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2017.01.06

456 2017年は混沌の時代、’創発’がキーワードか

創発の代表的な現象である’群知能’について、先ず、触れてみたい.

無数の鳥や魚が大編隊を組んで、大空や海中を、すごいスピードで、縦横無尽に飛んだり、泳いだりしている.決して、お互いが、ぶつかる事はない.又、多数のホッケの群れが海中に竜巻のような柱(ホッケ柱)を作ったりもする.

蟻は餌から巣までの最短距離の経路を見つけ、多くの蟻が,その経路を通る.多数の蟻や蜂は立派な巣を作くったりもする.数十から数百対の足を持つムカデがスムーズに走行するのも見事である.いづれも、子供のころから,どうして、そんな事がな出来るのかと,不思議だったのである.

これらの現象は,それぞれの生物が、編隊を組もうとか,身を守ろうとか、こんな形の巣を作ろうとか,を意識して行動しているわけではないのだと言う.勿論、指示を,出している、賢いリーダーがいるわけでもないのである.只、鳥や魚は数個の行動ルール(習性)に従って動いているだけだと言うのである.

同じように、ムカデも歩くために脳が多くの足に指令を出しているわけではなく、それぞれの足が持つ行動ルールに従って動いているだけで,それが集合体となると歩く動作になるのだと言うのである.

このように,数個のルール(習性)しか持たない個体が群れる事によって、予測できない新たな機能が創発されているのである.この知能を群知能(Swarm Intelligennce)と呼んでいるのである. 

(創発とは局所的な複数の相互作用が複雑に組織化することで、個別の要素の振る舞いからは予測できないようなシステムが構成される、と言う現象を言う.)

この自然の生き物が持つ群知能を製品に取り組もうと、元になる行動ルール(習性)を解明しようとする研究は30数年程前から始まった様である.そして1987年、CG用ソフトとしてBOIDS(ボイド)が開発されると,鳥や魚の行動ルール(習性)を解明する事が簡単になったのである.ルールを変えながら,その群行動をCG映像で確認できるからである..

具体的には,個体に①他の種類の鳥(魚)から離れる事,②同類の鳥(魚)と一定の距離を保つ事(衝突防止),③一定の距離を持つ鳥(魚)と並行に飛ぶ(泳ぐ)事、と言う 3個のルールを与えてコンピュータ上で数千の個体を動かすと、リアルの映像と同じような大編隊の動きが,CG映像として再現されるのである.

このCG映像化の技術は多くの映画に使われているのである.同じように、ホッケ柱も,ホッケに数個の行動のルールを与えるだけで,ホッケ柱のCG映像が出来るのである.勿論、群知能はCG映像作りだけでなく、多くの製品に組み込まれ始めているのである.

しかし,動物毎の行動ルール(習性)がすべて解明されているわけではない.例えば,ハチの巣や亀の甲羅が正6角形で出来ているのは、無駄な空間を作らず、一つの型の面積を出来るだけ大きく、しかも外周の長さは出来るだけ短く、強度もある形、だからである.これは進化の中で出来あがった知恵だとしても、蜂の大群を構成している個々蜂が、どんな行動ルールを持っているのか解明されているわけではない、蟻の巣にも同じ事が言えるのである.

そんなわけで、動物の群知能には興味を持つのだが、解明できている鳥や魚、等の行動ルールから想像できることは,戦闘機やドローンに数個の行動ルールを与えるだけで、自動的に,編隊を組んで飛ぶ事が出来のではないか、あるいは、高速道路を走る車に数個の行動ルールを与えるだけで、自動運転ができるのではないか,又、多足歩行ロボットの各足に、簡単な行動ルールを与えるだけで、障害物があっても歩けるロボットが出来るのではないか,と想像するのである.

もっと夢のあることを言えば、人間の細胞とか,免疫に、行動ルールがあって,その集合体に群知能があって,それが人間の体を支えたり、壊したりしているとしたら、細胞や免疫の行動ルールを解明すれば、ガン細胞を死滅させることができるかも知れないのである.

一方、人間は大きな頭脳を持っているだけに,多くの人が集まっただけで,群機能のような,統一された、再現性のある行動をとる事はないと思うが、多くの人の行動が複雑に組織化する事で,予測できない創発的な価値観や行動が生まれる可能性は否定できないのである.

今年は国際政治も国際経済も、あるいは,価値観も、これまでの秩序が崩れて,まさにカオス(混沌)の時代に突入するのではないか、と感じるのである.

そうだとすると、カオス状態ならばこそ、群知能,AI、脳科学を活用した,創発的な新製品が出たり、人間行動のビッグデータで行動の予測が出来たり、新しい創発的な価値観や行動が現れたり、何が飛び出すかわからない年になりそうである.

これまで、世の中は、パソコン、インターネット、スマートフォン,あるいは、製品のデジタル化の発展で,産業構造や人間の行動が大きく変化して来た.この変化は技術革新の予想の中で、想像して来た現象である.これからは、予想だにしない『創発』が今年のキーワードになる予感がするのである.

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