著作権

2007.03.30

90 インターネット上の著作物と複製権

デジタルコンテンツの私的複製権の問題を当ブログの80番で述べているが,もう一つの問題であるインターネットにおける複製権について考えて見たい.

日本の法律では著作物の複製権は著作権者の許諾によって行使可能となる(私的複製は除く).これによると,インターネットのホームページの内容をコピーして検索用データベースを作る事は無断複製で違法行為となる.

米国の法律では,検索用データベース作成の為の複製は著作物の検索を助ける為と考え,著作権侵害とはならない.

米国はこの法制度で世界のホームページ情報を米国のデータベースに集め,国内外の巨大な検索用データーベースを構築して行った.そして圧倒的な検索能力を保有したのである.

検索機能の重要性を早くから気付いていた米国は著作物の複製権に関して,新たな概念を作り,法制度を改訂して,検索機能の世界制覇を達成した事は見事としか言いようがない.

結局,我々の日常化した検索行為はほとんど米国で処理されている,又,日本のインターネットのサーバーが米国に多く設置されている事も合わせて考えれば,我々のインターネット利用は,ほとんど米国を折り返していると考えてもよい.

ネットワークの発達は法制度,機能,利便性,コスト,いかんで,国を超えて情報の流れが決まる.ネットの中に税関,通関があるわけではないので,自由に情報は行き来する.ネットの世界はまさにボーダレスなのである.

たとえ国内法制度が厳しかったり,時代に合っていなかったりしても,情報はその制度を簡単に避けて行く.ボーダレスである以上,全ての国が加盟する国際法が当然必要になるのである.

ところで,遅ればせながら,日本の著作権が改定されても,世界の情報が既に巨大なデータベースになっている限り,日本で検索用データーベースを改めて作る意味はあまりない.

しかし,情報が集中した結果,政治的に米国所有の検索用データベースが閉鎖されたら,たちどころに世界の検索やインターネットそのものが停止する事になる.このリスクをどう考えるか,大きな問題である.情報の安全保障問題である.

今頃,こんな事を言っている様では,我々の発想力,思考力の弱さに自虐的悲観論が漂う.

とは言うものの,憲法,商法,証券取引法,会社法,著作権法,放送法,通信法,あるいは医療関係など,あらゆる日本の法律が,技術的変化,国際的変化に反応していなかったり,後手に回ったり,泥縄対応であったりで,インターネットと同じ事が既に起こっているのではないか,と心配するのである.日本は島国であるが,人間の営みに島国と言う概念はもうないのである.

新しい変化が海外で発展し,我々は蚊帳の外にいるだけになるのだろうか.日本で起こる法制度の問題が米国では既に10年以上前に議論され,制度化されている事が多いように思う.これでは永久に後手,泥縄から脱出できない感じもする.米国の追随を批判する人もいるが,批判だけでは解決しないのである.

日本は物作り長け,ハードの輸出は得意であるが,制度,仕組みなどのアーキテクチャー(ソフト)作りには弱い.どうすれば,日本の洞察力,構想力,立論力,判断力,設計力を高められるのだろうか.

和を重んじる村社会的風土,謙虚,配慮,横並びの精神,単一民族の特性が新しい事への思考力を弱めたり,狭めたりしているのかも知れない.この日本のユニークさを大事にすべきか,変身すべきか,も揺れ動く.

この懸念の中に,デジタル・ネットワーク時代の著作権に係る多くの問題がある.日本は結論を出せるのだろうか.

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2007.02.01

80 私的複製権

デジタルコンテンツは複製や時間経過で劣化しない,物的流通(移動)がネットでは複製になる,大量の複製が可能になる,等の特徴があり,品質劣化の無い海賊版が多く発生する可能性がある.そこで,デジタルコンテンツにおける著作権の保護策と私的複製権の関係が改めて問題になっている.

パッケージ系(CD,DVD)のデジタルコンテンツは.私的複製を禁止している.従来のアナログコンテンツ,雑誌,新聞等は私的複製権を行使できるが,デジタルコンテンツは出来ないのである.

媒体毎に著作権保証金を課し,私的複製を認めるルールも実施されたが制度的な問題(2重払い,課金対象の選定)や,メーカーの反発があり,機器に複製禁止機能をいれる事と引き換えに,この制度の適用は中断している.

デジタル放送の録画・録音・複製も,新たな論議が起こっている.法律ではないが,業界の自主規制として,デジタルテレビ放送は現在,録画されたコンテンツの複製は一回のみ可能としているが元コンテンツは消滅するので,実質は'移動'である(コピーワンス).利用者から見ればここでも,私的複製権が無い事になる.(自主規制検討時,内臓HDがなく,回数制限の機能は不可能,1回か無制限かの選択であった)

これに対し,私的複製を求める視聴者の反発も大きい.アナログ放送時代から見れば,私的複製権の侵害と映る.

この問題に対し,録画を,ある回数以内なら私的複製は自由(ただし回数制限つき子コピーは可能,孫コピー,ネット配信は禁止)等の新たなルールの議論が始まっている.

この制度案でも,すでに普及している機器の取り扱いや,技術的実現性の問題は残る.

インターネットテレビ・ラジオやネット配信販売されたコンテンツ(映像,楽曲など)の私的複製権は,まだ議論されていない.デジタルテレビ放送と同時に検討すべきである.

一度DISKに入ったコンテンツ郡のSAVEやデッドコピーの問題もある.著作権の有効期間の問題や,すでに著作権が終了したコンテンツと複製制限機能の関係をどうするか,等,まだまだこの問題の解決は遠い.

私見であるが,劣化しない,大量に複製できる,ネット配信が簡単,といったデジタルの特性があっても,あくまでも著作物の属性であり,私的複製権とは無関係であるとも考えられる.属性毎にルールは作れないからである.

結局は'私的複製OK,但し無断でビジネスに使うことは国際レベルで禁止(罰則強化)'と言う,従前の常識的ななルールに落ち着くのではないかと思う.

この時,国際的な海賊版をどう防ぐかは依然として問題が残る.そもそも私的複製権を制限する仕組みが海賊版を防ぐ事になるのかの検証も必要である.いずれにせよ,頭の痛い問題である.

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