政治

2017.10.02

480 今回の総選挙の重要な意味

総選挙は10月10日公示、22日投票と決まった.解散を契機に、保守系の希望の党が発足し,加えて、民進党が実質解体し,保守系とリベラル系に分裂する可能性があり、今回の総選挙は保守系とリベラル系の勢力図が明確に決まる選挙になる.

その結果、憲法問題や安保問題と言った基本的政策の方向が大きく変化する事になる.今回の解散総選挙に大儀がないと言われていたが、ここにきて、今後の日本の政治勢力図や基本政策の方向が決まると言う大きな意味が出てきたのである.

ところで当ブログ 『478 又か、民進党党首の「挙党体制宣言」』で述べた通り、前原新代表の挙党体制宣言に異論を述べた.やるべきことは挙党体制宣言ではなく、民進党の基本政策をしっかり作り、反対者を外して、新しい民進党を作る事だと指摘したのである.

ところが、はからずも、今回の解散で民進党のシャッフルが希望の党の出現で始まったのである.

第一弾:民進党が希望の党に合流する事を議員総会で決定.
第二弾;小池代表は合流ではなく政策,選挙区事情で選別すると宣言.
第三弾:民進党は三つに分裂模様(希望の党、無所属、リベラル新党).

それにしても、前原代表は想定外の事が起こったと言うのか、想定内だったと言うのか、本心はわからないが、もし、想定内だったと言う事なら、自分では出来ない民進党のシャッフルを希望の党でやってもらう為に、全員合流という話を民進党議員総会で了承させた事になる.だとすると、民進党議員を騙した事になる.民進党代表のまま、無所属で立候補するようだが,人間としての非難を浴びる可能性もある.

何れにせよ、前原党首みづからが行うべき民進党のシャッフルを、希望の党がシャッフルするような形になったのだが,私の指摘からすれば,結果オーライの動きが起こったのである.

立候補届け出は10月6日(金)がタイムリミットであり、,極めて短時間の中で、希望の党、発足しそうなリベラル新党、を含む各政党の立候補者、立候補者数、他党との選挙区調整、公約が出揃うと思う.各政党の選挙戦略も見えてくると思う.

これでいよいよ選挙戦が始まるが、希望の党に立候補者の大多数が民進党からの宗旨替え者だったとすると、.政策より数合わせに走った印象を与えたり、宗旨替え者の中に、本当かと疑問を持たれる候補者がいたりすれば、不信感が募って、希望の党への期待感がしぼみ、当選率が落ちる可能性がある.

又、保守系政党同士が選挙区で競合した時、基本政策が似通っている事から,希望の党立候補者が人物評価で落とされる事も想定される.何れにせよ、希望の党とリベラル新党の議席数が、政界の地図を塗り替える事になる.

そして、自民党が過半数を超えるかどうか、だけではなく,衆院の議席が保守系、リベラル系で,どの程度の議席数になるのか,大いに興味が湧くのである.憲法、安全保障等の基本的政策がどの程度、議会で共有されるのかが、わかるからである.

さらに言えば、もし、保守系政党の議席数が増えれば、建設的な政策論議が政党間で可能になるし、今後、基本政策を共有した保守系の二大政党が出来れば、政権交代が可能な政治体制が出来る事になるのである.(基本政策とは、憲法、天皇制、安全保障、市場経済、社会保障、等、日本の根幹にかかわる考え方を指している.)

これも持論になるが「基本政策を異にする二大政党化」(例えば保守系とリベラル系の二大政党化)は実現しないと思う.これを目指せば、いつも基本的な所でぶつかって、建設的な掘り下げた議論が出来なくなったり、たとえ,リベラル系が政権をとったとしても、大混乱が起こる事が想定され、結局、与党一党体制が続く事になるのである.

この事から、安定的な、建設的な、しかも、緊張感のある国会を作る為に、『基本政策を共有した政権交代可能な二大政党化』を望むのである.又、選挙に於いては、二大政党が競合した時、政策より人物が優先され、議員の質の向上も期待できることになるのである.

そこで私見では希望の党が基本政策を共有した政権交代可能な二大政党の一翼を担う政党に育つ事を期待したいのである..

しかし,いきなり政権を担う政党になることは無理だと思う.従って、数合わせではなく、しっかり政策を検討し、積み上げていく努力が必要だし、同時に政権、内閣を構成できる人材を持つ事も必要である.勿論、全国の支持基盤を作る事も必要である.この様に,政権担当能力を持つ事は簡単ではなく、時間が必要だと思うのである.

そんなわけで、希望の党は今回の選挙は謙虚であるべきだし、過半数を取ることより、比較第一党の議席数に迫る事がまず大事だと思うのである.従って、政権選択選挙だからと言って、政権を取りに行く、等と言うより、100議席を取りたい,と言った方が国民の信頼感は得られると思うのである.

特に民進党からの宗旨替え者が圧倒的多数であったり、宗旨替えの信憑性が疑われれば、結果は厳しくなると思うのである.そこで、今回の選挙は宗旨替えの理由、希望の党での決意をしっかり国民に説明するところから始まると思うのである.

又、小池都知事の去就については、今回、立候補せず、首都東京の多くの課題を解決する事が極めて重要であり、希望の党が政権を担う党になる為にも、この実績が必要だと思うのである.小池都知事においては,堂々と東京の実績を踏まえて、女性初の総理の道を歩めば良いと思うのである.小池知事自身もそう考えていると思うのだが.

一方自民党である.都議選のときも指摘したが、希望の党に対して、馬鹿にしたような、上から目線の批判が多い.新しい保守政党を作ろうと言うのだから、大局的な視点に立てば喜ばしく、激励すべきところである.

せめて、切磋琢磨して,日本の為に建設的な政策議論をしよう、くらいの事は言えないのだろうか.現在の自民党の態度では都知事選,都議会選の二の舞になりかねないのである.

そんな思いとは裏腹に、小池都知事に対し、国政に出なくても、出ても、結局、無責任だとか,(都知事を続け)出馬しないのは政権を取りに行く気がないからだとか、首班指名を誰にするのかわからないとか、連立政権を狙っているからだとか、(都知事を投げだして)出馬した方がわかりやすいとか、言う自民党議員もいる.

聞く方からすると、国の為、東京の為、の意識のない,都知事選、都議会選の惨敗の恨み、小池知事への嫉妬、都政の奪還狙い、あるいは、小池つぶし、からくる発言に聞こえるのである.マスコミも出馬の可能性があると騒ぐのは、番組をおもしろく引っ張りたいだけに見えるのである.

そもそも議院内閣制のもとでの.衆院選挙は必ずしも総理を選ぶ選挙ではなく、政党、議員を選ぶ選挙である.現に、議院内閣制の下で、衆院選挙を経ずに、総理は多く変わるのである.小池代表が出馬しないのはおかしい、と言う人はあなたがおかしいのである.あくまでも小池都知事の去就は都知事自身が決める事であり、それを評価するのは国民だと思うのである.

どうも自民党は強敵らしいものが出現したり、弱点を指摘された時の反応(リスクマネージメント)が下手だと思う.不遜ながら、デベート力を鍛えるべきだと思うのである.勿論、素晴らしい論客の方もいると思うが,総じて、稚拙で、短絡的で、大局観の欠落、を感じるのは私だけだろうか.

さて、小池都知事の去就については上述の通り、他党が我田引水で言うべき話ではないと思う.小池都知事は維新の党と同じように、都知事と希望の党の代表を担いながら、希望の党の代表代行を任命し,内部組織を作って行くことが自然だと思う.

以上、今回の選挙は大局的に見れば、今後の日本の政界勢力図(保守系、リベラル系の勢力)を決める選挙になり、同時に、重要政策の方向性や保守系二大政党の可能性も占う、重要な選挙になると思うのである.各党の選挙運動、選挙結果に注目していきたいと思う.

(補足:保守派とかリベラル派の意味について、私の理解を当ブログ『186 自民党崩壊と政治路線の行方』で記述している.ご参考までに)

追伸(10月7日土曜日)

希望の党のシャッフルによって、リベラル派(民進党左派)の新党・立憲民主党が発足した.結局、民進党は保守系、リベラル系、無所属に分裂したのである.もともとのごった煮政党が形の上ではシャッフルされたのである.そして、民進党は参議院だけの党になったのである.

前原氏は民進党の代表にとどまっているが,無所属で立候補すると言う.そして、持論の、野党共闘で打倒安倍政権を目指すと公言しているのである.そして、立憲民主党も応援したいと言う.前原氏は民進党の代表の立場だから言うのは自由だが、前原氏の言う野党共闘や立憲民主党の応援について希望の党が了解している様子はない.

又、国民から見ると野党連合政権で何をするのか全く不明である.安倍政権打倒と叫んでいるだけでは国民はこれに賛同するはずもない.

もし、自・公が過半数割れを起こせば、当然のことながら、自民党は希望の党、日本維新の会との連立を働きかけると思う.

前原氏は当選後、希望の党に入党し、民進党出身者と結託して、希望の党を乗っ取り、自民との連立に反対し、政策が違う立憲民主党との連立を組むことを考えると思が、そうなれば希望の党は分裂し、野党連合で過半数を確保することが困難になる.

何れにせよ、前原氏の野党連合で安倍政権打倒する、との主張は、言うのは勝手だが、どう考えても現実性が無いのである.民進党で出来なかったことを、希望の党を利用して実現しようとしても、希望の党の性格や民進党のシャッフルでその夢は消えているのである.

もし、前原民進党代表が民進党の分裂は表向きであって、裏では、希望の党や立憲民主党の民進党出身議員同士の結束や政策の一致は出来ると思っているなら、当選する為に分裂し事になり、前原氏、当選者への国民の信頼はなくなると思うである.当然、策に溺れた前原氏の政治生命は終わる.

追伸(10月23日月曜日朝)

7回TKO勝ちした村田諒太の世界ミドル級タイトル戦、今後の政界勢力図を占う衆議院選挙結果、大型台風21号の来襲による災害で、眠れない一夜が明けた.

さて、選挙結果だが、台風の影響で3議席が未定の状態であるが、選挙結果は下記のように確定した.(公示前議席ー選挙後議席で表示)

自民(284-284)、公明(34-29)、希望(57-49)、維新(14-10)、
立憲(15-54)、共産(21-12)、社民(2-1)、無所属(38-23)

これで明らかのように、与党(自民,公明)の3分の2議席超えは変わらないものの、党別に見ると、躍進したのは立憲民主党だけであったのである.

希望の党は私が懸念した通り、党体制と政策の弱さ、宗旨替え立候補者への不信、が災いして、200人を超える立候補者の多くは涙を呑んだのである.これらの懸念をよそに,いきなり政権を目指すと公言し,大量の立候補者を立てた事に無理があったと思うのである.

一方、新党の立ち上げで、いきなり49議席確保は上等だと思うが、体制、政治理念,政策の議論をしっかりやることから始める必要があると思う.その過程で、離脱者が出ても良いと思うのである.

立憲民主党は新党でありながら、民進党の主張を継承した事で筋を通し、あらたな政策を立てる事もなく、民進党支持者、リベラル志向者、自民党批判者の受け皿になり、躍進したと思うのである.

今後、無所属議員の動向、参院民進党の動向、連立政権の枠組み、等で政界の勢力図は変化すると思うが、今回の選挙で、保守系政党(自民、公明、希望、維新)で372議席(80%)、リベラル系政党(立憲、共産、民社)で67議席(14%)、無所属23議席(5%)となったのである.

の勢力図で外交問題(安全保障,貿易,国際化,等)、憲法改定問題、2025年問題(社会保障問題)、経済活性化問題、財政問題、自然災害問題、等に対し、どう乗り越えて行くか、前途多難な問題が眼前に広がっているのである.

勿論、これらの問題は理想論を戦わせる程、余裕のある問題ではなくなっている.現実的にどうするのかと言う喫緊の問題になっているのである.予想される問題に目をそらして来たツケが今日の待ったなし状態を招いていると思うのだが、地獄に落ちるまで、これが続くのだろうか.そうならない為にも、深刻な問題の解決には政治家も国民も意識改革と覚悟が必要だと思うのである.

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2017.09.25

479 北朝鮮問題の考察

北朝鮮問題とは,世襲独裁軍事国家の北朝鮮が核・ミサイルを所有する問題である.

北朝鮮は核・ミサイルの所有によって、現体制の維持、米国をはじめとする近隣諸国との交渉力の強化、日本・韓国からの米軍の撤退、武力による朝鮮統一、を目指している様である.

国連は北朝鮮の核・ミサイルの度重なる実験に対し,十数年間に渡って核・ミサイルの放棄を主張し、非難と制裁を課してきたのだが,これに従う事もなく、着々とその所有に向かっているのである.

そして、所有が現実的になった現在、日米韓及び国連は、改めて世襲独裁軍事国家が核・ミサイルを持つ事の脅威やテロ集団や第三国へ流出する事の脅威から、更なる圧力強化で核・ミサイルを放棄に追い込むことで結束しているのである..

これに北朝鮮は犬の遠吠えと揶揄して、核・ミサイルを放棄する気配は全くないのである.それどころか制裁強化に対抗すべく、更なる核・ミサイルの実験で軍事力を鼓舞し,軍事行動も辞さないとの脅迫もちらつかせているのである.

中国、ソ連は圧力より対話を主張しているが,どのような対話をしようとしているのか明らかにしていない.北朝鮮と米国の過熱ぶりをただ眺めている感じすらするのである.

そんなわけで、圧力の強化に北朝鮮が軍事的反撃に出るのか、核・ミサイルを放棄しない事で米国が軍事的制裁に走るのか、この最悪の事態はゼロではないのである.

そこで、この際、朝鮮半島がななぜ分裂し、北に世襲独裁軍事国家の北朝鮮が建国されたのか、その経緯を知ることが大事だと考え、ざっと整理してみる事にした.

朝鮮半島分裂は日本の敗戦直前にソ連が日本に宣戦布告し,日本が統治する満州、朝鮮半島、及び、日本の北海道や北方領土に侵攻した事が発端である.

これに反対した米国は、ロシアとの間で朝鮮半島の北半分はソ連、南半分は米国の支配下に置くことで合意し、ロシアの朝鮮半島支配を阻止したのである.

その後、国連は朝鮮半島の統一国家作りを要求したが、1948年、北は金日成(抗日、独立運動家、親ソ連)がソ連の支援の下で、朝鮮民主主義共和国を、南は李承晩(反日、反共、独立運動家,親米)が米国の支援の下で,大韓民国を建国したのである.これを契機に、ソ連,米国は朝鮮半島から撤退したのである.

このまま分裂状態で安定すればよかったのだが、金正日は①米ソが撤退した事、②中国毛沢東が中華人民共和国を宣言した事(1949年),➂南の軍事力が未整備である事、を好機ととらえ,1950年、朝鮮統一に向けて、南へ武力侵攻したのである.

これが3年に及ぶ朝鮮戦争の始まりである.そして300万人に及ぶ犠牲者を生んだ悲惨な朝鮮戦争に突入して行ったのである.

朝鮮戦争は北側には共産圏拡大をもくろむ、ソ連、中国が付き、南へは米国、国連軍が付き共産圏と自由圏の戦いの様相に発展して行ったのである.そして、膠着状態に入った時点で休戦協定が結ばれたのである.その後、米ソ冷戦時代を背景に,南・北も分裂状態のまま今日に至っているのである.

李承晩政権は休戦協定後、軍事力の強化、反共の防波堤として、米国と連動した安全保障体制の強化を進めたのである.

一方、金日成(キムイルソン)は建国以来の世襲独裁軍事国家、先軍政治、粛清政治の道を変えることなく、その強化に取り組み、これを二代目の金正日(キムジョンイル)、三代目の金正恩(キムジョンウン)が継承しているのである.

特に、二代目の金正日は米国と対峙する為の核・ミサイルの開発を国連や六か国(北朝鮮,中國、ロシア、韓国,米国、日本)会議や国連の制裁を無視して、強引に開発を進めたのである.多分、その裏で、技術面はソ連が、経済面では中国が支援してきたと思われる.そして、三代目の金正恩が核・ミサイルの所有直前まで到達させたのである.

当初、北朝鮮の世襲独裁体制はソ連の崩壊、東欧諸国の民主化で内部から崩壊すると言う憶測もあったが、粛清統治によって、その動きは抑えられているのである.

このように、北朝鮮の生みの親がロシア、育ての親がロシア,中国と言えるのかもしれない.これが、朝鮮半島の大まかな経緯である.

振り返ってみれば、上記のように朝鮮半島の分裂問題、日本の北方領土の問題、シベリア抑留問題、もそうだが、ロシアの一方的な南下政策が発端になっているのである.さらに遡れば、日本の日清戦争、日露戦争、日本の朝鮮併合や満州進出等々においても、ロシアの南下政策が一因になっていると思うのである.ちなみに、シベリア鉄道、ウラジヲストック(不凍港)は、この南下政策の象徴である.

尚、ロシアは東アジアだけではなく、ヨーロッパでも大きな影響を与えて来た.たとえば、ドイツの分裂、共産圏(東欧)の形成、米ソを中心とした東西冷戦、その後のドイツの統一、ソ連邦崩壊、冷戦時代の終焉、東欧諸国の共産圏離脱、ロシアのクリミヤ半島侵攻、等々、ロシアがすべて、かかわっているのである.良くも悪くもロシアは世界に影響を与えて来たのである.

以上、朝鮮半島分裂の経緯を述べてきたが北朝鮮建国の原点になったスターリン、金日成についても、その活動内容をWikipediaから拾ってみた.

スターリンの政治

スターリンはソビエト連邦共産党中央委員会書記長に権限を集中させることで地位を確立し、トロツキー派の世界革命論(永久革命)を否定して,一国社会主義による国内体制の維持を優先する路線を示した.この理論対立はトロツキー派の粛清の大義名分としても用いられたのである.以降,1941年から1953年に死没するまで,要職を兼任し、国家指導者としての立場を維持した人物である.

1939年,ナチスドイツの台頭などによって国際情勢が不安定化する中,反共主義・反スラブ主義を掲げていたヒトラーのナチスドイツと不可侵条約を締結.し,ポーランドに侵攻..第二次世界大戦の発端になる.ポーランド分割,バルト三国併合,東カレリア併合、アジア方面ではドイツと同じ枢軸国の日本とも日ソ中立条約を結んだ.

1941年,第二次世界大戦においても中立を維持していたソ連はイギリス本土上陸の失敗で手詰まりとなったドイツによる侵略を受け,独ソ戦が始まった.同時にイギリスを中心とする連合国陣営にも参加,従来通りの強権支配を維持して軍と政府の統制を維持し続けた.

やがて戦争が長期化する中で態勢を建て直し,最後には反攻に転じてドイツの首都ベルリンを陥落させ,東欧を支配下に置いた.アジア方面では対日参戦でモンゴルの独裁者とともに満州と内蒙古,日本の北方領土や朝鮮半島北部まで攻め落とした.

日本の領土を少しでも多く略奪することを画策していたスターリンはその後も停戦を無視し、日本の同盟国の満州国への攻撃のみならず,南樺太と千島への攻撃を継続させたことにより、その後の北方領土問題を引き起こす原因を作ることになった.

スターリン自身は問題を感じておらず,別荘の居間に新しい世界地図を貼り、新国境線をパイプでなぞりながら「クリル諸島、サハリン全土、旅順、大連、全てわれわれの所有物だ。何とすばらしい!」と悦に浸っていた.また、スターリンは南樺太や千島に加えて、北海道北部から北東側全域をソ連が占領しようとする案をトルーマンに申し入れていたが、これはトルーマンは拒否したのである.

さらに日本軍の捕虜や民間人をシベリアに抑留し強制労働に就かせたほか、日本企業の生産設備などをソ連国内に違法に運び去った.その上に英米軍を中心とした連合国最高司指令官に対し北海道全体と東北一帯の分割占領を提案したものの、これも即座に英米から拒否されたのである.

しかし、連合国陣営内でソ連が果たした役割は非常に大きく,国連の安全保障常任理事国となり、米国と並ぶ超大国として戦後秩序に影響を与えたのである.

ヤルタ会談とポツダム会議では大戦後の欧州情勢についての協議を行って鉄のカーテンを築き,共産主義と資本主義の対立においては、米国と西欧諸国が北大西洋条約機構を結成した事に対し、東欧諸国とワルシャワ条約機構を設立したのである.

アジア情勢を巡っては、中国共産党を支援して中華人民共和国を成立させ,第一次インドネシア戦争ではベトナム民主共和国を、朝鮮戦争では朝鮮民主主義人民共和国を支援し東側陣営を拡大して行ったのである.

1953年の死没まで国家指導者としての立場は続き,ソ連内の戦後復興でも主導的な役割を果たした.また科学技術や工業力の重点化政策も引き続き維持され核武装や宇宙開発などに予算や費用が投じた.最後に関わった国家指導は大規模な農業・環境政策たる自然改造計画であった.1953年に寝室で倒れ,病没したのである.

このスターリンはレーニンと自身の個人崇拝を作り上げた.自らの思想をマルクスレーニン主義として定式化し、レーニンをマルクスの正統な後継者と位置付けた事で,スターリンは大いなる敬愛と崇拝の対象となったのである.

数多くの街,村,都市はスターリンの名前を含むように改名し、多くの賞がスターリンの名前を冠するようになったのである.しかし,ソビエト連邦の崩壊とともに廃止されることになるのである.

また、スターリンの彫像が大量に作成され,ありとあらゆる場所に設置されたが、当然これらもスターリンを称賛するプロパガンダの一環として建設された.文学や音楽、さらに詩集にもスターリンを神の如く賛美するものに満ち溢れていたのである.

それらの作品の中には、第二次世界大戦を1人で終結させたといった荒唐無稽な内容のものが多く,また,1944年発表のソビエト連邦国歌にスターリンの名前が現れるほどの凄まじい個人崇拝がまかり通ったのである.

1948年には『スターリン小伝』という本が出版され、「最も偉大な統領」といった美辞麗句が大量に散りばめられた本であるが、この中にスターリン自ら書き加えた箇所がある,とフルシチョフは暴露している.

その文章にはスターリンは,党と人民の統領としての課題を立派に果たし,全ソヴィエト人民の支持を完全に獲得していたとある.一方、自分の活動の中に,自慢,高慢、うぬぼれなどの影が少しでも見える文章は徹底して排除したと言うのである.

死後から程なくしてスターリン後の権力闘争が行われたが,その過程でフルシチョフらによるスターリン派に対する批判が展開され始めた.1965年,ソ連共産党20回大会でフルシチョフは有名なスターリン批判を行い、一転してスターリンは偉大な国家指導者という評価から、恐るべき独裁者という評価へ変化したのである.この潮流は,反スターリン主義として各国の左派に影響を及ぼしたのである.

そして、1985年、ゴルバチョフによるペレストロイカ(1980年代後半からソビエト連邦で進められた政治体制の改革運動)の宣言である.グ゙ラスノチス(情報公開)とともに60年間に及ぶ硬直した一党独裁政治から民主的な政治体制に脱皮しようと言う宣言である.

これが東西ドイツソの統一、ソ連邦・東欧の崩壊につながるのだが,それゆえ体制崩壊を恐れる北朝鮮は潮流に逆らって、スターリン主義、世襲独裁軍事国家に固執し、粛清政治を強化ているのかも知れない.一党独裁の中国も同じ状況にあると思うのである.

金日成の政治

一方、金日成は朝鮮の革命家・独立運動家で北朝鮮の軍人政治家である.満州において抗日パルチザン活動に部隊指揮官として参加し,日本の関東軍の攻撃を受け、ロシアに避難し,ロシア軍に参加.第二次世界大戦後、金日成はスターリンの面接を受けて北朝鮮に帰国、そして親ロシアの国として金日成を主席とする朝鮮民主主義人民共和国が建国されたのである.

北朝鮮は1950年に、ソ連から武器を中国から兵の支援を受けて韓国に攻め入ったのが朝鮮戦争である.韓国を武力で併合しようと考えたのである.

当初は北朝鮮有利に展開するが,韓国側にアメリカ、国連軍が付くと形勢逆転.北朝鮮は中国国境まで追いつめられると中国から100万の軍が駆けつけ膠着状態になる.その結果、1953年7月に休戦協定が結ばれたのである.

さて,この休戦協定だが,北朝鮮では,これを「戦争に勝利した!」と言う事になっているようでである.これ以降,金日成の権力が強化されて行くのである.

その方法は”静粛政治”である.1956年から1958年にかけては静粛の嵐が吹き荒れたと言う.さらに,この静粛は民衆レベルにまで広がりを見せて行った.住民同士で互いに密告させたのである.

また,北朝鮮の各地に金日成の銅像や肖像画が掲げられ、彼の名を呼ぶときも必ず「敬愛する首領である金日成さま」と呼ばなけらばならないようにしたのである.このようにして金日成の個人崇拝は確立して行ったのである.

更に金日成は1962年に4大軍事路線を打ち出した.内容は「全人民の武装化」「全国土の要塞化」「全軍幹部化」「全軍現代化」の4つである.国家の存続、武力による韓国併合を狙ったものだと思う.

この革命家金日成の共産主義による世襲独裁軍事国家,先軍政治、粛清政治,朝鮮の統一はスターリンの政治と極めて似ているのである.金日成とスターリンの関係を考えればうなずけるのである.

これを二代目,三代目が継承しているのだから,今日の世でも、封建時代の様な国が存在しているのである.時代錯誤も甚だしい隣人がいるのである.

きっと、北朝鮮指導者は、国の維持は核・ミサイルではなく、民主的政治体制や国際交流にあると感じつつ、世の流れに逆行している危うさに、常におびえていると思うのである.北朝鮮国営放送の勇ましい軍口調や人形ロボットの様な軍行進に接する度に、そう思うのである.

以上、北朝鮮問題の経緯を述べてきたが、その対策について下記二つを考えてみた.

①北朝鮮と米国の膠着状態化

米国、韓国・日本及び国連の圧力強化と北朝鮮の核・ミサイルの所有が併存した膠着状態が続くと思われる.この情勢下で、北朝鮮は米国に要求を突きつけると思うが、米国は核・ミサイルの放棄を前提としなければ会話には応じない姿勢を取り続けると思う.

この膠着状態が続けば、圧力で北朝鮮は苦しくなると思うし、核・ミサイルを持ったもののって効果がない事を自覚するようになると思う.又、武力行使をするきっかけも遠ざかると思うのである.このような膠着状態にすることが必要だと思うのである.

②北朝鮮の体制転換

北朝鮮は世襲独裁軍事粛清国家である.映画の中に存在する事はあっても、現実に存在している事や,そんな封建時代の様な時代錯誤した国が最先端の核・ミサイルを持つ事に驚きを感じるのである.

このような独裁国家が必ず崩壊する事は歴史が証明しているのだが、それを恐れて.金正恩は金日成を錦の御旗にして、この体制に、しがみついている感じもするのである.

そこで、ロシアが東アジアへの南下政策の責任、朝鮮半島へ侵攻した責任、朝鮮半島を分裂させた責任、スターリンが金日成や分裂国家建国を支援した責任、朝鮮戦争の責任、等々から、率先して北朝鮮の体制転換を説得すべきだと思うのである.

勿論、スターリンを恐るべき独裁者と断罪したように、スターリンを尊敬し、影響をうけた金日成に対しても、非難すべきだと思うのである.

ロシアに高みの見物を許してはならないと思うし、歴史的責任を取って欲しいと思う.同時に国連も体制転換を主張すべきだと思うのである.内政干渉は出来ないと言って放置できないのである.

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2017.09.06

478 又か、民進党党首の「挙党体制宣言」

民進党党首に前原氏が返り咲いた.前原氏は民主党が政策集団に脱皮する為に、小泉首相ばりに「民進党をぶっ壊す」、「政策に賛同しない議員は公認しない」と言うのかと思ったら、民進党歴代党首と同じように、政策度外視の挙党体制を作ると宣言したのである.

本来なら、前原氏は憲法問題、安保問題、社会保障問題、財政問題、経済問題、労働問題、等への政策をかかげ、これに賛同する議員だけで民進党を再スターすべきだったと思うし.同時に野党再編にも繋げて行くべきだったのである.

残念ながら、今回も又、挙党体制の名の下で、政策なしの右・左混在の党内人事が行われるようだが、これでは、なんの展望も見えず,今後も民進党の凋落は止まらないと思いうし,野党再編も遠のいたと思うのである.

の政策の定まらないままの挙党体制を組んだ民進党は、これまでもそうだったが、相も変わらず、議員の所属先、国から支給される歳費の振込先、,国会の発言枠の確保、の為に存在する党と言う事になる.又、国会でも、選挙でも、批判はするが対案がない党を続ける事になる.

自民党にも、いろんな考え方の人がいると民進党議員は自己弁護するが、民進党程、考え方が右から左に広がっていないし,せいぜい、保守、新保守の差、程度である.その差は自民党の政策決定プロセスに従って,最終的には自民党としての政策が決まるのである.党としての政策が決まらない民進党と大違いであ.

いずれにせよ、政権交代可能な二大政党の形成が、又,遠のいた感じである.更に言えば、日本の政党政治の形骸化を続ける事になるのである.

ところで、政権交代可能な二大政党を考えた時、「基本政策を異にする二大政党化」(例えば保守とリベラル・左派)」は,不可能だと思う.これを目指したとしても、巨大与党政権が続く事になるのである.

そこで、二大政党を作るなら、「基本政策を共有した政権交代可能な二大政党化」だと思う.(例えば保守と新保守、あるいは、保守と中道保守)この方向で政党再編が進むことを願うのである.

尚、共有すべき基本政策とは憲法、天皇制、安全保障、市場経済、社会保障、等、日本の根幹にかかわる政策である.

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2017.07.04

475 都民ファースト都議選圧勝の要因

2017年7月2日の東京都都議会選挙は、かつて,大阪府議会、市議会、の選挙で、自民党、民主党が激減し、地域新党・大阪維新の会が躍進し、第一党の勢力を占めたのだが、今度は東京で同じことが起こったのである.

今回の都議会選挙による勢力図が下記の通りだが、自民党議員の激減、地域新党・都民ファーストの会が躍進し、第一党の勢力を占めたのである.
(図をクリックすると拡大) Photo

この結果に対して国政における自民党の失点自民党に代わる受け皿が無かったから都民ファーストが大勝したとの論評が多い全く都民ファーストに失礼.だと思う.都民ファーストの政治姿勢や政策これまでの自民党都議会議員の失政があったから都民ファーストが大勝したとの視点で,その要因を述べたい. 

①都民ファーストは既成政党ではできない政策を訴えて勝利

1年前の都知事選では、組織票の無い中で、小池氏は「東京大改革」を掲げ、多くの都民の支持を得て,ぶっちぎりの勝利を得たのである.

今回の都議会選挙でも、この取り組みの延長線で「古い議会から新しい議会へ」と組織票がないならではのキャッチコピーを掲げ、旧態依然のこれまでの都議会を変えたいと訴えたのである.

特に、オリンピック問題や豊洲市場問題、に関する自民党都議会の失政に対して、このキャッチコピーは見事に都民の心をつかんだと思う.自民党都議会幹部(幹事長、政調会長、議長)が軒並み落選したことでも,明らかである.

更に自民党の凋落に輪をかけてしまったのが、オリンピック問題、豊洲問題に対する小池都知事への攻撃である.「決められない小池都知事」とキャンペーンを張り,小池都知事を攻撃したのである.これらの問題は、これまでの自民党を第一党とする都議会の責任が大きいのだが、その反省もなく、尻ぬぐいに必死の小池都知事に責任を転嫁しようとする的外れの自民党に更なる逆風が吹き荒れたと思うのである.

一方、都民ファーストの新人立候補者は自民党批判は一切せず、身近な所の問題を掲げながら、新しい議会を担う意気込みで、選挙に臨んでいたと思う.これも又、都民ファーストの方針、政策と連動した見事な選挙活動であったと思うのである.たとえ小池人気があったとしても、組織票の無い50人の立候補者のうち、49人の当選者を出した事でも、この事は明らかである.

大阪府議会選挙,市議会選挙でも,地域政党の維新の会が第一党を得たが(選挙制度から単独過半数を得る事は不可)、ここでも、これまでの大阪の既成政党の失政を鋭くとらえて,解決策として、自民党では考えられない、大阪都構想を主張したのである.

大阪の地域政党・維新の会も東京地域政党・都民ファーストも、まさに、既成政党の、これまでの失政を踏まえて、既成政党では考えられない政策を訴えて大勝したのである.この地域政党の躍進は全国の地方議会にも起こり得る現象だと思うのである.

②他党を圧倒した都民ファーストの選挙戦術

都民ファーストは1年前の都知事選でもそうだったが、都議選でも、既成政党を圧倒する選挙活動を展開した.小池都知事のキャリアの中で培割れた選挙のうまさがいかんなく発揮された感じである.過去の小池氏の成功経験が大いに役立っていると思う.

・日本新党のゼロからの立ち上げ経験
・新進党小沢氏のどぶ板選挙(住民との会話と握手)
・自民党小泉氏のワンフレーズポリテックス、劇場型選挙(守旧派攻撃)、落下傘攻撃

・東京大改革、都民ファースト、古い議会から新しい議会へ、と言うキャッチコピー
・都民の要求を軸にした選挙公約作り
・選挙区の特徴、競合相手、定数に応じた,立候補者の選定
・公明党との選挙協力,他党党員の取り込み

を実行したのである.

これに比して国政政党は都議選の場を利用して国政選挙の前哨戦のような国政バトルを繰り返していた.国政野党は自民党スキャンダルを材料に、憲法改正を阻止する為の反安倍運動を展開した.

都民ファーストだけは都議会選挙に徹した戦いをしていた様に思う.上記①の政策と、②の巧みな選挙戦術が都民ファーストを圧勝に導いたのである.

③自民党大敗にもかかわらず都議会の受け皿になれない国政野党の凋落

今回の都議選は政策や都議を選ぶと言うより、国政自民党の失態に反自民の野党やマスコミ、有識者が、ここぞとばかりに自民党審判の場にしたのである.その結果、都民ファーストの大勝利、自民党の大敗になったのだが,この結果に喜んだのは、公明党、民進党、共産党である.

都議会の勢力が伸びていないにも関わらず、国政で自民党に攻勢をかけられると喜んでいるのである.国政の受け皿になれない事に加えて,都議会でも受け皿にもなれない事に気が付いていない感じである.それでも喜んでいる野党は万年野党病にかかっているのかも知れない.

こんな国政政党をしり目に、都民ファーストは漁夫の利を得たと言う人がいるが、失礼千万だと思う.上述のように、都民ファーストは都知事選の「東京大改革」、都議選の「古い議会から新しい議会へ」と一貫した方針のもと、都民の要求する課題に対する公約をで掲げて来たのである.その結果が、自民党はもとより、国政野党をも退けたのだと思う.漁夫の利ではなく,戦って,既成政党を退け,凋落に追い込んだと思うのである.

さて大敗した自民党への提案を記しておきたい..

今後の自民党だが、国政対策と地方選挙対策がある.国政対策としては、当面の勢力を使いながら、しっかり、外交問題や憲法改正問題、等の重要な政治課題に取り組む事だと思う.但し、自民党自身のリスクマネージメント、ダメージコントロールを徹底する必要がある.

「世間の常識や感覚の欠如」、「負けず嫌いからくる反応」には要注意である.「口は災いのもと」を標語に掲げ,口喧嘩やデベートの訓練をしたらどうだろうか.政治家の必須の能力だからである.

次の国政選挙対策だが、保守第二党の誕生が起こるかどうかである.二大政党を望む観点からすれば、作るべきだと思うが、その気配が無ければ、政権の事など気にせず、しっかり政治をする事である.

次に考えるべき問題は地方組織の在り方である.前回の都知事選挙もそうだったが、都知事候補を決めるだけでも混乱しているのである.選挙がある事ははっきりしているのだから、数年前から準備して当然だが、これさえ出来ていないのである.

現在,各地域の自民党議連は国会議員を筆頭に地域の議員で構成されているが、外から見ると,自民党や国会議員を支える組織票固めの下部組織にしか見えないのである.

大阪の自民党府議会もそうだったが、これでは、100%、地域の事を考える地域政党の政策には勝てないのである.住民からすると,国政の事しか頭にない本部や国会議員が地域の選挙応援にきても、旧態依然の違和感を感じるだけである.それ程、政治が身近になっているのである.

地方議員選挙における国会議員の興味は自党の支持率である.候補者の当落や政策の評価ではなく、自党の得票数である.国会議員に取っては,地方選挙は次の国政選挙の前哨戦でしかないのである.又,地元議員にとっても、政党本部や国会議員の応援を得て,本部との連携を言いたがるのである.此れでは地域政党に勝てないのである.

そこで、自民党として,本当に地方議員を拡充し,地域の支持率を拡大しようとするなら、地元自民党議員だけの地域政党を立ち上げ地域政治に取り組ませるべきだと思うのである.

全国企業の支店が地域で商売するより、地域会社に商売させる方が提案力も上がり、地元も受け入れやすいからである.地方の商売に大企業の支店長が社長や専務を連れて来て,会社挙げて取り組むと言うより,地域会社の社長が的確な提案をもって訴える方が、地元の好感が得られるのである.

この様に従来のまま問題意識もなく、相変わらず、国会議員を選挙カーに乗せる事が選挙戦術だと思っている様では、今回のように、地域政党に足元をすくわれるのである.

国政政党の選挙カーにベテランの党本部や都議会の幹部、引退したドンと言われてきた人物、が乗っている姿を見ると、小池氏の「古い議会から新しい議会へ」と言う主張の中の「古い議会側のおっさん」に見えたのである.小池氏のワンフレーズポッリテックスの威力である.

この「古い議会から新しい議会へ」と言うワンフレーズポリテックスは東京都議会のこれまでの実態を的確にとらえた、新興勢力の見事なキャッチコピーだったと思う.孫氏の兵法「戦わずして勝つ」を見事に実践したと思うのである.

いくら安倍総裁が「古い、新しいが問題ではなく、決断力、実行力が大事だ」と正論を言っても、一年前の都知事選でも問題になったが,これまでの都議会が決断力、実行力が疑われているのだから,自民党としては「天に唾」になり、小池氏の応援になっても、小池氏のキャッチコピーの反論にはならないのである..

以上、自民、安倍政権への逆風が無くても,地域政党である都民ファーストの会が圧勝したと思う.この事はすでに大阪の府・市で、第1党が自民党から維新の会に変わっているように、東京でも同じ現象が起こったと見えるからである.

共通している事は、地方政治における既成政党の賞味期限切れである.このように自覚している既成政党はないようだが,いづれ国政においても、起こる現象だと思う.既成政党は地方政治と国政に、どう対応していくか,大きく見直す時期に来ていると思うのである.

 

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2017.06.28

474 公文書管理規定と文科省の課題

加計学園の戦略特区制度を利用した獣医学部新設に関して、文科省から「官邸の圧力」「加計ありき」の審査が行われたことを惹起する文書が公開されて,与野党の攻防が激しくなっている.そこで、改めて、公文書の勉強をしてみた.

1.公文書管理規定の法制度のあらまし

目的

この法律は,国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が,健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として,主権者である国民が主体的に利用し得るものであることに鑑み,国民主権の理念にのっとり,公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに,国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする.(ワンセンテンスが異常に長い役所の典型的な文章)

法制化

この目的により,平成21年7月「公文書等の管理に関する法律」が制定された.この制定により,政府全体が統一されたルールに基づいて,公文書等の作成・管理を行うことになった.

公文書の種類(行政文書、法人文書、特定歴史公文書等)

①行政文書とは

行政機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書であって,当該行政機関職員が組織的に用いるものとして,当該行政機関が保有しているもの.

②法人文書 とは

独立行政法人等の役員又は職員が職務上作成し,又は取得した文書であって、当該独立行政法人等の役員又は職員が組織的に用いるものとして、当該独立行政法人等が保有しているもの

③特定歴史公文書等とは
歴史資料として重要な公文書その他の文書のうち,国立公文書館等に移管されたもの

行政文書に関する規定(抜粋)

第四条 (文書の作成対象)

行政機関の職員は第一条の目的の達成に資するため当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない.

・法令の制定又は改廃及びその経緯

・閣議、関係行政機関の長で構成される会議又は省議の決定,了解、経緯
・複数の行政機関,若しくは地方公共団体に対して示す基準の設定,経緯
・個人又は法人の権利義務の得喪及びその経緯
・職員の人事に関する事項

第五条(整理)

・行政機関の職員が行政文書を作成し,又は取得したときは、当該行政機関の長は,政令で定めるところにより、当該行政文書について分類し、名称を付するとともに,保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない.

・行政機関の長は、能率的な事務又は事業の処理及び行政文書の適切な保存に資するよう、単独で管理することが適当であると認める行政文書を除き,適時に,相互に密接な関連を有する行政文書(保存期間を同じくすることが適当であるものに限る)を一の集合物(以下「行政文書ファイル」という。)にまとめなければならない.

・前項の場合において,行政機関の長は,政令で定めるところにより,当該行政文書ファイルについて分類し,名称を付するとともに,保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない

・行政機関の長は、第一項及び前項の規定により設定した保存期間及び保存期間の満了する日を、政令で定めるところにより、延長することができる.

・行政機関の長は,行政文書ファイル及び単独で管理している行政文書(以下「行政文書ファイル等」という。)について、保存期間(延長された場合にあっては、延長後の保存期間。以下同じ。)の満了前のできる限り早い時期に、保存期間が満了したときの措置として,廃棄の措置をとるべきことを定めなければならない.

第六条(保存)

・行政機関の長は、行政文書ファイル等について,当該行政文書ファイル等の保存期間の満了する日までの間,その内容、時の経過,利用の状況等に応じ、適切な保存及び利用を確保するために必要な場所において,適切な記録媒体により,識別を容易にするための措置を講じた上で保存しなければならない

・前項の場合において、行政機関の長は、当該行政文書ファイル等の集中管理の推進に努めなければならない>第七条(行政文書管理簿 )

・行政機関の長は,行政文書ファイル等の管理を適切に行うため,政令で定めるところにより,行政文書ファイル等の分類,名称,保存期間,保存期間の満了する日,保存期間が満了したときの措置及び保存場所その他の必要な事項を管理簿に記載しなければならない.但し、不開示情報に該当するものは除く

・行政機関の長は,行政文書ファイル管理簿について,政令で定めるところにより、当該行政機関の事務所に備えて一般の閲覧に供するとともに、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により公表しなければならない.

第八条 (移管又は廃棄)

・行政機関の長は、保存期間が満了した行政文書ファイル等について、第五条第五項の規定による定めに基づき、国立公文書館等に移管し,又は廃棄しなければならない>

・行政機関の長は,前項の規定により、保存期間が満了した行政文書ファイル等を廃棄しようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議し,その同意を得なければならない.この場合において,内閣総理大臣の同意が得られないときは、当該行政機関の長は,当該行政文書ファイル,等について、新たに保存期間及び保存期,の満了する日を設定しなければならない. 

・内閣総理大臣は,行政文書ファイル等について特に保存の必要があると認める場合には、当該行政文書ファイル等を保有する行政機関の長に対し、当該行政文書ファイル等について,廃棄の措置をとらないように求めることができる.

第九条(管理状況の報告)

行政機関の長は、行政文書ファイル管理簿の記載状況その他の行政文書の管理の状況について,毎年度,内閣総理大臣に報告しなければならない

・内閣総理大臣は毎年度,前項の報告を取りまとめその概要を公表しなければならない.

・内閣総理大臣は,第一項に定めるもののほか,行政文書の適正な管理を確保するために必要があると認める場合には、行政機関の長に対し,行政文書の管理について,その状況に関する報告若しくは資料の提出を求め,又は当該職員に実地調査をさせることができる.

第十条(行政文書管理規則)

・行政機関の長は、行政文書の管理が第四条から前条までの規定に基づき適正に行われることを確保するため、行政文書の管理に関する定め(以下「行政文書管理規則」という)を設けなければならない.

・行政文書管理規則には行政文書に関する次に掲げる事項を記載しなければならない.

作成に関する事項
整理に関する事項
保存に関する事項
行政文書ファイル管理簿に関する事項 
移管又は廃棄に関する事項
管理状況の報告に関する事項

その他政令で定める事項

・行政機関の長は行政文書管理規則を設けようとするときは,あらかじめ,内閣総理大臣に協議し,その同意を得なければならない.これを変更しようとするときも、同様とする.

・行政機関の長は行政文書管理規則を設けたときは遅滞なく、これを公表しなければならない.これを変更したときも、同様とする.

行政文書に関する刑法

・虚偽公文書作成罪(156条)

公務員が,その職務に関し,行使の目的で,故意に虚偽の文書・図画を作成し,または,文書・図画を変造する罪

公用文書毀棄罪(258条)

公的機関が使用のために保管している文書や電磁的記録を破壊もしくは使用不能にする罪

・公務員に対する守秘義務違反、秘密情報漏洩罪

秘密事項であるかどうか(実質秘の判断),漏洩の目的が,どうであったのか,の個別判断が必要になる.

一方、公益通報者保護法という法律があって公益通報であれば、リークした人が不利益処遇を受けないと言う保護法がある.

文科省が公開した文書に見る問題点

「加計学園」の獣医学部新設を巡り,文科省が公開した、萩生田光一官房副長官が文科学省に圧力をかけたとする文書や数十通の文書をもとに、公文書に関する疑問,私見,を述べてみたい.

まず,公表された萩生田官房副長官に関する文書に,次のような反応があった

①マスコミ、野党、前事務次官は「官邸の圧力があった」、「加計ありきの審査が行われた」との論調を展開.

②官邸は①を否定しつつ、戦略特区政策に基づいて,官邸主導の行政プロセスを適切に行ったと反論.

③萩生田官房副長官は文書の内容は伝聞情報が混ざっており、事実ではない、是非,「作成者に確認して欲しい」と反論.

④松野文科相は野党に渡った文書の存在を確認したが,文書の信憑性については疑問があると発表.

⑤文書の調査をした義本博司総括審議官は行政文書ではない,個人のメモが共有フォルダーに入っていた.大変遺憾であり,萩生田氏に謝罪の言葉を口にした.

以上の反応を踏まえて、私見を述べたい.

①公表された文書は行政文書か?

公開された文書が管理規定にある様に、組織的に用いらた文書とは思えない.作成者はどう思っているのだろうか.前事務次官は公表された文書は共有していたと言っていたが、文書を見ただけなのか、内容に各人が同意していたのか,違和感を感じていたのか、あるいは、組織の統一見解としていたのか、全く不明である.

共有という言葉で、あたかも組織全体の認識があったかの如く言いたいのかもしれないが,.そんなものが行政文書になるのだろうか.

そもそも、公文書なら行政文書ファイルに登録されていなければならないし、登録されていないなら行政文書にならないのである.野党やマスコミは行政文書だと言うが,この行政ファイルに存在していた事を確認しているのだろうか.

例え行政文書だとしても、書式が整っていなかったり、信憑性の問題が指摘されたり、伝聞や感想的な内容が書かれていたり、公文書の体をなしていないと思う.こんな文書が行政文書になるなら、行政文書の管理の目的も運用規定も、無視されている事になる.

どうやら、文科省の特権意識が侵されたと言う不満を書いただけの文書、メモ、のたぐいだと感じるのである.そんな内容が行政文書になっているとしたら、公文書管理の目的や信頼性が崩れてしまうのである.

以上の事から、公表された文書は行政文書と言うより私的文書にあたると思うのである.

②文科省の公文書管理が出鱈目だと思う.

そもそも、公表された文書の存在を調べるのに、個人のパソコンや、いろんなファイルを調べたと言うが、そのこと自体が行政文書を管理していない証拠になる.

更におかしな事に、公開された文書に対し,行政文書だとか、いや私文書だとか、個人的メモだとか、の議論が起こること自体も、行政文書管理が出来ていない証拠である.

又,公表された文書が行政文書だとすると、信憑性の確認もなしに、行政文書になる事となり、これも又,行政文書管理の目的に反した大問題になる.

このような状態では、文科省は「公文書管理規定の目的」を果たしていないどころか、混乱を起こしていると言わざるを得ないのである.

マスコミ、有識者、野党はそれでも公表された文書は公文書と言うのだろうか.政府批判のシナリオから行政文書にしたいのかも知れないが、そんな動機ではなく、管理規定の目的、運用から見て判断すべきだと思う.それでも、行政文書と言うなら、文科省の信用はおろか,行政文書が簡単に悪用される危険性があると言う事になる.

以上の事から、文科省の行政文書管理が出鱈目だと思うのである.

③公開された文書が行政文書だとすると、刑法に抵触する可能性がある.

公文書として公開された文書を書いた人、あるいは、その文書を見て、行政文書だと主張している人は虚偽公文書作成罪(刑法156条)がある事を承知しているのだろうか.

又、文科省の職員がマスコミに流した文書が公文書であれば、公文書管理規定に照らして違法性がないのか、刑法上、国家公務員法違反(秘密情報の漏洩、公務員の守秘義務違反)に照らして問題がないのか、の議論が必要である.

この基本的な議論なしに,公文書管理規定の目的も、運営も、成り立たないのである.更に言えば、公開された文書が私文書であっても、虚偽が公開されたなら、名誉棄損罪になるのである.

最後に、

「官邸の圧力」、「加計学園ありき」があったのか、なかったのか,行政プロセスが歪められたのか、歪められていないのか、等々の議論がヒートしているが,その前に、行政文書管理が規定に従って運用されているのか、どうか、の検証が必要である.

出鱈目な行政文書管理が行われていたとすると、いくらバトルを繰り返しても、砂上のバトルになるだけである.元来、そうならない為に、公文書管理規定があるはずである.

そんなわけで、文科省は情報ネット時代を踏まえて、行政文書と私文書の区別を明確にし,セキュリティ対策も含めた行政文書管理の徹底を早急にすべきだと思う.

同時に総務省は公文書管理規定の厳密な運用を各省庁に指示すべきだと思うのである.

 

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2017.06.14

473 組織的犯罪処罰法案審議の感想

近々国会で成立するであろう組織的犯罪処罰法改正案(共謀罪)は一口で言うと、組織的重大犯罪の未然防止を目的に準備段階で処罰する法案である.日本の攻撃を準備している国への自衛権の発動問題と類似したテーマである.

この法案の成立で,遅ればせながら、国際犯罪防止条約(TOC条約)に加盟する事になり、国際的犯罪組織の情報が共有される事になる.

この法案に対し,野党は,不当捜査,不当逮捕,不当判決によって,「人権,プライバシー,表現の自由の侵害」や「一億総監視社会への道」だとして,戦前の「治安維持法」(思想弾圧)をイメージして,絶対反対の主張をしているのである.

そもそも、あらゆる法規制は権利侵害になるリスクを含んでいるが,それを排除する為に慎重な権利行使、手続き、最終的には裁判制度が存在しているのである.それでも、当法律の特徴からすると,捜査権の拡大による権利侵害が起こり得ると思う、だからと言って大義を否定する理由にはならないと思うのである.

ところで、自由,平等,人権と言う基本的権利も相互が衝突したり、これに危機防止と言う公共という概念が入ってくると,それぞれの権利が絶対的権利ではなく、優先度による強弱が付けられる事から,基本的権利は絶対的権利と言うより、相対的権利だと思うのである.

どうやら野党の主張は基本的権利を絶対的権利として,これを守る為に、政治的犯罪処罰法は反対だとの主張のようである.だとすと、組織的犯罪により、基本的権利のみならず,生命,財産が侵害された時,どう説明するのだろうか、完全に論理矛盾である.

与党は基本的権利や生命・財産を守る為に組織的犯罪防止法が必要だと言っているのだが、野党がどうしても反対するなら、対案を出さなければ建設的な議論異ならないのである.

以上が、短絡的に思い浮かぶ感想だが、ここで,そもそも論を整理してみたい.先ず、刑法には次の二つの概念があり、法制化の仕方が違うのである.

①既遂犯処罰の法律

これは犯罪が行われた時,処罰する法律だが,その法制化においては、「立法事実」によって罪状が定義されるのである.

(立法事実とは立法目的が合理的か,目的達成の手段が合理的かを問うものであり,実際の社会に存在する事実に適合しているかを判断する事を言う.)

発生した犯罪の犯人探しにおいては,ネット情報や防犯カメラなどの調査を行う事もあるし(裁判所の許可要の調査もある)、誤認逮捕もあるわけで、権利侵害は起こり得るのである.あらゆる法規制に内在するリスクである.

②準備処罰の法律

重大犯罪を未然に防止する為に,その準備行為を罰する法律である.この種の法律の特徴は犯罪前の処罰だから,上記の立法事実による法制化になじまないところがある.何が起こるかわからないからである.もし、立法事実による法制化をしようとすると、定義できる罪状が限定され,ザル法になる可能性がある.

更に特徴を言えば、重大犯罪の準備行為の発見には極めて広い範囲で,多面的な,しかも,恒常的な調査が必要になる.従って、いろんな捜査方法を屈指して,調査,捜査をすることになる.当然、権利侵害のリスクも大きくなる.よ従って,一層の慎重な捜査権力の行使が必要になるのである.

この二つの刑法の概念を念頭に、国会審議の感想を述べたい.

①既遂犯処罰とは違う法制化の審議がされていない.

上述のように、安保法制でも共謀罪法制でも、既遂犯処罰の法制化とは違う考え方の法制化が必要だと思う.

安保法制の議論で言えば,何が起こるかわからない事態への対応であり、立法事実による法制化はなじまないのである.いくら、自衛隊が出来る事を定義しようとしても、何が起こるかわからないから定義しようがないのである.定義したとしても、極めて断片的で、抽象的で、複雑で、しかも、規定していない事象も起こり得るのである.

この様にポジテブリストによる法制化は現場の判断や行動が混乱しかねないのである.従って、安保法制の検討は自衛隊が出来ない事(ネガテブリスト)を規定する方が合理的で明確になり,自衛行動の効果も上がるのである.

又、共謀罪法案の議論で言えば、同じ様に、何が起こるかわからない事態への対応であり,,組織的犯罪やその準備行為を定義する事はあまり意味がないのである.どんな行為もあり得るし、もくろんでいる犯罪の大きさや内容によっても、準備行為の内容も変わるのである.

繰り返すが、そもそも、安保法制も共謀罪法制も、転ばぬ先の杖としての法制度である.危機に対する保険のようなものである.法律が無かったから防げなかった、法律が無かったから無法状態になった,では済まされないのである.

したがって、本来なら,安保法制も共謀罪法制も、目的達成のためには、出来るだけ法律の網を広げておく必要がある.その為には,何が起こるかわからない事態を想定して出来る事(ポジテブリスト)を定義するより、出来ない事(ネガチブリスト)を定義した方が法律および現場の行動が明確になって、重大犯罪の未然防止力の強化になると思うのである.

しかし,昨今の安保法制、共謀罪法制の審議を聞いていると、既遂犯処罰の法制化と同じように,立法事実の有無とか,犯罪になる組織犯罪の定義とか,準備行為の定義とか、ばかりを議論していたのである.叉、感情的な世論を恐れもあったのか,法案が本質を外していたり、断片的になった感じを受けるのである.れで重大犯罪の未然防止の保険になるか心配するのである.

重要法案だけに、しかも、未然防止に権力の侵害もあり得る事から、もっと「YES BUT」(アクセルとブレーキ)の本質的な,建設的な議論をして欲しと思ったのである.

②野党は毎回、ワンパターンの行動をくり返しているだけである.

野党は日本の安全保障を強化しよう、組織犯罪を防止しよう、と言うと、必ず、憲法違反だとか、軍港主義への道だとか、基本的権利の侵害だとか、監視社会の到来だとか、治安維持方への回帰だとかを声高に言って反対するのである.

どうやら野党は法案の入り口で戦うだけで,悲惨な事態になる事には無関心の様である.その結果、悲惨な事態を防止する方法まで頭が回っていない感じを受けるのである.

結局,野党は,いつも,議論が終わっていない,強行採決されたと騒ぐのである.挙句に,あれだけ反対したのに選挙の時、廃案を公約に上げる事をしないばかりか,反対が間違っていたと反省する事もしないのである.

野党の一連の動きの目的は印象操作で大衆をミスリードし,政権打倒の運動を展開する事にあるようである.あるいは,そんな事ではなく、なんでも反対と言っていれば、なにがしかの得票が得られると考えているだけかも知れないのである.だとすると、野党の一連の動きは自身の保身術でしかないとも言えるのである.

いずれにせよ,与党も野党も,悲惨な事の未然防止と言う極めて重要な法案に対し、「YES OR NO」のバトルをくり返すのではなく,日本の為に「YES BUT」(アクセルとブレーキ)の建設的な議論をして欲しいと思ったのである.

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2017.05.30

471 元官僚トップの’公平な行政が歪められた’発言への指摘

国家戦略特区とは、今までの特区申請(規制緩和地域の申請)による新事業の展開を、更に積極的に進める為に、政府主導で,これを実施する制度である.

この戦略特区を利用して,加計学園(岡山理大)と今治市が申請した獣医学部の新設に対し、これを進めるようにとの官邸の圧力があったとする問題が、森友学園問題に引き続き,国会で取り上げられている.

この問題について官邸からの圧力を記録した文書があるとして前文科省事務次官の前川氏が「行政の公平性が歪められた」と公言したのである.この公言が.野党の疑惑追及に拍車をかける形になっているのである.

一方、文科省としては、その文書の存在を調査したが、見つかっていない.官邸としては、安倍総理の親友が学園を経営していようと、いっさい、加計学園の認可に圧力をかけていないし,文書に書いてあるような事を言っていない、総理は、親友であるからこそ、便宜供与など出来るわけがない、と主張しているのである.

そもそも、獣医学部の新設は1966年以降(60年近く),まったく許可されていない.しかし,

・ペット数の爆発的増加から牧畜も含めて獣医不足が発生している事、
・全国各地に鳥、豚、馬、牛の伝染病対策の強化が必要な事、
・全国的に公務員の獣医が不足している事、

・四国に獣医学部が無い事、
・毎年の既存獣医学部の入学競争率が20倍ほどに高い事、

等々で獣医師が逼迫し、増加が必要だとして,加計学園と今治市はこの獣医学部の新設を要請しているのである.

この申請はこれまで、何回も文科省に提出しているが、すべて却下されて来たと言うのである.通常の申請では文科省の許認可を受けられない状態だったのである.この文科省の岩盤規制を打ち破る為に、戦略特区政策に乗じて,改めて獣医学部の新設を申請したのである.

本来なら、戦略特区は、特区の事業が良かったら、規制を緩和して、全国に広げようと言うのだから、学部新設や学校新設は、なじまないのかもしれない.それでも獣医学部新設を特区で申請したのは、規制緩和して全国の獣医師を増やすべきだとの考えで、まず、特区で規制に風穴を開けたいと思ったようである..

もともと、60年近く獣医学部が新設されないほど規制が強くなければ、特区での申請はなかったと思うのである.

国家戦略を積極的に推進したい官邸としては、当然、獣医学部の新設を実現したいと言う立場である.叉、国会議員、地方議員が実現に向けて後押しする事は当たり前の話だと思う.

戦略特区に係わらず、地域に特定企業を優遇策を講じて誘致する事を政治家が後押しする事など,よくあると思うのである.勿論、見返りのある口利きは論外だが.

この案件に対し,前川前文科省事務次官が官邸の圧力で,「公平な行政が歪められた」と公言したのだが、例え圧力を示す文書が公的文書として存在していても、公平性が歪められたと言う内容が,はっきりしないのである.あまりにも抽象的で、さっぱり分からないのである.

幾つか推測してみた.

・公平な審議を予定していたが、それをやれなくなった?
・文科省としては不許可の意見を
出せなくなった?
・文科省で不許可を決めていたが、くつがえされた

・業界の既得権が侵された?
・文科省のメンツ、許認可権が侵された?

最初の公平な審議が出来なかったと言うのであれば、公平な審議をすればよいだけである.認可に不満があるなら反対すればよいのである.過去にも官邸主導や政治家主導があったと思うが、何故,今回、「公平性が歪められた」とことさら言ったのだろうか.

本心としては、こんな事もあったのではないかと推測できるのである.

・前次官が天下り斡旋で首になった腹いせで官邸に復習したかったから?
・民進党の推薦で国会議員に立候補したいから?

それにしても、戦略特区は、もともと行政の既存の公平性を崩すことである.戦略特区に官邸が主導性を発揮する事は当然である.

しかし、文科省官僚からすると,政治が教育行政に口を出すな(政治と教育行政の分離)、官邸主導とか政治主導は間違っている、との特権意識が根底にあって、教育を特区でやる事に、もともと反対している感じがするのである.

この教育に関する文科省官僚の特権意識が、ひいては、省益、既得権に繋がって、最も官僚主導の強い組織になっている感じがするのである.前事務次官の発言を聞いていると、公平性云々と言うより、この特権意識、官邸主導が侵されたことで、公平性が歪められたと言っているように感じたのである.

もし前川氏が公平性が歪められて、国民が不利益を被る、と言うのであれば、他人事ではなく、官僚のトップとして、自分の責任で、これに立ち向かうべきだったのである.今回の公言は正義の覇者を演じているようだが、単に,天に唾を吐いていただけである.

更に言えば、あれだけ大きな問題になった強い既得権益を背景にした、天下りを文科省が、最近までやっていたいた事に驚いたのだが、その責任者から、行政の公平性などと言う、きれいごとを聞いただけに,またまた、驚いたのである.

この天下りを続けてきた事は勿論だが、既得権益や省益を守り続けて来た行為が「公平な行政を歪めてきた元凶」ではないのか、その自覚が文科省官僚にあるのか.特権意識が強い割に、自分に甘く、当事者意識のない、無責任体質を感じたのである.

是非、前次官から「公平な行政」について所見を聞きたいものである.記者会見をやるなら、「天下りと公平な行政について」「省益、既得権益と公平な行政について」の記者会見を先にやるべきだったのである.

ところで、世の中は「官僚主導」から「政治主導」に動いている.技術革新や国際競争、世の価値観やニーズが大きく変化しているからである.

省庁の既得権益にしがみついているだけでは,世の中の変化の足かせになるのである.省庁が「変化への対応」に積極的に取り組まなければ,明日の日本はないのである.

ついでながら、文科省の教育問題も同じである.教育改革が遅々として進まないのも、教育行政の既得権にしがみついているからだと思う.官邸や政治家の圧力がもっと欲しいくらいである.

 

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2017.04.07

467  森友学園への国有地払下げ問題への所見

森友学園問題は大きく分けて次の4つに分類される.

1.森友学園への国有地の払い下げに関する問題点の有無(財務省)
2.森友学園への学校認可に関する問題点の有無(大阪府私学審議会)

3.森友学園の虚偽の有無(学校申請,宣伝,寄付募集,補助金,証人喚問,等)
4.森友学園の教育に関する問題点の有無(教育基本法、児童虐待、等)

この中で、国会としては、1の国有地の払い下げの問題点の有無が本筋のテーマである.毎年、数千件の国有地払い下げがあるだけに、国有地の払い下げに、政治的圧力が介入していないか、価格は適正か、は誰しもが懸念している事でもある.

そこで、この問題に絞って,整理してみたい.

この問題で違和感を感じている事は、相変わらず、政党や政治家、マスコミは’国有地を大幅値引きで払下げた問題’とレッテルを貼って主張したり、報じたりしていることである.

一般に,国有地の売却は、近隣の土地価格に影響をさせない為に、払い下げ価格はあくまでも,近隣の市場価格を基本としている.この市場価格から,土壌汚染対策費等を引いたり,各種補助金の支給を受けて、実質の購入費用は市場価格から大幅に低くなっているのである.

この認識の上で、森友学園への国有地の払い下げ価格については次の捉え方が出来る.

①土壌汚染対策費を過剰に見積もって,低価格で売却した(政治圧力説)
②適正な土壌汚染対策費を見積もって、適正な価格で売却した(財務省見解)
③瑕疵担保責任回避(国のリスク回避)を目的に売却した(当ブログで発信済み)

①は右翼系の学校を作る為に政治的圧力(介入)があったとする説だが、思想で主張するのではなく、まず下記の事実を見た上で主張すべきだと思う.

・この土地の市場価格,土壌汚染対策費用が適正だったのかの検証
他の国有地払下げ価格との比較(隣接の土地を豊中市へ払下げ価格)
瑕疵担保責任回避から見た払い下げ価格の評価

大幅値引きとレッテルを貼っている政党、マスコミ、有識者,は,このような基本的な事をやっていないのである.思想偏重や支持率,視聴率を優先する人たちの陥りやすい言動だと思う.

②は財務省の見解である.価格も手続きも間違っていないとの主張である.急遽、借地から売却に変わった事を疑問視する意見があるが、財務省の説明にもあったが、借地のままでは瑕疵担保責任や損害賠償が予想され、開校に間に合わなくなる可能性がある事から,森友学園の買い取り要望に即対応したと思われるのである.

③は3月初旬に当ブログで発信している私の所見だが、売却価格より、国のリスクを回避する事を優先した契約であったとの認識である.この契約によって、国から見ればノーリスク、学園から見れば高リスクになっている事でも明らかである.したがって、当然、この契約に政治的圧力はいらないのである.

ましてや、財政逼迫を認識しながら学校開校一途に突っ走る森友学園に対し、早急に,瑕疵担保責任や土壌汚染対策による損害賠償を受けないようした事は正しかったと思うのである.

この様にリスク回避の重要性を考えれば,大幅値引きとは全く見えないのである.いわば8億円は瑕疵担保責任や損害賠償の免責代金に見えるのである.

叉、森友学園が学校開設を取り下げた事で、国有地は国が売った価格で返還されるのである.国有地のたたき売りではなかったのである.

以上のように森友学園への国有地払い下げ問題は上記3つの捉え方ができるわけで、単に国有地を大幅に値引きしたと断定的に論じたり、報道する事に大きな違和感を感じるのである.

そんな中,4月5日,豊中市議が近畿財務局を背任罪で告発し,大阪地検特捜部はこれを受理したのである.

いずれ特捜部や裁判で真実が明らかになると思うが,それでも、相変わらず、政党、政治家,マスコミは’大幅値引き’とのレッテルを貼り続けるのだろうか.事実の検証もしない思想的な視点での印象操作に危うさを感じるのである.

ところで、一連の森友学園の問題を見ていると、独善的な思想を高く掲げつつも、全く財政的裏付けがない状態で、虚偽も含めて、あの手、この手で、土地購入交渉、寄付金募集活動、生徒募集活動、あらゆる制度を使った補助金申請,工事建築費の値引き交渉、等を必死でやっていたと見えるのである.もし,開校できたとしても、建築費も払えず、財政破綻する可能性が高かったと思うのである.

このような森友学園に対し、国が瑕疵担保責任や損害賠償責任を免責にし,森友学園を突き放した事は正解だったと思うのである.もし,瑕疵担保責任付で払い下げていれば,森友学園は、土壌汚染対策が出来ず,開校できなかったとして、損害賠償訴訟を起こしたかも知れないのである.

只、大阪府私学審議会が借地の状態で条件付き認可を出した事、財政に問題アリとしつつも、最終的に条件付き認可をした事は大きな反省点だと思う.

森友学園は行政のミスを理由に建築費15億円の損害賠償訴訟を起こすかもしれない.しかし,認可申請の中に虚偽があったり、自ら認可申請を取り下げた事から,森友学園の自己責任になると思うが,行政の認可責任の重大性を再認識するのである.

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2017.03.06

465 大幅値引で国有地を払下げたとの主張は間違い

毎日のように報道されている森友学園への国有地払下げに関して、政治家、メデア,有識者が ’9億円の土地を8億円値引きして払い下げた’と言っているが,この主張は正しいのだろうか、私の考察を発信したい.

私の考察によれば,土地売買契約の意味するところは’8億円は値引きではなく,国の瑕疵担保責任の免除代金だと捉えられるのである.

今後,いかなる土壌汚染が出ようと,それによる損害が発生しようと、森友学園の自己責任になり、国の瑕疵担保責任や損害賠償責任はなくなると言う契約である.

(瑕疵担保責任とは契約段階で予想されなかった瑕疵の責任は売り主にあると言う意味だが、その適用は法的によくもめる所である.今回の土地売買契約は公開されていないので不明だが、瑕疵担保責任免除と言う言葉を使わずに、実質,一切,,国が責任を負わない契約になっていると想定される.)

大幅値引きと言っているのは、市場価格9億円から過剰と思われる土壌汚染除去費用8億円を差し引いて払い下げたと認識しているからだが、国の瑕疵担保責任が免責になっている事の重要性を認識していないようである.

この認識をしていれば、もし、金額に文句があるなら、’値引きはけしからん’ではなく’免責代金が高すぎる’となるのである.

この売買契約は森友学園から見れば,一見、安く土地購入が出来た様に見えるが,反面,上述のように、全てのリスクを森友学園は自己責任で対応する事になるのである. 全てのリスクが8億円以下で収まる保証もないのである.転売が出来ない事から、土地売買利益を得る事もないのである.

更に,もし、森友学園が資金不足,土壌汚染除去工事、教育基本法、手続き、等で、学校設立が遅れた時は勿論、自己責任になるし、最悪、設立が中止になれば、森友学園は建物を撤去したうえで、認定された土地価格で国が買い戻す事になるのである.森友学園にとっては,重いリスクを背負っているのである.

この売買契約は当初の賃貸契約を切り替えて契約されたようである.賃貸契約では国に瑕疵担保責任が発生し,汚染土壌除去費用の支出が限りなく発生したり、これによって,開校が出来なくなったり、学校運営や児童に被害が出れば、損害賠償責任も負わされるリスクがあったのである.

この賃貸契約のリスクを排除する為に、あるいは、ややこしそうな森友学園から離れたい心理もあってか、理財局は,あとくされのない,瑕疵担保責任を免除する売買契約に切り替えたのだと思う.

金額については理財局は、学校の敷地と言う事で、最大の土壌汚染除去費用を計算し、一切文句のつけられない額を出したのだと思う.或は、交渉上、既契約の賃貸料相当金額を前提に,免除費用8億円を逆算して見積もったとしても、不思議ではない.

一方,国が瑕疵担保責任を持ったまま、市場価格で払い下げる契約もある.この場合,賃貸契約と同じように、国が限りのない土壌汚染除去費用や,それによる損害賠償を負う事が予想されるのである.

又,国がきれいな土地にして、市場価格で払い下げる方法もあると思うが,国としては,開校に間に合わないし、多大な実費用の予算化も必要になる.かつ,払下げ後も瑕疵担保責任を負うことから,リスクが付きまとうのである.

そんなわけで、国としては、<市場価格9億円ー瑕疵担保責任免除代8億>で払い下げたと思うのである.この免除代8億が妥当かどうかの議論はあると思うが、<瑕疵担保責任費用+損害賠償費用>を考えれば,国としては、あとくされのない、リスクの生じない金額だとも考えられる.叉,もし、学校が中止になれば、転売は禁止されており、国有地はしっかり確保されるのである.

以上の事から、政治家,メデア,有識者の間違いを改めて列記しておきたい.

 ’8億円の大幅値引きで国有地を払下げた’と言っている事.

間違いの理由は上述の通りだが、値引きだと言えるのは,国が瑕疵責任を持ったまま、過剰な土壌汚染対策相当費用を市場価格から差し引いた場合である.こんな契約はしていないのである.論理的に問題点を言うなら ’高い瑕疵担保責任免除代金で国有地を払い下げた’である.

その上で,問題だと言うのであれば、免除に反対と言うか、免除代金が高いと言うか、である.高いと言うなら打倒する免除代金を示すべきである.

②’土壌汚染除去費用を実費で支払うべきだ’と言っている事.

この発言は値引きだと思っている人の言い方である.国に瑕疵担保責任を残したまま、実費精算をして行く事は,国が,限りなく,土壌汚染の責任と損害賠償を負う事を意味し,8億円を超えるリスクも残るのである.ちなみに、国の瑕疵担保責任を免除していれば、実費払いはあり得ないのである.

③’国が土壌汚染作業の進捗を管理していない’と言っている事.

契約上、国は、瑕疵担保責任を負っていないのだから、土壌汚染除去がどうなっているのか気にする必要はないのである.国から見れば、どうでも良いのである.すべて、森友学園側の自己責任だからである.従って、現地に行って、あるいは,国会で,土壌対策が問題だと言っている人は、瑕疵責任が国にあると勘違いしている人である.

勿論、学校認可の面で、認可審議部門(大阪)が土壌汚染の除去状態を調査する事はあると思う.

以上、当ブログを発信したのは、政治家、メデア、有識者が ’大幅値引きで国有地を払下げた’と根本的に間違った事を繰り返し言っている事に,黙っていられなくなったからである

しかし、当ブログが見られるわけでもなく、野党、メデア、有識者は間違いに気づくことなく ’9億円の市場価格を8億円値引きした事は国有財産の損失だ、政治力が絡んでいるに違いない’と叫び続け、テレビも、枕詞のように’国有地の大幅値引き問題は・・・’と言い続けると思う.

多分、当ブログを見た人は ’国有地を大幅値引で払い下げたのはけしからん’と繰り返して、得意満面で言う、政治家、メデア、有識者に対し,全く,分っていない人,何か別の意図をもって言っている人,単におもしろければ良いと思って言っている人,人の言っている事を吟味もせず受け売りしている人、に見えてくるのではないかと思うのである.

以上,私の考察が間違っているかもしれないが、一つの事象に対し、あまりにも、偏った主張が横行している事に,こんな見方もあると,一石が投じられれば良いと思うのである.

ついでながら、最近、瑕疵担保責任の話題が続いている.

今回の瑕疵担保責任免除代金を値引きと言ったり、東京都が豊洲市場用に汚染まみれの東京ガス工場跡地を市場価格で購入しているのに、売り主の東京ガスの瑕疵担保責任を免除していたり、挙句に,860億円の土壌汚染対策費を東京都が負う羽目になったり,おかしな事が起こっているのである.

更に言えば,オリンピックに絡んで、東京港湾埋立地の払い下げが多くあると思うが、地震や液状化、或は環境基準違反に対し、東京都の瑕疵担保責任がどうなっているのか,気になる所である.

この瑕疵担保責任の問題は公有地払下げだけではなく、民間の売買契約でも重要である.特に土地売買で自然災害に対する売り主の瑕疵の有無など,個人にとっても、気になる所である.

以上,瑕疵担保責任にかかわる契約は,売る方も,買う方も,改めて、しっかり確認しておく必要があると思うのである.

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2017.03.05

464 石原元都知事記者会見,反撃のつもりが又自滅

非難されっぱなしでは,たまらん、と石原氏は証人喚問を待たずに、3月3日、自らが記者会を開いた. その内容に対し、すでに、多くの人が述べているように、腹が立つほど、石原氏の無責任さだけが印象に残った会見だったのである.

今回も、石原氏が、ものを言うほど、自滅するのは、保身本能が露骨に前面に出たり、強気で言う言葉が的ハズレだからだと思う.年(84才)のせいか、論理より、本性が出ている感じである.その自滅語録を列記しておきたい.

語録①(豊洲市場問題の責任について)

最高責任者としての責任はあると思うが、担当部局、専門家の審議会、都議会で決議されたものを裁可しただけだ.私だけの責任ではない.

語録②(豊洲移転理由,瑕疵担保責任解除の契約、市場価格での土地購入、土壌汚染対策費の増大(860億円)、総額6000億円の増大、盛土ナシ、等に関する石原氏の認識)

豊洲移転はこれまでの経緯から最終決断した.その移転計画の実施については、専門家ではないので、担当部局、専門家の審議会、等に任せていた.従って、現在問題になっている事に関し、当時、部下から報告もなく、知らなかった.現在も調べていないので、知らない.

語録③(小池都知事の責任について)

小池都知事が専門家が安全だと言っている豊洲市場を移転延期した為に、安心でないとの風評を広げてしまった.技術が風評に負けた事は国辱だ.折角作った豊洲市場を放置している小池都知事には不作為の責任がある.一刻も早く移転すべきだ.

おおよそ、こんな感じである.この石原氏の語録に対し、感想を述べたい.

語録①に関して(全体の責任に関して)

私は豊洲移転計画を進めた行政の長としての都知事の責任と、チェック機能を果たさなかった都議会の責任があると思う.部局、審議会、都議会が判断した事を採決しただけだと言う発言は、言い換えると、私はめくら判を押していただけ、と言っているに等しいのである.

語録②に関して(計画遂行における問題に関して)

石原氏自身は専門家でもなく、知見もないとして、豊洲市場計画についても、言われるまま決断し、その計画の遂行においても、関係部門に一任し、報告も受けないまま推移した.従って、問題の内容は知らなかった,と言うのである.要するに、石原都知事は丸投げして、何も管理していなかったと言っているに等しいのである.

加えて、現在に至っても、何が行われたのか調べていないので、知らないと言うのである.行政の責任者であった自負も自覚もない姿勢に驚くばかりであった.

結局、語録①②で、言っている事を額面通りに受け止めれば、石原都知事は豊洲市場に関して、自らの指示や管理を全く、していなかった、と白状したようなものである.

本人は自己弁護のつもりらしいが、聞いている方からすると、自己弁護する程、無責任さが露呈するのである.自ら記者会見を開き、反撃に打って出たつもりが、あっけなく自滅した感じになったのである.

録③に関して(豊洲市場の移転を延期している小池都知事に関して)

会見で石原氏が一番言いたかった事は、過去を蒸し返す小池都知事批判だったようである.語録にあるように、安全な豊洲市場を放置している小池都知事には不作為の責任があると糾弾したのである.

思わず、不作為なの12年間も都知事を務めた石原都知事自身ではないのか、と思ったのである.ここでも、反撃に打って出たつもりが、あっけなく自滅した感じになったのである.

語録①②➂の自滅振りを見ると、石原氏に,可愛そうと言うか、寂しさを感じてしまうのである.むしろ、そう思われる事が本当の目的だったのかもしれない.これで証人喚問の追及が弱まったり、証人喚問への欠席が許されたりしたら大成功となる.

ところで、石原氏以外に、法的に安全だから、即刻、移転すべきだ,と言う有識者がいる.

地下水や土壌の安全性を環境基準で評価する事は間違いだとの主張である.地下水や土壌は地上と遮断されているからである.環境基準の物差しで基準オーバーと騒ぐのは悪い風評をまき散らし、不安感をあおっているだけだと言うのである.

ならば、この主張者たちは、勿論、石原氏も、過去に,地下水や土壌が汚染されていても,コンクリートで遮断するから問題はない、と主張していたのだろうか.

現実は、当初から土壌汚染対策は、いくらコンクリートで地表が覆われていて,科学的に安全だとしても、汚染土壌の上に生鮮食品市場がある事の気持ち悪さがある.そこで、汚染まみれの土壌をきれいにする事(特別な安全性の確保)を前提に豊洲が決断され、反対論者を説得してきたのだと思う.事実、石原氏は日本の技術で可能だと見栄を切っていたのである.

この土壌をきれいにするとは、明らかに,環境基準をクリアーすると言う意味だったと思う.汚染土壌が発覚する都度,地下水や土壌の安全基準を使わず、いつも環境基準を使っていた事でも明らかである.それ程、汚染対策のハードルをあげなければ,食品市場の安心は得られないと誰もが思っていたのだと思う. 

このように、当初から、土壌汚染対策は法的な安全確保を目的にしていたわけではなく、それを超えた特別な安性確保(環境基準のクリアー)を目標にしていたと思う.860億円も、その為に使ったと思うのである.

したがって、法的に安全だから,即刻、移転すべきだと主張するなら,生鮮市場ならではの特別な安全性確保と,その為の860億円の投入は間違いだった、土壌汚染をなくすとの築地市場関係者への約束も、守れなかった、と言わなければ,筋が通らないのである.

そう考えると、豊洲市場に即刻委移転すべきだとの主張は、過去の多くの問題点を不問にしたい,延期を決断した小池氏を悪者にしたい、との後付けの主張に聞こえるのである.

既に安全,安心に関する議論を要約して当ブログで発信しているが再掲示しておきたい.

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小池都知事は特別な安全性確保が安心につながるとの従来の考え方で、モニタリング結果を重視し,移転可否の判断を考えているのだと思う.もし、手のひらを返したように、法的に安全だから移転する、と決断すれば、延期した意味も薄れ、かつ,早期移転論者と同じ様に、信頼感も,安心感も,損なわれ,結果、市場関係者が一番恐れる,営業リスク(風評リスク)だけが大きくなると思うのである.

いづれにしても、当ブロクで発信しているように、移転可否の判断を小池都知事にゆだねるのではなく、何をもって移転を行うか、のコンセンサス作りが必要だと思うのである.

勿論、経緯における問題点が解明されないまま、なし崩し的に移転する事に反対する意見があると思うが,この点も、どう扱うか、コンセンサスを得て置くことが必要だと思うのである.更に言えば,営業リスクに対する東京都の保障も必要かもしれないのである.

次に、会見に出なかった懸念事項を列記しておきたい.

1.築地の土地の早期売却を優先して移転を計画したのか,の検証
2.東京ガスの瑕疵担保責任を実質免除した経緯と問題点の解明.

3.土壌汚染対策費、建設費の暴騰の理由.
4.豊洲市場総費用の暴騰にの立ち止まらなかった理由.
5.豊洲市場稼働で毎年100億赤字が出る事の対処
6.都議会のチェック機能欠如の問題(豊洲市場、オリンピック設備)

これらの問題についても、都議会の各党派は百条委員会と並行して、事の顛末を検証し,今後の対応をハッキリさせる事が議会のチェック機能を果たせなかったせめてもの責務だと思うのである.

この結果如何が都議選に係わってくると思う.勿論、都民も厳しく判断しないと、税金の放漫な使い方や利権介入を防止できず、都政の改革は出来ないと思うのである.

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