情報システム

2008.02.28

130 偉大なるインターネットを語る

1995年のWINDOWS-95以来,たかが十数年で世界を覆ったインターネットの偉大さ,人類の英知,について,改めて,後世への記録として,自分なりに要約した.

日本経済の絶調期の80年代,絶不調期の米国でパソコン,インターネットが芽を出し始めた.IBMアーキテクチャーが世界のメインフレームを中心とした情報システムを凌駕していた時代の中で,この芽は多くの専門家の中でも,亜流と捉えられ,誰も今日の隆盛を創造し得なかったのである.

この隆盛は半導体技術の驚異的な進歩によるところ大であると思うが,それと呼応したいくつかの英知を上げてみた.

第一の英知は情報処理方式である.伝統的なメインフレーム(主機構)&スレーブ(奴隷)の考え方(集中処理方式)に対し,サーバー(召使)&クライアント(主人)の考え方(分散処理方式)を唱えた点である.言葉に主客転倒の考え方が現われている.

情報処理方式は国や企業の組織のあり方と類似している.この観点でいえば,日本のバブル崩壊以後,中央集権的社会の仕組みから分権的社会への転換,個の自立といった価値観の変化と併走するような変化でもあったのである.

第二の英知は従来のメーンフレームメーカーの排他的戦略(ハード・基本ソフト・業務ソフトとも)に対し,オープンアーキテクチャーの考え方,分業開発の考え方,を取り入れた事である.これでハード,ソフトの分離開発を可能とし,世界のスキル・パワーを巻き込んで行ったのである.世界的な規模でハード,ソフトそれぞれに専門企業が出現し,この考え方がデジタル革命をも牽引して行ったのである.

マイクロソフトの基本ソフトについて言えば,その戦略はプログラムの動作環境を提供する事にあった.これによって,データベースソフト,言語,メールソフト,汎用ソフトなどのミドルソフトや業務用パッケージソフトが世界規模で,一気に,このOS上で開発されて行ったのである.従来の排他的な,何でも自前主義で作るやりカを取っていれば,今日の隆盛はあり得なかったのである.

の二つの英知は,当時のメインフレームが主流の中で,高額なメインフレームへの挑戦から着想されたものか,あるいは,素朴に個人の利便性を追求した結果出て来たものか定かではない.いづれにせよ,その発想の意味するところは組織,大規模計算の為のコンピュータシステムから個人利用のコンピュータに視点を移した事にある.この発想がワープロ,表計算,DTPにとどまらない可能性を秘めていたのである.これを契機にデジタル技術開発の方向が個人に向う潮流(技術の大衆化)を作ったのである.

第三の英知は,ソフト・コンテンツの巨大化とハード・ネットの高速化・大容量化が相互に刺激しあって,進展した事である.市場性の大きさから,必然的な現象であったかもしれないが,人類にとって,きわめて幸運な事のように感じる.

例えば,,数メガの基本ソフトの開発段階では,それをインストールする為の媒体がなかった.(フロッピイはあったが,数十枚になり,実質,利用できなかった)しかし,その心配をよそに,CDが登場してくれたのである.現在でも,ハードデスク,フラッシュメモリ,DVDの技術革新がパソコン,テレビ,家電,産業機器などと一体となって進められ,新たなアプリケーションを生んでいるのである.

第四の英知はソフトがハードのデファクトスタンダード化を加速させた事である.マイコンが出始めたころ,CPUのアーキテクチャー論争に決着をつけたのは,基本ソフトであった.コンテンツがVHSやブルーレイを決めた様な事が既に始まっていたのである.

重要な事はシステム製品はデファクトの中で育つ事である.競合,乱立のフェーズをできるだけ短期間にし,アーキテクチャーのデファクト化を図る事が開発者にとっても,利用者にとっても必要なのである.特に日本は島国的,箱庭的,ものつくりに走りやすく,アーキテクチャーのデファクト化の視点を持つ事がきわめて重要になっているのである.

第五の英知はインターネットである.最初は大学という閉じた世界で考えられた機能であるが,上記の四つの英知と相まって世界的に発展し,情報化社会を作りだしたのである.特にインターネットの世界は政治的に統治者が作ったものではない事,事業者が事業として作ったものではない事である.逆に,そうでなかったから実現した事である.ここに過去にはない重要な発想が感じられるのである.

その中で爆発的に普及をさせた機能は①TCP/IP(通信プロトコール),②ブラウザー(表示インターフェース),③検索エンジン の3点だと思う.これなくして,人間の欲望(いつでも,どこでも,言いたい,見たい)を満たせなかったと思うのである.

①通信制御手順を階層化(電気的レベルからアプリケーションレベルまで)している中で,TCP/IPはその中間層(3層,4層)に位置し,宛先(アドレス)によるルーチング機能(アドレスにたどり着く機能)を言う.通信網との接点であるルーターに,その機能を持ち.世界のルータ-群があたかも世界の通信の交換機の役割を担っているのである.統治者のいない世界の通信網たるゆえんである.

このTCO/IP,アドレス表現(トリー構造)は,世界標準であり,そこに使われる世界のアドレス帳(ドメイン名とIPアドレスの対応表)は世界中に13個に自立分散され,信頼性,安全性,拡張性が確保されているのである.

利用者はこれによって,ネットワークから解放され,いつでも,どこでも接続が可能となったのである.メインフレームメーカーの排他的発想では考えにくいアーキテクチャーなのである.電子メールの送受信やホームページアクセスが世界規模で可能となり,その素晴らしさ,偉大さを改めて実感するのである.

②ブラウザーはコンテンツ(テキスト,画像,映像,音声,イメージ,デザイン,他の情報とのリンクなど)を再生・表示するアプリケーションソフトである.この表示ソフトの文法(HTML)に従ってコンテンツを作成すること(自動変換ツールもある)になるが,この文法が世界的にデファクトスタンダードになったことが,コンテンツ作成,閲覧を一気に広めたのである.これも又,メインフレームメーカーの排他的発想では考えにくいアーキテクチャーであった.

③検索エンジンは見たい,見せたいを繋ぐ機能であり,世界規模の膨大な情報(ホームページ)の中から,目的に合いそうな情報を引き出すアプリケーションソフトである.もちろんその方法に王道はなく,いかにインデックスを作り,該当のホームページをピックアップするかである.

ちなみに,検索サービスには次の機能がある.
第一に情報収集機能である.世界のホームページをなめまわし,カテゴリーや単語別にホームページアドレスを付記していくのである.(自動的に,人為的に).検索対象から外す,あるいは削除するケースもあるが,現在約100億ページがインデックス化されていると言う(専門分野毎の検索サービスは他に多数あり).
第二は検索結果の表示順番付け機能である.検索サービス各社はそのアルゴリズムを進化させている.
第三は検索内容に関連する広告の表示機能である.リステング広告やアドセン広告である.無料の検索サービスは,この広告収入で賄われている.

検索サービス事業者は,いかに利用者の目的に合致したホームページを表示すかが使命であり.インデックスの量,鮮度,表示順番,的確な広告が重要な競争ファクターなのである.

一方,多く閲覧されたいホームページ掲載者は,上記のインデックス付けや検索結果表示順番付けアルゴリズムに呼応して,上位表示されるべく,工夫(SEO対策)をしているのである.

このような検索機能がインターネットの利便性を飛躍的に高めたと思う.日頃調べものをする時,まさに辞書代り,本代り,マスコミ紙代りに,インターネットを使う.レスポンのスピードも含めて,その利便性に驚嘆している.

ついでながら,この検索データベースは米国著作権法(検索目的のCOPYは可)によって米国に集結している.これを政治的に扱ったらインターネットはたちどころに死んでしまう危険性がある.又,この検索サービスが広告収入で支えられている脆弱性もある.広告収入が減る可能性が高いからである.

今やインターネットは有線・無線網のブロードバンド化とともに,パソコンのみならず,携帯電話などの移動端末,家電は言うに及ばず,自動車,産業機器,自動販売機,センサー機器,動物,などにもつながり,世界の隅々まで張り巡めぐされている.映像コンテンツもネットを走り回る.

しかし,インターネットの世界を統治する者も国境もない.人類の有史以来,考えも着かない情報ネットワークが出来上がったのである.多分,数億人がインターネットを利用し,すでに社会のインフラになっているのである.

情報は人間や社会に大きな影響をあたえる.印刷機,ラジオ,テレビ,ビデオなど情報を運ぶメデアの出現がマスメデアとして大きな影響を与えてきた.しかし,このマスメデアは送り手と受け手が一方向のメデアである.

一方,インターネットはリアルタイムで双方向のマスメデアであり,かつ,個人が発信者・受信者になるパーソナルメデアでもある.この意味で,インターネットは,有史以来,印刷機,ラジオ・テレビ,に次ぐ第三の情報革命だと思う.これによって,明らかに,個の時代,多様化の時代を加速させ,個人・社会・政治・行政・産業・医療・何よりも,考え方,知識,価値観に大きな影響をあたえる事は明らかである.

このインターネットにネット犯罪,コンテンツの信頼性,著作権,プライバシーなどの課題がある.しかし,インターネットには無償の互助精神が根底にある.子供のころから,文明の利器であるこのインターネットの精神を教育し,悪貨が良貨を駆逐する事だけは避けなければならない.いまやインターネットは人類共通の財産になっているからである.

ところで,個人的には,足腰が立たなくなっても,インターネットは生活のインフラになっていると思う.好きな音楽ライフやテレビの特集番組,社会の動き等を見たり,ネットショッピング,メール,ガス抜きのブログ等,インターネットライフを満喫していると思う.

高齢化社会のライフワークとして,インターネットの果たす役割は大きいと思う.パソコン,インターネットになじんでいる団塊の世代以降の高齢者のライフスタイルは,それ以前の高齢者とは大きく変わってくると思うのである.

以上,昭和40年代からコンピューターの歴史を体験して来た者の一人として,激変の一端を自分なりに整理してみたのである.一貫して感じる事は,独自性,排他的優位性の発揮が中長期に利用者の支持を得られるかと言うことである.激戦に勝ち残ったものがデファクトスタンダードに君臨する進化の形は,必死の研究開発を促すが,高いリスク,長い期間,利用者の混乱,独占の弊害が伴う事が多い.

その意味で,世界規模で考え方,方式,インターフェースのいわゆるア-キテクチャーのデファクト化(国際標準化)を先行させ,その上でテクノロジーや物作りの競争が繰り広げられる形がむしろ進化を加速させると思う.

特に高度化され,ソフトの比重が高まるデジタル製品には不可欠なテーマだと思う.すでに,アーキテクチャー重視の時代に突入しているのである.

話が変わるが,日本の電子行政システムは日本全体のアーキテクチャー(処理方式,セキュリティ,各データフォーマット,文書仕様など)を誰も決めない為,自治体ごとに検討される.これではパッケージ開発競争も価格低下も起こらない.導入スピードも落ちる.まさにアーキテクチャー不在が巨額のロスを生んでいるのである.

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2007.03.03

83 ナレッジシステム

ナレッジ(次の仕事に役立つ知識,知恵)はネットワークやデジタル技術の発達によって,タイムリーに蓄積・共有・活用が可能になり,企業力格差の大きなファクターになって来た.

元来,企業活動の成果は①顧客の利益,②自社の利益,③ナレッジである.これらを次の仕事に反映させ,次の成果につなげて行く.この繰り返しが企業の存続・成長である.ナレッジがこのサイクルの牽引力になるのである.

ナレッジは「継承なくして創造なし,創造なくして継承なし」の考えの中で培われ,常に企業進化を推し進めるのである.

このナレッジは意義・課題を自覚してやる仕事に多く産出される.又,ナレッジが「ある,ない」の評価より,持続的に増殖させ,活用する意識・仕組みが重要となる.そこで,ナレッジシステムの概要を整理してみた.

蓄積,共有ツールとしてはグループウエアーもしくは社内ホームページサイト,その内容は通知情報,部門別計画・活動情報,製品情報,設計情報,障害情報,技術情報,商談情報,提案情報,顧客情報,事例情報,プロジェクト情報,クレーム情報,改善情報,業績情報,議事録情報,セミナー・講演資料などである.これらが日々の活動によって蓄積・共有される事になる.

このように,ナレッジの蓄積は知識や知恵を書く事を意識するのではなく,企業活動の記録を取る事である.これがナレッジのベースとなる.ナレッジは百科事典や図書館を作る事ではなく,実務で発生した記録,資料の中に大事な宝物があると考えるのである.

トヨタの改善運動は,現場で起こった問題や改善がたちどころに全世界のトヨタで共有され改善が実施されると言う.問題に気付いたり,失敗したり,改善を行った事がきわめて重要なナレッジなのである.これを日常的に行われ,企業は時間とともに進化・成長して行くのである.改善運動はまさに生存のメカニズムになっていると思う.

ナレッジには,もう一つの分野がある.経験知識を集約した静的な知識情報である.ソフト開発事業で言えば,業種別システム設計ガイド,業務概論,論文,技術解説書,標準化マニュアルなどである.一般には教育テキスト的情報である.これらも重要な教育ナレッジであり,企業の人材育成力を左右するのである.新人はもとより,社員への教育は年々悩ましいテーマになる.ナレッジシステムはこの問題への強力な武器になる.

かくて,企業経営情報は.業務システムとナッレジシステムで構成される事になる.業務システムは業務を正確に迅速に処理することであるが,ナレッジシステムは人間と企業の能力を最大にする事が目的となる.

従って,業務システム以上に,ナレッジシステムが競争力格差になって行くと思われる.現場で培ったナレッジが人材の育成,生産性や品質の向上,販売力の向上等に影響を与えるからである.

情報の共有が叫ばれて久しいが,是非ともナレッジシステムの進化を進めたいものである.この取り組み如何で5年後の人材や企業力に大きな格差が現れると思う.

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2006.10.26

63 光IP電話大障害

NTT西日本は24日、光回線を利用したIP電話の「ひかり電話」がつながりにくくなる大規模障害が23日,24日の両日に起きた原因は受発信を振り分けるサーバーの容量不足だったと発表した.ひかり電話サービスは加入者が急増しており,ピーク時のサーバー能力を読み切れなかった.設備への過信があったと説明.(日本経済新聞25日記事)

文面だけで判断すると,全くおかしい.

「かかりにくくなる」「23日,24日に発生」「原因はピークに対する容量不足」「設備能力への過信」ではつじつまが合わないし,説得力もない.

利用者から見れば「かかりにくい」のではなく「かからない」の状態であり,電話の不通より通信の不通が極めて重大な影響を与えたのである.

過去にないようなピークがこの23日の朝から24日に渡って長時間連続で起こるはずもない。ましてや80万加入者で受発信が集中する程度は,たいした呼量でもない.

インターネットサーバーが容量不足で長時間ダウンすることなども考えられないが,設備能力への過信が間違いだったと,有りそうもない原因への反省まで表明して,

「能力不足と言う思わぬ事態で,つながりにくくなっただけ.ごめんなさい」と,原因の軽さを意図的に印象付けている感じもするし,保身の匂いもするのである.

現象から類推すると,起こったことは

「サーバーが何らかの原因で処理能力が低下し,スローダウン状態になった.これの状態から脱出するために,いくつかの回線を遮断し,トランザクション量を抑制した.サーバーから見れば縮小運転,遮断された回線の利用者から見れば,「つながらない」状態となった.

さらに,「振り分けサーバーの動的負荷分散や障害時のバックアップなどの仕組みの弱さが,長時間の西日本全域に渡る大障害を招いた」ではないか.ピークとか容量不足,とか,かかりにくい,話ではないはずである

今回の事はネット社会への重大な警告である.容量不足などと素人のような事を言っている場合ではないのである.こんなレベルではネット時代のキャリアー(第一種通信事業者)をやる資格はあるのかと思わざるを得ない.トラブルはゼロに出来ないが,せめて発表はごまかしてはならない.ごまかし体質から成長が生まれないからである.

又,今回の障害は電話の不通のように報じられるが深刻な事は電話ではない.「ひかり電話」の名前も本質を見逃してしまう.深刻なのはメールやネット利用への影響である.電話は携帯電話で代替できるがネット利用はストップするのである.今後も,家庭からのネット利用が増大する.家庭であっても,データ通信としての信頼性確保を忘れてはならないのである.

家庭への光通信導入はNTTの網の整備もあるだろうが,従来の電話線のADSLから光へのシフトによって,信頼性が落ちるのでは大問題である.今回の光網障害の原因究明と並行して,ダウン対策,迂回対策の総点検も必要である.

ネット社会では,長時間の通信網の停止は電気,ガス,水道が止まる以上に広域にわたる被害を与えるのである.NTTやマスコミの反応に注力していきたい.

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2006.07.26

53 SE/PGの再考

情報システムに携わる人の呼称としてSE(システムエンジニアー)とPG(プログラマー)がある.コンピューターが日本に入ってきた頃より使われた呼称である.情報システムの設計・仕様を作る人をSE,それに基いてプログラムをコーデングする人をPGとしたのである.現在,言葉として使われているが実務での定義は曖昧である.ただ工数から価格を決める時の単金設定に使われている言葉といえる.

米国ではシステムデザイナー(構想や業務設計などのアプリケーション設計を担当)プログラマー(デザインに基いてコンピューター内の設計・プログラム開発を担当),さらにソフトエンジニアー(OSやミドルソフトの利用技術を担当)に仕事やスキルが分類され,現在もこの呼称が続いている.単金もそれぞれのキャリアー,実績によって設定される.当然,医師,弁護士相当のギャラを得る専門家も多いのである.日本と米国では昔から仕事の切り出し方,職業意識,が違ったまま現在に至っているのである.

情報システムに係る人の専門スキルの今後の方向性について触れてみたい.

産業のフラット化個性化,競争激化,グローバル化,ITの急進などを背景に,システムデザイナーの役割がますます重要となっている.このシステムデザイナーは行政,医療,金融,保険,民需それぞれに経営論から業務、実施経験,情報技術,パッケージ,などの知識とオピニオンによって,的確なシステムデザインをする仕事である.ネットやユビキタスを取り入れた戦略的な事業システムのデザインも当然このデザイナーの仕事である.又,費用や開発計画の立案,プロジェクトマネージメント,コンサルテーションもこのスキルによって行われる.

このシステムデザイナーは経営や現場のシステムに興味があり,これに携わってきた人が適任である.現在,公的資格制度が多様化し,保有者も多くなっているが,肝心のこのスキル人口はきわめて少ない.少ないながらも情報システムの上流を決めるこの人達の市民権と業種業務ごとのシステムデザイナーの養成が求められる.

次にシステムデザイナーガ作ったシステム構想,システム概要を元に,システムの設計・開発,パッケージ適用の仕事が行われる.この物づくりの仕事が米国で言うプログラマーの領域である.日本で言うプログラムを作るだけではない.特に昨今の簡易言語等のソフト技術の発達で設計とプログラミングの境目が低くなっており,米国流の仕事の分類が効率的である.又開発技術が進歩しやすい環境が出来る.又日本のソフトハウスは、米国流の領域を担当し,発展すべきである.このプログラマーは情報システムの物づくりを実質担当するわけで付加価値をもっと高くしなければならない.

そして,ソフトエンジニアーであるが,オープンソフト及び組み合わせの検証,選択,インテグレーション,利用技術の伝授,オープンソフトのメンテナンス,などを担当する専門家である.又,ネットワーク,セキュリティ,傷害対策などのスキルも求められている仕事である.システムを構築する企業は、ソフトの専門知識を持っているわけではなくソフトエンジニアーに依存することになる.多様化するシステムにおいて,その役割りはますます大きくなっているのである.

顧客の情報システムやパッケージ開発は荒削りの段階から思考錯誤を繰り返しながら詳細に向けて掘り進む仕事である.要求される知識・経験スキルはきわめて広い.それゆえに,この3分野の専門家が必要なのである..

まさに米国の分類が現在でも当を得ていると思う.40年たってもSE・PGといっているようでは専門家は育たないのである.しかし現実的対応の中で上記のような役割りに分化していると思うが,職業として市民権を得ているわけではない.是非,情報システムに携わる人達のスキルアップの方向として取り組んで欲しいのである.何でも屋の集団では個人も事業も発展はないのである.

以上,シムデザイナー、プログラマー、ソフトエンジニアーの領域を形成していきながら、専門家集団の形成,情報システムの革新と普及,専門家の付加価値の向上と高報酬化、を進める事が,ソフトビジネスの健全化と発展につながると思う.又,業務系システム以外の共通webアプリケーションの分野では設計から開発の全てをやる`クリエーター'が台頭している.

失敗が多い,効果が出ない,ムダなシステムを作る,トラブルが多い,事から考えれば,いくらでも,専門家の活躍の余地はある.又,個別情報システム開発の特徴(再生産ガない,規模の経済が働かない,働くのはスキル)からも専門家の増加が求められているのである.

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2006.04.25

46 プロジェクトマネージメント

情報システム開発におけるプロジェクトマネージメントのあり方について,私見を整理したい.

ビジネス系の情報システム開発は一般にコンセプト,業務設計・業務仕様を作成し,システム設計,プログラム開発,テスト,システム移行,運用評価改善,が行なわれる.まさに荒削りの段階から徐々に具現化していく作業である.

従ってチェックポイントをとりながら慎重に費用,納期,資源,性能,技術を見定めながら進める事になる.契約段階では勿論,図面があるわけではないだけに,プロジェクトの進行はリスクや不確実な事を解決していく工程でもある.

まさにシステム開発は曖昧なものを具現化していく特異な仕事なのである.又,この様な性格から,開発は顧客,ベンダーが共同で進める形態がとられる.ベンダーだけでは開発できないのである.

又,プロジェクトマネージメントは,製造業でなぞらえると,製品を作るために工場建設や製造技術から考えるようなレベルと,ものつくりの生産管理を行うようなレベルがある.開発規模の大小はあるが,情報システムの開発は企業の仕組みを作ることであり,前者のレベルがほとんどである,プログラムを作るだけのプロジェクトマネージメントはほとんどない.

かかる開発プロジェクトのベンダー側マネージーには二つのスタイルがある.建築になぞらえると,大工の棟梁型(実務もするコンテンツスペシャリスト)と建築現場の監督型(手配をするプロセスファシリティター)である.

開発規模によって使い分けるが,建築と違うところは,どちらのスタイルも業務(アプリケーション)を良く知っていなければならない事である.プロジェクトの失敗は業務を知らない事に起因する事が多い.業務を知っているプロマネが顧客側,ベンダー側,双方に存在し,常に調整・合意しながら進める事が成功の秘訣なのである.

次にプロジェクトマネージメントの仕事は物作りに向けて,構想,,開発計画,体制,費用・納期・資源・性能・技術のマネージメントを行う事である.特にリスクを予見し,先手の対策を打つ事が重要である.同時に労働集約作業が多いだけに現場作業と密着したマネージメントが要請される.

この事から,図面があって,段取りが決まっていて,専門分化された中で行なう建築の現場監督とは大きく違うのである.残念ながら情報システムはそこまで成熟していない.建築業の’段取り八分’(段取りが出来れば八分方きまる)は残念ながら情報システムではあり得ないのである.

トラブルが起こるつど,プロジェクトマネージメントの問題がクローズアップされプロジェクトマネージメント強化が叫ばれる.結果,技法の論議やその習得が進められる.そして’アプリケーションを知らなくてもプロマネができる’風の論調や技法,資格制度が一人歩きし始める.

その結果,どんなシステムを作るのか,どんな課題があるかも知らずに,作業計画,進捗管理,費用管理,人の手配,顧客折衝などをするマネージャーが出現する.そのプロジェクトの匂いがしない標準的な作業計画しか書けないマネージャーである.これでは,実態とマネージメントが遊離するだけでトラブルの防止どころか増長するだけである.挙句,土壇場まで問題が蓄積され,発覚した時には大問題になるのである.

もっとも大事な事は顧客もベンダーもマネージャーはアプリケーションスキルに長けていなければならない.従ってマネージャーは民需であれば,経理・財務・生産・販売・物流の一般論と業種別システム(加工,組み立て,装置,卸,小売等),事例などの経験・知識が必要である.勿論,公共関連,医療関連,文教関連も業種スキルが不可決である.

開発システムについては自らアプリケーション構成図(サブシステム構成図)を作成できる力量やパッケージ知識が求められる.又,特に重要な仕様については議論できなければならない.プロジェクトマネージャーはシステム論のオピニオンリーダーで実務者でなければならないと思う.テクニカルなスキルは代替可能だが,プロマネは’余人を持って変え難い’ところがある.

従ってプロマネの育成や資格制度を考える時,業種分野別にする必要がある.公共のアプリケーションスキルがあっても製造業のプロマネは出来ないからである.

又,ベンダー側の組織人事は専門家集団として,プロマネ資質が管理職の条件になると思う.自らプロマネを行なったり,複数のプロジェクトを担当したり,複数のプロマネをマネージメントするからである.

真のプロマネを育成する事は時間を要する事である.それ故,システム開発者はアプリケーションに関する知識,事例,業界動向,システム化領域,システムコンセプトなどに興味を持って,仕事をしなければならない.

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2006.04.05

45 図解思考の重要性

文章の記述を補助するために,現象,課題,問題,対策,仕組み,論理などを図解する事が多いが,言うまでもなく,図解の重要性は

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①図解で考え方や捉え方を整理する事ができる

②文章を書く前に図解を完成させると,本文が書きやすくなる

③図解によって正しく,早く,伝える事が出きる

④完成度の高い図解は作品であり,企業のナレッジになる

⑤図解力は個人,組織,会社の力につながる

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であり,誰しもが実感している事である.しかし,必ずしも図解力向上に努めているわけではない.

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とりわけ,日本は欧米に比べて,図解力が劣っている感もある.行間で物を言ったり,行間で分かり合う文化がある,考え方・主張,構造的論理的組み立てより情緒的,風景描写に陥りやすいきらいがある,などの民族性に原因があるのかも知れない.

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ある完成度の高い文章を読んで,その内容を複数人が図解す時,経験や知識の影響も受けるが,図解表現力の高い人同士の図解は類似するはずであるが.実際は完成度の低い十人十色の図解が描かれることが多いのである.

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反面,完成度の高い図解を見て,その内容を文章にする時,各自の実力に関係なく,ほぼ同じ文章になる.もちろん完成度の低い,分かりづらい図解で文章を書けば,十人十色になるのは当然である.

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この事から分かる事は,完成度の高い図解は間違いなく伝わり,図解の威力を発揮できるが,問題は,はたして,そんな図解を描けるのか,図解力をどうやって高めるかである.まさに,図解表現力が問われるのである.

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ビジネスマンとりわけ専門分野の仕事をする人にとって,この図解思考力(図解を推敲しながら完成度を高めていく思考過程)はきわめて重要である.この能力を高める為の王道は無いが,いくつか列記したい.

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①図解表現したいテーマをしっかり定める(図解のタイトル)

②図解の構図(構成要素の体系)を考える(私見では6パターン)

③構図の各要素に使う言葉,関係付けを推敲する(本質に近づく)

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見る人から見て

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①テーマと図解が第一印象で分かりやすい

②テーマに対し鳥観図的に体系的にポイントが抑えられている

③論理展開がスムーズに流れ,追いかけ安い

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を意識して作成しなければならない.これらを鍛えていく為に

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①日常の中で,図を多く描く

②目にした図解に対し,自分なりに評価・改善する

③自分が納得できない図解は盲目的に流用しない

④他人の評価を参考に,自分が納得できるまで推敲する

⑤作成した図解で文章がスムーズに書けるかセルフチェックする

⑥作りっぱなしにしない(不具合に気付いた時はすぐ修正する)

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が必要である.同時に個人のこだわりだけではなく,組織全員の切磋琢磨が必要である.このこだわりが表現力とともにコンセプチャルな力も高めて行くのである.活力のある会社は総じて表現力に優れているのである.

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2006.03.29

43 情報システムの設計

前コラムで情報システム開発のトラブルに対する所見を述べたが,品質の基本になる設計力について触れておきたい.情報システムの開発は①経営者側の設定(目的・費用・納期)②利用者側の設定(業務仕様の設定)③コンピュータ側の設定(システム設計,パッケージ適用設計,プログラム設計)によって行なわれる.

業務仕様を元に行なうシステム設計作業とはDATA・BASE設計,システム全体の構造設計(処理ブロック構成の設計),ブロック単位の機能設計,プログラム単位への分割,といった内容である.家で言えば間取図と機能・器具・備品を決める作業にあたる.

この作業で作られた設計図はプログラム開発に向けて必要であるが,システム全体の姿を表しており,開発規模見積,開発計画,開発分業体制,開発順位,進捗管理,仕様変更管理,プロジェクトマネージメント等にとっても大事な設計図になる.この設計図(システムの間取図)の出来ばえ如何が,開発の成否を左右する事になる.

そこで,業務仕様の大枠をおさえて間取図に機能展開する能力が問われる.巨大なシステムは構造的に展開することが求められる.LSIの設計図のような図面になる.ブロック間のインターフェースも定義する事になる.

問題はこの作業が日本人は総じて苦手である.訓練もあまりされていない..'日本人はOSを作れない’と言われる由縁である.どうしても一筆書きの設計,つぎはぎの設計になる.システム体系図の日米比較をすると,明らかにアメリカの体系図は大味ではあるが構造的論理的ですっきりしている.多くの人が分業して開発できそうな図になっている.日本の場合は機能構造がデコボコで未整理で全体の論理体系が見えない事が多い.

設計は通常処理の骨格を設計した上で,細かな事を別モジュールとして逐次追加する発想(構造化設計)が大事であり,いきなり細かい仕様を骨格に組み入れると一筆書きになってしまうのである.

情報システムに限らず,物つくりは荒削りからブレークダウンして行く工程を踏む.業務設計にしろシステム設計にしろ,大きな機能構成から細部の機能構成に落とし込み,全体の構造体系が作り上げられるのである(構造化設計)

日米のもう一つの違いはコンセプト,目的の追求度合である.米のように,この度合が強ければ,システムはシンプルになる.これがハッキリしていない事の多い日本では,何でもシステムに組み込むことになり,結局,開発費の増大,情報投資の不効率化,品質の悪化,ブラックボックス化,硬直化などに陥る.さらに,パッケージの発達を阻害し,手作りシステムから脱却できない事になる.

元来,日本では現状をすべてシステム機能に反映したがる風潮があり,これがシステムを複雑にし,結果,品質悪化やコスト高を招いてしまう.使用頻度の少ない機能や例外処理をどこまでシステムに組み入れるかは,コスト,開発期間,テスト,信頼性,運用性,維持性にかかわる事であり,きわめて重要なポイントである.

以上のように,情報システムの開発はテクニカルなスキルより,システムの間取図(機能体図)を作る能力がきわめて重要である.その為に,業務を良く知っている事が必要であり,巨大システムであっても少数精鋭での作業になる.

この設計能力は実は情報システムにかかわらず,図解表現の能力と同じある.同じテーマについて複数人で図解表現をした時,見事に10人10色になる.それほどに図解力(設計力)に違いが出るのである.この上に情報システムが乗っかっているとしたら,きわめてリスキーな事である.この図解表現力,設計力の向上はきわめて重要なテーマなのである.

情報システムの設計図を複数人で作り,優れている図面を選択して開発を進める方法や優秀な類似システム経験者に設計を依頼する方法はコストの割りに効果が大きいと考えられる.

又,顧客,ベンダーどちらが設計するにしろ,この設計図を共有し,その精度を高める事が品質向上,トラブル回避,効率化の基本になる.

企業システム,公共システムは年々ますます巨大化する.技術,ツール,インフラも多様化する.勿論,一筆書きでは作れない.全体をいかに構造的に設計し,局所的な対応をいかに可能とするかが重要である.残念ながら,現実には,システムが長年のつぎはぎで,無秩序のまま,ブラックボックス化しているケースが多いと思われる.その為に,変化への対応,改革に膨大な費用がかかる事が予想される.

このように,システム設計とは業務をシステム化するだけでなく,将来の進化も見据えた,機能の構造化なのである.今や,新システムが動けばよい,だけでなく,巨大なシステム程,長期に渡る,メンテナンス性が極めて重要なファクターになる.その為の仕掛けもシステム設計に含まれるのである.

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2006.03.28

42 情報システムのトラブル

システム開発の規模にかかわらず,開発ソフトに関する発注者(顧客)と受注者(プロバイダー)の間でのトラブルやアプリケーションシステムのトラブルが絶えない.ハードウエアーの品質やトラブル対策は発達してきたが,ソフトは依然として’雨降って地固まる'的性格を持ったままである.最近の銀行や証券等の社会的巨大システムのトラブルを契機に改めてその対策が議論され始めた.

トラブルは大きく分けて開発段階のトラブル(機能,開発規模,開発費用,納期、引渡し方法etc)と運用段階のトラブル(誤動作,機能不足,性能,資源不足,操作性etc)に分かれる

開発段階のトラブル

システム開発の契約は建築物の契約のように図面があって契約する事は皆無である.システム開発の仕事は荒削りの段階から概要設計,詳細設計,プログラム開発,テスト,移行仕様,移行システム等具現化していく事であるからである.

従って開発途上で当初計画から乖離していく事は当たり前であり,ここに調整が常に発生するのである.ただし開発費用の増大等の調整はベンダー側の実力不足,過小見積,当初機能に含まれるとの主張を理由に顧客側は納得しない事が多い.

その背景は,,曖昧な契約でも,ベンダーが専門家として具現化してくれるとの期待が顧客側にあるからである.期待を込めてリスクも含めて発注する.そしてシステムが安定稼動後,開発費を払う考えである.

この事から

①リスク負担が受注競争のポイントになりやすい
②開発工程の重要性を低下させる要因になる
③設計確認,システム確認,テスト評価など顧客責任の意識が低下する
④顧客は安定稼動まで金を払わない

等の顧客の盲目的丸投げが,トラブルを必要以上に増加させていると思う.顧客もベンダーも結果的には甚大なトラブルを背負うことになる.

開発契約書においても何を契約したのか不明で金額だけが存在している場合が多い.いわゆる一式いくら,一山いくらの契約(実際は発注書)である.

この実態を見ると,単に契約段階でシステム内容を明確化しようとの論調は顧客側主体で設計開発部隊を持ち,設計図を作り,足らない所を発注するケースしかない.この考えでシステム開発をしている企業はあるが,ほとんどは概要を示す程度の取引である.

典型的な分野は公共分野,医療分野である.公共,医療分野は専門組織を持たず,フルターンキービジネスになっている.情報システムをまだ道具を買う意識にとどまっているのである.機能を表す単語を並べたRFPで競争入札している現実では契約段階での明確化はまず不可能である.

曖昧さのリスクはすべてベンダーの責任として応札しているとの事から過去にどれだけベンダーの負担をしてきたか計りしれない.残念ながら,これからもこの問題は続く.官が率先してシステム開発の特性を踏まえた入札や契約のあり方を考えるべきである.

そこで,ソフト開発の特性を踏まえた契約方法であるが,業務仕様や性能が明確化されたシステムは一括契約書で,明確化されていないシステムは工程別分割契約書で契約することが自然である.曖昧のままで丸投げは一見顧客側にノーリスクに写るが青天井の費用・リスクはベンダーは受け入れないはずであるし,受け入れたとしても,トラブルは顧客自身にも甚大な被害が出るのである.

やむなく,工程別分割契約が出来ない曖昧なままでの一括契約をする場合,せめて予想されるリスクの対応方法を決めておく事が大事である.解約の条文,業務仕様作成・確認の条文,費用変動時の条文,プロジェクト推進やシステム確認・検収に関する条文,等が必要である.

特に業務仕様を誰が作り,誰が確認するのかを契約で明らかにする事である.金額やリスクに大きく関係するからである.このような契約内容で双方の共通認識をし,プロジェクトを進めるべきなのである.

この約束があって契約金額が決まるのである.この契約書によって双方が活動計画を共有しプロジェクトが開始する.そんな契約を進めたいものである.契約書を見ない,見ても行動につながらない契約書・風土は早くやめなければならない.トラブルが起こってからでは遅いのである.

尚,契約は玉虫色で一般的にし,契約後,覚書あるいは会議録で仕事の進め方や問題対応の取り決めを行なう事があるが,金額が無関係になったり,受注後に大事な取り決めを行なう事は順番が逆である.本来,契約で一本化すべきである.従って,ベンダー側はプロジェクトごとに契約内容を決めることになる.これで生きた契約書になるのである.顧客側,ベンダー側ともに,契約ベースの文化に移らなければならない.

運用段階のトラブル

次に重要な事はシステム稼働中に起こる甚大なトラブル,被害発生の問題である.業務仕様やプログラム仕様あるいはプログラムそのものの不備,漏れ,ミス及び操作などで発生するいわゆるソフトの品質問題である.

これをどう防ぐか,すぐ影響が出る場合,長期に誤動作している場合があるが,判明したときの対応をどのようにするか,被害の賠償問題をどうするか,顧客の責任での処置になるが,きわめて難しい問題である.

この問題は契約における受託者の瑕疵責任,無償修正作業で処置できるものではない.社会や顧客へのダメージ,膨大な逸失利益や費用の発生など,企業の存亡にかかる事態になる可能性を持っているのである.

このトラブル防止には当然の事ながらリスク要因を少なくする機能設計,わかりやすい構造的設計,システムのセルフチェック機能の設定,仕様とプログラムの徹底的なチェック,テスト等が必要となる.もちろん実績のあるパッケージの活用や出来るだけ作らない発想の設計も必要である.

巨大なシステムのテスト・チェックは空前の作業となる.設計・開発作業と並行した体制と準備が必要になる.この費用は設計・開発とほぼ同等のコスト・期間が必要である.重点思考とデッドラインの確保の認識が必要となるが,リスク認識が顧客側に不足している事が多い.前述の通り,ベンダーに開発を一括発注している感覚があるからである.

特に安全の費用対効果で言えば,冗長性や機能の低下があっても,仕様の簡素化,テストのし易い設計を考える事が必要である.日本人は欧米人に比べ複雑にする傾向がある.例外処理も多い.コンセプトや目的意識が弱く,割り切りが出来ない性格が災いしていると思う.又,同一業務を複数部隊で開発し,完成度の高いシステムを選択する方法もある.余分な開発費がかかるが,出来の悪いシステムを深追いするより安全である.

現在はソフト化の時代である.企業情報システムだけではなく,あらゆる機器にソフトが入る.複雑で巨大なソフトも機器に組み込まれる.当然リスクも大きくなる.ソフト化の利便性の付加価値はほとんど安全対策に向かうはずである.しかし,いつの日か,ソフトの品質確保の限界がソフト化の限界になるかもしれない.

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2005.09.16

13 行政改革と電子行政

e-japanに代表される電子行政システムは思ったほど進展しない.まさに日本的な原因がそこに存在しているのである.

システムは元来,中央集権的性格を持っている.それを遺憾なく発揮したのが韓国である.全国一律に行政システムを統一し,一揆に導入したのである.わが国は古くから,地方自治の建前の中で,あらゆる行政システムは個別に取り扱われているのである.最近の電子入札,電子申請なども同じである.

地方自治の建前と,情報産業振興の狙いから,このような事になっていると思われる.地方自治体の規模や制度あるいはシステム化予算の関係,あるいは職員の考え方で各自治体がバラバラになるとしているが,実際はほとんど類型化できるのである.また自治体が協力すれば共同開発やソフトの流用が可能なのである.税源の関係でムリなのだろうか.

情報産業にしても,自治体毎にバラバラなだけにパッケージ化に苦労しながら,労働集約作業の競争入札で苦しい仕事になっているのである.さらに進展しない原因は情報システムの設計・開発あるいは運用は職員の仕事だと思っていない事である.

役所の仕事は情報処理そのものである.その電子化を自らできない事は,製造業で言えば,設計技術や生産技術を持たない工場のようなものである.

大企業であればシステム部門を経営の中枢にし,情報戦略を進めているが,なぜ市役所と言う大組織で局レベルのシステム部門がないのだろうか.不思議であり,その重要度からすれば,考えられない.

又,情報システムの開発における問題は,現行の法制度,仕組み,慣習,手続きを前提にする事である.行政改革の目的に反しているのである.現行業務をシステム化するだけで,業務改革は進まないのである.電子申請にしても従来通りの書式で,縦割りで,それをネットでやるだけである.元来,電子申請や電子入札,電子納税,どれを取っても住民,企業からすれば自治体,国を意識する必要がないはずである.一つに見えなければならないのである.

以上,電子行政システムが進展しない原因を述べたが,行政コスト削減,住民サービス向上,あるいはシステム化コスト削減の為に,遅まきながら将来にむけて,次の対策を講じなければならないと考えるのである

①市町村合併を契機に行政業務・事務の標準仕様を策定する
②標準仕様に基づいて,情報産業各社はパッケージ化を推進する
③行政の基礎である文書管理についても上記2つを実施する
④インターネット経由処理の処理方式を統一する
⑤これらと連動した役所の仕事の仕方,法令を準備をする
⑥パッケージの選定やカスタマイズは自治体の仕事とする

とし,OS、DTPソフト、DBソフト、言語 等の国産化も長期視点で検討する.ただしぱ業務パッケージはこれに依存しないようにする必要がある.これらの施策によって,

・職員も含めて情報システムスキル人口の拡充,
・システム開発・維持費用の削減
・品質の確保,短納期化

を進めるべきである.情報産業各社もシステム化領域の拡大によるビジネス参入機会の増大,新技術・操作性・信頼性などの創意工夫によるパッケ-ジ競争力強化、等前向きな事業に取組めるのである.もちろん電子行政システムによって行政改革や効率化が飛躍的に進むのである.特に公務員削減も含めて,行政コストの削減が可能になるのである.

現状の行政の電子化は,膨大な費用と期間がかかり,実現できてもバラバラのシステムと,自治体間、国との整合性が乏しいシステムが出来上がるのである.

是非,国家戦略として、行政改革の一貫として,電子行政システムへの施策を講じるべきなのである.又デジタルデモクラシーに代表される議会や選挙,あるいは住民投票などへの情報技術の活用,報道機関化する自治体ホームページの活用,情報公開など行政の電子化は急がねばならないのである.

行政がデジタルデバイドになっては行政の効率化は出来ないのである.

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2005.09.11

10 国際語にしたい’情報 '

’情報’と言う言葉は明治の軍人が作った軍事用の造語である.決断に必要な敵軍の情勢とは,武器・弾薬・兵隊などの数(報)のデータだけではなく、疲労困ぱいしているとか,血気盛んだとかの’情’のデータも必要だと考え’情報’と言う言葉を作ったのである.情報をインフォメーションと言っているがインフォメ-ションはインフォーマルに由来している.情報とは全くコンセプトが違うのである.

情報技術やネットの発達によって,’情’(テキスト,画像、音声、図解、などの非数値データ)の電子化が可能になり、まさに明治時代に考えられた’情報’のコンセプトのシステム化が可能になったのである.

今後の経営情報システムにおいても,受注・売上・在庫・債権・債務・決算など’報’だけのシステムではなく,顧客の苦言や要望、障害内容,改善改革状況,あるいは,現場の意見など,テキスト,図解,画像,映像,音声,等で表現された’情’のシステム化を行い,さらに判断に役立つ経営情報システムが可能になったのである,.

日ごろ無意識に使っている’情報’と言う言葉のコンセプトをあらためて認識し,判断の為の情報の中身を見直す必要がある.又’情報’のコンセプトを世界に知らしめ、’カイゼン’と同様’ジョウホー’を国際語にし、優れた日本の非数値情報処理技術を武器に,真の情報システムを世界に発信すべきだと思うのである.

プレゼンや資料で分かるように,タイプライター文明国と日本は全く表現が違っている.日本はやたら図や画像が多い事に気づくはずである.元来日本は非数値情報を情緒的との批判を受けながらも好きである.その分,立論力が弱いという弱点もあるが,’情報’のコンセプトである数値情報,非数値情報の処理は得意である.

コンピュータは長い間,非数値データの扱いは困難であった.英語に代表されるタイプライター文明が有利にコンピュータ利用を発展させてきた.しかし現在,2バイト言語のハンディを乗り越え,画像処理の技術や利用技術で,新たなコンピュータの世界が広がって来たのである..

この技術によって,自信を持って’情報’と言う言葉と,これを実現する’情報システム’を国際語にし,そのコンセプトを世界に発信したいものである.

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