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2016.12.22

455 東京五輪4者協議会の感想

12月21日、東京五輪4者協議会が開催され、組織委員会から、次の発言があった.

①オリンピック総額費用について(第一次概算見積)

・ハード  6800億円(恒久施設 3500億円、仮設 3300億円)
・ソフト  8200億円(運営費)

・予備  1000億円~3300億円

・合計 1.6兆円~1.8兆円

この発言に対し、協議会としては、過去の3兆、2兆、と言う数字をリセットし、今後、この数字がベースになって,マネージメントされるとした.

都知事より、予算の一元管理体制を作りたいとの発言があった.IOCより、縮減への感謝と、更なる縮減を要望された.

②予算分担について

組織委員会が5000億円負担するので、残り、1.1兆円~1.3兆円を東京都、準会開催自治体、国でどのように分担すべきか早期に決定すべきだと発言.

この発言に対し、都知事より,東京都、組織委員会、国で1月より検討に入りたい、との発言があり、了解された.

私の感想

この4者協議会を聞いて、依然として,組織間のもやもやを感じたので、述べてみたい.

① 組織委員会の姿勢への疑問

組織委員会は,これまで、IOCの出先として、オリンピック全体を取り仕切るような発言をしてきたが、その姿勢は今でも、変わっていない.相変わらず,競技場や運営に関して、組織委員会が仕切り,その費用は行政が負担すると考えているようである.構図的には組織委員会の下に東京都や国があるような態度である.

しかし,現実はオリンピックの収入の何倍もの公金が必要であり、もはやIOC,組織委員会が意図する独立採算事業ではなく,行政が仕切る公共事業になっているのである.

従って、行政の下部組織として組織委員会が位置づけられるのである.当然、オリンピックと言う公共事業への公金支出は、都知事、都議会、あるいは政府、国会の判断で行われるのであって,IOCや組織委員会が勝手に公金の額、使い道を決める事は出来ないのである.

この当たり前の構図からすると、全体予算を組織委員会が発表する事、事態がおかしいのである.本来なら、行政の判断に基づいて、都知事、もしくは、政府が発表するべきなのである.

更に言えば,今回の組織委員会の説明で,組織委員会が”5000億円負担するから、残り,1.1兆~1.3兆は行政が負担せよ”は間違いである.

正しくは,”5000憶はオリンピックの
収入見積額であり、この公金である収入を組織委員会の活動費に勝手に使ってはならないからである.組織委員会の活動費は更なる削減に向けて,1.6兆~1.8兆の中に位置づけられるのである.

どうやら組織委員会は自分たちの収入で自分たちのやる運営費に供されると勝手に思っているようである.独立採算の事業だとの幻想がまだ残っているようである.

今回、出された数字は次の算式が出来ただけである.

総額(1.6兆~1.8兆)-収入(5000憶)=公金負担額(1.1兆~1.3兆)

この算式で、総額をどう減らすか、予備費をどう見るか、収入をどう増やすか、その結果、公金負担額が有効性から見て納得されるのか、の評価になるのである.公金負担額の分担は次の議論になるのである.是非、3者協議会で,この議論をして欲しいのである. 

以上の様に、依然として、IOC、組織委員会の認識、役割と行政の認識、役割とが噛みあっていないのである.

② 政府の姿勢への疑問

そもそもオリンピックを東京都が招致したのだから、”国の負担を要求する場合は国でなければならない理由を東京都が説明する事が大事だ”と相変わらずオリンピック担当大臣は言うが、全く役人根性そのままである.IOCの陳腐なスキームを盾にした発言だと思うが、オリンピック開催は他人事のように考えているのである.

IOCのスキームがどうあれ、東京オリンピックは日本全体に有形、無形の効果を上げる為に開催されるのであって,国を挙げての事業である.この認識が無ければオリンピック担当大臣は失格である.IOCと国が契約しているほどの認識が必要だと思う.

従って、政府としては、日常以上の安全対策の充実は勿論だが、東京オリンピックの目標をもう一度共有し,その為の財政出動や,東京都、準開催自治体の財政支援も積極的に考えるべきだと思うのである.現在の政府の姿勢は最大の課題かもしれない.


実質予算の分担案

1月から東京都、組織委員会、国で協議することになったが、
次のような分担案はどうだろうか.バランスが取れていると思うが.

・ハード(新設、仮設)は所有自治体、国が負担
・但し,仮説費用は国が負担(特別交付金等)
・ソフト(運営費)は内容ごとに東京都、組織委員会、国が負担
・予備費(想定外費用)は国が用意
 

本来なら、予算の分担問題はオリンピック予算策定前に決めて置く話だと思うが、オリンピック予算が、どれくらいになるかわからない段階で、分担方式を決める事は現実的ではないとも感じるのである.そこで、大枠のオリンピックの予算を見て、上記の案を考えたのである.この考えで、具体的な分担内容を議論したらどうだろうか.

④ この実質予算額(1.1兆~1.3兆)が評価できない問題

根本的な問題だが、

前ブログ 454 東京五輪の財政負担が納得される条件(16・12・06)

でも述べているが、国民や都民が納得できる条件(有形、無形の有効性)が述べられていない事から、実質予算額を評価できないのである.

そもそも東京オリンピックの目的がはっきりしていない事が大問題なのである.早急に、国民、都民が共有できるコンセプトを示すべきである.

又、オリンピック予算と言っても、一般の公共事業に付け替えられたら、オリンピック予算は守られたように見えるが、実際は増大することになる.逆に、オリンピック予算になんでも突っ込まれたら,公金が無駄に使われる事になるのである. 

れでは実質予算と有効性の評価が出来なくなるし、オリンピックの予算管理も空洞化するのである.そんなことにならない様、透明性をもって、しっかり管理すべきだと思うのである.

何れにせよ、民主主義の基本は、実質予算額を都民、国民に納得してもらう為には効率化内容や有形、無形の有効性を説明する事である.当然、議会の審議には不可欠である.

以上、感想を述べたが、やっぱり、日本は,巨大プロジェクトの組織化や役割体系化が不得手で、不確実性ばかりが言い分けのように聞こえてくるのである.

全体構想問題、国立競技場問題、エンブレム問題、オリンピック組織体制問題、予算問題、等々に引き続いて、まだままだ、問題が続いて出そうである.



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