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2017.07.04

475 都民ファースト都議選圧勝の要因

2017年7月2日の東京都都議会選挙は、かつて,大阪府議会、市議会、の選挙で、自民党、民主党が激減し、地域新党・大阪維新の会が躍進し、第一党の勢力を占めたのだが、今度は東京で同じことが起こったのである.

今回の都議会選挙による勢力図が下記の通りだが、自民党議員の激減、地域新党・都民ファーストの会が躍進し、第一党の勢力を占めたのである.
(図をクリックすると拡大) Photo

この結果に対して国政における自民党の失点自民党に代わる受け皿が無かったから都民ファーストが大勝したとの論評が多い全く都民ファーストに失礼.だと思う.都民ファーストの政治姿勢や政策これまでの自民党都議会議員の失政があったから都民ファーストが大勝したとの視点で,その要因を述べたい. 

①都民ファーストは既成政党ではできない政策を訴えて勝利

1年前の都知事選では、組織票の無い中で、小池氏は「東京大改革」を掲げ、多くの都民の支持を得て,ぶっちぎりの勝利を得たのである.

今回の都議会選挙でも、この取り組みの延長線で「古い議会から新しい議会へ」と組織票がないならではのキャッチコピーを掲げ、旧態依然のこれまでの都議会を変えたいと訴えたのである.

特に、オリンピック問題や豊洲市場問題、に関する自民党都議会の失政に対して、このキャッチコピーは見事に都民の心をつかんだと思う.自民党都議会幹部(幹事長、政調会長、議長)が軒並み落選したことでも,明らかである.

更に自民党の凋落に輪をかけてしまったのが、オリンピック問題、豊洲問題に対する小池都知事への攻撃である.「決められない小池都知事」とキャンペーンを張り,小池都知事を攻撃したのである.これらの問題は、これまでの自民党を第一党とする都議会の責任が大きいのだが、その反省もなく、尻ぬぐいに必死の小池都知事に責任を転嫁しようとする的外れの自民党に更なる逆風が吹き荒れたと思うのである.

一方、都民ファーストの新人立候補者は自民党批判は一切せず、身近な所の問題を掲げながら、新しい議会を担う意気込みで、選挙に臨んでいたと思う.これも又、都民ファーストの方針、政策と連動した見事な選挙活動であったと思うのである.たとえ小池人気があったとしても、組織票の無い50人の立候補者のうち、49人の当選者を出した事でも、この事は明らかである.

大阪府議会選挙,市議会選挙でも,地域政党の維新の会が第一党を得たが(選挙制度から単独過半数を得る事は不可)、ここでも、これまでの大阪の既成政党の失政を鋭くとらえて,解決策として、自民党では考えられない、大阪都構想を主張したのである.

大阪の地域政党・維新の会も東京地域政党・都民ファーストも、まさに、既成政党の、これまでの失政を踏まえて、既成政党では考えられない政策を訴えて大勝したのである.この地域政党の躍進は全国の地方議会にも起こり得る現象だと思うのである.

②他党を圧倒した都民ファーストの選挙戦術

都民ファーストは1年前の都知事選でもそうだったが、都議選でも、既成政党を圧倒する選挙活動を展開した.小池都知事のキャリアの中で培割れた選挙のうまさがいかんなく発揮された感じである.過去の小池氏の成功経験が大いに役立っていると思う.

・日本新党のゼロからの立ち上げ経験
・新進党小沢氏のどぶ板選挙(住民との会話と握手)
・自民党小泉氏のワンフレーズポリテックス、劇場型選挙(守旧派攻撃)、落下傘攻撃

・東京大改革、都民ファースト、古い議会から新しい議会へ、と言うキャッチコピー
・都民の要求を軸にした選挙公約作り
・選挙区の特徴、競合相手、定数に応じた,立候補者の選定
・公明党との選挙協力,他党党員の取り込み

を実行したのである.

これに比して国政政党は都議選の場を利用して国政選挙の前哨戦のような国政バトルを繰り返していた.国政野党は自民党スキャンダルを材料に、憲法改正を阻止する為の反安倍運動を展開した.

都民ファーストだけは都議会選挙に徹した戦いをしていた様に思う.上記①の政策と、②の巧みな選挙戦術が都民ファーストを圧勝に導いたのである.

③自民党大敗にもかかわらず都議会の受け皿になれない国政野党の凋落

今回の都議選は政策や都議を選ぶと言うより、国政自民党の失態に反自民の野党やマスコミ、有識者が、ここぞとばかりに自民党審判の場にしたのである.その結果、都民ファーストの大勝利、自民党の大敗になったのだが,この結果に喜んだのは、公明党、民進党、共産党である.

都議会の勢力が伸びていないにも関わらず、国政で自民党に攻勢をかけられると喜んでいるのである.国政の受け皿になれない事に加えて,都議会でも受け皿にもなれない事に気が付いていない感じである.それでも喜んでいる野党は万年野党病にかかっているのかも知れない.

こんな国政政党をしり目に、都民ファーストは漁夫の利を得たと言う人がいるが、失礼千万だと思う.上述のように、都民ファーストは都知事選の「東京大改革」、都議選の「古い議会から新しい議会へ」と一貫した方針のもと、都民の要求する課題に対する公約をで掲げて来たのである.その結果が、自民党はもとより、国政野党をも退けたのだと思う.漁夫の利ではなく,戦って,既成政党を退け,凋落に追い込んだと思うのである.

さて大敗した自民党への提案を記しておきたい..

今後の自民党だが、国政対策と地方選挙対策がある.国政対策としては、当面の勢力を使いながら、しっかり、外交問題や憲法改正問題、等の重要な政治課題に取り組む事だと思う.但し、自民党自身のリスクマネージメント、ダメージコントロールを徹底する必要がある.

「世間の常識や感覚の欠如」、「負けず嫌いからくる反応」には要注意である.「口は災いのもと」を標語に掲げ,口喧嘩やデベートの訓練をしたらどうだろうか.政治家の必須の能力だからである.

次の国政選挙対策だが、保守第二党の誕生が起こるかどうかである.二大政党を望む観点からすれば、作るべきだと思うが、その気配が無ければ、政権の事など気にせず、しっかり政治をする事である.

次に考えるべき問題は地方組織の在り方である.前回の都知事選挙もそうだったが、都知事候補を決めるだけでも混乱しているのである.選挙がある事ははっきりしているのだから、数年前から準備して当然だが、これさえ出来ていないのである.

現在,各地域の自民党議連は国会議員を筆頭に地域の議員で構成されているが、外から見ると,自民党や国会議員を支える組織票固めの下部組織にしか見えないのである.

大阪の自民党府議会もそうだったが、これでは、100%、地域の事を考える地域政党の政策には勝てないのである.住民からすると,国政の事しか頭にない本部や国会議員が地域の選挙応援にきても、旧態依然の違和感を感じるだけである.それ程、政治が身近になっているのである.

地方議員選挙における国会議員の興味は自党の支持率である.候補者の当落や政策の評価ではなく、自党の得票数である.国会議員に取っては,地方選挙は次の国政選挙の前哨戦でしかないのである.又,地元議員にとっても、政党本部や国会議員の応援を得て,本部との連携を言いたがるのである.此れでは地域政党に勝てないのである.

そこで、自民党として,本当に地方議員を拡充し,地域の支持率を拡大しようとするなら、地元自民党議員だけの地域政党を立ち上げ地域政治に取り組ませるべきだと思うのである.

全国企業の支店が地域で商売するより、地域会社に商売させる方が提案力も上がり、地元も受け入れやすいからである.地方の商売に大企業の支店長が社長や専務を連れて来て,会社挙げて取り組むと言うより,地域会社の社長が的確な提案をもって訴える方が、地元の好感が得られるのである.

この様に従来のまま問題意識もなく、相変わらず、国会議員を選挙カーに乗せる事が選挙戦術だと思っている様では、今回のように、地域政党に足元をすくわれるのである.

国政政党の選挙カーにベテランの党本部や都議会の幹部、引退したドンと言われてきた人物、が乗っている姿を見ると、小池氏の「古い議会から新しい議会へ」と言う主張の中の「古い議会側のおっさん」に見えたのである.小池氏のワンフレーズポッリテックスの威力である.

この「古い議会から新しい議会へ」と言うワンフレーズポリテックスは東京都議会のこれまでの実態を的確にとらえた、新興勢力の見事なキャッチコピーだったと思う.孫氏の兵法「戦わずして勝つ」を見事に実践したと思うのである.

いくら安倍総裁が「古い、新しいが問題ではなく、決断力、実行力が大事だ」と正論を言っても、一年前の都知事選でも問題になったが,これまでの都議会が決断力、実行力が疑われているのだから,自民党としては「天に唾」になり、小池氏の応援になっても、小池氏のキャッチコピーの反論にはならないのである..

以上、自民、安倍政権への逆風が無くても,地域政党である都民ファーストの会が圧勝したと思う.この事はすでに大阪の府・市で、第1党が自民党から維新の会に変わっているように、東京でも同じ現象が起こったと見えるからである.

共通している事は、地方政治における既成政党の賞味期限切れである.このように自覚している既成政党はないようだが,いづれ国政においても、起こる現象だと思う.既成政党は地方政治と国政に、どう対応していくか,大きく見直す時期に来ていると思うのである.

 

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