情報システム

2018.03.12

487 量子コンピュータ(Quantum Computer)を学ぶ

AI(人工知能)と共に話題になっている量子コンピュータについて、資料を読み込んで、まとめてみた.その内容を発信しておきたい.

量子コンピュータの出現

現行コンピュータは計算の基本単位をbitとし,それぞれが、0か1の状態をとることにより、2進数を保持し、演算を行うというものである.このbitは同時に1つの状態を表わしているが,2つ以上の状態を同時に表すことはできないのである.

一方、量子コンピュータは「状態の重ね合わせ」が可能で、同時に2つ以上の状態を表すことができるのである.これによって,n量子ビットあれば、2のn乗の状態を同時に計算できると考えたのである.

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もし,数千量子ビットのハードウェアが実現した場合、この量子ビットを複数利用して,量子コンピュータは現行スーパーコンピュータでも実現し得ない規模の並列コンピューテンクが実現するのである.


この量子コンピュータの発想はファインマンが「量子力学的コンピュータを使えば任意の物理系を効率よくシミュレートできるのではないか」と考えたのが最初だと言われている.しかし、効率よく計算できるアルゴリズムが存在しなかった為、しばらくは量子コンピュータの研究は下火になったのだ言う.

量子コンピュータを一躍世に広めたのは
因数分解である.の大きい整数の因数分解は現行のコンピュータでは天文学的時間がかかり,実用的ではなかったのだが、量子コンピュータが、この因数分解の計算を「実用的」な時間で解くことができたのである.

この事が先ず、現行の暗号方式に激震を与えた.現在使われている暗号は鍵がなくとも論理的には解読は可能だが、時間がかかる事で実質、解読できないとされていた.量子コンピュータによって、そうではなくなったのである.

現在
,この量子コンピュータは解くことが難しい「組み合わせ最適化問題」に活用できると期待されている.例えば,セールスマンが取引先のある多くの都市を一度ずつ回るには、どんな順番で回れば最短距離になるか、と言った問題である.

この組み合わせ数は (n‐1)!÷ 2 だから、8都市なら2520通り、15都市なら435憶通り、20都市なら6京800兆通り、25都市なら3.10×10の23乗通り、から選ぶことになる.
この様に、都市が増える程、指数関数的に順列組み合わせ数が増え、それぞれに総距離を計算し,最短の回り方を求める事になるのである.スーパーコンピュータでも処理できない程の計算量である.

この様な「組み合わせ最適化問題」はビジネスや医薬品開発等に、広く存在するのだが、この問題をうまく処理する事が出来れば、社会が抱えている多くの課題を解決できるのである.

これを実現する為に、現在、いろいろな方法が研究されている. 例えば,正確でなくとも速く答えが欲しいとの要求に対し、近似解法の研究,光の量子力学的な性質を活用した新しいコンピュータの研究,量子アニーリング(焼きなましの理論)のように、余計な計算をしない手法の研究、が行われている.又、すべての最適化問題ではなく、特定な問題に絞った解法も研究されているのである.

最近の量子コンピュータの動き

2011年に突如として、カナダのD-WAVE SYSTEMS が量子コンピュータ「D-WAVE」(128量子ビット)の開発に成功したと発表した.この「D-WAVE」は量子コンピュータではなく、「量子焼きなまし法」による最適化計算に特化した専用計算機だとの評価を受けたが、その後、量子コンピュータであるとの調査論文が発表され,.グーグルを筆頭とするベンチャーと協業しながら現在も研究がされているのである.

2012年、セルジュ・アロシュとデービット・ワインランドがのノーベル物理学賞を受賞した.内容は「個別の電子系に対する計測および制御を可能とする画期的な、実験的手法に関する業績」である.NASAに於いて暗号解読の為に実用化が検討されていると言う.

2014年、グーグル社は量子コンピュータの独自開発の開始を発表.
2016年、IBMは量子コンピュータをオンライン公開.大学教授らがテストの後、2017年、16量子ビットのプロセッサーを開発したと発表.

我が国における量子コンピュータの取り組みは、Cobezine (開発者の為のマガジン)によると、次の通りである.

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表の「方式」の欄は、量子コンピュータの方式を示しており、ほとんどがQA,つまり量子アニーリング方式であることが分かる.量子アニーリング方式は「最適化問題に特化したコンピュータ」で、カナダのD-Wave Systemsが開発しているマシンを使って研究が行われているのである.

デンソーとリクルートは,大学と共同でD-Waveマシンの使い方や適用可能なアプリケーション、マシンの持つ課題についての研究を行っており、将来もっと高性能なマシンが世に出て来ることを想定して、これを使ったビジネスの可能性を模索しているのである.

NTTとスーパーコンピュータで有名な PEZY computing は、日本発の量子コンピュータである「コヒーレントイジングマシン(Coherent Ising Machine;CIM)」の開発と「量子ニューラルネットワーク」への利用を目指したプ゚ロジェクトを推進している.

このCIMの最大の特徴は,「光」を使って計算するという事である.具体的には,光通信で一般的に使われる光ファイバー中のレーザーパルスを量子ビットに見立てて計算をすると言う手法を考えている.これが実現すると光コンピュータが実現する事になる.

そして、日立製作所と富士通は、シミュレーテッドアニーリング(SA)による最適化問題を高速に解く専用チップの開発に取り組んでいる.

又、ハ-ドウェアーは量子ゲートを組み合わせた量子回路によって実現されるが、物理的には、核磁気共鳴、量子光学、量子ドット、超電導素子、レーザー冷却
などによって構成出来る為,様々な実験的ハードウエアーの実現法が国内外で研究されている.

いずれにせよ,量子コンピュータへの期待は最適化問題への対応
深層学習(ディープラーニング)に代表される膨大なニューラルネットワークへの対応である.この為に、大規模計算を可能とする新しいコンピュータのアーキテクチャーが必要になっているのである.

追伸

3月18日(日)の日経新聞に日経サイエンスによるジョン・マルテニス教授(量子コンピュータの主導者)への取材記事が掲載されていた.量子コンピュータの学びに参考になる事から,その内容を追伸する事とした.


超電導回路で作られた量子ビット(基本素子)を5個並べたチップを高い精度で動かした、と14年4月、マルテニス教授が発表.以来、世界のIT企業が相次いで研究に参入した.

カナダのベンチャー、Dウエーブ・システムズが「量子アニーリング」と呼ぶ方式で量子コンピュータを商品化しグーグルが購入.計算能力の向上に懐疑的な評価がある中で、マルテニス教授は量子ビットを集積できれば大幅な計算能力の向上が見込めると考え、グーグルで研究を始めた.

量子コンピュータは一言で言うと、電子や光子などの「重ね合わせ」(同時に,0と1という相反する状態を取りえる事)を利用して、量子ビットに0と1を同時に記憶し、同時に計算しようとするコンピュータである.量子ビットが1つ増えると扱えるデータ量は2倍になり、ビット数が増えるにつれて、計算力が飛躍的に向上するのである.

グーグルが3月発表した新たなチップは量子ビットを72個集積されている.理論通りなら、扱えるデータ量は1千億の1千億倍に達し、どんなスパコンにも出来ない大量の計算を同時に実行できることになる.勿論、この実証が待たれているのである.

マルテニス教授は実証に当たり、二つの課題を挙げている.

①量子コンピュータの寿命の延長の問題
量子ビットは正しく動作する時間は数百マイクロ(100万分の1)秒ほどしかない.現状では、その間に終わる計算しかできないのである.量子ビットの誤りを修正し、計算時間を延ばす方法はあるが、量子ビットを1万から1億個ほど集積する必要があると言う.多くの研究者はあと20年かかるとみている.

②アルゴリズム(情報処理の手順)の開発問題
膨大な計算を同時並行的でできても、量子の性質上、結果を全て知る事は出来ない.量子ビットを読み出すと、結果のどれかが,ランダムに出てきて、残りは消えてしまう.従って、読み出す前に望んだ答えを引き出すアルゴリズムが必要となる.化学計算などで約60種が見つかっているが、多くは計算に時間がかかると言う.

現在,この問題に多くの研究者が取り組んでいる.米IBMや中国のアリババなどは、研究を後押しする為、自社の量子コンピュータを動かせるクラウドサービスを始めている.超電導とは違う方式の量子コンピュータのクラウドも米国のベンチャー等が始める予定だと言う.

マルテニス教授は様々なシステムを使って,比較できる時代が始まる、と話す.量子コンピュータの真の実力が試される時が近づいているのである.





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2018.03.11

486 人工知能(Artifical Inteligence)を学ぶ

昨年来から人工知能の話題が盛んである.定義が曖昧なまま、いろいろな製品に人工知能の名が使われている感じもする.

従来、推論や判断は法則や数式モデル、あるいは、統計解析、相関分析、或は、経験測によって行われている.いずれも、人間の知識によるものである.

一方、人工知能とは、コンピュータが大量のトレーニングデータから特徴や法則を導き出し(機械学習)、それにもとづいてコンピュータが推論や判断を行う事である.昨今のコンピュータの高速化、低価格化によって、あらゆる分野で人工知能の実用化が研究されているのである.

この人工知能は人間の作ったアルゴリズムではなく、機械学習で得た知識を基にする為、学習のデータが多いほど推論や判断の精度が向上するのである.そこで,人間のアルゴリズムでは考えられない推論やアルゴリズム化できない問題に対しても,推論が可能になるのではないかと期待されているのである.

そんな注目の中で、すでに,多くの分野で,人工知能の活用が広がっている.いくつか列記しておきたい.

・商品の画像から商品を特定する
・多くの画像、動画の中から、目的とする画像を選び出す
・レントゲン写真から癌細胞の影を検出する
・CT画像から臓器、血管、神経等を識別し,色を付けて立体映像にする
・監視カメラの映像から不審者,あるいは、特定の人を検出する
・障害物、動いている自動車や人を認識し自動運転に利用する
・物資のデータベースから特定の物資と類似するものを検出する
・画像の内容を文章にする
・音声やテキスト文をリアルタイムで他言語に翻訳する
・テキスト文を色々な言語で朗読する
・商品や機械の異常を自動的に検知する
・家電,産業機器を状況に応じて適正に動作させる
・輸送機の自動運転をする
・金融商品の売買を自動化する
・経営状況を評価する
・囲碁、将棋、チェス等の次の一手を指示する

この人工知能の全貌を下図で表した.(クリックで拡大)

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この様に,人工知能の実用化分野が急速に広がっているのだが,改めて,人工知能の仕組みについて,浅学ながら,いくつかの資料を読み込んで、説明してみたい.

1.生物のニューロン(神経細胞)とニューラルネットワーク

ニューロンは、細胞核のある「細胞体」、他の細胞からの入力を受ける「樹状突起」、他の細胞に出力する「軸索」に分けられる.

そして、ニューロンに入力刺激が入ってきた際に、ある一定以上の電圧であれば次のニューロンに刺激を伝えるという仕組みになっている.また各軸索の太さは一定ではなく、何度も神経間のやり取りがなされたものは太くなり、情報伝達の優先度が高くなるようになっている.
Photo_6 この神経細胞の情報伝達の仕組みを応用したものがニューラルネットである.ニューラルネットワークでは、ニューロン同士のつながりの強さを「重み」で表現している.

生体ニューロンでは全ての細胞がつながっているのに対しニューラルネットワークではニューロンで構成される複数の層の前後でのみ情報のやり取りが行われる.

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各ニューロン対する重み(つながりの強さ)を調整することによって,出力を最適なものに近づけていくのである.入力の回数が増えれば増えるほど重みは最適な値に近づいていく事になる.Photo_8

このニューラルネットワークは一般的に,何千という数の人工ニューロンから構成されていて,何百万通りにも繋がりが作られる.しかし、あるレイヤーとのレイヤーを接続するときには,入力側か出力側にしか接続できない事から、あらゆる方向に繋がり合うことができる脳内ネットワークとは大きな違いがある.

今日の機械学習では,多層型のニューラルネットワークが広く利用されており,そこに大量のラベル付きのデータを与えることで、AIそのデータを人間のように(ときには人間よりも上手く)理解できるようになったのである.この多層型のネットワークをDeep Neural Network=DNNと呼んでいるのである.このネットワークを使ってトレーニングすることを深層学習と呼んでいるのである.

このニューラルネットワークには画像認識に適した畳み込みニュ-ラルネットワーク(Convolutional Neural Network=CNN)がある.これは一部が見えずらい画像とか,一定の角度からしか見えない画像の認識が出来るタイプである.他に、再帰型ニューラルネットワーク、伝播型ニューラルネットワーク、等,さまざまなタイプのものが存在しているのである.従って、分野によって,これらを使い分ける必要がある.

2.AI 新時代の幕開け

AIという概念が誕生してからまだ間もない頃、パワフルなコンピューターにできるだけ多くの情報とその情報の理解の仕方を組み込めば、そのコンピューターが”考え”られるようになるのでは、と思っている人たちがいた.

IBMの有名なDeep Blueをはじめとする、チェス用のコンピューターはこのような考えを基に作られていた.IBMのプログラマーたちは、十分なパワーを持ったコンピューターに、あらゆる駒の動きや戦略を余すことなく入力することで、理論上はそのコンピューターが駒の動き全てを予測し、そこから最適な戦略を編み出して相手に勝つことができると考えた.実際に彼らの考えは正しく、Deep Blueは1997年に当時の世界チャンピオンに勝利した.

Deep Blueで採用されたモデルでは,「こうなったらこうして、ああなったらああする」といった感じで、予め膨大な時間をかけて定められたルールによってコンピュータは判断していた.従って,人間のように柔軟性があって,学習効果で成長するモデルとは言えなかったのである.

それに対し、コンピュータの発展を背景として、コンピュータにルールを学習させることで、コンピュータ自身に判断させることが出来ると言うニューラルネットワーク技法が研究されたのである.これで柔軟性、成長性が期待できるとして,新たなAIの世界が切り開かれたのである.そして、冒頭にあるように、すでに多くの分野で、この技法による人工知能の実用化が進んでいるのである.

囲碁プログラム AlphaGoにおいても、Deep Blueからニューラルネットワークによる深層学習モデル(Deep Learning )に切り替えた.AlphaGoの論文によればAlphaGoは盤面を評価するのに「value networks」と、動きを選択するための「policy networks」という2つのネットワークに用いていると言う.

これらのディープニューラルネットワークは囲碁のプロによる「教師あり学習」と自己対戦による「強化学習」を行っており、その組み合わせにより、囲碁の学習を進めているのである.

このプロ棋士にも勝る百戦錬磨のAlphaGoはその後、AlphaGo Zero、AlphaGo Master に進化している.進化のポイントは「教師あり学習」をせずに、ランダムプレイから始まる「強化学習」だけで人工知能を作る事である.この技法は将棋やチェスの人工知能にも、応用されていると言う.


3.学習の流れ

画像を認識する人工知能の例に、極めてシンプル,かつ効果的な「教師あり学習」という手法の学習の流れを説明したい.

先ず,ニューラルネットワークにリンゴとかオレンジと言ったラベルを付けた大量の画像データを与える.このトレーニングデータを受け取ったニューラルネットワークは、それぞれの画像を細かな要素(エッジ、テクスチャ,形など)に分解し始める.

そして画像がネットワーク中を伝播していく中で,それらの要素が組み合わさって抽象的な概念を構築していく.曲線や色に関する情報が合わさって,茎やオレンジ、緑・赤のリンゴという絵が浮かび上がってくるのである.

このプロセスが終わると,初めて、与えられた画像の認識が可能になる.この時、間違った認識をすれば、ネットワーク内のレイヤーに修正を加えるのである.この修正をバックプロパゲーション(または誤差逆伝播法)と呼ばれているが、プロセスを通じて修正が行われる.

次に同じ画像が与えられたときに,ネットワークがその画像を正確に判断できる確率が上がるのである.親が子どもにリンゴとオレンジの見分け方を教えるときのように,コンピューターも練習を積めば見分けられるようになるのである.

もう少し画像認識の流れを見ると次のようになる.

画像認識で適用される技法は「畳み込みニューラルネットワーク」である.これには、入出力用のレイヤーを除いて4つのレイヤーが必ず含まれている.畳み込み層、アクティベーション層、プーリング層、全結合層である.

最初の「畳み込み層」では特徴マップを生成される.特徴マップには,画像のどの部分で、赤い色や茎,曲線といった特徴付ける要素が含まれているのである.

さらに、あまりハッキリと表れていない特徴、たとえば、リンゴの木の写真に写った直射日光を受けているリンゴや影に隠れたリンゴ、さらにはキッチンカウンターのボールの中に山積みになったリンゴ等を認識する為に「アクテベーション層」が用意されている.

これによって、全て,明らかなものも、見つけにくいものも、含め、重要な特徴をハイライトする事が出来るのである.”もしかしたら”というモノを、後で見直せるようにそれぞれの山の上に置いておくというのである.これが「アクティベーション層」である.

次に「プーリング層」だが、画像全体に「畳み込み」を行った結果、かなりのボリュームの情報が生成される.そこで「プーリング層」は膨大な量のデータを処理しやすい形に変換する為に用意された層である.本当に大切な物だけを残して,畳み込みで生成された特徴マップの要約版のようなものを作るのである.

ニューラルネットワーク設計者は、残りのレイヤーも同様に畳み込み層・アクティベーション層・プーリング層と積み重ねていくことで、より次元の高い情報だけ残すことができるのである.

リンゴの画像で言えば、最初はほとんど認識できなかったようなエッジや色や茎も、何層にも重なり合ったレイヤーを通過していくうちに、その姿がハッキリと浮かび上がってくる.

そして最終的な結果が出る頃に、全結合層が登場する. 「全結合層」では、コンパクト化された(もしくは”プール”された)特徴マップが、ニューラルネットワークが認識しようとしているモノを表す出力ノード(またはニューロン)に全て結合”される. もしも、ネコ、犬、ギニアピッグ、砂鼠を見分けることがネットワークのゴールであれば、出力ノードは4つになる.

さらに用意されている機能がある.間違いを「修正する機能(バックプロバゲーション)」である.初期の段階にあるネットワークでは,不正解が続出するのが普通である.ラベル付きのデータを使った教師あり学習を採用している場合、ネットワークはバックプロパゲーションを使い、どこで、どのように間違ったかというのを自動的に解析できるようになっているのである.

バックプロパゲーションとは,あるレイヤーのノードがひとつ前のレイヤーのノードに対して,自分たちの回答と実際の答えがどのくらいかけ離れていたかを伝える仕組みを指している. 後ろのレイヤーからのフィードバックを受け取ったレイヤーは、さらにもうひとつ前のレイヤーに情報を伝え,その後も伝言ゲームのように畳み込み層まで情報が伝わっていく そして新しい画像がネットワーク内を伝播したときの認識精度が上がるように、それぞれのレイヤーのニューロンに修正が加えられることになるのである

その後も、ネットワークが満足できる精度になるまで、このプロセスが何度も繰り返されるのである.そしてトレーニングが完了すれば、そのネットワークは晴れて、認識する仕事に就くことができるのである.

以上、実際には、数学理論で人工知能の仕組みが出来ていると思うが、外から見た人工知能の全貌を整理してみたのである.これで、人工知能の適用分野を創造できたらと思うのである.

ところで、膨大な経済や日常生活のデータから、人工知能が「景気回復には家賃を引き下げれば良い」と答えを出した時、人間はどう受け止めれば.良いのだろうか、新たな課題である.

さて,人工知能の大まかな理解が出来たとしても、現実的な特定問題を考えた時,人工知能の開発手順とか、それに適した開発ツールとか、学習前もしくは学習後のパッケージの有無とか、クラウドコンピューテングサービスとか、或は、費用だとか、の知識が必要になる. 特に日本は人工知能に関するスキル人口や取り組み企業が少ないと言うのだから心配である.

いずれにしても、情報システムの世界は「情報ネット社会」に加えて,これも又,世界規模で「人工知能社会」が広がろうとしているのである.


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2013.09.14

333 モバイル情報ネット社会への変化

スマートホン,タブレットによる、『モバイル情報ネット社会)』が第二段階を迎えた中で,その変化を整理してみた.

1.モバイル端末メーカー

2013年第2四半期で世界のスマホ出荷台数はIDC調べによると,2億3000万台(150%伸張)である.メーカー別で見ると,サムスン(30%),アップル(13%),LG(5%),レノボ(5%),だと言う.サムソンの躍進が顕著だと言う.

2012年度の日本国内携帯電話出荷台数は4281万台であり,そのうちスマホ台数は71%で2972万台(昨対123%の伸張)だと言う.メーカー別で見ると,アップル(35%,1066万台),富士通(13%,387万台),ソニー(12%,363万台),シャープ(11%,253万台),NEC(5%,134万台)である.

日本ではサムスン(galaxy)がまったく売れていない.ほとんどがアップルと言ってよい.一方,依然として,ガラ系の携帯電話が1209万台,出荷されているのである.

2012年のマメリカにおけるプラットホーム(OS)の比率は,Google・Android(51%),Apple・iOS(44%),Microsoft・windows(4%)である.Google・AndroidはApple・Iphone対抗で,サムスン始め多くのメーカーに供給されているのである.

このように,世界のモバイル端末は,『通信系の携帯電話(通信屋の作った端末)』から『米IT系の汎用モバイル端末(パソコン屋が作った端末)』に完全に移ったのである.世界シェアー40%を誇ったノキア(フィンランド)は Microsoftに買収され,次のMicrosoftモバイル戦略に組こまれる事になったのである.

日本においても,ドコモと国内メーカが護送船団でガラ系の携帯電話を広めてきたが,ソフトバンク,auによるiphone 旋風で,ドコモは350万の顧客を失い,いよいよドコモもiphoneを取り扱う決断をしたのである.これから、キャリア間の競争に焦点が移る.

これによって護送船団が崩れ国内メーカーの勢力図が大きく変わる.その中で,ソニーはカメラ、画像技術で世界市場に打って出ると言う.富士通は高齢者にフォーカスし,一定の市場を狙う.

そんなわけで,世界的には,AndoroidからtizenへのOSシフトを予定している『サムスン』,価格ライン細分化で対応する『アップル』,ノキアとの戦略を進める『マイクロソフト)』、の3グループによる、第2ラウンドの戦いが始まる.これに『レノボ』や『ソニー』が参戦して,モバイル端末の『低価格化・差別化競争』と通信網の『キャリア間競争』が繰りひろげられる事になる.

一方,かつての,レガシーコンピュータ,パソコンと同じように,モバイル端末は『ハードからソフト』に主戦場が移ると思う.基本ソフト,ミドルソフトの『アップル,グーグル,マシクロソフト』の御三家を中心に,アプリ競争,クラウドサービス競争が激しくなる.これに,アマゾンも,ソフトバンクも,サムソンも,世界のソフト事業者も,クラウド事業者も,参入すると思うのである.モバイル情報ネット社会は多くの参入者で急速に発展すると思うのである.

2.パソコンメーカー

2013年第一四半期の出荷台数は11%減の7563万台,5期連続の減少である.メーカー別で見ると,中国Lenovo(17%),HP(16%),dell(12%),台湾acer(8%),台湾asus(6%),であった.2015年にはタブレットがPCを台数で超える予想もある.

そんな中で,かつて,世界一のパソコンメーカーだったDellはパソコンでは中国や韓国に押され,その上で,スマホやタブレットに乗り遅れ,ITサービスやサーバーなど企業向けで収益の拡大を図るも,クラウドの普及で,様相が変わってしまったのである.結局,MBO(経営人の自社買収)で上場を廃止し,大胆な改革を図る事にしたのである.

中国のlenovoはパソコンでトップに立ったが,2016年めどに,スマホとタブレットを社内比14%から50%に引き上げて,パソコンと並ぶ柱にすると言う.

その為に,スマホ新製品を50種類(1万円~5万円)品揃えし,新興国を中心に市場開拓をすると言うのである.勿論,ドコモにも取り扱い交渉をしていると言う.タブレットも企業向けの上級機種から1万円程度の低価格機種を揃えて,アップルなどと対抗すると言う.そして,パソコン・スマホ・タブレットを合わせて世界一を目指すとしているのである.

サムソン,アップル,マイクロイソフト,のモバイル端末競争にレノボが参戦する事になる.

3. プロバイダー業界

プロバイダー(通信接続事業者)は通信網を持った『第一種通信事業者』と,ここから網を借りて接続事業をやる『第2種通信事業者』がある.ところが,この業界にも大きな変化が起こっている.

モバイル端末と無線通信使用をセットで販売している第一種通信事業者は寡占状態ではあるが,激しい競争をしながら事業が拡大している.一方,有線回線による接続サービスをしてきた第2種通信事業者の事業は激減傾向にあるのである.

今後は,『第一種通信事業者』と多くの『クラウドサービス事業者』(アプリケーション処理サービス事業者)で構成されて行くと思う.ただし,第2種通信事業者と光通信で接続している利用者も多く残るはずであり,第2種通信事業者の行く末が問題になると思うのである.

4. モバイル情報ネット社会

ネットワーク技術や半導体技術の飛躍的向上によって,ネットワーク網やモバイル端末が革新し,その利用者の拡大によって,早くから言われてきた『いつでも,どこでものユビキタス時代』が現実になって来たのである.

従来から言われてきた『情報ネット社会』が,一人一人への『汎用モバイル端末』の普及によって、近年には『40億人』とも言われる個人が利用する,『モバイル情報ネット社会』が形成されるのである.

従来と比べ物にならない利用者数,アプリケーション数,情報量,サービスプロバイダー数,がこのネット社会に出現するのである.思い返せば、『通信の自由化』,『通信網とデータ網の融合』と叫んでいた時代,今日の姿を誰が想像しただろうか.

この『モバイル情報ネット社会』は言うまでもなく,『パソコン』から『汎用のモバイル端末』にシフトするだけではなく,あらゆる分野に大きな影響を与えて行くのである.いくつかピックアップしてみたい.

企業では,社員の汎用モンバイル端末と連動した企業内情報システムが構築され,更なる効率化、スピードアップが図られる.同時に,情報設備は自営からアウトソーシング(プライベートクラウド化)にシフトする.企業は情報設備やネットワークから解放される事になるのである.

従って,企業向けクラウドコンピューテングサービス事業者が急速に拡大して行くと思う.ただし,サーバー設備が必ずしも国内にあるとは限らず,むしろ,海外に設置される方が多くなるかも知れないのである.

この『汎用モバイル端末と連動した企業情報システム』は従来の『業務システムのモバイル化』にとどまる事なく,『システムによる新事業開発』に焦点が移ると思うのである.高度成長の頃,『戦略的情報システム』が叫ばれたが,新たなネット環境の中で,改めて,『企業情報戦略』が問われて来ると思うのである.

又、『ネット販売ビジネス』,音楽や電子書籍等の『ネット配信ビジネ』,等の,いわゆる『無店舗系ビジネス』はモバイル端末の普及とともに,市場は確実に拡大して行く.国内ネット販売(BtoC)は数年間で10兆円から20兆円くらいまで拡大すると思われる.勿論、海外との売買も急速に拡大すると思う.消費税の節税も、これを後しすると思う.

ネット販売の拡大で起こる,いくつかの現象を上げてみたい.

・ネット販売による価格破壊が起こる.
小売業のネット販売拡大で,同じ商品が,店頭とネットで扱われるようになる.そうすると,小売業全体で,店頭がショールームになって,買うのはネットで,あるいは,ネットで探して,店頭で買う,となる.結局,安い方で購入する事になるのだが.今でも,ネット価格はきわめて安い事を考えれば,店頭もこの価格に合わされて行くのである.かくして,小売業全体に価格破壊が起こり,企業の淘汰が始まると思うのである.

・大手小売グループの全商品がネットで買えるようになる.
上記現象も踏まえて,グループ内の百貨店,チェーンストー,専門店,コンビニ,が,マーケテング,商品管理,価格,物流,決済,購入ポイント,等を一体化して,顧客の囲い込み,顧客の利便性向上,を展開して行くと思う.

・ネット販売代行サイトの競争が激化する.
大手ネット販売代行業者は出展費用,販売ロイヤリティ,広告料,等を得て,ネット販売サイトを運営している.勿論,海外展開もしている.全国の中小企業がネット販売をする事に,大いに貢献して来たと思う.
ただ,年々,出展企業確保の競争が激化し,出展費用やロイヤリティの低料金化が起こると思う.又,自営直販サイトの拡大と共に,このサイトとの競合が激化し,代行業に止まらず,自社仕入商品のネット販売も手がけるようになると思う.当然,物流,商品管理,事業リスクも負う事になる.

このように,小売業界は大きな転換期を迎えるのである.飲食業やサービス業もネット活用なくして成り立たなくなる.サイトによる宣伝だけでなく,積極的なダイレクトマーケテングやタイムサービス等も必要になると思う.

『モバイル情報ネット社会』は人間のコミュニケーションにも大きな影響を与える.端末がテレビカメラになり,簡単に実況放送が可能になる.個人あるいはグループ間では動画によるフェースtoフェースに近いコミュニケーションが当たり前になる.

教育分野にも大きな影響を与える.子供のモバイル端末の保有,電子教材の活用,勉強や授業の仕方の変化,等である.社会実験の要素もあるが,すでに,その取り組みが始まっている.

個人用のデータ、資料,書物,等も,モバイル端末、あるいは,クラウドに蓄積され、膨大な情報が体の一部のように,いつも参照可能になる.個人の医療情報も当然考えられる.勿論,これらの個人情報はセキュリティで保護される.さらに、個人用のアプリケーションも世界規模の市場を相手に開発される.

さらに言えば,『モバイル情報ネット』は『リモート制御』を可能にする.制御する方は『いつでも,どこからでも』、あるいは、制御される方も 『いつでも、どこにいても』 制御可能になる.

この様に考えれば切りがないが,『モバイル情報ネット社会』はいろんな可能性を秘めているのである.企業も個人も,知恵の出し所なのである.

一方では『モバイル情報ネット社会』は人間の行動に従来以上の負の影響を与える.ネット犯罪、プライバシー問題もさることながら,.『端末を見ていないと不安になる症候群』『モバイル端末中毒症』にでもなれば,社会生活すらも危うくなり,深刻な問題になる.

いくら『モバイる情報ネット社会』と言っても,『時間潰しの道具』『不安を癒す道具』ではなく、あくまでも,『利便性の道具』にとどめたいものである.

5. 日本のIT産業

ITの世界は汎用機及びそのOSはIBMに,パソコンのOSはマイクロソフトに,パソコンの半導体はインテルに,ネットワークのTCP/IPルーターはシスコに、インターネット検索はグーグルに、DBはオラクルに,そしてモバイル端末(スマホ,タブレット)はアップルに,すべて米国のIT企業に牽引されて来たのである.

この様に,IT分野においては,『米国以外の国』で,システムの『アーキテクチャーの確立とそのデファクト化』が出来なかったのである.ずっと米国の独断場が続いているのである.

そして,日本はじめ,韓国,中国,台湾が部品の技術革新や製造に活路を見出してきたのである.日本は家電も含めて,この分野で世界を席巻した時もあったが,新興勢力にその場を奪われているのである.

この『米国のアーキテクチャー』と『国際分業によるテクノロジー開発と製造』と言う構図は,上記のように,IT分野で長く続いているのだが,今後の家電,産業機器,車,医療機器,等のデジタル革命でも,IT技術が採用される事を考えると,同じ構図で進展しそうなのである.

又,ソフト開発はアーキテクチャーと連動する基本ソフトは今後も米国企業が牽引すると思うが,アプリ開発やクラウドサービスは世界的群雄割拠の中で行われると思うのである.

いづれにせよ,国際分業化時代の中で、日本の立ち位置を確保して行く事は極めて重要になるのである.

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2011.09.25

255 第二次情報革命の伸展

普及が本格化した約15年程前のパソコン,インターネットを第一次情報革命とすると,現在はアップルが起動した携帯端末による第二次情報革命が進展中である.

この第二次情報革命は高速無線網,携帯電話がパソコン化されたスマートホーン,携帯に便利なタブレットパソコン,によって,『モバイル・インターネット時代』になった事である.まさに『いつでも,どこでも』(ユビキタス)が大きく前進した事になる.

この携帯端末は従来のパソコン,インターネットの機能に加えて,デジカメ,音楽プレイヤー,電子辞書,地図,電子書籍,テレビ等の専用機器をも包含する事になる.又,ネット通販,オフィス系アプリ,企業内グループウエアー,業務システムパッケージ,企業固有の業務システム等にも,使われ始めたのである.

利便性の良さから,携帯端末(スマホ)を使ったネット通販が急速に増加していると聞く.今後も,携帯電話がスマホに,パソコンがタブレットパソコンに移り,急速に携帯端末が拡大して行くと思われる.携帯端末が次世代の情報化社会の主役になる日も近いと思う.

一方業界では,この第二次情報革命の中で,携帯端末競争,携帯端末OS競争,クラウドサービス競争,携帯アプリソフト競争,携帯接続の業務パッケージ競争,等,新たな業界の勢力図に向かって,熾烈な戦いが世界規模で繰り広げているのである.

これらの世界的動向を踏まえて,いくつかの国内の変化を整理,予想してみたい.

①キャリア(通信事業者),携帯端末,ソフト,の分離

キャリアと端末を一対にして展開している我が国の電話事業に,世界で使われている端末が入ってきて,複数のキャリアと接続可能になると,その分,キャリアの端末差別化戦略は狭くなる.そして,世界の端末の国内シェアーが高くなれば,実質,キャリアと端末が分離された状態になる.

通信費を当てにした端末の廉価販売が分離された構造の中で,継続するか,注目される所であるが,分離されると言う事は,キャリアは通信網の競走(エリアカバー率,信頼性,通信費),端末は操作性,デザイン,価格の競争になる.同時に,ソフトもキャリアや端末から分離され,ソフト同士の競走になる.まさに世界の競走の中に日本がいる事になるのである.

②企業情報システム再構築機運の増大

携帯端末による『いつでも,どこでも』の情報ハンドリングが可能になると,当然,戦略的なビジネス展開や行動スタイルの変革が起こる.スマホやタブレットコンピュータと連動した業務システム,あるいは現場システムの開発が活発になる.営業,製造,物流,各システムやその現場サポートに,タブレットコンピュータやスマホが大活躍すると思う.

③クラウドコンピューテングの拡大

携帯端末が普及する事によって,パブリック・クラウドサービスやプライベート・クラウドサービスの利用も増加して行く.かくて,ソフトサービス業界のビジネス戦略,一般企業の情報戦略,は新たな局面を迎える事になる.

④携帯端末向けアプリパッケージ開発と業界の淘汰

②③と連動してパブリッククラウドサービス用,プライベートクラウドサービス用,のアプリケーションパッケージの開発が加速している.企業向け業務パッケージも携帯端末対応が始まっている.この第二次情報革命によって,パッケージやベンダーの淘汰が又,始まるのである.

⑤M2Mの拡大

新しい事ではないが,M2M(マシーン・to・マシーン)が加速して行くと思われる.従来,自動販売機や盗難車,或いは納入機器類のリモート監視,更には,子供や動物の位置情報など,携帯電話網を使ったM2Mがある.

今後も,人体のセンサーと連動した健康管理,或いは世界に展開された機器やプラントの監視,車センサーによる気象情報収集など,クラウドサービスと連携して,広域に,安価に,M2Mが利用可能になる.思わぬ利用分野の発見やビジネスにおける戦略的活用が極めて大事になる.

以上,パソコン・インターネットに引き続き,上記の如き,第二次情報革命がアメリカを震源地として,世界に革命を起こしているが,利用面の恩恵はあるものの,ハ-ド・ソフト・サービスの供給者としての恩恵を,どんな形で確保して行くのか,日本企業の大きな課題である.

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2010.08.09

222 次世代インターネット空間

インターネットの素晴しさ,利便さは,今や社会にとって欠く事のできない機能となり,ビジネスや私生活のインフラになっている.それを実現している通信方式も,あらゆる通信に利用されている.今後のモバイル時代の到来で,さらに,その役割や広がりは大きくなるのである.

このインターネットはITに総称される科学技術の進展とオープン・フラット・フリーな管理者のいない仕組みによって,ボーダレスのネットワーク社会を形成したのである.もはや,人類史に燦然と輝く,世界人類の共有物になっているのである.

思い返せば,自分らの世代は,多くの人類の英知に遭遇し,その変わり目を体験し続けて来た.インターネットはその最たるものの一つであり,その幸運に感謝せずにはいられないのである.それだけに,便利さを実感出来るわけだが,逆に,使えなくなった時の恐怖が悪夢となって,頭を過るのである.

当ブログ’NO192クラウドコンピューテング考’でも便利さゆえの懸念を発信した.その事も含めて,頭をかすめる悪夢を列記してみた.

①悪意・犯意の情報攻撃の横行
情報社会の影として,悪意・犯意を持った,改竄,誹謗,中傷,漏洩,偽装,搾取,詐欺などが発生する.消去の問題もあるが,根本的には,ネットの利用には匿名を許さない仕組みが必要かも知れない.

②責任者不在のレスポンス悪化
真綿で首を絞められるように,どんどんレスポンスが悪くなってきた感じである.プログラムの巨大化,セキュリティソフトのオーバーヘッド,ネットやサーバー資源の過負荷,など原因はあるだろうが,どこがクリテカルになっているのか不明である.従って,誰が対処するかも不明となる.
当ブログもレスポンスが極端に悪化している.今のところ原因・対策が不明である.

利用者や情報の膨大な増加で,この問題はますます顕在化すると思う.勿論,技術や資源で対応可能であっても,プロバイダーやキャリアーの設備投資には限界がある.利用制限やネット離れが起こるかもしれない.

③情報のゴミが世界に蔓延
ネット上の情報は放置され,急速に情報の夢の島状態になりそうである.今のままでは,何年も前の放置された情報(所在不明情報)が実質,検索の機能を不全に陥れる可能性がある.

ネット上の情報の有効期限や無更新・無アクセス期間の条件をつけて,自動的に検索対象から削除する機能がプロバイダー側,検索側に必要になりそうである.又,ホームページやブログの無料掲載を無くす必要があるかもしれない.

④サポート終了OSにウイルス蔓延
パソコンOSやミドルウエアーの提供者側の維持管理期間にはおのずと限界がある.セキュリティソフトの維持管理期間にも限界がある.

最悪は,ソフトのメンテナンスは終了,セキュリティソフトのメンテナンスも終了,しかしパソコンは昔のまま動いている状態である.
心無きウイルス製造者からすれば,縦横無尽の活躍の場が出来る事になる.この問題は自己責任だけでは済まされない.アナログからデジタルへのテレビの切り替えくらいの社会的問題になる事が予想される.


⑤プロバイダーの経営破綻

社会的インフラとして,その機能を提供している企業が未来永劫,存続し続ける事は考えられない.当然,経営破綻したり,事業が他に移る事があり得るのである.特に大手プロバイダーの事業モデル(民放の広告収入モデルの延長にあるモデル)に限界を感じている.
その時,機能や情報が引き継がれる保証はない.いくら社会的機能だと言っても,保証する法的根拠は無い.只ほど高い物は無い事になる.

この問題は有料のプライベートクラウドにも発生する.契約があるからと言って,解決できる物ではない.せいぜい利用者の自己防衛しか対処できないと思う.

⑤プライベートクラウドのSLA契約訴訟
アウトソーシングに於けるSLA(Servis Level Agreement)の問題であるが,②の問題や障害に対して,インターネットは脆弱である.どの程度の約束とするか議論すべきテーマになる.これも利用者の自己防衛のテーマになる.

⑥人質になるサーバー(システムとデータ)

自分の処理をしているサーバーがどこに存在しているか,利用者から見えない事から,WEBやCLOUDと言う名が付いているのだが,日本の場合,米国に設置されたサーバーの中で処理されている事が多いと思う.グーグルのような巨大な検索システムは数万台のサーバー群を一塊にして,世界に7箇所に分散設置されていると言う.

そんな状態の中で,政治的に自国にある他国のサーバーを人質に取る事はあり得る.テロリストがサーバーを不法に押さえ込む可能性もある.'相手を脅すには刃物は要らぬ,サーバーの回線を切ればよい’と言う事になりかねない.サイバーテロの恐怖である.このように世界のサーバーが安全保障の対象になるのである.

このように,性善説に立ったオープン,フリー,フラットなインターネットの精神,仕組が,巨大な社会のインフラになった時,その良さが,裏目になって現れていると思う.そもそもインターネットが一般化した15年前,今日のようなネットやハード,ソフトの発展を想定していたわけではないし,セキュリティ問題にも目をつむっていたのである.それだけに巨大化,荒れ地化するインターネットの世界を,このまま放置しておくわけにはいかない時期に来ていると思う.

折角の人類の共有物を保持する為に,今こそ,新たな英知が,インターネットに求められていると思う.

例えば,あくまでもインターネットの精神を踏襲しつつ,あくまでも自然なメカニズムを進化させて,秩序を維持して行く方向とするのか,精神に反する事になるが,ネットも,サーバーも,情報も,利用者も,管理されたインターネットの世界(社会規模でのイントラネットイメージ)を考えて行く方向とするのか,思いが巡るのである.

いずれにせよ,未来に向けて,『安全で安心な,ウイルスも住めない快適な次世代のインターネットの空間』を作って行く挑戦者が出てきて欲しいものである.自分の人生で,次は,そんな世界に遭遇したい.

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2010.04.14

206 黒船来襲・携帯革命

90年代後半,パソコン,インターネットの黒船が来襲して以来,世の中は情報化社会に移って行った.そして2010年,世界に普及し始めた携帯端末が日本に上陸し,新しい情報化社会を作り始めた.

この携帯端末はスマートフォーン系(アップルのiphone等,高機能携帯電話)とタブレットパソコン系(アップルのipad等,多機能端末)がある.

この2系統の携帯端末はブロードバンド無線網とつながり,電話,メール,インターネット,EC,メデアプレー,カメラ,ゲーム,テレビ,GPS,地図,
電子書籍等,あるいはクラウドコンピューテングの端末として使われる.従来のパソコンに取って代る勢いである.特にタッチスクリーンによるキーボードレス,マウスレスが端末の革命を起こしつつあるのである.

この携帯革命の裏で,次の様な激しい,つばぜり合いが展開されているのである.

①携帯端末のOS戦争

携帯端末アプリケーションソフトの巨大化と互換性,ハードの技術革新の加速で最も重要になるのはOS(基本ソフト)の選択である.パソコンの歴史と同じ様に,いづれ世界のデファクト(実質標準)OSにハード・ソフトが集約されて行く事となる.そのデファクト競争がいま展開されている.これがOS戦争である.

現在アップルのiOS4,グーグルのandroid,マイクロソフトのwindowsphone,ノキアのシンビアン,等が競い合っているのである.現在のところ,
アップルのipod(デジタルオーデオプレーヤー),iphone(ipod+電話機能),ipad(ipod+9.7インチ画面・B5サイズ,タブレットパソコン)のiOS4が先行している状況である.

日本におけスマートフォーンのOS対応は次の状況である.

・ドコモ(android)・・・ソニー・エクソン製造
・KDDIau(iSO1,2,android,MS,windowsphone)・・・シャープ,東芝製造
・ソフトバンク(iOS4,android)・・・アップル,HTC製造


このOS戦争はパソコンと同じようにアプリケーションソフトの豊富さ,人気ソフトの存在,アプリ開発スキル人口数などで,普及の勝敗が決まる事になる.又,垂直統合型のアップルiOSかオープン型のグーグルandroidかの競争も見ものである.

OS戦争に,もう一つ,ウイルスの発生と対策の問題がある.ウイルスに感染しやすく,ワクチンや予防法が弱ければ,たちどころに,そのOSの利用者は激減する.スマートフォーンやタブレットコンピューターの新たな大問題である.今のところ,その対策は聞こえていない.

②キャリアと端末の分離

日本ではキャリア(ドコモ,KDDIau,ソフトバンクの携帯電話網)と携帯電話は一対の縦構造である.世界的に例を見ない形態である.この事によって端末開発業者の投資を促し,携帯端末の購入価格をひき下げ,急速な普及を実現してきたのである.

一方,世界では端末とキャリアは分離された形で発展してきた.当然,端末ではソフトの互換を実現する為の上記OS戦争が起こり,キャリアでは端末接続競争が起こる.

結局,日本でも,キャリア側は各社のスマートフォン,タブレットコンピュータとの接続を競い,利用者側は任意の携帯端末,電話網をそれぞれ選ぶ事になる.

かくて携帯電話の為のキャリア別縦割り構造は崩れて行く.特に
タブレットコンピューターの急速な普及を考えれば,無線網と端末の分離は必然になるのである..

そうなると,従来のように,端末価格を通信費で賄う事が出来なくなる.その分,通信費は下がる.或いは,キャリアと長期契約すれば端末価格は安くなるなら,通信料は余り下らないかもしれない.又,現在の会社別の無線電話網の重複投資が回避されるもしれない.いづれにせよ,日本の携帯電話事情は一変する事になる.

まさにパソコンと同じように,世界規模で部品,端末,ソフト,ネット,プロバイダーが分離され,産業が横構造に急速に変化して行くのである.頭から先まで全て自前でやる日本的縦構造は崩れるのである.

この横構造は責任の所在が曖昧になる欠点があるが,だからと言って縦構造に固執していては生き残れないのである.これはIT業界だけではなく,多くの産業で有り得る変化である.

③携帯端末向けのアプリケーションソフト競走

OS覇権戦争の中で,端末向け人気アプリケーションソフトの品揃え,開発スキル人口の拡大の競走が激しくなっている.各OSメーカーはアプリ開発キットを提供しながら,これに取り組んでいるが,既にアップルが10数万本と断トツにリードしている様である.

又,アプリケーション開発者にとっては,世界規模でソフトを売るチャンスでもある.専門家だけではなく,一般人の参入も多くなる.アイデア勝負の世界が繰り広げられる.

④コンテンツ及びコンテンツ配信の競走

いつでも,どこでも,で操作性に優れた携帯端末(ipadに代表されるタブレットコンピュータ)の普及を想定して,新たなコンテンツの配信サービス競走が始まっている.音楽,映画,ゲーム,電子出版,学校教材,新聞,テレビ,カタログ,広告宣伝,などのネット配信が急速に拡大し,しかも,世界規模で行われる事になる.

特に電子出版は本では出来ない表現が可能になるし,価格は格段に安くなるし.著者の印税が高くなる.出版から販売に関わるプロセスが不要になるし,在庫も不要になる.出版物の廃棄コストも不要になるし,省エネ・省資源効果は極めて大きい.又,何よりも,ロングテール現象(従来,採算が取れなかったコンテンツも販売可能になる)が起こる.これはもはや出版革命と言えるかもしれない.

世界に漫画を売ったり,マニアックな電子本を売りだしたり,素人が電子出版したり,端末向けアプリケーションソフトと同様に,電子出版で億万長者が出る時代かもしれない.

一方,従来の出版物は所有の価値で存在するとは思うが,端末の普及とともに,ますます出版の採算が悪化し,出版物が激減する可能性がある.

⑤パソコンVS携帯端末の競争

ビジネスシーンにおいても,携帯端末が無線網の発達によって,プライベートクラウド(グループウエアー,業務用システムなど)に活用され,オフィスの中も外も,この携帯端末がビジネスの必須アイテムになるる可能性が高い.まさにモバイル時代の到来である.

キーボード,マウスがタッチスクリーンに抵抗なく変わる事が出来れば,従来のパソコンに取って代るかもしれない.ウインテルの終焉になるかもしれないのである.

以上,激しい競争を続けながら,次世代の情報化社会が形作られると思う.この様な携帯端末の旋風に対し,結局,箱庭的思考,縦文化・自前主義,から脱しられなかった日本はレガシーコンピュータ,パソコン,そして今度は携帯端末と同じ轍を踏む事になったのである.残念ながら,つくづく世界のデファクトを日本が取る事など所詮無理だと思わざるを得ないのである.

自動車,産業機器,ロボット,家電等の組み込みソフトも同じ轍を踏む事になるのだろうか.製品のソフト化への戦略は極めて重要なのである.

ところで,米国のファイトにはつくづく頭が下がる.永いIBMの世界制覇に対し,マイクロソフト,アップル,グーグル,アマゾン等,次から次と世界的挑戦者が出て来る.日本的発想の'そんな事は無理だ'と思う事を,いつも誰かが挑戦しているのである.

例えば,グーグルは’地図,書籍,映像,等,あらゆる情報を電子化し,ネット上の情報も含めて,いつでも、どこでも,利用出来るようにしよう’と,これに挑戦したのである.携帯端末もこの延長線にある.

この挑戦がクラウドコンピュータの概念を生み,マイクロソフトのビジネスモデルを揺るがすだけでなく,今度は携帯端末ソフトの世界制覇にまでが話しが広がるのである.

日本ではグーグルの様な発想は出来ても,徹底的に実行し続けた者はいない.地図情報にしろ書籍の電子化にしろ,途中で何回も挫折して来た.

標準化をどうする,世界標準にならないリスクもある,技術革新で陳腐化するリスクもある,誰が入力する,費用はどうする,著作権はどうする,採算はどうする,等々で挫折するのである.

アップル社の執念もすごい.マイクロソフト,インテルを向こうに回してマッキントッシュの独自性で頑張って来た.その文化・技術の延長線でipot,iphone,ipadなど携帯端末に挑戦して来た.勿論,無線網のブロードバント化,タッチスクリーン技術革新,が連動しているが,ユビキタスならモバイルが主流になるとの確信と打倒マイクロソフトの執念があったのだと思う.

ビルゲーツの出現以来,どうやら既存企業の挑戦ではなく,個人が挑戦する文化が,これからも世界を切り開いていく感じがする.

そんなわけで,残念ながら現状では,大きな戦略,オピニオンメーキング,ハード,ソフトのアークテクチヤーはアメリカ,日本はハードのテクノロジーと製造技術で生きて行く事になりそうである.幕末以来,攘夷を叫んでも戦いにならない歴史が続く.

追伸

当記事発信の後,国産携帯端末メーカーが共同でOSを開発するとの報道があった.余りにも遅い感じがする以上に,いつものドメステックな発想が気がかりである.過去に共同で成功したためしがない.

世界の既アプリケーションソフトとの互換性を取る事になると思うが,後追いの感が否めない.世界的視野で新しい発想を入れた戦略が描けないものだろうか.共同開発するにしても世界各国との連携が必要である.

一方,端末OS戦争以外にも,端末ハード開発,通信網技術,端末アプリケーション開発,コンテンツ配信サービス,コンテンツ開発,クラウドコンピューテング,などビジネス領域は一気に広がっている.世界規模でこれらのビジネスをどう展開するかも重要な視点だと思う.

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2009.12.17

192 クラウド・コンピューテング 考

今,クラウド・コンピューテングと言う言葉が華やかである.グーグルが初めて使った言葉だと思うが,その意味する所は,一言で言えば,世界の情報を電子化し,いつでも’’どこでも’利用できる,と言う’ユビキタスの実現’である.

情報端末の主役は,大容量,高速化が進む無線網(データー系,電話系)と繋がった携帯端末(タブレットパソコン,スマートフォン)である.従って,クラウド・コンピューテングはモバイル・コンピューテングで急速に拡大しているのである.これは,利用者から見れば『ネットワークからの解放』(自営網からの解放)を意味する.

又,『サーバーからの解放』も同時に進む.システムの多様化,拡大化による自営サーバーリソースの拡大は大きな課題になっているからである.パブリッククラウド・コンピューテング(同一アプリケーションの不特定ユーザー利用)は既に,サービス・プロバイダーを利用しているが,企業固有のアプリケーションも,プライベートクラウド・コンピューテングと言う形で徐々にサービス・プロバイダーに委託されて行く.自営サーバーでモバイル・コンピューテングの仕組みを作ることや,リソースの維持管理が難しいからである.もうひとつ,『セキュリティからの解放もある.これも,自営装備のセキュリティ対策が困難になっているからである.

この様に『インターネットとネットワークの発達』で,処理内容の飛躍的拡大や処理方式の革命が起こっているのである.極端な言い方をすれば,利用者はタブレットパソコンやスマートフォーンを持つだけで,ネットワークやサーバーは外部利用と言う事になる.従って,プログラムとデータは全て外部に置く事になる.

そして利用者は,その処理が,どのネットワークを通して,どこのサーバーで処理されているか気にする事はなくなるのである.ただ,蜘蛛の巣状(WEB)になったネットワーク群やサーバー群のどこかで処理されていると思うのである.あたかも雲(CLOUD)の中で処理されている感じになるのである.

別の言い方をすれば.利用者の要求に基づいて,雲の中で処理され,結果が返ってくると言う,『オンデマンド・コンピューテング』とも言えるのである.

この動きはコンピューター業界の従来の商売に大きなインパクトを与える.ハードやソフトが物販からサービスの提供に変わる.システム販売や個別システム開発の量が減少す.売った後のハード・ソフトのメンテナンスも減少する.その意味でコンピュータ業界はレガシー時代,オープン時代,を経て,今度はクラウド時代へと突き進む事になるのである.

この動きは,グループウエアー(文書管理,掲示板,等の情報共有)から普及し始め,次に,自治体,医療,大手企業,などの業務システムに展開されていくと思われる.又,中小零細企業に関しては,サービス提供側の模索がしばらく続くのではないかと思う.

このように,グーグルが唱えたクラウドコンピューテングは,次世代の情報処理の姿を示唆した事になったが,いくつか気になる課題を提起したい.

まず第一はクラウドコンピューテングサービスの持続性の問題である.例えば,グ-グルがサービスを停止したり,倒産したとすると,社会活動が停止したり,巨大な情報や利用者のブログ情報,サービスがどうなるかと言う問題である.

グーグルに限らず,多くのプロバイダーは広告の革新と広告収入で無償サービスを提供しているが,そのサービスは利用者にとって,なくてはならない機能・利便性を発揮し,世界的規模で社会のインフラになっている.それだけに,持続性の問題はきわめて深刻であり,社会の安全保障にも関わってくる.

また,無償・有償に関わらず,多くのサービス提供者の出現は,持続性リスクの確率を高める事になる.行政や法的な対応策が必要かもしれない.自己責任論だけでは済まないように感じる.

第2の課題はプライベートクラウドにおけるサービスレベルアグリーメント(サービスに関する契約書)の問題である.企業の命である情報や処理を担うことから,上記の持続性の問題も含めて,セキュリティや信頼性あるいは損害弁済の約束を,どこまでできるかの問題である.

アグリーメントの内容によっては両社が引き下がる可能性もある.従来のアウトソーシングでもこの問題があるが,これ以上に,インターネットは結構,荒っぽい性格を持っている.はたして,シビアなシステムに向くかという問題である.この問題は自営か委託かの別れ道になり,間違いなく,普及の鍵を握る.

第3の課題は,利用者の使い方の問題である.単一目的(グループウエアー,技術計算,手形管理等の部分業務)の使用か,業務システム(販売管理とか生産管理など)として利用するかの問題である.後者はシステムの内容にもよるが,そう簡単ではない.個別仕様の問題もある.現実的には,クラウドの良さと自営の処理を使い分けて,相互に連動するシステムが現実になると思うが.

最後の課題であるが,ボーダレスが当たり前のクラウドであるから,プログラムやデータはボーダーレスに存在する事になる.現にグーグルの検索用データベースは世界各地に分散されているし,他の多くのプロバイダーのサーバーはアメリカに存在している事が多い.

そうなると国家間の安全保障と関係してくる.武力や経済制裁だけでなく,自国に設置された相手国のサーバーが人質になる事は容易に想像出来るのである.

以上,クラウドコンピューテングのイメージと課題を述べた.昨今の風潮は我田引水的な良い事ばかりの話が蔓延し,結局,うまく行かず,夢をつぶしかねない感じもする.なんとかクラウドコンピューテングの良さ(ユビキタス志向)を活用して,アプリケーション・ブレークスルーを行い,便利な社会を実現したいものである.

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2008.02.28

130 偉大なるインターネットを語る

1995年のWINDOWS-95以来,たかが十数年で世界を覆ったインターネットの偉大さ,人類の英知,について,改めて,後世への記録として,自分なりに要約した.

日本経済の絶調期の80年代,絶不調期の米国でパソコン,インターネットが芽を出し始めた.IBMアーキテクチャーが世界のメインフレームを中心とした情報システムを凌駕していた時代の中で,この芽は多くの専門家の中でも,亜流と捉えられ,誰も今日の隆盛を創造し得なかったのである.

この隆盛は半導体技術の驚異的な進歩によるところ大であると思うが,それと呼応したいくつかの英知を上げてみた.

第一の英知は情報処理方式である.伝統的なメインフレーム(主機構)&スレーブ(奴隷)の考え方(集中処理方式)に対し,サーバー(召使)&クライアント(主人)の考え方(分散処理方式)を唱えた点である.言葉に主客転倒の考え方が現われている.

情報処理方式は国や企業の組織のあり方と類似している.この観点でいえば,日本のバブル崩壊以後,中央集権的社会の仕組みから分権的社会への転換,個の自立といった価値観の変化と併走するような変化でもあったのである.

第二の英知は従来のメーンフレームメーカーの排他的戦略(ハード・基本ソフト・業務ソフトとも)に対し,オープンアーキテクチャーの考え方,分業開発の考え方,を取り入れた事である.これでハード,ソフトの分離開発を可能とし,世界のスキル・パワーを巻き込んで行ったのである.世界的な規模でハード,ソフトそれぞれに専門企業が出現し,この考え方がデジタル革命をも牽引して行ったのである.

マイクロソフトの基本ソフトについて言えば,その戦略はプログラムの動作環境を提供する事にあった.これによって,データベースソフト,言語,メールソフト,汎用ソフトなどのミドルソフトや業務用パッケージソフトが世界規模で,一気に,このOS上で開発されて行ったのである.従来の排他的な,何でも自前主義で作るやりカを取っていれば,今日の隆盛はあり得なかったのである.

の二つの英知は,当時のメインフレームが主流の中で,高額なメインフレームへの挑戦から着想されたものか,あるいは,素朴に個人の利便性を追求した結果出て来たものか定かではない.いづれにせよ,その発想の意味するところは組織,大規模計算の為のコンピュータシステムから個人利用のコンピュータに視点を移した事にある.この発想がワープロ,表計算,DTPにとどまらない可能性を秘めていたのである.これを契機にデジタル技術開発の方向が個人に向う潮流(技術の大衆化)を作ったのである.

第三の英知は,ソフト・コンテンツの巨大化とハード・ネットの高速化・大容量化が相互に刺激しあって,進展した事である.市場性の大きさから,必然的な現象であったかもしれないが,人類にとって,きわめて幸運な事のように感じる.

例えば,,数メガの基本ソフトの開発段階では,それをインストールする為の媒体がなかった.(フロッピイはあったが,数十枚になり,実質,利用できなかった)しかし,その心配をよそに,CDが登場してくれたのである.現在でも,ハードデスク,フラッシュメモリ,DVDの技術革新がパソコン,テレビ,家電,産業機器などと一体となって進められ,新たなアプリケーションを生んでいるのである.

第四の英知はソフトがハードのデファクトスタンダード化を加速させた事である.マイコンが出始めたころ,CPUのアーキテクチャー論争に決着をつけたのは,基本ソフトであった.コンテンツがVHSやブルーレイを決めた様な事が既に始まっていたのである.

重要な事はシステム製品はデファクトの中で育つ事である.競合,乱立のフェーズをできるだけ短期間にし,アーキテクチャーのデファクト化を図る事が開発者にとっても,利用者にとっても必要なのである.特に日本は島国的,箱庭的,ものつくりに走りやすく,アーキテクチャーのデファクト化の視点を持つ事がきわめて重要になっているのである.

第五の英知はインターネットである.最初は大学という閉じた世界で考えられた機能であるが,上記の四つの英知と相まって世界的に発展し,情報化社会を作りだしたのである.特にインターネットの世界は政治的に統治者が作ったものではない事,事業者が事業として作ったものではない事である.逆に,そうでなかったから実現した事である.ここに過去にはない重要な発想が感じられるのである.

その中で爆発的に普及をさせた機能は①TCP/IP(通信プロトコール),②ブラウザー(表示インターフェース),③検索エンジン の3点だと思う.これなくして,人間の欲望(いつでも,どこでも,言いたい,見たい)を満たせなかったと思うのである.

①通信制御手順を階層化(電気的レベルからアプリケーションレベルまで)している中で,TCP/IPはその中間層(3層,4層)に位置し,宛先(アドレス)によるルーチング機能(アドレスにたどり着く機能)を言う.通信網との接点であるルーターに,その機能を持ち.世界のルータ-群があたかも世界の通信の交換機の役割を担っているのである.統治者のいない世界の通信網たるゆえんである.

このTCO/IP,アドレス表現(トリー構造)は,世界標準であり,そこに使われる世界のアドレス帳(ドメイン名とIPアドレスの対応表)は世界中に13個に自立分散され,信頼性,安全性,拡張性が確保されているのである.

利用者はこれによって,ネットワークから解放され,いつでも,どこでも接続が可能となったのである.メインフレームメーカーの排他的発想では考えにくいアーキテクチャーなのである.電子メールの送受信やホームページアクセスが世界規模で可能となり,その素晴らしさ,偉大さを改めて実感するのである.

②ブラウザーはコンテンツ(テキスト,画像,映像,音声,イメージ,デザイン,他の情報とのリンクなど)を再生・表示するアプリケーションソフトである.この表示ソフトの文法(HTML)に従ってコンテンツを作成すること(自動変換ツールもある)になるが,この文法が世界的にデファクトスタンダードになったことが,コンテンツ作成,閲覧を一気に広めたのである.これも又,メインフレームメーカーの排他的発想では考えにくいアーキテクチャーであった.

③検索エンジンは見たい,見せたいを繋ぐ機能であり,世界規模の膨大な情報(ホームページ)の中から,目的に合いそうな情報を引き出すアプリケーションソフトである.もちろんその方法に王道はなく,いかにインデックスを作り,該当のホームページをピックアップするかである.

ちなみに,検索サービスには次の機能がある.
第一に情報収集機能である.世界のホームページをなめまわし,カテゴリーや単語別にホームページアドレスを付記していくのである.(自動的に,人為的に).検索対象から外す,あるいは削除するケースもあるが,現在約100億ページがインデックス化されていると言う(専門分野毎の検索サービスは他に多数あり).
第二は検索結果の表示順番付け機能である.検索サービス各社はそのアルゴリズムを進化させている.
第三は検索内容に関連する広告の表示機能である.リステング広告やアドセン広告である.無料の検索サービスは,この広告収入で賄われている.

検索サービス事業者は,いかに利用者の目的に合致したホームページを表示すかが使命であり.インデックスの量,鮮度,表示順番,的確な広告が重要な競争ファクターなのである.

一方,多く閲覧されたいホームページ掲載者は,上記のインデックス付けや検索結果表示順番付けアルゴリズムに呼応して,上位表示されるべく,工夫(SEO対策)をしているのである.

このような検索機能がインターネットの利便性を飛躍的に高めたと思う.日頃調べものをする時,まさに辞書代り,本代り,マスコミ紙代りに,インターネットを使う.レスポンのスピードも含めて,その利便性に驚嘆している.

ついでながら,この検索データベースは米国著作権法(検索目的のCOPYは可)によって米国に集結している.これを政治的に扱ったらインターネットはたちどころに死んでしまう危険性がある.又,この検索サービスが広告収入で支えられている脆弱性もある.広告収入が減る可能性が高いからである.

今やインターネットは有線・無線網のブロードバンド化とともに,パソコンのみならず,携帯電話などの移動端末,家電は言うに及ばず,自動車,産業機器,自動販売機,センサー機器,動物,などにもつながり,世界の隅々まで張り巡めぐされている.映像コンテンツもネットを走り回る.

しかし,インターネットの世界を統治する者も国境もない.人類の有史以来,考えも着かない情報ネットワークが出来上がったのである.多分,数億人がインターネットを利用し,すでに社会のインフラになっているのである.

情報は人間や社会に大きな影響をあたえる.印刷機,ラジオ,テレビ,ビデオなど情報を運ぶメデアの出現がマスメデアとして大きな影響を与えてきた.しかし,このマスメデアは送り手と受け手が一方向のメデアである.

一方,インターネットはリアルタイムで双方向のマスメデアであり,かつ,個人が発信者・受信者になるパーソナルメデアでもある.この意味で,インターネットは,有史以来,印刷機,ラジオ・テレビ,に次ぐ第三の情報革命だと思う.これによって,明らかに,個の時代,多様化の時代を加速させ,個人・社会・政治・行政・産業・医療・何よりも,考え方,知識,価値観に大きな影響をあたえる事は明らかである.

このインターネットにネット犯罪,コンテンツの信頼性,著作権,プライバシーなどの課題がある.しかし,インターネットには無償の互助精神が根底にある.子供のころから,文明の利器であるこのインターネットの精神を教育し,悪貨が良貨を駆逐する事だけは避けなければならない.いまやインターネットは人類共通の財産になっているからである.

ところで,個人的には,足腰が立たなくなっても,インターネットは生活のインフラになっていると思う.好きな音楽ライフやテレビの特集番組,社会の動き等を見たり,ネットショッピング,メール,ガス抜きのブログ等,インターネットライフを満喫していると思う.

高齢化社会のライフワークとして,インターネットの果たす役割は大きいと思う.パソコン,インターネットになじんでいる団塊の世代以降の高齢者のライフスタイルは,それ以前の高齢者とは大きく変わってくると思うのである.

以上,昭和40年代からコンピューターの歴史を体験して来た者の一人として,激変の一端を自分なりに整理してみたのである.一貫して感じる事は,独自性,排他的優位性の発揮が中長期に利用者の支持を得られるかと言うことである.激戦に勝ち残ったものがデファクトスタンダードに君臨する進化の形は,必死の研究開発を促すが,高いリスク,長い期間,利用者の混乱,独占の弊害が伴う事が多い.

その意味で,世界規模で考え方,方式,インターフェースのいわゆるア-キテクチャーのデファクト化(国際標準化)を先行させ,その上でテクノロジーや物作りの競争が繰り広げられる形がむしろ進化を加速させると思う.

特に高度化され,ソフトの比重が高まるデジタル製品には不可欠なテーマだと思う.すでに,アーキテクチャー重視の時代に突入しているのである.

話が変わるが,日本の電子行政システムは日本全体のアーキテクチャー(処理方式,セキュリティ,各データフォーマット,文書仕様など)を誰も決めない為,自治体ごとに検討される.これではパッケージ開発競争も価格低下も起こらない.導入スピードも落ちる.まさにアーキテクチャー不在が巨額のロスを生んでいるのである.

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2007.03.03

83 ナレッジシステム

ナレッジ(次の仕事に役立つ知識,知恵)はネットワークやデジタル技術の発達によって,タイムリーに蓄積・共有・活用が可能になり,企業力格差の大きなファクターになって来た.

元来,企業活動の成果は①顧客の利益,②自社の利益,③ナレッジである.これらを次の仕事に反映させ,次の成果につなげて行く.この繰り返しが企業の存続・成長である.ナレッジがこのサイクルの牽引力になるのである.

ナレッジは「継承なくして創造なし,創造なくして継承なし」の考えの中で培われ,常に企業進化を推し進めるのである.

このナレッジは意義・課題を自覚してやる仕事に多く産出される.又,ナレッジが「ある,ない」の評価より,持続的に増殖させ,活用する意識・仕組みが重要となる.そこで,ナレッジシステムの概要を整理してみた.

蓄積,共有ツールとしてはグループウエアーもしくは社内ホームページサイト,その内容は通知情報,部門別計画・活動情報,製品情報,設計情報,障害情報,技術情報,商談情報,提案情報,顧客情報,事例情報,プロジェクト情報,クレーム情報,改善情報,業績情報,議事録情報,セミナー・講演資料などである.これらが日々の活動によって蓄積・共有される事になる.

このように,ナレッジの蓄積は知識や知恵を書く事を意識するのではなく,企業活動の記録を取る事である.これがナレッジのベースとなる.ナレッジは百科事典や図書館を作る事ではなく,実務で発生した記録,資料の中に大事な宝物があると考えるのである.

トヨタの改善運動は,現場で起こった問題や改善がたちどころに全世界のトヨタで共有され改善が実施されると言う.問題に気付いたり,失敗したり,改善を行った事がきわめて重要なナレッジなのである.これを日常的に行われ,企業は時間とともに進化・成長して行くのである.改善運動はまさに生存のメカニズムになっていると思う.

ナレッジには,もう一つの分野がある.経験知識を集約した静的な知識情報である.ソフト開発事業で言えば,業種別システム設計ガイド,業務概論,論文,技術解説書,標準化マニュアルなどである.一般には教育テキスト的情報である.これらも重要な教育ナレッジであり,企業の人材育成力を左右するのである.新人はもとより,社員への教育は年々悩ましいテーマになる.ナレッジシステムはこの問題への強力な武器になる.

かくて,企業経営情報は.業務システムとナッレジシステムで構成される事になる.業務システムは業務を正確に迅速に処理することであるが,ナレッジシステムは人間と企業の能力を最大にする事が目的となる.

従って,業務システム以上に,ナレッジシステムが競争力格差になって行くと思われる.現場で培ったナレッジが人材の育成,生産性や品質の向上,販売力の向上等に影響を与えるからである.

情報の共有が叫ばれて久しいが,是非ともナレッジシステムの進化を進めたいものである.この取り組み如何で5年後の人材や企業力に大きな格差が現れると思う.

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2006.10.26

63 光IP電話大障害

NTT西日本は24日、光回線を利用したIP電話の「ひかり電話」がつながりにくくなる大規模障害が23日,24日の両日に起きた原因は受発信を振り分けるサーバーの容量不足だったと発表した.ひかり電話サービスは加入者が急増しており,ピーク時のサーバー能力を読み切れなかった.設備への過信があったと説明.(日本経済新聞25日記事)

文面だけで判断すると,全くおかしい.

「かかりにくくなる」「23日,24日に発生」「原因はピークに対する容量不足」「設備能力への過信」ではつじつまが合わないし,説得力もない.

利用者から見れば「かかりにくい」のではなく「かからない」の状態であり,電話の不通より通信の不通が極めて重大な影響を与えたのである.

過去にないようなピークがこの23日の朝から24日に渡って長時間連続で起こるはずもない。ましてや80万加入者で受発信が集中する程度は,たいした呼量でもない.

インターネットサーバーが容量不足で長時間ダウンすることなども考えられないが,設備能力への過信が間違いだったと,有りそうもない原因への反省まで表明して,

「能力不足と言う思わぬ事態で,つながりにくくなっただけ.ごめんなさい」と,原因の軽さを意図的に印象付けている感じもするし,保身の匂いもするのである.

現象から類推すると,起こったことは

「サーバーが何らかの原因で処理能力が低下し,スローダウン状態になった.これの状態から脱出するために,いくつかの回線を遮断し,トランザクション量を抑制した.サーバーから見れば縮小運転,遮断された回線の利用者から見れば,「つながらない」状態となった.

さらに,「振り分けサーバーの動的負荷分散や障害時のバックアップなどの仕組みの弱さが,長時間の西日本全域に渡る大障害を招いた」ではないか.ピークとか容量不足,とか,かかりにくい,話ではないはずである

今回の事はネット社会への重大な警告である.容量不足などと素人のような事を言っている場合ではないのである.こんなレベルではネット時代のキャリアー(第一種通信事業者)をやる資格はあるのかと思わざるを得ない.トラブルはゼロに出来ないが,せめて発表はごまかしてはならない.ごまかし体質から成長が生まれないからである.

又,今回の障害は電話の不通のように報じられるが深刻な事は電話ではない.「ひかり電話」の名前も本質を見逃してしまう.深刻なのはメールやネット利用への影響である.電話は携帯電話で代替できるがネット利用はストップするのである.今後も,家庭からのネット利用が増大する.家庭であっても,データ通信としての信頼性確保を忘れてはならないのである.

家庭への光通信導入はNTTの網の整備もあるだろうが,従来の電話線のADSLから光へのシフトによって,信頼性が落ちるのでは大問題である.今回の光網障害の原因究明と並行して,ダウン対策,迂回対策の総点検も必要である.

ネット社会では,長時間の通信網の停止は電気,ガス,水道が止まる以上に広域にわたる被害を与えるのである.NTTやマスコミの反応に注力していきたい.

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