる都市がない中で、まんまと、日本を乗せる事に成功し、しめしめと思ったのではないか、と勘繰るのである.

後の祭りかも知れないが、それならば、日本は、もっと強気に、IOCに接しても良いのではないかと、今でも思うのである.IOCにべったりの組織委員長はどっちを向いて仕事をしているのだろうか.

雑駁だが、そんな事を思わせる東京オリンピック問題である.

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