163 私の音楽・絵画の趣向
私の音楽や絵画の好み,原点について紹介したい.同時に本日誕生するオバマ新大統領の政治の原点にも触れたい.
私の音楽の好みは昔からプレスリー時代で止まっている.ビートルズ以降はほとんど興味がなかった.1940年代,50年代,60年代の,いわゆるスタンダードナンバー,スイングジャズが好きであった.若い時,シャワーのように米国の音楽を浴びたせいかもしれない.
ここ10年は,それらの音楽のベースになったカントリー,ブルースに趣向が移った,最近では,その中でも,ゴスベル系に惹かれている.
言うまでもなく,ゴスベルはヨーロッパ系白人の賛美歌を離れて,アフリカ系黒人で歌われた霊歌,ソール音楽である.このゴスベルがその後,カントリー,ブルーグラス,ブルース,R&B,ロックンロール,デキシーランドジャズ等のベースになり,白人の世界にも広がって行ったのである.
例えば,よく知られる’When the Saints Go Marching In’’Just a Closer Walk with Thee’は葬儀で歌われる黒人霊歌である.埋葬前は静かに,埋葬後は明るく演奏される.名曲であるだけに,カントリー,ブルーグラス,デキシーランドジャズ,などにアレンジされ,葬儀とは無関係に演奏されるている.他の多くのゴスベルも,いろいろなジャンルでカバーされているのである.
あのプレスリーの中に,これらの変遷が見える.彼は黒人のR&Bと白人のカントリーを融合して新しいロックを誕生させたが,多くのゴスベル,R&B,カントリーも歌っている.少年期に教会で培ったゴスベルが彼の音楽の土台になっていたのだと思う,彼に孤独感,さみしさ,生真面目さを感じる瞬間があるが,それ故,彼のゴスベルに違和感はない.又,彼のロックが,ほとんど3コードである事も,その影響の大きさが感じられる.
と言う事で,好きな音楽を聞いている内に,自分の好きな音楽が無意識に,源流を逆登って原点に向かっている感じがする.その原点には,簡単ではあるがハートがあったり,好きなアコーステックギターがあったり,奏法や音楽理論の原点(3コード,2ビート,12小節)があるから,かもしれない.勿論,演奏のしやすさも理由である.
次に,私の絵画の好みは多くの日本人と同じく印象派の絵である.その後の近代絵画は独自性を追求する余り,共感を覚えることは少ないと感じている.
ところで,西洋絵画の歴史はイタリアのビザンチン,ゴシック,ルネッサンス,オランダ,スペインのバロック,フランスのロココ,フランス革命後の印象派と当時の国力,社会情勢と同期する形で変遷して来た.
私の好きな画家は印象派のセザンヌ,モネ,ルノワール,ゴッホ,モリゾなどであるが,彼らに影響を与えたバロックのルーベンス,レンブラント,フェルメール,ロココのブーシェ,フラゴナール,ラツール等も良い.
ルノワールがルネッサンスのラファエロに大きな影響を受けたと言う.改めて,ラファエロの絵を見ると,ダビンチ,ミケランジェロにはない現代風の画風である.小磯良平の絵にもラファエロの面影があるように思う.
印象派の絵画はモチーフが身近な風景であったり,人物である.しかも,色彩も豊かで,自由な感情表現がされている.それまでの宗教画,貴族の肖像画,戦争画とは大きく変わったのである.映像や画像が発達した現在ならばこそ,ますます,彼らの絵が際立つ感じである.
音楽も絵画も古くから宗教とともに歩んできたが,ゴスベルや印象派を現在の原点と感じるのは,個人の意志や感情表現が主流になった事,表現手法も現在まで受け継がれ,生きている事である.現代と断絶した過去の古典芸術ではないと思うからである.
ところで,本日,オバマ米大統領が誕生する.ワシントンはじめ国中がお祭り騒ぎだと言う.どんなスピーチになるのか,リンカーンやケネディの様な歴史に残る名演説を期待する人も多いが,興味ある所である.
私から見ると,オバマはアフリカ系黒人のせいもあるが,コスベル風表現者に見える.YES WE CAN. WE ARE ONE, CHANGE,等いかにも簡単で,スピリチュアルではあるが自身のリアリティもある.ゴスペルの歌詞そのものである.
彼の演説も朗々とリズムがある.彼に限らず,人の心を揺さぶる演説は子供の頃からゴスベルで培われているからではないかと思うのである.
金融・経済危機やテロとの戦いの中で,米国民は建国の精神,ゴスベルの文化,国民の希望をオバマに見たのだと思う.
そんなわけで,本日の大統領就任演説は,きっと,過去の苦難の道を振り返りながら,現在直面する問題に対し,希望と決意を,ゴスベルを歌う様に宣言すると思う.深夜まで起きていられるか分からないが,歴史的な彼のゴスベルに注目したい.
ところで,趣味の世界でゴスベルや印象派を原点と考えるのは個人レベルの考えで済むが,我が国の建国の精神,国民が立ち返るべき原点は何かと自問すると,にわかには出てこない.幸せな事なのか不幸な事なのかも悩む.日本の歴史,欧米文化,日本文化が頭を駆け巡るのである.
米国は米国料理,フランスはフランス料理,イタリアはイタリア料理,ロシアはロシア料理,中国は中華料理,韓国は韓国料理しか食わない.日本は全部食べる.結果,家庭にある食器の数,調味料や食材の種類は世界一だと言う.何を食べるか,いつも悩む如くである.
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