政治

2017.04.07

467  森友学園への国有地払下げ問題への所見

森友学園問題は大きく分けて次の4つに分類される.

1.森友学園への国有地の払い下げに関する問題点の有無(財務省)
2.森友学園への学校認可に関する問題点の有無(大阪府私学審議会)

3.森友学園の虚偽の有無(学校申請,宣伝,寄付募集,補助金,証人喚問,等)
4.森友学園の教育に関する問題点の有無(教育基本法、児童虐待、等)

この中で、国会としては、1の国有地の払い下げの問題点の有無が本筋のテーマである.毎年、数千件の国有地払い下げがあるだけに、国有地の払い下げに、政治的圧力が介入していないか、価格は適正か、は誰しもが懸念している事でもある.

そこで、この問題に絞って,整理してみたい.

この問題で違和感を感じている事は、相変わらず、政党や政治家、マスコミは’国有地を大幅値引きで払下げた問題’とレッテルを貼って主張したり、報じたりしていることである.

一般に,国有地の売却は、近隣の土地価格に影響をさせない為に、払い下げ価格はあくまでも,近隣の市場価格を基本としている.この市場価格から,土壌汚染対策費等を引いたり,各種補助金の支給を受けて、実質の購入費用は市場価格から大幅に低くなっているのである.

この認識の上で、森友学園への国有地の払い下げ価格については次の捉え方が出来る.

①土壌汚染対策費を過剰に見積もって,低価格で売却した(政治圧力説)
②適正な土壌汚染対策費を見積もって、適正な価格で売却した(財務省見解)
③瑕疵担保責任回避(国のリスク回避)を目的に売却した(当ブログで発信済み)

①は右翼系の学校を作る為に政治的圧力(介入)があったとする説だが、思想で主張するのではなく、まず下記の事実を見た上で主張すべきだと思う.

・この土地の市場価格,土壌汚染対策費用が適正だったのかの検証
他の国有地払下げ価格との比較(隣接の土地を豊中市へ払下げ価格)
瑕疵担保責任回避から見た払い下げ価格の評価

大幅値引きとレッテルを貼っている政党、マスコミ、有識者,は,このような基本的な事をやっていないのである.思想偏重や支持率,視聴率を優先する人たちの陥りやすい言動だと思う.

②は財務省の見解である.価格も手続きも間違っていないとの主張である.急遽、借地から売却に変わった事を疑問視する意見があるが、財務省の説明にもあったが、借地のままでは瑕疵担保責任や損害賠償が予想され、開校に間に合わなくなる可能性がある事から,森友学園の買い取り要望に即対応したと思われるのである.

③は3月初旬に当ブログで発信している私の所見だが、売却価格より、国のリスクを回避する事を優先した契約であったとの認識である.この契約によって、国から見ればノーリスク、学園から見れば高リスクになっている事でも明らかである.したがって、当然、この契約に政治的圧力はいらないのである.

ましてや、財政逼迫を認識しながら学校開校一途に突っ走る森友学園に対し、早急に,瑕疵担保責任や土壌汚染対策による損害賠償を受けないようした事は正しかったと思うのである.

この様にリスク回避の重要性を考えれば,大幅値引きとは全く見えないのである.いわば8億円は瑕疵担保責任や損害賠償の免責代金に見えるのである.

叉、森友学園が学校開設を取り下げた事で、国有地は国が売った価格で返還されるのである.国有地のたたき売りではなかったのである.

以上のように森友学園への国有地払い下げ問題は上記3つの捉え方ができるわけで、単に国有地を大幅に値引きしたと断定的に論じたり、報道する事に大きな違和感を感じるのである.

そんな中,4月5日,豊中市議が近畿財務局を背任罪で告発し,大阪地検特捜部はこれを受理したのである.

いずれ特捜部や裁判で真実が明らかになると思うが,それでも、相変わらず、政党、政治家,マスコミは’大幅値引き’とのレッテルを貼り続けるのだろうか.事実の検証もしない思想的な視点での印象操作に危うさを感じるのである.

ところで、一連の森友学園の問題を見ていると、独善的な思想を高く掲げつつも、全く財政的裏付けがない状態で、虚偽も含めて、あの手、この手で、土地購入交渉、寄付金募集活動、生徒募集活動、あらゆる制度を使った補助金申請,工事建築費の値引き交渉、等を必死でやっていたと見えるのである.もし,開校できたとしても、建築費も払えず、財政破綻する可能性が高かったと思うのである.

このような森友学園に対し、国が瑕疵担保責任や損害賠償責任を免責にし,森友学園を突き放した事は正解だったと思うのである.もし,瑕疵担保責任付で払い下げていれば,森友学園は、土壌汚染対策が出来ず,開校できなかったとして、損害賠償訴訟を起こしたかも知れないのである.

只、大阪府私学審議会が借地の状態で条件付き認可を出した事、財政に問題アリとしつつも、最終的に条件付き認可をした事は大きな反省点だと思う.

森友学園は行政のミスを理由に建築費15億円の損害賠償訴訟を起こすかもしれない.しかし,認可申請の中に虚偽があったり、自ら認可申請を取り下げた事から,森友学園の自己責任になると思うが,行政の認可責任の重大性を再認識するのである.

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2017.03.06

465 大幅値引で国有地を払下げたとの主張は間違い

毎日のように報道されている森友学園への国有地払下げに関して、政治家、メデア,有識者が ’9億円の土地を8億円値引きして払い下げた’と言っているが,この主張は正しいのだろうか、私の考察を発信したい.

私の考察によれば,土地売買契約の意味するところは’8億円は値引きではなく,国の瑕疵担保責任の免除代金だと捉えられるのである.

今後,いかなる土壌汚染が出ようと,それによる損害が発生しようと、森友学園の自己責任になり、国の瑕疵担保責任や損害賠償責任はなくなると言う契約である.

(瑕疵担保責任とは契約段階で予想されなかった瑕疵の責任は売り主にあると言う意味だが、その適用は法的によくもめる所である.今回の土地売買契約は公開されていないので不明だが、瑕疵担保責任免除と言う言葉を使わずに、実質,一切,,国が責任を負わない契約になっていると想定される.)

大幅値引きと言っているのは、市場価格9億円から過剰と思われる土壌汚染除去費用8億円を差し引いて払い下げたと認識しているからだが、国の瑕疵担保責任が免責になっている事の重要性を認識していないようである.

この認識をしていれば、もし、金額に文句があるなら、’値引きはけしからん’ではなく’免責代金が高すぎる’となるのである.

この売買契約は森友学園から見れば,一見、安く土地購入が出来た様に見えるが,反面,上述のように、全てのリスクを森友学園は自己責任で対応する事になるのである. 全てのリスクが8億円以下で収まる保証もないのである.転売が出来ない事から、土地売買利益を得る事もないのである.

更に,もし、森友学園が資金不足,土壌汚染除去工事、教育基本法、手続き、等で、学校設立が遅れた時は勿論、自己責任になるし、最悪、設立が中止になれば、森友学園は建物を撤去したうえで、認定された土地価格で国が買い戻す事になるのである.森友学園にとっては,重いリスクを背負っているのである.

この売買契約は当初の賃貸契約を切り替えて契約されたようである.賃貸契約では国に瑕疵担保責任が発生し,汚染土壌除去費用の支出が限りなく発生したり、これによって,開校が出来なくなったり、学校運営や児童に被害が出れば、損害賠償責任も負わされるリスクがあったのである.

この賃貸契約のリスクを排除する為に、あるいは、ややこしそうな森友学園から離れたい心理もあってか、理財局は,あとくされのない,瑕疵担保責任を免除する売買契約に切り替えたのだと思う.

金額については理財局は、学校の敷地と言う事で、最大の土壌汚染除去費用を計算し、一切文句のつけられない額を出したのだと思う.或は、交渉上、既契約の賃貸料相当金額を前提に,免除費用8億円を逆算して見積もったとしても、不思議ではない.

一方,国が瑕疵担保責任を持ったまま、市場価格で払い下げる契約もある.この場合,賃貸契約と同じように、国が限りのない土壌汚染除去費用や,それによる損害賠償を負う事が予想されるのである.

又,国がきれいな土地にして、市場価格で払い下げる方法もあると思うが,国としては,開校に間に合わないし、多大な実費用の予算化も必要になる.かつ,払下げ後も瑕疵担保責任を負うことから,リスクが付きまとうのである.

そんなわけで、国としては、<市場価格9億円ー瑕疵担保責任免除代8億>で払い下げたと思うのである.この免除代8億が妥当かどうかの議論はあると思うが、<瑕疵担保責任費用+損害賠償費用>を考えれば,国としては、あとくされのない、リスクの生じない金額だとも考えられる.叉,もし、学校が中止になれば、転売は禁止されており、国有地はしっかり確保されるのである.

以上の事から、政治家,メデア,有識者の間違いを改めて列記しておきたい.

 ’8億円の大幅値引きで国有地を払下げた’と言っている事.

間違いの理由は上述の通りだが、値引きだと言えるのは,国が瑕疵責任を持ったまま、過剰な土壌汚染対策相当費用を市場価格から差し引いた場合である.こんな契約はしていないのである.論理的に問題点を言うなら ’高い瑕疵担保責任免除代金で国有地を払い下げた’である.

その上で,問題だと言うのであれば、免除に反対と言うか、免除代金が高いと言うか、である.高いと言うなら打倒する免除代金を示すべきである.

②’土壌汚染除去費用を実費で支払うべきだ’と言っている事.

この発言は値引きだと思っている人の言い方である.国に瑕疵担保責任を残したまま、実費精算をして行く事は,国が,限りなく,土壌汚染の責任と損害賠償を負う事を意味し,8億円を超えるリスクも残るのである.ちなみに、国の瑕疵担保責任を免除していれば、実費払いはあり得ないのである.

③’国が土壌汚染作業の進捗を管理していない’と言っている事.

契約上、国は、瑕疵担保責任を負っていないのだから、土壌汚染除去がどうなっているのか気にする必要はないのである.国から見れば、どうでも良いのである.すべて、森友学園側の自己責任だからである.従って、現地に行って、あるいは,国会で,土壌対策が問題だと言っている人は、瑕疵責任が国にあると勘違いしている人である.

勿論、学校認可の面で、認可審議部門(大阪)が土壌汚染の除去状態を調査する事はあると思う.

以上、当ブログを発信したのは、政治家、メデア、有識者が ’大幅値引きで国有地を払下げた’と根本的に間違った事を繰り返し言っている事に,黙っていられなくなったからである

しかし、当ブログが見られるわけでもなく、野党、メデア、有識者は間違いに気づくことなく ’9億円の市場価格を8億円値引きした事は国有財産の損失だ、政治力が絡んでいるに違いない’と叫び続け、テレビも、枕詞のように’国有地の大幅値引き問題は・・・’と言い続けると思う.

多分、当ブログを見た人は ’国有地を大幅値引で払い下げたのはけしからん’と繰り返して、得意満面で言う、政治家、メデア、有識者に対し,全く,分っていない人,何か別の意図をもって言っている人,単におもしろければ良いと思って言っている人,人の言っている事を吟味もせず受け売りしている人、に見えてくるのではないかと思うのである.

以上,私の考察が間違っているかもしれないが、一つの事象に対し、あまりにも、偏った主張が横行している事に,こんな見方もあると,一石が投じられれば良いと思うのである.

ついでながら、最近、瑕疵担保責任の話題が続いている.

今回の瑕疵担保責任免除代金を値引きと言ったり、東京都が豊洲市場用に汚染まみれの東京ガス工場跡地を市場価格で購入しているのに、売り主の東京ガスの瑕疵担保責任を免除していたり、挙句に,860億円の土壌汚染対策費を東京都が負う羽目になったり,おかしな事が起こっているのである.

更に言えば,オリンピックに絡んで、東京港湾埋立地の払い下げが多くあると思うが、地震や液状化、或は環境基準違反に対し、東京都の瑕疵担保責任がどうなっているのか,気になる所である.

この瑕疵担保責任の問題は公有地払下げだけではなく、民間の売買契約でも重要である.特に土地売買で自然災害に対する売り主の瑕疵の有無など,個人にとっても、気になる所である.

以上,瑕疵担保責任にかかわる契約は,売る方も,買う方も,改めて、しっかり確認しておく必要があると思うのである.

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2017.03.05

464 石原元都知事記者会見,反撃のつもりが又自滅

非難されっぱなしでは,たまらん、と石原氏は証人喚問を待たずに、3月3日、自らが記者会を開いた. その内容に対し、すでに、多くの人が述べているように、腹が立つほど、石原氏の無責任さだけが印象に残った会見だったのである.

今回も、石原氏が、ものを言うほど、自滅するのは、保身本能が露骨に前面に出たり、強気で言う言葉が的ハズレだからだと思う.年(84才)のせいか、論理より、本性が出ている感じである.その自滅語録を列記しておきたい.

語録①(豊洲市場問題の責任について)

最高責任者としての責任はあると思うが、担当部局、専門家の審議会、都議会で決議されたものを裁可しただけだ.私だけの責任ではない.

語録②(豊洲移転理由,瑕疵担保責任解除の契約、市場価格での土地購入、土壌汚染対策費の増大(860億円)、総額6000億円の増大、盛土ナシ、等に関する石原氏の認識)

豊洲移転はこれまでの経緯から最終決断した.その移転計画の実施については、専門家ではないので、担当部局、専門家の審議会、等に任せていた.従って、現在問題になっている事に関し、当時、部下から報告もなく、知らなかった.現在も調べていないので、知らない.

語録③(小池都知事の責任について)

小池都知事が専門家が安全だと言っている豊洲市場を移転延期した為に、安心でないとの風評を広げてしまった.技術が風評に負けた事は国辱だ.折角作った豊洲市場を放置している小池都知事には不作為の責任がある.一刻も早く移転すべきだ.

おおよそ、こんな感じである.この石原氏の語録に対し、感想を述べたい.

語録①に関して(全体の責任に関して)

私は豊洲移転計画を進めた行政の長としての都知事の責任と、チェック機能を果たさなかった都議会の責任があると思う.部局、審議会、都議会が判断した事を採決しただけだと言う発言は、言い換えると、私はめくら判を押していただけ、と言っているに等しいのである.

語録②に関して(計画遂行における問題に関して)

石原氏自身は専門家でもなく、知見もないとして、豊洲市場計画についても、言われるまま決断し、その計画の遂行においても、関係部門に一任し、報告も受けないまま推移した.従って、問題の内容は知らなかった,と言うのである.要するに、石原都知事は丸投げして、何も管理していなかったと言っているに等しいのである.

加えて、現在に至っても、何が行われたのか調べていないので、知らないと言うのである.行政の責任者であった自負も自覚もない姿勢に驚くばかりであった.

結局、語録①②で、言っている事を額面通りに受け止めれば、石原都知事は豊洲市場に関して、自らの指示や管理を全く、していなかった、と白状したようなものである.

本人は自己弁護のつもりらしいが、聞いている方からすると、自己弁護する程、無責任さが露呈するのである.自ら記者会見を開き、反撃に打って出たつもりが、あっけなく自滅した感じになったのである.

録③に関して(豊洲市場の移転を延期している小池都知事に関して)

会見で石原氏が一番言いたかった事は、過去を蒸し返す小池都知事批判だったようである.語録にあるように、安全な豊洲市場を放置している小池都知事には不作為の責任があると糾弾したのである.

思わず、不作為なの12年間も都知事を務めた石原都知事自身ではないのか、と思ったのである.ここでも、反撃に打って出たつもりが、あっけなく自滅した感じになったのである.

語録①②➂の自滅振りを見ると、石原氏に,可愛そうと言うか、寂しさを感じてしまうのである.むしろ、そう思われる事が本当の目的だったのかもしれない.これで証人喚問の追及が弱まったり、証人喚問への欠席が許されたりしたら大成功となる.

ところで、石原氏以外に、法的に安全だから、即刻、移転すべきだ,と言う有識者がいる.

地下水や土壌の安全性を環境基準で評価する事は間違いだとの主張である.地下水や土壌は地上と遮断されているからである.環境基準の物差しで基準オーバーと騒ぐのは悪い風評をまき散らし、不安感をあおっているだけだと言うのである.

ならば、この主張者たちは、勿論、石原氏も、過去に,地下水や土壌が汚染されていても,コンクリートで遮断するから問題はない、と主張していたのだろうか.

現実は、当初から土壌汚染対策は、いくらコンクリートで地表が覆われていて,科学的に安全だとしても、汚染土壌の上に生鮮食品市場がある事の気持ち悪さがある.そこで、汚染まみれの土壌をきれいにする事(特別な安全性の確保)を前提に豊洲が決断され、反対論者を説得してきたのだと思う.事実、石原氏は日本の技術で可能だと見栄を切っていたのである.

この土壌をきれいにするとは、明らかに,環境基準をクリアーすると言う意味だったと思う.汚染土壌が発覚する都度,地下水や土壌の安全基準を使わず、いつも環境基準を使っていた事でも明らかである.それ程、汚染対策のハードルをあげなければ,食品市場の安心は得られないと誰もが思っていたのだと思う. 

このように、当初から、土壌汚染対策は法的な安全確保を目的にしていたわけではなく、それを超えた特別な安性確保(環境基準のクリアー)を目標にしていたと思う.860億円も、その為に使ったと思うのである.

したがって、法的に安全だから,即刻、移転すべきだと主張するなら,生鮮市場ならではの特別な安全性確保と,その為の860億円の投入は間違いだった、土壌汚染をなくすとの築地市場関係者への約束も、守れなかった、と言わなければ,筋が通らないのである.

そう考えると、豊洲市場に即刻委移転すべきだとの主張は、過去の多くの問題点を不問にしたい,延期を決断した小池氏を悪者にしたい、との後付けの主張に聞こえるのである.

既に安全,安心に関する議論を要約して当ブログで発信しているが再掲示しておきたい.

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小池都知事は特別な安全性確保が安心につながるとの従来の考え方で、モニタリング結果を重視し,移転可否の判断を考えているのだと思う.もし、手のひらを返したように、法的に安全だから移転する、と決断すれば、延期した意味も薄れ、かつ,早期移転論者と同じ様に、信頼感も,安心感も,損なわれ,結果、市場関係者が一番恐れる,営業リスク(風評リスク)だけが大きくなると思うのである.

いづれにしても、当ブロクで発信しているように、移転可否の判断を小池都知事にゆだねるのではなく、何をもって移転を行うか、のコンセンサス作りが必要だと思うのである.

勿論、経緯における問題点が解明されないまま、なし崩し的に移転する事に反対する意見があると思うが,この点も、どう扱うか、コンセンサスを得て置くことが必要だと思うのである.更に言えば,営業リスクに対する東京都の保障も必要かもしれないのである.

次に、会見に出なかった懸念事項を列記しておきたい.

1.築地の土地の早期売却を優先して移転を計画したのか,の検証
2.東京ガスの瑕疵担保責任を実質免除した経緯と問題点の解明.

3.土壌汚染対策費、建設費の暴騰の理由.
4.豊洲市場総費用の暴騰にの立ち止まらなかった理由.
5.豊洲市場稼働で毎年100億赤字が出る事の対処
6.都議会のチェック機能欠如の問題(豊洲市場、オリンピック設備)

これらの問題についても、都議会の各党派は百条委員会と並行して、事の顛末を検証し,今後の対応をハッキリさせる事が議会のチェック機能を果たせなかったせめてもの責務だと思うのである.

この結果如何が都議選に係わってくると思う.勿論、都民も厳しく判断しないと、税金の放漫な使い方や利権介入を防止できず、都政の改革は出来ないと思うのである.

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2017.01.28

461 豊洲市場問題で唖然とする都議会の対応

先日、BS フジ,プライムニュースの中で,豊洲市場に対して,都議会のチェック機能が働いていないのではないか、との指摘に、出席の都議会議員は、都議には調査権もないし、技術的な事はわからないし、都議会に専門家がついているわけでもないし、都庁の役人が、汚染対策でも、建物でも、この費用が,かかります、と言われたら、反論出来ない、と言うような事を言っていた.要するに、チェック機能を果たせないと言っているのである.

都議会の豊洲市場に対する最大のチェック項目は,そんな事ではない.独立事業体の豊洲市場の創業費(汚染対策費、建築関連費)の上限を設定し、事業の採算をチェックしていたかである.

当然、独立事業である豊洲市場を経営するには、豊洲市場創業費,毎年の減価償却費と豊洲市場運営費、これに、築地売却額を勘案して、豊洲市場の採算見通しをチェックする必要がある.しかし、豊洲関連予算の都議会審議で、この採算見通しをチェックしていたとは思えないのである.赤字垂れ流しになっても、豊洲市場を開設すると言う考えがあったのだろうか.あるいは、採算の事など気にもしていなかったのだろうか.

そんな懸念の中で、東京都(築地市場問題プロジェクト)より、豊洲市場は年間70億の収入見通しに対し、年間100憶の赤字になるとの試算が発表された.

いくら汚染問題が解決しても、果たして、赤字垂れ流しの豊洲市場に移転できるのだろうか.移転すれば,それこそ住民訴訟が起こるかもしれない.その赤字を業者の賃料に跳ね返れば尻ぬぐいは筋違いと,大反発が起こる.都議会、都庁市場関係部門はどうするつまりだろうか.あまりにも、基本的な問題だけに、今更ながら、唖然とするのである.

もし、都議会で採算のチェックがされていれば,汚染対策や建設の計画段階で、豊洲市場開設を続けるのか、中止するのか,の議論が出来たはずである.その意味で,都議会の責任は極めて重いと思うのである.都議会は小池都知事が決断する前に、反省と対策を表明すべきだと思うのである.

ところで、こんな案があると専門家が話していた.築地市場を止めることなく、その上に、市場機能も含めた,多目的高層ビルを建てると言う案である.勿論、豊洲市場は売却か他の利用を考える事になる.この案は採算も取れる、築地ブランドも守れる、築地地区がさらに発展する、と言う主張である.

何か未来が明るくなる案である.当初から、こんな案があってもよさそうに思うが、議論されなかったのは,やっぱり’豊洲ありき’だったからだと思う.今からでも,検討すべき案のように感じるのである.

この一連の都議会、都庁職員の無責任な動きは,青天井になったオリンピック競技施設でも繰り返されたのである.キャップがかけられていない事から、チェックポイントもなく青天井になったのである.小池都知事がかろうじてチェックをしたものの、これまでの都政の大問題である.

ついでに言うと、豊洲への市場移転も、海の森への競技場誘致も、適否の議論より、埋立地ありきの計画が進められた感じがして、同じ動機不順が見えるのである.

ところで、全国の巨大な公共事業で、一度決めたら、軌道修正されることなく、費用が青天井になることがある.私見によれば、利権があっても、予算にキャップを掛けると言う概念も,軌道修正すると言う概念も,事業存続のチェックポイントと言う概念も,血税を使うと言う概念も,効果や回収と言った概念も,責任をとると言う概念も、ないからだと思う.

その結果、動機不順な公共事業がまかり通って、青天井の借金と,無用の長物を作り,その返済が未来の税金と主権在民権を奪っ行く事になるのである.

どんな公共事業でも、費用の増減はあると思うが、少なくとも、議会の審議で,予算の上限を設けて承認するか,追加予算が発生した時、継続か中止かの判断をすることが、責任ある議会の義務だと思うのである.

ところで、都議選が近づいてきたせいか、最近、自民党都議団は豊洲市場問題の被害者のような顔をして,都庁を責める立場になろうとしている.これまでの責任を’ほっかぶり’するつもりなのだろうか.又、無責任な言動をし始めたと映るのである.

全く反省もなければ、自ら顛末をまとめる素振りもない.勿論、責任を感じて辞任する議員もいない.更に言えば、豊洲市場問題の対策案も出てこない.テレビの番組を見て,東京大改革の為には現与党都議会議員の総入れ替えが必須だと感じたのである.

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2017.01.23

460 第45代アメリカ大統領就任演説への感想

2017年1月20日、ドナルド・トランプ氏が45代アメリカ大統領に就任した.就任演説は選挙中、あるいは、当選後、の主張と同じ、「米国第一主義を実行する」を前面に出した内容であった.その理由をトランプ氏は次のように述べたのである.

就任演説要旨(日経新聞1月22日朝刊より引用)

「米国は多国を豊かにしたが、我々の富、力、自信は消え去った.工場は閉鎖され,海外に移転され、取り残された何百万という労働者が顧みられることはなかった.それは過去のことだ.米国第一主義を実行する.貿易や税制、移民制度、外交などのあらゆる決定は米国の労働者と家族に恩恵を持たらすために実施する.

我々の製品をつくり、企業を盗み、職を奪う外国の破壊行為から国境を守らなければならない.自国産業の保護こそが素晴らしい繁栄と強さにつながる.米国は再び勝ち始め、かつてない勝利を収める.職、国境、富、夢を取り戻す.

国家全域にインフラを整備し、人々を福祉に頼る生活から仕事に戻らせる.我々の手と労働力で米国を再建する.我々が従うルールは米国製品買い、米国人を雇う、の二つだ.

世界の国々に友好親善を求めるが、全ての国が自己利益を求める権利を第一に考える権利を持つという理解の上でのことだ.これまでの同盟を強化するとともに、新しい同盟を構築する.過激なイスラム主義テロリズムを地球上から完全に撲殺する.中身にない対話の時代は終わりだ.行動を起こす時だ.

米国は再び栄え、豊かになる.新しい時代の扉が開こうとしている.次世代のエネルギーや産業、技術が実用化される.すべての国民が無視される事はもう二度とない.ともに米国を強く、豊かにしよう.米国に誇りの持てる、安全な国にしよう.ともに米国を再び偉大な国にしよう.」

そして、就任初日に発表した政策は

・OPECなどへのエネツギー依存からも脱却(米労働者のコスト引下げ)
・ISやイスラム過激派テロ組織の根絶(力を通じた平和構築)
・経済成長を促進し、2500万人の雇用創出(雇用を殺す制度の緩和)
・イランや北朝鮮を念頭にしたミサイル防衛システム開発(他国の軍事力抑制)
・不法移民,ギャング、薬物の流入を阻止(米国民の安全確保)
・TPP離脱、NAFTの再交渉、又は脱退(オバマ政権の政策転換、二国間交渉)

・気候行動計画の破棄(オバマ政権の温暖化ガス削減策の破棄)
・医療保険制度改革法の見直し(オバマケアーの見直し)

私の感想はトランプ氏が当選した時、発信した451 米国大統領トランプ氏の主張とその影響(16・11・11) ってい.その上で、こう切り返したくなるのである.

「これまで米国のやり方はダメだ、国民はだまされてきた、今こそ、国民の為の国を作ろう」と言う趣旨を述べていたが、富豪が社会主義革命を起こすような事を言って、米国民は違和感や懐疑心を持たなかったのかだろうか.

本心がどこにあるのか、実現性を、どう見ているのか不明だが、取りあえず、そうでも言わなければ,富豪は国民の支持を得られないと考え、インパクトを強くするために、よくあるアジテーターのように、一方的な断定口調で訴えたのではないのか,その分、歴史や事実を無視している事に,米国民は,疑問を抱かなかったのだろうか.

保護主義、国益、ナショナリズムの衝突で起こる、戦争や貿易摩擦は、もうやめて、フリー、フェアー、グローバルな世界を作ろうではないかと、米国が主導してきたのではないのか.TPPも5年間、厳しい交渉を,米国主導でやって来たのではないか.トランプ氏の頭の中に、グローバル時代前の、貿易摩擦時代があるとすれば、時代遅れではないのか.

ところで、1921年,第一次世界大戦後の不況を背景に、ベルサイユ条約や国際連盟に反対し、第29代大統領になった,共和党のウオーレン・ハーデンの孤立主義以来の保護主義者が誕生したと言う人もいる.

今や製造業は車に限らず、垂直構造から、国際的水平構造に移っている.多くの製品は国際調達部品で作られているのである.その中で、世界各国の企業は厳しい競争を続けながら、技術開発、製品開発を続けているのである.

その結果、産業・企業の栄枯衰退があり、産業の新人代謝がなされるのである.勿論、それに対応した、労働市場の流動化が必要になるのである.

この傾向の中で、貿易交渉は、第二次産業、及び、第三次産業(金融の自由化)では、フリー、フェアー、グローバルが進んでいるのである.そして、第一次産業(農畜産品)に関しては自然環境や国土の特質と関係している事から、最小限の保護政策がとられているのである.

この方向で、全体の品目の調整をしながら、多国間あるいは,二国間の貿易交渉が,これまで行われてきたのである.

一方、トランプ氏は、米国の貿易赤字が大きすぎる、これが雇用を奪っている、だから、関税を高くして、米国内に、工場誘致を図り、雇用を拡大するのだ、と言うのである.

本当に、そうだろうか.幾つか疑義を指摘したい.

①工場誘致と言っても、製品の組み立てくらいである.多くの部品まで、国内生産は出来ないと思う.従って、思ったほど、雇用は増えないのではないか.部品を輸入せざるを得なければ関税がかかって、製品の価格が挙がってしまうのではないか.

②工場製品の輸入関税、あるいは,部品の輸入関税は、米国も困るし、多くの部品製造国も困るのである.常に,すべて、国内製造ができないからである.又、技術革新の恩恵も受けにくくなるのである.

③また、工場誘致しても、米国の土地代、電力料金、人件費、等で、従来より価格が高くなり,あるいは、輸入品も関税で高くなる.結局、保護政策で製品価格が高くなれば,消費が落ち、結局、雇用機会がう失われるリスクもある.

④トランプ氏の思い通り、工場誘致が進んで、短期的に雇用が増えても、景気が悪くなったり、技術革新で、メーカーの勢力図が変わったり、国内の過当競争で工場淘汰が起これば、今度は大きな失業問題に発展するのである.

⑤輸入は雇用を奪うと言うが、必ずしもそうではない.輸入によって、輸入品の売上や関連ビジネスの拡大で、経済のパイが大きくなるのである.それによって,雇用も増えるのである.この様に、保護政策のリスクや輸入の効用(変化への対応)も見逃してはならないのである.

⑥結局、グローバル世界の中で、生産体制をどうするか、進出、撤退、は企業の利に適った選択で決められているのである.輸出先の雇用を増やす為に、工場進出をしているわけではないのである.これが自由経済の原理なのである.工場誘致をさせたいなら、保護主義の発想ではなく、進出企業の利に適った政策を出す事が必要だと思うのである.

⑦中国は米国の飛行機を数百機購入する条件として、中國に工場を作って,製造する事を条件にしたと言う.日本も、米国の飛行機を購入する条件に同じ事を言ったら、トランプ氏はどう答えるのだろうか.

ところで、アメ車が日本で売れないのは不公平があるからだ、とトランプ氏は言う.体操の試合で、米国が勝てないのは不公平があるからだと言っているようなものである.誤認しているのか,嘘を承知で言っているのかわからないが,これを前提に交渉(取引)を仕掛けてくる感じである.

明らかに、日本において、アメ車が売れない原因は車とそのアフターサービスが日本のユーザーニーズに合わないからである..欧州車は売れているのである.しかも、関税はかけていないのである.又,米国で日本車が売れるのは、人気があるからである.どこが不公平なのだろうか.

又、トランプ氏は雇用を確保する為に、車の工場を持って来い、と言っているが、現地すでに日本企業は米国に工場進出しているのである.現地生産の日本車がもっと増えると、米国の三大メーカーの復活はさらに遠のく可能性が高まるのである.

又,工場進出で米国内の競争が激しくなり、競争に負けたり、景気が悪くなれば、進出工場の撤退もあり得るのである.そうなると、従来なら貿易の減となるところが、今度は、米国内の失業問題になるのである.

それでも良いのだろうか.本心は米国のシンボルである三大メーカーの復活ではないのか、ならば、日本車に負けないユーザーニーズにあった車,サービスを考えろ、と叫ぶべきである.それとも、三大メーカーの凋落が続くと、苦し紛れに、今度は,日本車の工場は撤退しろ、日本車の輸入関税をもっと高くしろ、と叫ぶかもしれない.

トランプ氏はNAFTA契約国のメキシコからの輸入が、米国の雇用を奪っている,国境の壁の費用をメキシコが払わないなら、メキシコからの輸入に20%の関税をかけて壁代にする、と言うのである.日本も含めて,メキシコの工場で作って米国に輸出している企業は戦々恐々である.

しかし、米国がWTOも、NAFTA も脱会して、これをやるなら、メキシコ工場で製造している企業はメキシコから関税の安い国を経由して米国に輸出すると思う.米国の企業も,その製品を買うと思う.そうなると、壁代は出ないのである.

そうなると、トランプ氏はその経由国からの輸入品に高関税をかけざるを得なくなるが、結局、全ての国からの輸入品に高関税をかけるしかなくなるのである.勿論、世界からの報復関税を浴びる事になる.かくして、米国はみづから作った壁に取り囲まれて、自分の首を絞める事になるのである.

トランプ氏は関税を高くする事のむずかしさに気付いて、今度は、WTO、NAFTAを脱会せず、メキシコ産の車等の特定製品に高い付加価値税をかける手に出るかもしれない.実質の不買運動である.これはメキシコだけではなく、メキシコで製造している世界の企業、部品を提供している世界の部品メーカーを敵に回す事になる.

最後に、中国、日本、ドイツ、の対米輸出黒字国に、自国通貨安を批判し,その報復を考えるかもしれない..

どうやら通貨供給で為替誘導している事は不公平だと言っているようである.中国に対しては為替操作国だとして、早くから批判していたが、それに日本、ドイツを加えた感じである.

中國を除いて,変動相場制の米国はじめ世界の国は雇用対策や景気対策、あるいはデフレ対策で金融政策、財政政策をとったり,中央銀行が物価安定を目指して資金調整をやったりしているのである.日本の場合、日銀が物価の2%アップを目標に、資金調整をやっているのである.従って、トランプ氏の批判は当を得ていないのである.

為替レートの動きは、ドルの金利変動によっている.ドル高、円安は米国の金利によるところが大きいのである.勿論、ドル高は世界最強の経済大国として、基軸通貨として、信頼されている通貨であり、ドルの価値は世界経済の基礎になっているのである.米国第一主義はそんなドルの役割,責任はいらないとでも言うのだろうか.

元来、米国はドル高の下で、付加価値の低い製品は輸入し、武器や飛行機、ハイテク製品,あるいは、金融商品等の競争力のある高付加価値製品は経済発展国に輸出すると言う産業政策をとって来た.現に強い産業は世界企業になっているのである.一方、生活用品などに、米国産はほとんどないのも事実である.極めて経済原則に合致した考え方である.

その結果、米国においては、根強い事業家精神のもと、新技術、新産業が世界をリードし、産業の新人代謝を繰り返しているのである..ここ十年間を見ても、米国の世界的大企業の顔ぶれは、様変わりし、経済をけん引しているのである.米国の伝統である車産業も、例外ではなく、この新人代謝の中で、昔の勢力を失っているのである.

この米国は民主主義の元で、常に完全雇用を目指して来た.その為に、新技術、新産業、自動化、等で、常に産業の新人代謝をくり返しながら、経済を牽引し、雇用も流動化しながら雇用を確保しているのである.その結果、第二次産業から第三次産業への雇用の移動も、発生しているのである.勿論、世界の雇用も例外ではなく、国内の雇用先も流動化しているし、雇用ニーズにもとずいて、海外に雇用の場を求める傾向も出ているのである.

トランプ氏の米国第一主義の壁は経済原則の前ではスグ崩壊するのである.経済原理を無視した政策は長続きしないのである.各国の国益追及は明らかにトランフ氏とは違うのである.

トランプ氏は国内外の個別企業に米国内雇用拡大を求めて、口先介入しているが、大統領の言動として大問題である.米国民は、企業の独自経営に口を出す大統領をどう思っているのだろうか、もし、これで不利益が発生すれば、株主代表訴訟につながるのだが.

最後に、工場誘致と言っても、数年の時間がかかる.しかも,誘致の意思決定は将来の見通しが必要である.そんな事をトランプ氏の口先に従って実行しても良いのだろうかと、誰しもが疑心暗鬼になっているのである.中には、積極的にやりましょう、と言って、トランプ氏に迎合しつつ、トランプ氏の任期を見ながら、実際はのらりくらりする堅実な企業も見え隠れしているのである.

と突っ込みをしたくなるのである.

今回の就任式は選挙中の言動から,人種差別、女性蔑視が問題視され、反トランプ運動が展開され、就任式パレードの観衆は極めて少なく(報道では25万人程度)、しかも、白人だけだったと言う異常さもあったのである.現地報道陣のレポートによれば、トランプ支持者の集会の様だったそうである.

又、保護主義による米国第一主義をアジテートする事に対し,世界に不安を巻き散らしていると論評する人も多いのである.そんなことから、アンケートによれば、米国大統領の中で、最高の不支持率、最低の支持率になっていると言うのである.

勿論、トランプ氏は国を一企業の経営のように言うのは解かりやすいと評価する人もいる.しかし,国の経営は人も企業も、国家間も、利益相反の舵取であって、単純ではないし、その舵取りには、各国が共有できる、考え方(哲学)が必要になるのである.米国第一主義だけで,利益相反の舵取は出来ないと思うのである.そんな舵取りは眼中にないのかも知れないが.

このトランプ大統領の秩序より、価値観共有より、連携より、世界の安定より、世界の発展より、環境問題より、米国第一主義だ、米国の利益優先だ、と主張する事は、小国ならいざ知らず、世界一の経済大国、世界一の軍事大国が言えば、これは、強引で傲慢に映るのである.

この言動は確実に米国のステータスを落とし、付き合いの多い西側諸国との連帯や価値観に、ひび割れを起こすのである.12ケ国が,5年間、米国主導で検討し、苦労の末,まとめあげたTPPを、何の仁義もなく、簡単に反故にする姿勢に,怒りさえ覚えるのである.

マナーも配慮もない,人格も問われる大統領に信頼が生まれるだろうか.喜ぶのは、反米勢力だけである.4年間、何も起こらない事を願うのみである.

日本は、最近、英国に裏切られ、韓国に裏切られ、今度は米国に裏切られた感じであるが、是非とも「我利我利」ではなく、「我利利他」(自分の利益は相手の利益の中にある、WIN、WINの関係)の精神で、協調外交を展開して欲しいし、このオピニオンを世界に発信する良いチャンスかも知れないのである.

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2017.01.18

459 豊洲市場への移転条件の事前コンセンサスを

豊洲市場の地下水汚染の第9回モリタリング調査結果が公表されたが,予想だにしない環境基準越えの数値であった為、大騒動になった.移転スケジュールの見通しが付かなくなったからである.

この値が出た原因は地下水の排水設備が働いたからだと言う説がある.排水設備が働くと、地下水が吸い上げられ、地下の汚染物資も吸い上がって来たのではないかと言う説である.この説によれば、これまでの8回の調査で汚染物資の数値が低かったのは、排水設備が動作していなかったからだと言う事になる.

いずれにしても、今回の数値になった原因の解析、これまでの調査方法の検証、再度の調査の実施、が行われると思う.

このような大問題になるのは、法的にも、環境基準をクリアーがしなければ移転できないとの考えがあるからである.この考えで、これまで、土壌改良等の汚染対策が行われ、汚染濃度のチェックも、やってきたのだと思う.

消費者や業界関係者も、汚染まみれのこの土地であったからこそ、この基準が守られている事が安心安全の根拠になる、としていると思う.

小池都知事も、モニタリング調査の結果を得るまで、移転を延期してきたのだから、汚染物資濃度が環境基準を下回る事を条件にしているのだと思う.

従って、この考え方は、汚染濃度が環境基準をクリアーするまで、移転しないと言うことであり、最悪、豊洲撤退売却、築地再構築、新たな市場開発、等も辞さないと言う事態にまでつながるのである.

この考え方で、今後、汚染対策が進むのだろうか.建物があるだけに限界が出て,排水を続けて,汚染濃度が低くなるのを待つような事態になれば、見通しが付かなくなる事から、長期延期か豊洲撤退が現実のものになるのである.

一方,実質的な安全性で判断すべきだと言う意見もある.地下の汚染物資は遮断されており、しかも、浄化、排水設備で、汚染濃度は低くなっていくのだから、環境基準を超えても,問題はない、早期に移転すべきだ、と言う意見である.

但し、これで移転を決めると、汚染土壌が残留することになり、当初の都知事の約束と違う事になる.叉、汚染土壌の上に市場がある事による、営業リスク(風評、ブランド,集荷,値段,取引量、等への影響)が大きな問題になる.

このように、安全安心を確保して移転するには先が見えないし、実質的安全(科学的安全)で移転すれば、営業リスキが残るのである.此れに、築地の老朽化の問題が絡んでくるのである.

いれにせよ、混乱を防ぐ為に、豊洲への移転可否の条件を改めて整理し、どの条件なら移転するのか、消費者、業界、議会、技術者、等のコンセンサスを得て置く必要があると思う.知事にとっても、このコンセンサスは必要だと思うのである.本来、計画段階で決めて置く話だと思うが.

そこで、豊洲移転賛否のデシジョンテーブルを作ってみた(下図のクリックで拡大)

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もう一つ、提言がある.

豊洲市場問題は,2001年の石原都知事の豊洲決定以来、汚染問題や960憶が6000憶になった問題が何も決着していないのである.歴代の都知事,都議会,都庁は何をして来たのだろうか,誰しもが、怒りの念を抱いているのである.

湾岸開発の赤字、東京銀行の赤字、更に、築地市場改修費用の増大(380億にとどまらず)、等による都財政の悪化対策として,築地市場の土地売却(1兆円?)が考えられたと言われている.

表向きは、築地市場の老朽化対策、都市博中止にかわる湾岸地区の利用促進,を名目に,豊洲市場移転が決定された.そして、汚染まみれの東京ガス工場跡地の購入と960億の予算の下で、築地市場開発が強引に進められたと言うのである.土地の選定にあたっては、豊洲ありきの候補地の比較がされていたのである.

もし、これが本当なら、築地市場はダシに使われただけで、築地の価値は捨てられる事になるのである.

これらの憶測があるにもかかわらず、事の顛末の釈明も総括も聞こえて来ないのである.政治家や役人の習性のようだが、極めて異常な状態、事件だと思うのである.せめて、6000億の成果物として、この顛末の記録を残す事が,当事者の責務だと思うのである.

都議会の審議内容の履歴を縦糸に、その時々の,都知事、都議会、都庁関連部署,業界の動きをまとめるだけでも、いろんな事が見えると思うのである.是非,東是京大改革の下敷きとして、又、後世に伝える戒めとして,事の顛末を資料化すべきだと思うのである.

私の感じるところ、東京オリンピックにも、動機不順なところを感じるのである.東京オリンピックのボート、水泳、バレ^-の各競技場の湾岸地域での建設も、もっと言えば、東京オリンピック誘致そのものも,スポーツ振興や有効なレガシー資産を残す事より、湾岸地区の土地売却や利権が先にあったかもしれないのである.

そうであれば、豊洲市場もオリンピック誘致も同じ動機が先に有った事になる.しかも、当初予算も、5~6倍に膨れ上がるところまでも、同じである.両方とも石原都知事の発案だっただけに、動機は同じだったのではないかと勘繰るのである.

いずれにせよ,’動機不順な計画は必ず破たんする’を肝に命じて、魑魅魍魎の都政、都庁を一掃して欲しいと,小池都政に期待するのである.その為にも、事の顛末をしっかり、都政や都庁に残す必要があると思うのである.

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2016.12.03

453 韓国の激震を考える

今、韓国に激震が走っている.

韓国は1997年の通貨危機以来、ウオン安の中で、財閥による重点的投資によって、サムスン電子、現代自動車、LG電子、ポスコ(鉄鋼)、現代重工業(造船)などの世界企業を作り上げた.これらの企業によって、2014年には輸出依存率50.6%、GDP世界13位(1兆400憶ドル)と驚きの発展を遂げたのである.

この財閥中心の国家運営が、国民の熾烈な競争や格差を拡大しさせ,コネ社会や利権構造にも反感を抱き,これに経済や外交の先行き不安も加わって,国民は政府への不満を募らせていたのである.これに朴大統領のスキャンダルが加わって,大規模な大統領退陣デモに発展して行ったのである.

大規模なデモで韓国の政治が大きく変わる事は過去にも何回かあったが、国会の政策議論や選挙等の法的手続きより、国民の大規模なデモが優先する韓国流の民主主義を感じるのである.

その為か、率直に言って,大統領が、どんな失政や不正をしたのか,今後の韓国社会をどうしたいのか、政治体制や政策をどうしたいのか,よくわからないまま,大統領退陣騒動が起こっているように感じるのである.

そんなわけで、この騒動で生まれる次の政権が、日本,米国,北朝鮮,中國,ロシア,の外交政策に、どんな影響を与えるのか、予想が絶たないだけに、韓国政治の動向から目が離せないのである.

そこで、この機会に勉強を兼ねて、韓国政治の近代史を整理してみる事とした.整理に当たっては、Wikipediawを引用した.

①日本への併合から南北朝鮮時代に至る経緯

1392年から1910年にかけて朝鮮半島に存在した李王朝は1894年の日清戦争後、清王朝の支配から離れ、近代国家に向けて,李王朝は1897年に国号を大韓帝国とし,君主の号を皇帝と改め、以後日本の影響下に置かれた.

1904年、日露戦争の翌年、第二次日韓協約で日本の保護国となり、1907年、第三次日韓協約で、内政権を移管した.そして、1910年、日韓併合条約で,大韓帝国は日本に併合され,朝鮮民族の国家は消滅したのである.国際的に併合の合法性を問題視する国はなかった.

太平洋戦争末期の1945年2月,ヤルタ協定でソ連と米国は、日本敗戦後、朝鮮半島を南北に分断する事を密約したのである.その上でソ連は8月9日(8月6日,広島原爆投下、8月9日,長崎原爆投下)日露不可侵条約を破棄し、日本に宣戦布告したのである.

1945年8月15日、大日本帝国がポツダム宣言の受託を宣言し,日本は米国の統治下におかれたのである.同時に、朝鮮半島は北緯38度以北(北朝鮮)をソ連軍、以南(南朝鮮)を米軍に、それぞれ占領されたのである.

同時に、ソ連は満州に侵攻し、日本人(50万人~)をシベリアに連行し、極寒の中で強制労働を課し(1956年国交回復まで続く)、名簿で確認できる人だけでも,4~5万人の死者を出したのである.又、ソ連は、8月16日には日本領南樺太、千島列島、北方4島に侵攻し,占領したのである.

このようにソ連は、広島、長崎への原爆投下で瀕死の日本に対し、8月9日、日露不可侵条約の破棄と日本への宣戦布告をし、日本の無条件降伏の翌日、戦利品として、50万人のシベリア連行を開始しと,南樺太,千島列島,北方四島を占領したのである.一週間の出来事である.

南北に分断された朝鮮半島はその後、信託統治について、米ソの協議が行われたが決裂.1948年8月13日、李承晩(リショーバン)が大韓民国政府樹立を宣言.実効支配地域を北緯38度線以南の朝鮮半島のみとしたまま大韓民国が独立国家となったのである.

南朝鮮単独で大韓民国が建国された翌月の1948年9月9日,大韓民国の実効支配が及ばなかった朝鮮半島北部は金日成首相の下で、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)として独立したのである.

互いに朝鮮半島全土を領土であると主張する分断国家は、それぞれが、朝鮮統一を掲げて対立し,1950年6月25日、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)は韓国との境界であった北緯38度線を越えて南下を開始し,朝鮮戦争(韓国動乱)が勃発した.

その頃,弱体であった韓国軍は敗退を重ね、釜山周辺にまで詰められた.西側諸国は国連軍を結成し、韓国軍と共に後退戦を戦い,北朝鮮軍の戦線を崩壊させ,反攻に転換した.

韓国軍・国連軍は敗走する北朝鮮軍を追っていたが、これに中国が義勇軍を派遣し,北朝鮮の支援を開始、韓国軍・国連軍を南に押し戻し,再びソウルを占領した.

その後、北緯38度線付近で南北の両軍は膠着状態になり,戦争で疲弊した米国と北朝鮮は19512年7月10日から休戦合意を巡り協議を開始した.

2年間に渡る協議の末,1953年7月27日、朝鮮戦争休戦協定を締結を以って大規模な戦闘は停止した.ただし、韓国政府は休戦協定に署名しておらず,戦争自体も協定上停戦状態のままとなったのである.

この戦争により、朝鮮半島の殆ど全域が戦場となり,インフラや文化財の焼失、戦闘での死者のみならず,双方とも敵の協力者と見なした一般市民の大量処刑を行うなど,物的,人的被害が著しく,国土は荒廃した.また,38度線がが引かれた事により朝鮮半島が分断が確定的となり、朝鮮統一問題が南北朝鮮の最重要課題となったのである.

②李承晩(リショーバン)時代

 1948年に初代大統領に就任した李承晩は、日本から戦争賠償金を獲得するために「対日戦勝国連合国の一員)」としての地位認定するよう国際社会に要求したが、連合国からは最終的に認定を拒否され、1951年,日本国との平和条約を締結することができなかった.

そのため、李承晩は李承晩ラインの設置(1952年)や竹島の占拠(1953年)によって一方的に武力で日本の主権を奪う政策に出た.

一方、国内では朝鮮戦争という危機的状況下でも権力を維持し,戦争中に釜山へ移転していた政府を休戦後に再びソウルへ戻した.

朝鮮戦争後,李承晩は政敵の排除や反政府運動に対する厳しい弾圧とともに,権威主義的体制を固めていった.しかし、経済政策の失敗で韓国は最貧国の一員に留まっており、権威主義的な施策もあって人気は低迷していった.

そのため,不正な憲法改正や選挙など法を捻じ曲げての権力の維持を図ろうとしたものの、1960年4月19日の学生デモを契機として政権は崩壊し(4月革命),李承晩はハワイへ亡命したのである.

③朴正煕(パクチョンヒ)時代

李承晩失脚後は、張勉(チョンミヨン)内閣の下、政治的自由化が急速に進展したが、学生を中心とした北への合流を目指した南北統一運動が盛り上がりを見せるに至り、危機感を抱いた朴正煕少将を始めとした軍の一部が1961年5月16日クーデターを決行し,国家再建再興会議 が権力を掌握した.

第三共和国憲法の承認後、朴正煕は1963年10月,大統領に当選 した.19732年,野党勢力の伸張により政権の合法的延長が難しくなった朴正煕は10月17日,非常厳戒令を発し憲法を改正(第4共和国),大統領の直接選挙を廃止して,自らの永久政権化を目指した.

「維新体制」と呼ばれるこの時期には反対派に対する激しい弾圧により,政治的自由が著しく狭まったが,1979年10月26日、側近の中央情報部長により、朴正煕は暗殺された.

朴正煕時代は強権政治の下,朝鮮戦争以来低迷していた経済の再建を重視した.朴政権はベトナム戦争への参加を通じて,アメリカから特需を獲得した他、日韓関係の正常化を進めて,1965年に日韓基本条約を締結するなどして日本から援助を引き出し,産業インフラヘの投資を進めて「韓江の奇跡」と呼ばれる経済の急成長を実現した.

一方で朴政権は人材登用や産業投資に際し,自身の出身地である慶尚道を優遇し,全羅道に対しては冷遇をしたため、慶尚道と全羅道の地域対立,差別の問題が深刻になった.この問題は今に至るまで解決していない.

④全斗煥・盧泰愚(チョンドウハン、ノテウ)時代

朴正煕暗殺により、急速に規制が解かれた韓国の政治はソウルの春と呼ばれる民主化の兆しを見せたが,1979年12月12日より始まった粛軍クーデターにより、全斗換陸軍少将を始めとした新軍部が軍を掌握した.

新軍部の権力奪取の動きに対して、反対運動が各地で発生したが,1980年5月17日,非常戒厳令拡大措置が発令され、政治活動の禁止と野党政治家の一斉逮捕が行われた.

5月18日,光州では、戒厳軍と学生のデモ隊の衝突が起こり,これをきっかけに市民が武装蜂起したが5月27日,全羅南道道庁に立てこもる市民軍は、戒厳軍により武力鎮圧された(光州事件).

新軍部は朴正煕暗殺後に大統領の職を引き継いでいた崔 圭夏(チェギュハ)を8月16日に辞任させ、全斗煥が大統領に就任し,憲法を改正,翌81年2月25日に行われた選挙により全斗煥が大統領に選出された.1987年,大統領の直接選挙を求める6月民主抗争が起こり,与党の盧泰愚大統領候補による6.29民主化宣言を引き出されため,大統領直接選挙を目指した改憲が約束された.

しかしながら,12月に行われた大統領選挙では、野党側の有力な候補が,金 泳三,金大中に分裂したために、全斗煥の後継者である盧泰愚が大統領に当選し,軍出身者の政権が続くこととなった.

全斗煥,盧泰愚の時代は,軍政に反対する民主化運動とそれに対する弾圧の激しい時代であったが、朴正熙時代から引き続いた高度な経済成長とソウルオリンピックの成功、中華人民共和国やソビエト連邦との国交樹立、国際連合への南北同時加盟などにより新興国工業経済国として韓国の国際的認知度の上がった時代でもあった.

⑤文民政権時代

金泳三(キムヨンサム)、金大中(キムデジュン),盧 武鉉 (ノムヒョン),李明博(イミョンパク)、朴槿恵(パククネ)の大統領時代

1990年,金 泳三の率いる統一民主党が金 鍾泌の率いる新民主党とともに盧泰政権の与党である民主正義党と合同し、巨大与党である民主自由党が発足した.金泳三は1992年大統領選挙に民主自由党の候補として出馬し当選した.金泳三は久しぶりに軍出身者でない文民の大統領であったが,旧軍事政権と協力したために実現したものだった.

しかしながら、金泳三政権時代に、全斗煥,盧泰愚元大統領らに対する軍事政権下の不正追及が開始された.

1997年の大統領選では,長年に渡って反軍政・民主化運動に関わってきた金大中が大統領に当選した.金大中政権に於いて民主化,自由化は本格化し,国家安全企画部の改組,民主労総の合法化などが行われた.

民主労総を支持基盤とした民主労働党が結成され,後に国政進出を果たした.対北朝鮮政策も「太陽政策」の下、2000年6月に、南北首脳k会議実現させ,分断された鉄道の連結や経済協力など南北融和が進み、近い将来の統一の期待を膨らませた.

金大中は日本文化の開放も進め、日韓ワールドカップの共催を頂点に日韓の友好ムードは高まったのである.

2002年大統領選挙当選した盧 武鉉は支持基盤的に金大中の後継であり,政策も引き継いだ..2007年大統領選に当選した李 明博、2012年大統領選挙でに当選した朴 槿恵により、再び政権は慶尚道系保守勢力へ戻り、各種政策も揺り戻しが起こっているが,民主的政体(文民体制)が続いているのである.

一方、李 明博、朴 槿恵、は韓国内反日勢力の圧力から、歴史認識問題、竹島、慰安婦問題、を取り上げ,ナショナルズムを煽り、反日攻勢をかけ、日韓関係に亀裂が走った.そして今年、朴 槿恵大統領のスキャンダルが韓国社会への国民の不満に火をつけ、退任に発展する事態になったのである.

以上、極めて大まかに韓国の近代史を整理した.

上記史実にある様に、日本統治後の朝鮮は、米ソの戦後処理によって、南北の分断国家として誕生した.その後の厳しい朝鮮戦争を経て現在も、依然として、南北の緊張関係は続いているのである.

そんな中で、韓国は安全保障では西側陣営に属し,韓米同盟を結び、北朝鮮、中國、ロシアと対峙しているのである.一方、中國経済の拡大によって,政治、経済の対中接近が行われ、対中貿易が全体輸出の3割を占めるに至ったのである.

しかし、昨今の中国経済の鈍化の影響で、韓国経済に大きな影響を与えているのである.又、ロシアは韓国の対中、対米、対日の状況をみながら,,権益の拡大を虎視眈々と狙っているのである.

日本の併合以前の歴史においても.清王朝、ロマノフ王朝、日本、或は、露,英,米,仏,等の列強が、朝鮮半島の利権を求めて、李王朝に押し寄せていたのである.日本の日清、日露の戦いも朝鮮半島争奪戦様相を持っていたのである.

このように、朝鮮半島は地政学的な重要性から、今日に至っても、各国がぶつかり合う地域になっているのである.

そんな政治環境から、分断国家、韓国の誕生以来、軍事政権が続き、1992年,文民政権が誕生したのである.しかし政治体制が変わっても、争いの絶えない、厳しい歴史で培われたからだと思うが,ナショナリズムや同族に偏重しやすく、激情に走りやすい国民性は変わっていない様に感じるのである.

例えば、相手を攻撃する事が生きる方法であって、謙虚さや謝罪,妥協は敗北であり、滅ぼされる、と考えるような節がある.コンプレックスの反動のようにも感じる.

朝鮮併合,竹島,慰安婦、等の問題を掲げて、ナショナリズムを煽り、歴史を歪曲し、反日運動を続ける韓国の様相をみても,今回の騒動を見ても、同じような国民性を感じるのである.

大きな顔写真や人形、或は、国旗を焼いたりするデモは,いつも同じである.まさに国民性を表していると思うのである.

又,韓国の歴代の大統領を見ても、どの大統領も,末期は国民の支持を失い、暗殺、訴追、自殺,亡命,と言った悲惨な終末を迎える事が多いのである.政策も,大統領が変わる都度、大きく変わったりするのである.

これは、5年の任期が長すぎるのか,大統領の権力が大き過ぎるのか、知れないが,韓国の国民性が大きく影響しているようにも感じるのである.

このように、韓国の政治は落ち着く事はないのだが、韓国の国民性からすると、むしろ議院内閣制のような制度の方が落ち着いた,着実な政治が出来るように思うのである.そもそも,大統領制は,李承晩の独裁思考から生まれたものであり,その危うさを国民は感じていたと思うのである.

このように考えると、韓国の課題は次の三つだと思う.

①強権力の大統領制から、議院内閣制のような、新しい政治制度に変える事、
②財閥を解体し、国内起業の活発化、,国内産業のフラット化、多様化,を促進する事,
③韓国国民は高学歴,大企業志向から,脱却する事、

等によって,これまでの,強権の大統領制と強権の財閥経済による一極集中国家から、リスク分散した安定的な政治,経済体制、あるいは多様化した社会に脱皮する必要があると思うのである.

何よりも、韓国国民の高学歴,大企業志向は日本から見ても異常である.これも韓国の国民性から来ていると思うが、結局、この志向が競争社会、格差社会を生んでいる元凶になっていると思うのである.もっと人生の選択肢を広げて、④の取り組みをすべきだと思うのである.これなくして、韓国の問題は解決しないと思うのである.

以上、感ずるところを述べたが、日本にも多くの課題があり、これを棚に上げた話ではないのである.

 

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2016.11.27

452 対中貿易摩擦の激化

11月25日、日経新聞は対中貿易摩擦の激化を報じた. 報道の骨子はこうである.

中国は2001年のWTO(世界貿易機関)加盟に際し、15年後に非市場経済国から市場経済国になると言う条件を受け入れていた.その期限が12月11日に迫った.

中國はこの15年間を通じて、安い賃金、巨大な市場、を背景に、世界の企業を中国に誘致し、安い製品の輸出で経済成長を続ける一方、世界の経済を牽引して来た.

しかし、現在に至っても、国家資本主義主義と揶揄されるような、一党独裁政治と経済が一体となって、一帯一路(外交権益の拡大)政策を進めて来た事、具体的には、政府が為替相場や生産活動を統制している事に対し、世界各国の産業と雇用を奪っているとして,批判が高まっていると言うのである.

次期大統領のトランプ氏は過剰な設備による安値の鉄鋼輸出、中國企業による自国企業買収などに歯止めをかける狙いもあって、今後も、中國を市場経済国として認定しない方針を表明し、重要品目に高関税をかけて、国内企業や雇用を守ると主張したのである..欧州連合も同様で、日本も追随する公算が大である.

(ちなみに、WTOでは、市場経済国の場合、安値だからと言って、簡単に関税をかけて防御するわけにはいかないが、非市場経済国の場合は、不当廉売に対して、高関税で防御できる事になっているのである.)

中國としては,非市場経済国として、引き続き認定されると、中國が主導するRCEPの形成が困難になる.自由貿易圏の中に非市場経済国が存在し得ないからである.勿論、中国が目指す経済や金融の一帯一路の構想(中国権益の拡大)にも影響が出るのである.

(RCEPとは東アジア諸国連合加盟10か国に日本、中國、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド、の6か国を含めた計16か国でFTA(自由貿易協定)を結ぶ構想

更に、中國が各国から高関税をかけられると,そもそもの中国経済の課題である内需拡大が不可欠になる.それが出来ないと、中國進出の外国企業(中国の輸出産業)が中国から撤退することになり、中國としては、厳しい経済運営を強いられる事になるのである.

この事から、中國はトランプ氏の表明に、警戒感を強めているのである.中国が持つ莫大な米国債を、米国交渉に持ち出す可能性もある.

又、前ブログでも発信しているが、トランプ氏の考えは中国対策にとどまらず、多国間貿易協定より二国間貿易協定の方が米国の国益を確保できるとして、TPP(環太平洋)、NAFTA(北米)、等の貿易協定からの離脱を表明しているのである.

中國のような非市場経済国に対する二国間貿易協定はあるとしても、市場経済国間の協定に対しても、二国間協定に切り替えると言う発想は全く理解できないのである.

トランプ氏は重要品目に関して、課税をかけて、国内産業や雇用を保護しようとの考えの様だが、それらを配慮して、多国間の貿易協定が出来上がっているのである.

歴史的に言っても、激しい貿易摩擦と二国間紛争をへて、その結果、多国間の貿易協定で、この紛争を解決しようとして、多国間の自由貿易協定が進められているのである.

トランプ氏の保護主義の考え方は、まさに歴史を逆流させるものであり、決して、米国にとっても有利に働かいと思うのである.経済は全体が発展しないと自国の経済も発展しない事を理解して欲しいものである.

米国の貿易ストラテジーは古来より、消費財や付加価値の低い製品は輸入し、輸出国の経済を牽引しながら、その国に米国の高付加価値のハイテク製品や畜産飼料を輸出すると言うものであった.米国の産業構造からすれば、今後も、この構造は変わらないと思うのである.

トランプ氏の発想はどう見ても、企業レベルの発想としか見えないのである.大国の大統領としては、「世界の経済発展のなくして米国の国益なし」と言う発想が必要だと思うのである.

国の復活は関税ではなく、差別製品の開発が重要だとなし思う.その意味で、米国主導の多国間貿易協定を率先して推進すべきだと思うのである.

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2016.11.11

451 次期米国大統領トランプ氏の主張とその影響

2016年11月8日、民主党ヒラリー・クリントン女史を破った共和党ドナルド・トランプ氏が第45代米国大統領に就任する事が決まった.

長期の選挙戦を通じて、どちらも、国民からの指示が低く,政策論争も少なく、相互の誹謗中傷だけが繰り広げられた選挙選であったとの印象を受けた.

こんな大統領選の中で、トランプ氏の乱暴な主張もあって、米国内外の有識者、マスコミ、はクリントン女史有利の予想を出し続けたのである.

しかし,蓋を開けてみると、出だしは、クリントン女史の票が順調に伸び始めたのだが、第4コーナーを回る頃より、予想に反して、トランプ氏がクリントン女史を捉え、一機にゴールを駆け抜けたのである.

予想を外した有識者、マスコミの多くは、その理由を,『白人の隠れトランプ支持者』を読めなかったからだと言う.あからさまに言えない事を、トランプ氏が言ってくれた事に、内心、共鳴した白人が多かったと言う事か.

更に,,マスコミのトランプ氏へのバッシング一辺倒への反感、主張が見えないクリントン女史への不満、エリート気取りのクリントン女史への嫌悪感、8年間のオバマ政権の反動、等も加わって、トランプに軍配が上がったのだと思う.

同時に,上・下院の議員選挙も行われたのだが、ともに共和党が過半数を占め、大統領と議会のねじれは解消されたのである.

本来なら民主党から共和党への久々の政権移譲となる所だが、トランプ氏と共和党が一枚岩でないだけに、外交、内政の方向が全く見えていないのである.トランプ氏が政治家でなかった事が原因だと思うが、前代未聞の出来事である.

さて,『白人の隠れトランプ支持者』が生んだ,トランプ氏の主張を、あらためて、いくつか挙げておきたい.

トランプ氏の基本的考え方

共和党の持つ、小さな政府、ホワイトプライド,キリスト教文化、同性愛同性婚の否定、の価値観に加えて、強いアメリカの再構築、その為のアメリカンファースト(国益優先、保護主義)を掲げ、次のような、政策を掲げたのである.

トランプ氏のアメリカンファーストの施策

①米国の治安、白人失業率を改善する為のメキシコ人の不法入国、不法移民の排除
②TPP等の自由貿易協定を離脱し,二国間貿易協定による米国益の確保
③テロの未然防止の為のイスラム教信者の入国阻止
④安全保障に対する各国の役割、費用負担の増大(米国の役割、負担の軽)
⑤温暖化対策(パリ協定)からの離脱
⑥インフラ投資、法人税・所得税の減税

リアリストであるトランプ氏の考え方は、国家間の友好関係,信頼関係、同盟関係、を築く事より、自国の利益の為に、自国産業や雇用の保護政策を展開する事の様である.

勿論、これまでのアメリカの経済、安全保障のグローバル戦略とは真逆の考え方であり、世界の国々からのブーイングは多い.歓迎しているのは中国、ロシアくらいだと思う.

又、トランプ氏のキリスト教文化や白人至上主義(ホワイトプライド)への傾斜が感じられる事から、宗教差別、人種差別だとのブーイングも、早速、始まっているのである.

しかし、トランプ氏が勝利した事は、自由,平等人,権,民主主義を標榜する米国が,表向きには言えない本音を述べたトランプ氏に、内心、共鳴した白人が多かったのだと思う.

さて、トランプ大統領の政策が具体的にどうなって行くのか、世界は、かたずをのむ事になる.もし、米国が内向きな保護主義に走れば、各国は経済、防衛ともに、自国政策を見直さざるを得ない事になるのである.特に日本の対応を考えて見たい.

今、トランプ氏の言動に、EC、イラン、イラク、シリア、アフガニスタン、IS、日本,中国、韓国、東アジア、メキシコ、中南米、等、かたずをのんでいるのである.

①安保保障体制の対応

日米安保に関して、米国は対等な役割を持つ事(本来の集団的自衛関係)を前提として、費用負担問題を取り上げてくる可能性がある.勿論、現日本は、憲法を変えなければ、対等な役割を持つ事が出来ないのだから、その分の費用負担を要求して来る可能性がある.

トランプ氏の考えの中に、他国の安全保障の請け負いは、ビジネスとして捉えているのかもしれない.米国は、海外の戦闘活動を民間の軍事会社に委託する国である.十分あり得る話である.ひょとすると、米国の最強の軍事力を期待して、有償で安全保障を依頼する国が多く出てくる可能性もある.そうなれば、トランプ氏はビッグビジネスを確保できて大喜びするかもしれない.

日本も独自の自衛力を持ちつつ、及ばないところを米国に有償で依頼する方法も一つの案になる.一方、米国がこれを受けなかった場合、日本は憲法を変えて、自衛活動も、集団的自衛活動も、国連や有志国の安全保障活動も、出来る国にならざるを得なくなるのである.

又、世界の紛争に対する米国の対応がどうなるのか、全く見えないが、トランプ氏の発想なら、平和の為、民主主義の為、より、国益を考えて、非介入、介入を決めるかもしれない.

②自由貿易協定から,二国間貿易協定へのシフトへの対応

どうやら、トランプ氏の発想は、国益を確保できる貿易協定は多国間貿易協定より、二国間の貿易協定の方が良いと考えているようである.

中国を非市場経済国(為替や生産の政治介入国)として、米国が二国間交渉を始める事は問題はないと思うが、市場経済国同士の貿易交渉を多国間ではなく二国間にすることは問題だと思う.

そもそも、歴史的に見れば、過去の貿易摩擦と国家間の対立(経済戦争)が繰り返された経験から、多国間の貿易協定で、この問題を解決し、自由な貿易で経済や貿易の発展をはかるようになったのである.

トランプ氏の発想はこれに逆行するのである.二国間協定で、又、二国間のバトルを始めようと言うのだろうか.これで、世界の経済発展が可能になるのだろうか.極めて疑問を抱くのである.

日本としては、米国主導で5年間、TPP合意に向けて、各国同士の激しい協議を経て、やっと、各国の批准にたどり着いたのだが、手のひらを返すような、トランプ氏の離脱表明はこれまでの取り組みを無視するものであり、このまま、黙って、TPPを白紙にしてはならないと思うのである.日本としては、今後とも、自由貿易圏作りに取り組んでいくべきだと思うのである.勿論、日本の技術力、開発力、の強化は何よりも重要になるのである.

③グローバル化から反グローバル化へのシフトへの対応

ECでは国のボーダーが限りなく低い為、EC内格差の拡大、EC内移民の増加、中近東からの難民増加、国益の低下、等の問題があり,英国のECからの離脱が決まったのである.

米国では世界の警察機能からの離脱、メキシコからの不法入国、不法移民による治安や失業率の悪化対策、更には、白人至上主義、価値観の多様化の排除,等、次期米国大統領のトランプ氏は自由貿易協定以外の分野でも、反グローバリズム、保護主義の発言をしているのである.

経済の発展や人の交流で、経済,文化,文明がグローバル化する事は、半ば自然な社会現象だと思う.どの国も、古来の文化が衰退したり、逆に、価値観が多様化して行く事は確かな傾向である.しかし、人為的にグローバル化やその影響を制御(排除)する事は社会に歪を作ったり、自由を束縛する事になりかねないのである.

この認識の上で、経済活動については、人為的にルールを共通化し、経済活動をやりやすくする事(経済のグローバル化)は良い事だと思うのである.勿論、経済のグローバル化で市場がドメステックからグローバルに広がる一方、競争や企業淘汰が激しくなる.その事で、経済の新人代謝が起こり、経済全体が活性化する事に繋がるのである.

一方、経済のグローバル化の影響で,各国古来の文化や価値観は.長い年月の葛藤を通じて変わって行くと思うが、それが法律に係わる場合は、理念、感情、含めて、常に、民意の判断が問われる事になると思う.

このように、グローバル化は多くの葛藤が伴うものであるが、自然な社会現象だとも思うのである.一方、反グ゙ローバル化(保護主義)は,この社会現象に逆行するものであり、特に内政問題が深刻になると、かつての愛国主義、排他主義,と結び付く危険性が懸念されるのである.

残念ながらナショナリズムを政治に利用する国が、いまだに多く存在しているが,加えて、経済も安全保障も、反グローバル化(保護主義化)を言い出している次期米国大統領のトタンプ氏の考えにも、大きな疑問を抱くのである.

現在および将来に至って、政治家の役割はナショナリズムを煽る事ではなく、抑制する事だと思うのである.その為にも、グローバル化は必要だと思うのである.

日本においては、古来から現在の至って,日本固有の文明・文化と他国の文明・文化が衝突しつつも、良いところを吸収し、日本の近代かを進めてきた歴史がある.今後も、島国日本の生きる道は、多くの葛藤が伴うと思うが,経済のグローバル化(自由貿易)を避けてはならないと思うのである.

以上の如く、トランプ氏の当選によって、その主張の実現性に問題が多いが、世界各国が安全保障、経済、移民の問題を、改めて考える機会になった事だけは確かである.

 

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2016.10.14

449 豊洲市場問題、五輪競技場問題の議論で抜けている事

豊洲市場問題、オリンピック競技場問題、が連日、テレビでとりあげられている.特に豊洲市場問題について、当ブログNO447で、明らかにすべき問題を述べているが、一向に疑問が解明されていない.そこで、テレビ報道などの議論で抜けている事を指摘しておきたい.

地下ピットを作った事の良し/悪しの問題

『盛土ナシを決めた人は誰か』と、あたかも『盛土ナシ』が悪い事だと決めつけて、犯人捜しをしているようだが、そもそも、盛土ナシの地下ピットを作った事が、良かったのか、悪かったのか、やむを得なかったのか、の追及がない.この評価なしに、犯人探しをすることは間違いである.(出来上がった地下ピットの問題点、改善策は市場問題プロジェクトで取り組み中)

 豊洲市場の『盛土ナシ』を公表しなかった問題

大問題は『盛土ナシ』を公表せずに、全敷地に盛土がされているから安全だと言い続けた事である.(事実と異なる事を言い続けた罪)この追及が出来ていない.これこそ、盛土ナシの評価と関係なく重罪である.

海の森でのボート、カヌー競技の適否の問題

海の森競技場はコンクリートで囲われたボート、カヌーの人工コースで、、消波、防風も行うと言う.成完成イメージ図を見ると、素晴らしい人工コースに見える.オリンピック後はマリンスポーツとしてボート、カヌーの人口を増やしたいと言うのである.

この海の森競技場は十分な比較検討と競技団体の賛同を得て、決定したと言うが,その検討内容は公表されていない.しかも、海上のコースに反対する選手も多い.1年ほど前に、日体大ボート部が海の森で、走行した時、横風が強くて、競技にならない、と言う.更に、海の森競技場はレガシーにもならないとも言う意見もある

海上での競技に問題はないと言う人は、ボート、カヌーはタイムではなく着順で競う競技だから、若干の波、風の影響で運、不運があっても、問題はないと言うのだが、はたして、そうなのだろうか.

このように、賛否が分かれているのだが、不思議な事に、海の森でボート、カヌーの走行テストが、どの程度、行われ、どんな評価がされているのか、さっぱり聞こえて来ないのである.

又、海の森の水質、波、風の根本的問題に対し、技術的に解決できるとしているが本当だろうか.もし、ボートやカヌーがひっくり返って、競技どころでなくなったら、数百億円の損失どころか、日本の信用が地に落ちるのである.

こんなに重要な事であり、今からでも,公式の走行テスと、その評価による改善策及び、その実現性を検証すべきだと思う.この結果で問題がないなら、海の森は初めて競技場の候補地になり得るのである.その意味で,海の森は現在、候補地にもならない状態だと思う.

④臨海開発目的のボートカヌー競技場、豊洲市場の誘致の問題

築地市場の豊洲への移転、ボートカヌー競技場の誘致が、いづれも臨海地域の開発ありきで、問題点を無視して、決定されているのではないか、との疑惑がある.たとえば、双方とも下記の様な類似点があるからである.

・豊洲の土壌汚染、海の森の水質、波、風の問題、を解決出来るとしている点.
・豊洲も、海の森も、有利になるように候補地との比較表が作られている点.
・当初見込みの費用が増大している点(問題の隠蔽と当初費用の偽装)
・開発費用増大で、将来にわたって、都のお荷物になる可能性が高い点.

もしそうであるなら、海の森も、豊洲市場問題と同じ轍(失敗)を踏むことになる.しかも、オリンピック競技は豊洲市場の様に延期は出来ないだけに、大問題になる可能性がある.その意味で競技場の選定見直しは極めて重要だと思う.

⑤オリンピックのコンパクト化の問題と今後のオリンピックの問題

選手村を中心に各種競技場が配置されると言うコンパクトオリンピック構想が今も求められ、選手村の交流こそがオリンピックの目的だ、とまで言う人もいる.

巨大な選手村での交流を錦の御旗に言う人は、競技場建築や,集中による周辺設備に、莫大な費用が掛かっても、プレーしにくい競技場であっても、選手村に近ければよいと言うのだろう.海の森を主張する人にも聞いてみたい.

1万5千人の選手村の方が小規模の分村より、交流ができると、なぜ断言するのだろうか.どんな交流をイメージしているのか不明だが、むしろ、小規模の分村の方が交流しやすいかもしれないし、そう言うアスリートもいるかもしれないのである.

私見だが、1.5万人の選手村を1か所に作る事にぞっとする.将来の都市を夢見ているのか、政治家や大手ゼネコンが考えそうな事である.私見によれば、埋立地の防災や都市の負荷分散を考えるなら、分散した都市開発に向けた選手村建設の方が将来、有効なレガシーになると思うのである.

更に言えば、1万5千人の選手村を中心に、オリンピック競技場を集結させる、コンパクトオリンピック構想は,多くの競技施設を新設することになったり、開催国に人気のない競技施設を作る事になったり、莫大な費用が発生するのである.これではコンパクトオリンピックを誘致できる都市はほとんどないと思われるのである.

東京への誘致合戦のとき、無防備にも、コンパクトオリンピックを提案した事は大きな間違いだったと思うが、現実的に、コンパクトオリンピック構想はどの開催国でも不可能だと分かったのだから、多くの都市で開催できるように、いろんな基準を改革すべきだし、東京はそれを追求すべきだと思うのである.取りあえず東京では競技場の客数基準をへらす取り組みが必要だと思う.

将来的には、オリンピックの開催を都市から国に変えるとか、競技場の観客数の基準を現在の半分くらいにするとか、プロの世界的大会がある競技(野球、ゴルフ、サッカー、等)はオリンピックでやっても顔ぶれが変わらいのだから、やる必要がないとか、検討事項は多いと思うのである.

そもそも、オリンピックの肥大化、社会やスポーツビジネスの国際化で、オリンピックの歴史的役割は少なくなり、競技別世界大会が主流になっていく感じがするのである.

⑥競技場問題

国立競技場問題に始まって、各競技の競技場問題が落ちつかない.既にコンパクトオリンピックの看板を下ろすような他県への変更が進められたり、最近では、海の森、有明アリーナ、アクアテクスセンターの新規開発が問題視されているのである.今後も、すでに決定された競技場の費用負担問題や、建築、周辺設備の費用問題で、まだまだ、競技場問題は波乱含みである.何れも、進め方において、五輪推進体制の問題が影響しているのと思う.

そんな中で、莫大な費用の伴う、海の森水上競技場、有明アリーナ(バレー競技場)、アクアテスセンター(水泳)の新規開発に対し、競技場の変更もしくは費用削減が議論されている.新規開発の主張はおおよそ次の通りである.

①コンパクトオリンピックを標榜したのだから、東京都の中で新規開発をすべだ.
②将来の聖地として世界に通用する競技場を東京都に持ちたい.
③素晴らしい競技場で、選手強化やスポーツの活性化を進めたい.
③負のレガシーにならない様、競技大会や練習を誘致したり、イベント使用で収益をあげたい.

新規開発を決めた経緯、理由がブラックボックスだ、スポーツの活性化を言うなら、全国に競技施設を充実したり、選手育成に使うべきだ、東京一極集中はやめるべきだ、レガシー資産にするためにスポーツ以外のイベントトを誘致すると言うなら、イベント施設に公金を使ってよいのか、とにかくいい加減な費用見積もりで、お金に無頓着だ、等々、新規開発に批判が多いのである.

これらの競技場の問題は,国立競技場の問題と同じ事を繰り返しているだけに、本当にオリンピックが開催できるのか心配である.⑧で述べているように、開催都市東京都を中心に、ビシッと仕事をする体制を早期に作るべきだと思う.繰り返すが、公金使用の責任がない大会組織委員会に競技場問題を任せていたら,問題は解決しないと思う.

⑦これまでの都議会の検証(チェック機能が働いていたのか)

豊洲市場、オリンピック競技場、それぞれに関して、都議会の過去の審議・議決内容がレビューされていない.過去の決定が正しかったか、このレビューが無ければ、見直し検討が出来ないからである.これはフィードフォワードの基本である.これをやらないから、一度決まった多くの公共事業が間違ったまま,突っ走る事になるのである.

今回、豊洲にしても、オリンピックにしても、都議会に、このような動きがない事は,全く無責任だと思う.もし、過去の議決が間違っていた、或は、状況が変わった、と判断するなら、修正した議決をしなければならないのである.

又、今回の小池都知事の五輪予算見直し、ボート、水泳、バレーボールの各競技場見直し、に関しても、都議会の反応がない事も極めて不可解である.都知事と都議会が相輪と言うなら、無反応は許されないのである.

三競技場の見直しに反対する人は、2年間かけて充分審議し会場を決定したと言うが,その内容が公開されていない.まさに、ブラックボックス状態である.それだけに、過去の決定に疑念を持つのである.

豊洲市場問題も、オリンピック問題も、小池都知事(都政改革本部)から、鋭い指摘を受けて、都議会は恥ずかしくないのだろうか.正直言って、都議会、都議会議員は何をしているのだろうか.東京都庁職員に騙された、我々も被害者だ、とでも言うのだろうか.

⑧東京五輪体制(予算負担体制)の問題

既に、当ブログでも発信しているが、依然として、大会組織委員会と東京都とが対立している.その原因は今や多額の税負担なしにはオリンピックは開催できないのだから、当然、東京都に権限が移らざるを得ないのである.東京都としては金を出すが口を出さない、と言うわけにはいかないのである.東京都としては、納税者に対して、納得の行く税金の使途を決めなければならないのである.

一方、政治介入を排除し、民間事業として独立採算で開催し、その推進を大会組織委員会で行う、と言うオリンピックの理念が残っている.この理念に基づいて、現在の大会組織委員会が編成されているのである.組織委員長の認識もこれに沿っているようである.

しかし、この理念は、とっくに崩壊し、オリンピックは公共事業(政治介入)になっているにもかかわらず、大会組織委員会の役割や認識が変わらなければ,当然、東京都と対立するし、結果、五輪推進組織全体が曖昧になるのである.この問題は日本だけの問題ではなく、IOCは現実に合った理念を作るべきだと思うのである.

いずれにせよ、現実的には、予算負担元が推進母体にならざるを得ないのである.したがって、主催都市の東京都が実質の推進母体になる事は当然なのである.大会組織委員会はIOCの窓口機能と五輪運営事業に分離(法人化)することにすべきだと思う.

そこで、東京都、競技が行われる他県、国、で予算の持ち方を決め、それに対応した体制を作る事が求められているのである.繰り返すが、税金を使う以上、それに対応した五輪組織にすべきだと思うのである.

大きな事業をやる時、どんな大義があろうと、先ず、お金をどうするか、を考えてから計画を作るのである.お金のことを棚に上げて、理想や大義を求めることはプロのやる事ではないと思う.財源のない理想は絵に描いた餅でしかないのである.その意味で、東京への五輪誘致時点から、大間違いをしているのである.

今回の豊洲市場問題も、東京オリンピック問題も、『無責任な放漫経営国家』、『社長も財務部長も、いない国家』、『市民,国民に嘘を言う国家』の性格が露呈した感じがするのである.無駄な公共事業が非難された時があったが、あれ以来、久々に覚える感情である.

以上、8点を追求する事が、フィードフォワードに繋がると思うのである.

ちなみに、フィードフォワードとは、これまでの問題点を検証し、積極的に今後の政策に生かして行く考え方であり、個々の改善をイメージするフィードバックより、政策的、未来的、な視点を持つとして、この言葉を使っている.

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