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2017.05.30

471 元官僚トップの’公平な行政が歪められた’発言への指摘

国家戦略特区とは、今までの特区申請(規制緩和地域の申請)による新事業の展開を、更に積極的に進める為に、政府主導で,これを実施する制度である.

この戦略特区を利用して,加計学園(岡山理大)と今治市が申請した獣医学部の新設に対し、これを進めるようにとの官邸の圧力があったとする問題が、森友学園問題に引き続き,国会で取り上げられている.

この問題について官邸からの圧力を記録した文書があるとして前文科省事務次官の前川氏が「行政の公平性が歪められた」と公言したのである.この公言が.野党の疑惑追及に拍車をかける形になっているのである.

一方、文科省としては、その文書の存在を調査したが、見つかっていない.官邸としては、安倍総理の親友が学園を経営していようと、いっさい、加計学園の認可に圧力をかけていないし,文書に書いてあるような事を言っていない、総理は、親友であるからこそ、便宜供与など出来るわけがない、と主張しているのである.

そもそも、獣医学部の新設は1966年以降(60年近く),まったく許可されていない.しかし,

・ペット数の爆発的増加から牧畜も含めて獣医不足が発生している事、
・全国各地に鳥、豚、馬、牛の伝染病対策の強化が必要な事、
・全国的に公務員の獣医が不足している事、

・四国に獣医学部が無い事、
・毎年の既存獣医学部の入学競争率が20倍ほどに高い事、

等々で獣医師が逼迫し、増加が必要だとして,加計学園と今治市はこの獣医学部の新設を要請しているのである.

この申請はこれまで、何回も文科省に提出しているが、すべて却下されて来たと言うのである.通常の申請では文科省の許認可を受けられない状態だったのである.この文科省の岩盤規制を打ち破る為に、戦略特区政策に乗じて,改めて獣医学部の新設を申請したのである.

本来なら、戦略特区は、特区の事業が良かったら、規制を緩和して、全国に広げようと言うのだから、学部新設や学校新設は、なじまないのかもしれない.それでも獣医学部新設を特区で申請したのは、規制緩和して全国の獣医師を増やすべきだとの考えで、まず、特区で規制に風穴を開けたいと思ったようである..

もともと、60年近く獣医学部が新設されないほど規制が強くなければ、特区での申請はなかったと思うのである.

国家戦略を積極的に推進したい官邸としては、当然、獣医学部の新設を実現したいと言う立場である.叉、国会議員、地方議員が実現に向けて後押しする事は当たり前の話だと思う.

戦略特区に係わらず、地域に特定企業を優遇策を講じて誘致する事を政治家が後押しする事など,よくあると思うのである.勿論、見返りのある口利きは論外だが.

この案件に対し,前川前文科省事務次官が官邸の圧力で,「公平な行政が歪められた」と公言したのだが、例え圧力を示す文書が公的文書として存在していても、公平性が歪められたと言う内容が,はっきりしないのである.あまりにも抽象的で、さっぱり分からないのである.

幾つか推測してみた.

・公平な審議を予定していたが、それをやれなくなった?
・文科省としては不許可の意見を
出せなくなった?
・文科省で不許可を決めていたが、くつがえされた

・業界の既得権が侵された?
・文科省のメンツ、許認可権が侵された?

最初の公平な審議が出来なかったと言うのであれば、公平な審議をすればよいだけである.認可に不満があるなら反対すればよいのである.過去にも官邸主導や政治家主導があったと思うが、何故,今回、「公平性が歪められた」とことさら言ったのだろうか.

本心としては、こんな事もあったのではないかと推測できるのである.

・前次官が天下り斡旋で首になった腹いせで官邸に復習したかったから?
・民進党の推薦で国会議員に立候補したいから?

それにしても、戦略特区は、もともと行政の既存の公平性を崩すことである.戦略特区に官邸が主導性を発揮する事は当然である.

しかし、文科省官僚からすると,政治が教育行政に口を出すな(政治と教育行政の分離)、官邸主導とか政治主導は間違っている、との特権意識が根底にあって、教育を特区でやる事に、もともと反対している感じがするのである.

この教育に関する文科省官僚の特権意識が、ひいては、省益、既得権に繋がって、最も官僚主導の強い組織になっている感じがするのである.前事務次官の発言を聞いていると、公平性云々と言うより、この特権意識、官邸主導が侵されたことで、公平性が歪められたと言っているように感じたのである.

もし前川氏が公平性が歪められて、国民が不利益を被る、と言うのであれば、他人事ではなく、官僚のトップとして、自分の責任で、これに立ち向かうべきだったのである.今回の公言は正義の覇者を演じているようだが、単に,天に唾を吐いていただけである.

更に言えば、あれだけ大きな問題になった強い既得権益を背景にした、天下りを文科省が、最近までやっていたいた事に驚いたのだが、その責任者から、行政の公平性などと言う、きれいごとを聞いただけに,またまた、驚いたのである.

この天下りを続けてきた事は勿論だが、既得権益や省益を守り続けて来た行為が「公平な行政を歪めてきた元凶」ではないのか、その自覚が文科省官僚にあるのか.特権意識が強い割に、自分に甘く、当事者意識のない、無責任体質を感じたのである.

是非、前次官から「公平な行政」について所見を聞きたいものである.記者会見をやるなら、「天下りと公平な行政について」「省益、既得権益と公平な行政について」の記者会見を先にやるべきだったのである.

ところで、世の中は「官僚主導」から「政治主導」に動いている.技術革新や国際競争、世の価値観やニーズが大きく変化しているからである.

省庁の既得権益にしがみついているだけでは,世の中の変化の足かせになるのである.省庁が「変化への対応」に積極的に取り組まなければ,明日の日本はないのである.

ついでながら、文科省の教育問題も同じである.教育改革が遅々として進まないのも、教育行政の既得権にしがみついているからだと思う.官邸や政治家の圧力がもっと欲しいくらいである.

 

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