政治

2017.07.04

475 都民ファースト都議選圧勝の要因

2017年7月2日の東京都都議会選挙は、かつて,大阪府議会、市議会、の選挙で、自民党、民主党が激減し、地域新党・大阪維新の会が躍進し、第一党の勢力を占めたのだが、今度は東京で同じことが起こったのである.

今回の都議会選挙による勢力図が下記の通りだが、自民党議員の激減、地域新党・都民ファーストの会が躍進し、第一党の勢力を占めたのである.
(図をクリックすると拡大) Photo

この結果に対して国政における自民党の失点自民党に代わる受け皿が無かったから都民ファーストが大勝したとの論評が多い全く都民ファーストに失礼.だと思う.都民ファーストの政治姿勢や政策これまでの自民党都議会議員の失政があったから都民ファーストが大勝したとの視点で,その要因を述べたい. 

①都民ファーストは既成政党ではできない政策を訴えて勝利

1年前の都知事選では、組織票の無い中で、小池氏は「東京大改革」を掲げ、多くの都民の支持を得て,ぶっちぎりの勝利を得たのである.

今回の都議会選挙でも、この取り組みの延長線で「古い議会から新しい議会へ」と組織票がないならではのキャッチコピーを掲げ、旧態依然のこれまでの都議会を変えたいと訴えたのである.

特に、オリンピック問題や豊洲市場問題、に関する自民党都議会の失政に対して、このキャッチコピーは見事に都民の心をつかんだと思う.自民党都議会幹部(幹事長、政調会長、議長)が軒並み落選したことでも,明らかである.

更に自民党の凋落に輪をかけてしまったのが、オリンピック問題、豊洲問題に対する小池都知事への攻撃である.「決められない小池都知事」とキャンペーンを張り,小池都知事を攻撃したのである.これらの問題は、これまでの自民党を第一党とする都議会の責任が大きいのだが、その反省もなく、尻ぬぐいに必死の小池都知事に責任を転嫁しようとする的外れの自民党に更なる逆風が吹き荒れたと思うのである.

一方、都民ファーストの新人立候補者は自民党批判は一切せず、身近な所の問題を掲げながら、新しい議会を担う意気込みで、選挙に臨んでいたと思う.これも又、都民ファーストの方針、政策と連動した見事な選挙活動であったと思うのである.たとえ小池人気があったとしても、組織票の無い50人の立候補者のうち、49人の当選者を出した事でも、この事は明らかである.

大阪府議会選挙,市議会選挙でも,地域政党の維新の会が第一党を得たが(選挙制度から単独過半数を得る事は不可)、ここでも、これまでの大阪の既成政党の失政を鋭くとらえて,解決策として、自民党では考えられない、大阪都構想を主張したのである.

大阪の地域政党・維新の会も東京地域政党・都民ファーストも、まさに、既成政党の、これまでの失政を踏まえて、既成政党では考えられない政策を訴えて大勝したのである.この地域政党の躍進は全国の地方議会にも起こり得る現象だと思うのである.

②他党を圧倒した都民ファーストの選挙戦術

都民ファーストは1年前の都知事選でもそうだったが、都議選でも、既成政党を圧倒する選挙活動を展開した.小池都知事のキャリアの中で培割れた選挙のうまさがいかんなく発揮された感じである.過去の小池氏の成功経験が大いに役立っていると思う.

・日本新党のゼロからの立ち上げ経験
・新進党小沢氏のどぶ板選挙(住民との会話と握手)
・自民党小泉氏のワンフレーズポリテックス、劇場型選挙(守旧派攻撃)、落下傘攻撃

・東京大改革、都民ファースト、古い議会から新しい議会へ、と言うキャッチコピー
・都民の要求を軸にした選挙公約作り
・選挙区の特徴、競合相手、定数に応じた,立候補者の選定
・公明党との選挙協力,他党党員の取り込み

を実行したのである.

これに比して国政政党は都議選の場を利用して国政選挙の前哨戦のような国政バトルを繰り返していた.国政野党は自民党スキャンダルを材料に、憲法改正を阻止する為の反安倍運動を展開した.

都民ファーストだけは都議会選挙に徹した戦いをしていた様に思う.上記①の政策と、②の巧みな選挙戦術が都民ファーストを圧勝に導いたのである.

③自民党大敗にもかかわらず都議会の受け皿になれない国政野党の凋落

今回の都議選は政策や都議を選ぶと言うより、国政自民党の失態に反自民の野党やマスコミ、有識者が、ここぞとばかりに自民党審判の場にしたのである.その結果、都民ファーストの大勝利、自民党の大敗になったのだが,この結果に喜んだのは、公明党、民進党、共産党である.

都議会の勢力が伸びていないにも関わらず、国政で自民党に攻勢をかけられると喜んでいるのである.国政の受け皿になれない事に加えて,都議会でも受け皿にもなれない事に気が付いていない感じである.それでも喜んでいる野党は万年野党病にかかっているのかも知れない.

こんな国政政党をしり目に、都民ファーストは漁夫の利を得たと言う人がいるが、失礼千万だと思う.上述のように、都民ファーストは都知事選の「東京大改革」、都議選の「古い議会から新しい議会へ」と一貫した方針のもと、都民の要求する課題に対する公約をで掲げて来たのである.その結果が、自民党はもとより、国政野党をも退けたのだと思う.漁夫の利ではなく,戦って,既成政党を退け,凋落に追い込んだと思うのである.

さて大敗した自民党への提案を記しておきたい..

今後の自民党だが、国政対策と地方選挙対策がある.国政対策としては、当面の勢力を使いながら、しっかり、外交問題や憲法改正問題、等の重要な政治課題に取り組む事だと思う.但し、自民党自身のリスクマネージメント、ダメージコントロールを徹底する必要がある.

「世間の常識や感覚の欠如」、「負けず嫌いからくる反応」には要注意である.「口は災いのもと」を標語に掲げ,口喧嘩やデベートの訓練をしたらどうだろうか.政治家の必須の能力だからである.

次の国政選挙対策だが、保守第二党の誕生が起こるかどうかである.二大政党を望む観点からすれば、作るべきだと思うが、その気配が無ければ、政権の事など気にせず、しっかり政治をする事である.

次に考えるべき問題は地方組織の在り方である.前回の都知事選挙もそうだったが、都知事候補を決めるだけでも混乱しているのである.選挙がある事ははっきりしているのだから、数年前から準備して当然だが、これさえ出来ていないのである.

現在,各地域の自民党議連は国会議員を筆頭に地域の議員で構成されているが、外から見ると,自民党や国会議員を支える組織票固めの下部組織にしか見えないのである.

大阪の自民党府議会もそうだったが、これでは、100%、地域の事を考える地域政党の政策には勝てないのである.住民からすると,国政の事しか頭にない本部や国会議員が地域の選挙応援にきても、旧態依然の違和感を感じるだけである.それ程、政治が身近になっているのである.

地方議員選挙における国会議員の興味は自党の支持率である.候補者の当落や政策の評価ではなく、自党の得票数である.国会議員に取っては,地方選挙は次の国政選挙の前哨戦でしかないのである.又,地元議員にとっても、政党本部や国会議員の応援を得て,本部との連携を言いたがるのである.此れでは地域政党に勝てないのである.

そこで、自民党として,本当に地方議員を拡充し,地域の支持率を拡大しようとするなら、地元自民党議員だけの地域政党を立ち上げ地域政治に取り組ませるべきだと思うのである.

全国企業の支店が地域で商売するより、地域会社に商売させる方が提案力も上がり、地元も受け入れやすいからである.地方の商売に大企業の支店長が社長や専務を連れて来て,会社挙げて取り組むと言うより,地域会社の社長が的確な提案をもって訴える方が、地元の好感が得られるのである.

この様に従来のまま問題意識もなく、相変わらず、国会議員を選挙カーに乗せる事が選挙戦術だと思っている様では、今回のように、地域政党に足元をすくわれるのである.

国政政党の選挙カーにベテランの党本部や都議会の幹部、引退したドンと言われてきた人物、が乗っている姿を見ると、小池氏の「古い議会から新しい議会へ」と言う主張の中の「古い議会側のおっさん」に見えたのである.小池氏のワンフレーズポッリテックスの威力である.

この「古い議会から新しい議会へ」と言うワンフレーズポリテックスは東京都議会のこれまでの実態を的確にとらえた、新興勢力の見事なキャッチコピーだったと思う.孫氏の兵法「戦わずして勝つ」を見事に実践したと思うのである.

いくら安倍総裁が「古い、新しいが問題ではなく、決断力、実行力が大事だ」と正論を言っても、一年前の都知事選でも問題になったが,これまでの都議会が決断力、実行力が疑われているのだから,自民党としては「天に唾」になり、小池氏の応援になっても、小池氏のキャッチコピーの反論にはならないのである..

以上、自民、安倍政権への逆風が無くても,地域政党である都民ファーストの会が圧勝したと思う.この事はすでに大阪の府・市で、第1党が自民党から維新の会に変わっているように、東京でも同じ現象が起こったと見えるからである.

共通している事は、地方政治における既成政党の賞味期限切れである.このように自覚している既成政党はないようだが,いづれ国政においても、起こる現象だと思う.既成政党は地方政治と国政に、どう対応していくか,大きく見直す時期に来ていると思うのである.

 

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2017.06.28

474 公文書管理規定と文科省の課題

加計学園の戦略特区制度を利用した獣医学部新設に関して、文科省から「官邸の圧力」「加計ありき」の審査が行われたことを惹起する文書が公開されて,与野党の攻防が激しくなっている.そこで、改めて、公文書の勉強をしてみた.

1.公文書管理規定の法制度のあらまし

目的

この法律は,国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が,健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として,主権者である国民が主体的に利用し得るものであることに鑑み,国民主権の理念にのっとり,公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに,国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする.(ワンセンテンスが異常に長い役所の典型的な文章)

法制化

この目的により,平成21年7月「公文書等の管理に関する法律」が制定された.この制定により,政府全体が統一されたルールに基づいて,公文書等の作成・管理を行うことになった.

公文書の種類(行政文書、法人文書、特定歴史公文書等)

①行政文書とは

行政機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書であって,当該行政機関職員が組織的に用いるものとして,当該行政機関が保有しているもの.

②法人文書 とは

独立行政法人等の役員又は職員が職務上作成し,又は取得した文書であって、当該独立行政法人等の役員又は職員が組織的に用いるものとして、当該独立行政法人等が保有しているもの

③特定歴史公文書等とは
歴史資料として重要な公文書その他の文書のうち,国立公文書館等に移管されたもの

行政文書に関する規定(抜粋)

第四条 (文書の作成対象)

行政機関の職員は第一条の目的の達成に資するため当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない.

・法令の制定又は改廃及びその経緯

・閣議、関係行政機関の長で構成される会議又は省議の決定,了解、経緯
・複数の行政機関,若しくは地方公共団体に対して示す基準の設定,経緯
・個人又は法人の権利義務の得喪及びその経緯
・職員の人事に関する事項

第五条(整理)

・行政機関の職員が行政文書を作成し,又は取得したときは、当該行政機関の長は,政令で定めるところにより、当該行政文書について分類し、名称を付するとともに,保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない.

・行政機関の長は、能率的な事務又は事業の処理及び行政文書の適切な保存に資するよう、単独で管理することが適当であると認める行政文書を除き,適時に,相互に密接な関連を有する行政文書(保存期間を同じくすることが適当であるものに限る)を一の集合物(以下「行政文書ファイル」という。)にまとめなければならない.

・前項の場合において,行政機関の長は,政令で定めるところにより,当該行政文書ファイルについて分類し,名称を付するとともに,保存期間及び保存期間の満了する日を設定しなければならない

・行政機関の長は、第一項及び前項の規定により設定した保存期間及び保存期間の満了する日を、政令で定めるところにより、延長することができる.

・行政機関の長は,行政文書ファイル及び単独で管理している行政文書(以下「行政文書ファイル等」という。)について、保存期間(延長された場合にあっては、延長後の保存期間。以下同じ。)の満了前のできる限り早い時期に、保存期間が満了したときの措置として,廃棄の措置をとるべきことを定めなければならない.

第六条(保存)

・行政機関の長は、行政文書ファイル等について,当該行政文書ファイル等の保存期間の満了する日までの間,その内容、時の経過,利用の状況等に応じ、適切な保存及び利用を確保するために必要な場所において,適切な記録媒体により,識別を容易にするための措置を講じた上で保存しなければならない

・前項の場合において、行政機関の長は、当該行政文書ファイル等の集中管理の推進に努めなければならない>第七条(行政文書管理簿 )

・行政機関の長は,行政文書ファイル等の管理を適切に行うため,政令で定めるところにより,行政文書ファイル等の分類,名称,保存期間,保存期間の満了する日,保存期間が満了したときの措置及び保存場所その他の必要な事項を管理簿に記載しなければならない.但し、不開示情報に該当するものは除く

・行政機関の長は,行政文書ファイル管理簿について,政令で定めるところにより、当該行政機関の事務所に備えて一般の閲覧に供するとともに、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により公表しなければならない.

第八条 (移管又は廃棄)

・行政機関の長は、保存期間が満了した行政文書ファイル等について、第五条第五項の規定による定めに基づき、国立公文書館等に移管し,又は廃棄しなければならない>

・行政機関の長は,前項の規定により、保存期間が満了した行政文書ファイル等を廃棄しようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議し,その同意を得なければならない.この場合において,内閣総理大臣の同意が得られないときは、当該行政機関の長は,当該行政文書ファイル,等について、新たに保存期間及び保存期,の満了する日を設定しなければならない. 

・内閣総理大臣は,行政文書ファイル等について特に保存の必要があると認める場合には、当該行政文書ファイル等を保有する行政機関の長に対し、当該行政文書ファイル等について,廃棄の措置をとらないように求めることができる.

第九条(管理状況の報告)

行政機関の長は、行政文書ファイル管理簿の記載状況その他の行政文書の管理の状況について,毎年度,内閣総理大臣に報告しなければならない

・内閣総理大臣は毎年度,前項の報告を取りまとめその概要を公表しなければならない.

・内閣総理大臣は,第一項に定めるもののほか,行政文書の適正な管理を確保するために必要があると認める場合には、行政機関の長に対し,行政文書の管理について,その状況に関する報告若しくは資料の提出を求め,又は当該職員に実地調査をさせることができる.

第十条(行政文書管理規則)

・行政機関の長は、行政文書の管理が第四条から前条までの規定に基づき適正に行われることを確保するため、行政文書の管理に関する定め(以下「行政文書管理規則」という)を設けなければならない.

・行政文書管理規則には行政文書に関する次に掲げる事項を記載しなければならない.

作成に関する事項
整理に関する事項
保存に関する事項
行政文書ファイル管理簿に関する事項 
移管又は廃棄に関する事項
管理状況の報告に関する事項

その他政令で定める事項

・行政機関の長は行政文書管理規則を設けようとするときは,あらかじめ,内閣総理大臣に協議し,その同意を得なければならない.これを変更しようとするときも、同様とする.

・行政機関の長は行政文書管理規則を設けたときは遅滞なく、これを公表しなければならない.これを変更したときも、同様とする.

行政文書に関する刑法

・虚偽公文書作成罪(156条)

公務員が,その職務に関し,行使の目的で,故意に虚偽の文書・図画を作成し,または,文書・図画を変造する罪

公用文書毀棄罪(258条)

公的機関が使用のために保管している文書や電磁的記録を破壊もしくは使用不能にする罪

・公務員に対する守秘義務違反、秘密情報漏洩罪

秘密事項であるかどうか(実質秘の判断),漏洩の目的が,どうであったのか,の個別判断が必要になる.

一方、公益通報者保護法という法律があって公益通報であれば、リークした人が不利益処遇を受けないと言う保護法がある.

文科省が公開した文書に見る問題点

「加計学園」の獣医学部新設を巡り,文科省が公開した、萩生田光一官房副長官が文科学省に圧力をかけたとする文書や数十通の文書をもとに、公文書に関する疑問,私見,を述べてみたい.

まず,公表された萩生田官房副長官に関する文書に,次のような反応があった

①マスコミ、野党、前事務次官は「官邸の圧力があった」、「加計ありきの審査が行われた」との論調を展開.

②官邸は①を否定しつつ、戦略特区政策に基づいて,官邸主導の行政プロセスを適切に行ったと反論.

③萩生田官房副長官は文書の内容は伝聞情報が混ざっており、事実ではない、是非,「作成者に確認して欲しい」と反論.

④松野文科相は野党に渡った文書の存在を確認したが,文書の信憑性については疑問があると発表.

⑤文書の調査をした義本博司総括審議官は行政文書ではない,個人のメモが共有フォルダーに入っていた.大変遺憾であり,萩生田氏に謝罪の言葉を口にした.

以上の反応を踏まえて、私見を述べたい.

①公表された文書は行政文書か?

公開された文書が管理規定にある様に、組織的に用いらた文書とは思えない.作成者はどう思っているのだろうか.前事務次官は公表された文書は共有していたと言っていたが、文書を見ただけなのか、内容に各人が同意していたのか,違和感を感じていたのか、あるいは、組織の統一見解としていたのか、全く不明である.

共有という言葉で、あたかも組織全体の認識があったかの如く言いたいのかもしれないが,.そんなものが行政文書になるのだろうか.

そもそも、公文書なら行政文書ファイルに登録されていなければならないし、登録されていないなら行政文書にならないのである.野党やマスコミは行政文書だと言うが,この行政ファイルに存在していた事を確認しているのだろうか.

例え行政文書だとしても、書式が整っていなかったり、信憑性の問題が指摘されたり、伝聞や感想的な内容が書かれていたり、公文書の体をなしていないと思う.こんな文書が行政文書になるなら、行政文書の管理の目的も運用規定も、無視されている事になる.

どうやら、文科省の特権意識が侵されたと言う不満を書いただけの文書、メモ、のたぐいだと感じるのである.そんな内容が行政文書になっているとしたら、公文書管理の目的や信頼性が崩れてしまうのである.

以上の事から、公表された文書は行政文書と言うより私的文書にあたると思うのである.

②文科省の公文書管理が出鱈目だと思う.

そもそも、公表された文書の存在を調べるのに、個人のパソコンや、いろんなファイルを調べたと言うが、そのこと自体が行政文書を管理していない証拠になる.

更におかしな事に、公開された文書に対し,行政文書だとか、いや私文書だとか、個人的メモだとか、の議論が起こること自体も、行政文書管理が出来ていない証拠である.

又,公表された文書が行政文書だとすると、信憑性の確認もなしに、行政文書になる事となり、これも又,行政文書管理の目的に反した大問題になる.

このような状態では、文科省は「公文書管理規定の目的」を果たしていないどころか、混乱を起こしていると言わざるを得ないのである.

マスコミ、有識者、野党はそれでも公表された文書は公文書と言うのだろうか.政府批判のシナリオから行政文書にしたいのかも知れないが、そんな動機ではなく、管理規定の目的、運用から見て判断すべきだと思う.それでも、行政文書と言うなら、文科省の信用はおろか,行政文書が簡単に悪用される危険性があると言う事になる.

以上の事から、文科省の行政文書管理が出鱈目だと思うのである.

③公開された文書が行政文書だとすると、刑法に抵触する可能性がある.

公文書として公開された文書を書いた人、あるいは、その文書を見て、行政文書だと主張している人は虚偽公文書作成罪(刑法156条)がある事を承知しているのだろうか.

又、文科省の職員がマスコミに流した文書が公文書であれば、公文書管理規定に照らして違法性がないのか、刑法上、国家公務員法違反(秘密情報の漏洩、公務員の守秘義務違反)に照らして問題がないのか、の議論が必要である.

この基本的な議論なしに,公文書管理規定の目的も、運営も、成り立たないのである.更に言えば、公開された文書が私文書であっても、虚偽が公開されたなら、名誉棄損罪になるのである.

最後に、

「官邸の圧力」、「加計学園ありき」があったのか、なかったのか,行政プロセスが歪められたのか、歪められていないのか、等々の議論がヒートしているが,その前に、行政文書管理が規定に従って運用されているのか、どうか、の検証が必要である.

出鱈目な行政文書管理が行われていたとすると、いくらバトルを繰り返しても、砂上のバトルになるだけである.元来、そうならない為に、公文書管理規定があるはずである.

そんなわけで、文科省は情報ネット時代を踏まえて、行政文書と私文書の区別を明確にし,セキュリティ対策も含めた行政文書管理の徹底を早急にすべきだと思う.

同時に総務省は公文書管理規定の厳密な運用を各省庁に指示すべきだと思うのである.

 

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2017.06.14

473 組織的犯罪処罰法案審議の感想

近々国会で成立するであろう組織的犯罪処罰法改正案(共謀罪)は一口で言うと、組織的重大犯罪の未然防止を目的に準備段階で処罰する法案である.日本の攻撃を準備している国への自衛権の発動問題と類似したテーマである.

この法案の成立で,遅ればせながら、国際犯罪防止条約(TOC条約)に加盟する事になり、国際的犯罪組織の情報が共有される事になる.

この法案に対し,野党は,不当捜査,不当逮捕,不当判決によって,「人権,プライバシー,表現の自由の侵害」や「一億総監視社会への道」だとして,戦前の「治安維持法」(思想弾圧)をイメージして,絶対反対の主張をしているのである.

そもそも、あらゆる法規制は権利侵害になるリスクを含んでいるが,それを排除する為に慎重な権利行使、手続き、最終的には裁判制度が存在しているのである.それでも、当法律の特徴からすると,捜査権の拡大による権利侵害が起こり得ると思う、だからと言って大義を否定する理由にはならないと思うのである.

ところで、自由,平等,人権と言う基本的権利も相互が衝突したり、これに危機防止と言う公共という概念が入ってくると,それぞれの権利が絶対的権利ではなく、優先度による強弱が付けられる事から,基本的権利は絶対的権利と言うより、相対的権利だと思うのである.

どうやら野党の主張は基本的権利を絶対的権利として,これを守る為に、政治的犯罪処罰法は反対だとの主張のようである.だとすと、組織的犯罪により、基本的権利のみならず,生命,財産が侵害された時,どう説明するのだろうか、完全に論理矛盾である.

与党は基本的権利や生命・財産を守る為に組織的犯罪防止法が必要だと言っているのだが、野党がどうしても反対するなら、対案を出さなければ建設的な議論異ならないのである.

以上が、短絡的に思い浮かぶ感想だが、ここで,そもそも論を整理してみたい.先ず、刑法には次の二つの概念があり、法制化の仕方が違うのである.

①既遂犯処罰の法律

これは犯罪が行われた時,処罰する法律だが,その法制化においては、「立法事実」によって罪状が定義されるのである.

(立法事実とは立法目的が合理的か,目的達成の手段が合理的かを問うものであり,実際の社会に存在する事実に適合しているかを判断する事を言う.)

発生した犯罪の犯人探しにおいては,ネット情報や防犯カメラなどの調査を行う事もあるし(裁判所の許可要の調査もある)、誤認逮捕もあるわけで、権利侵害は起こり得るのである.あらゆる法規制に内在するリスクである.

②準備処罰の法律

重大犯罪を未然に防止する為に,その準備行為を罰する法律である.この種の法律の特徴は犯罪前の処罰だから,上記の立法事実による法制化になじまないところがある.何が起こるかわからないからである.もし、立法事実による法制化をしようとすると、定義できる罪状が限定され,ザル法になる可能性がある.

更に特徴を言えば、重大犯罪の準備行為の発見には極めて広い範囲で,多面的な,しかも,恒常的な調査が必要になる.従って、いろんな捜査方法を屈指して,調査,捜査をすることになる.当然、権利侵害のリスクも大きくなる.よ従って,一層の慎重な捜査権力の行使が必要になるのである.

この二つの刑法の概念を念頭に、国会審議の感想を述べたい.

①既遂犯処罰とは違う法制化の審議がされていない.

上述のように、安保法制でも共謀罪法制でも、既遂犯処罰の法制化とは違う考え方の法制化が必要だと思う.

安保法制の議論で言えば,何が起こるかわからない事態への対応であり、立法事実による法制化はなじまないのである.いくら、自衛隊が出来る事を定義しようとしても、何が起こるかわからないから定義しようがないのである.定義したとしても、極めて断片的で、抽象的で、複雑で、しかも、規定していない事象も起こり得るのである.

この様にポジテブリストによる法制化は現場の判断や行動が混乱しかねないのである.従って、安保法制の検討は自衛隊が出来ない事(ネガテブリスト)を規定する方が合理的で明確になり,自衛行動の効果も上がるのである.

又、共謀罪法案の議論で言えば、同じ様に、何が起こるかわからない事態への対応であり,,組織的犯罪やその準備行為を定義する事はあまり意味がないのである.どんな行為もあり得るし、もくろんでいる犯罪の大きさや内容によっても、準備行為の内容も変わるのである.

繰り返すが、そもそも、安保法制も共謀罪法制も、転ばぬ先の杖としての法制度である.危機に対する保険のようなものである.法律が無かったから防げなかった、法律が無かったから無法状態になった,では済まされないのである.

したがって、本来なら,安保法制も共謀罪法制も、目的達成のためには、出来るだけ法律の網を広げておく必要がある.その為には,何が起こるかわからない事態を想定して出来る事(ポジテブリスト)を定義するより、出来ない事(ネガチブリスト)を定義した方が法律および現場の行動が明確になって、重大犯罪の未然防止力の強化になると思うのである.

しかし,昨今の安保法制、共謀罪法制の審議を聞いていると、既遂犯処罰の法制化と同じように,立法事実の有無とか,犯罪になる組織犯罪の定義とか,準備行為の定義とか、ばかりを議論していたのである.叉、感情的な世論を恐れもあったのか,法案が本質を外していたり、断片的になった感じを受けるのである.れで重大犯罪の未然防止の保険になるか心配するのである.

重要法案だけに、しかも、未然防止に権力の侵害もあり得る事から、もっと「YES BUT」(アクセルとブレーキ)の本質的な,建設的な議論をして欲しと思ったのである.

②野党は毎回、ワンパターンの行動をくり返しているだけである.

野党は日本の安全保障を強化しよう、組織犯罪を防止しよう、と言うと、必ず、憲法違反だとか、軍港主義への道だとか、基本的権利の侵害だとか、監視社会の到来だとか、治安維持方への回帰だとかを声高に言って反対するのである.

どうやら野党は法案の入り口で戦うだけで,悲惨な事態になる事には無関心の様である.その結果、悲惨な事態を防止する方法まで頭が回っていない感じを受けるのである.

結局,野党は,いつも,議論が終わっていない,強行採決されたと騒ぐのである.挙句に,あれだけ反対したのに選挙の時、廃案を公約に上げる事をしないばかりか,反対が間違っていたと反省する事もしないのである.

野党の一連の動きの目的は印象操作で大衆をミスリードし,政権打倒の運動を展開する事にあるようである.あるいは,そんな事ではなく、なんでも反対と言っていれば、なにがしかの得票が得られると考えているだけかも知れないのである.だとすると、野党の一連の動きは自身の保身術でしかないとも言えるのである.

いずれにせよ,与党も野党も,悲惨な事の未然防止と言う極めて重要な法案に対し、「YES OR NO」のバトルをくり返すのではなく,日本の為に「YES BUT」(アクセルとブレーキ)の建設的な議論をして欲しいと思ったのである.

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2017.05.30

471 元官僚トップの’公平な行政が歪められた’発言への指摘

国家戦略特区とは、今までの特区申請(規制緩和地域の申請)による新事業の展開を、更に積極的に進める為に、政府主導で,これを実施する制度である.

この戦略特区を利用して,加計学園(岡山理大)と今治市が申請した獣医学部の新設に対し、これを進めるようにとの官邸の圧力があったとする問題が、森友学園問題に引き続き,国会で取り上げられている.

この問題について官邸からの圧力を記録した文書があるとして前文科省事務次官の前川氏が「行政の公平性が歪められた」と公言したのである.この公言が.野党の疑惑追及に拍車をかける形になっているのである.

一方、文科省としては、その文書の存在を調査したが、見つかっていない.官邸としては、安倍総理の親友が学園を経営していようと、いっさい、加計学園の認可に圧力をかけていないし,文書に書いてあるような事を言っていない、総理は、親友であるからこそ、便宜供与など出来るわけがない、と主張しているのである.

そもそも、獣医学部の新設は1966年以降(60年近く),まったく許可されていない.しかし,

・ペット数の爆発的増加から牧畜も含めて獣医不足が発生している事、
・全国各地に鳥、豚、馬、牛の伝染病対策の強化が必要な事、
・全国的に公務員の獣医が不足している事、

・四国に獣医学部が無い事、
・毎年の既存獣医学部の入学競争率が20倍ほどに高い事、

等々で獣医師が逼迫し、増加が必要だとして,加計学園と今治市はこの獣医学部の新設を要請しているのである.

この申請はこれまで、何回も文科省に提出しているが、すべて却下されて来たと言うのである.通常の申請では文科省の許認可を受けられない状態だったのである.この文科省の岩盤規制を打ち破る為に、戦略特区政策に乗じて,改めて獣医学部の新設を申請したのである.

本来なら、戦略特区は、特区の事業が良かったら、規制を緩和して、全国に広げようと言うのだから、学部新設や学校新設は、なじまないのかもしれない.それでも獣医学部新設を特区で申請したのは、規制緩和して全国の獣医師を増やすべきだとの考えで、まず、特区で規制に風穴を開けたいと思ったようである..

もともと、60年近く獣医学部が新設されないほど規制が強くなければ、特区での申請はなかったと思うのである.

国家戦略を積極的に推進したい官邸としては、当然、獣医学部の新設を実現したいと言う立場である.叉、国会議員、地方議員が実現に向けて後押しする事は当たり前の話だと思う.

戦略特区に係わらず、地域に特定企業を優遇策を講じて誘致する事を政治家が後押しする事など,よくあると思うのである.勿論、見返りのある口利きは論外だが.

この案件に対し,前川前文科省事務次官が官邸の圧力で,「公平な行政が歪められた」と公言したのだが、例え圧力を示す文書が公的文書として存在していても、公平性が歪められたと言う内容が,はっきりしないのである.あまりにも抽象的で、さっぱり分からないのである.

幾つか推測してみた.

・公平な審議を予定していたが、それをやれなくなった?
・文科省としては不許可の意見を
出せなくなった?
・文科省で不許可を決めていたが、くつがえされた

・業界の既得権が侵された?
・文科省のメンツ、許認可権が侵された?

最初の公平な審議が出来なかったと言うのであれば、公平な審議をすればよいだけである.認可に不満があるなら反対すればよいのである.過去にも官邸主導や政治家主導があったと思うが、何故,今回、「公平性が歪められた」とことさら言ったのだろうか.

本心としては、こんな事もあったのではないかと推測できるのである.

・前次官が天下り斡旋で首になった腹いせで官邸に復習したかったから?
・民進党の推薦で国会議員に立候補したいから?

それにしても、戦略特区は、もともと行政の既存の公平性を崩すことである.戦略特区に官邸が主導性を発揮する事は当然である.

しかし、文科省官僚からすると,政治が教育行政に口を出すな(政治と教育行政の分離)、官邸主導とか政治主導は間違っている、との特権意識が根底にあって、教育を特区でやる事に、もともと反対している感じがするのである.

この教育に関する文科省官僚の特権意識が、ひいては、省益、既得権に繋がって、最も官僚主導の強い組織になっている感じがするのである.前事務次官の発言を聞いていると、公平性云々と言うより、この特権意識、官邸主導が侵されたことで、公平性が歪められたと言っているように感じたのである.

もし前川氏が公平性が歪められて、国民が不利益を被る、と言うのであれば、他人事ではなく、官僚のトップとして、自分の責任で、これに立ち向かうべきだったのである.今回の公言は正義の覇者を演じているようだが、単に,天に唾を吐いていただけである.

更に言えば、あれだけ大きな問題になった強い既得権益を背景にした、天下りを文科省が、最近までやっていたいた事に驚いたのだが、その責任者から、行政の公平性などと言う、きれいごとを聞いただけに,またまた、驚いたのである.

この天下りを続けてきた事は勿論だが、既得権益や省益を守り続けて来た行為が「公平な行政を歪めてきた元凶」ではないのか、その自覚が文科省官僚にあるのか.特権意識が強い割に、自分に甘く、当事者意識のない、無責任体質を感じたのである.

是非、前次官から「公平な行政」について所見を聞きたいものである.記者会見をやるなら、「天下りと公平な行政について」「省益、既得権益と公平な行政について」の記者会見を先にやるべきだったのである.

ところで、世の中は「官僚主導」から「政治主導」に動いている.技術革新や国際競争、世の価値観やニーズが大きく変化しているからである.

省庁の既得権益にしがみついているだけでは,世の中の変化の足かせになるのである.省庁が「変化への対応」に積極的に取り組まなければ,明日の日本はないのである.

ついでながら、文科省の教育問題も同じである.教育改革が遅々として進まないのも、教育行政の既得権にしがみついているからだと思う.官邸や政治家の圧力がもっと欲しいくらいである.

 

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2017.04.07

467  森友学園への国有地払下げ問題への所見

森友学園問題は大きく分けて次の4つに分類される.

1.森友学園への国有地の払い下げに関する問題点の有無(財務省)
2.森友学園への学校認可に関する問題点の有無(大阪府私学審議会)

3.森友学園の虚偽の有無(学校申請,宣伝,寄付募集,補助金,証人喚問,等)
4.森友学園の教育に関する問題点の有無(教育基本法、児童虐待、等)

この中で、国会としては、1の国有地の払い下げの問題点の有無が本筋のテーマである.毎年、数千件の国有地払い下げがあるだけに、国有地の払い下げに、政治的圧力が介入していないか、価格は適正か、は誰しもが懸念している事でもある.

そこで、この問題に絞って,整理してみたい.

この問題で違和感を感じている事は、相変わらず、政党や政治家、マスコミは’国有地を大幅値引きで払下げた問題’とレッテルを貼って主張したり、報じたりしていることである.

一般に,国有地の売却は、近隣の土地価格に影響をさせない為に、払い下げ価格はあくまでも,近隣の市場価格を基本としている.この市場価格から,土壌汚染対策費等を引いたり,各種補助金の支給を受けて、実質の購入費用は市場価格から大幅に低くなっているのである.

この認識の上で、森友学園への国有地の払い下げ価格については次の捉え方が出来る.

①土壌汚染対策費を過剰に見積もって,低価格で売却した(政治圧力説)
②適正な土壌汚染対策費を見積もって、適正な価格で売却した(財務省見解)
③瑕疵担保責任回避(国のリスク回避)を目的に売却した(当ブログで発信済み)

①は右翼系の学校を作る為に政治的圧力(介入)があったとする説だが、思想で主張するのではなく、まず下記の事実を見た上で主張すべきだと思う.

・この土地の市場価格,土壌汚染対策費用が適正だったのかの検証
他の国有地払下げ価格との比較(隣接の土地を豊中市へ払下げ価格)
瑕疵担保責任回避から見た払い下げ価格の評価

大幅値引きとレッテルを貼っている政党、マスコミ、有識者,は,このような基本的な事をやっていないのである.思想偏重や支持率,視聴率を優先する人たちの陥りやすい言動だと思う.

②は財務省の見解である.価格も手続きも間違っていないとの主張である.急遽、借地から売却に変わった事を疑問視する意見があるが、財務省の説明にもあったが、借地のままでは瑕疵担保責任や損害賠償が予想され、開校に間に合わなくなる可能性がある事から,森友学園の買い取り要望に即対応したと思われるのである.

③は3月初旬に当ブログで発信している私の所見だが、売却価格より、国のリスクを回避する事を優先した契約であったとの認識である.この契約によって、国から見ればノーリスク、学園から見れば高リスクになっている事でも明らかである.したがって、当然、この契約に政治的圧力はいらないのである.

ましてや、財政逼迫を認識しながら学校開校一途に突っ走る森友学園に対し、早急に,瑕疵担保責任や土壌汚染対策による損害賠償を受けないようした事は正しかったと思うのである.

この様にリスク回避の重要性を考えれば,大幅値引きとは全く見えないのである.いわば8億円は瑕疵担保責任や損害賠償の免責代金に見えるのである.

叉、森友学園が学校開設を取り下げた事で、国有地は国が売った価格で返還されるのである.国有地のたたき売りではなかったのである.

以上のように森友学園への国有地払い下げ問題は上記3つの捉え方ができるわけで、単に国有地を大幅に値引きしたと断定的に論じたり、報道する事に大きな違和感を感じるのである.

そんな中,4月5日,豊中市議が近畿財務局を背任罪で告発し,大阪地検特捜部はこれを受理したのである.

いずれ特捜部や裁判で真実が明らかになると思うが,それでも、相変わらず、政党、政治家,マスコミは’大幅値引き’とのレッテルを貼り続けるのだろうか.事実の検証もしない思想的な視点での印象操作に危うさを感じるのである.

ところで、一連の森友学園の問題を見ていると、独善的な思想を高く掲げつつも、全く財政的裏付けがない状態で、虚偽も含めて、あの手、この手で、土地購入交渉、寄付金募集活動、生徒募集活動、あらゆる制度を使った補助金申請,工事建築費の値引き交渉、等を必死でやっていたと見えるのである.もし,開校できたとしても、建築費も払えず、財政破綻する可能性が高かったと思うのである.

このような森友学園に対し、国が瑕疵担保責任や損害賠償責任を免責にし,森友学園を突き放した事は正解だったと思うのである.もし,瑕疵担保責任付で払い下げていれば,森友学園は、土壌汚染対策が出来ず,開校できなかったとして、損害賠償訴訟を起こしたかも知れないのである.

只、大阪府私学審議会が借地の状態で条件付き認可を出した事、財政に問題アリとしつつも、最終的に条件付き認可をした事は大きな反省点だと思う.

森友学園は行政のミスを理由に建築費15億円の損害賠償訴訟を起こすかもしれない.しかし,認可申請の中に虚偽があったり、自ら認可申請を取り下げた事から,森友学園の自己責任になると思うが,行政の認可責任の重大性を再認識するのである.

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2017.03.06

465 大幅値引で国有地を払下げたとの主張は間違い

毎日のように報道されている森友学園への国有地払下げに関して、政治家、メデア,有識者が ’9億円の土地を8億円値引きして払い下げた’と言っているが,この主張は正しいのだろうか、私の考察を発信したい.

私の考察によれば,土地売買契約の意味するところは’8億円は値引きではなく,国の瑕疵担保責任の免除代金だと捉えられるのである.

今後,いかなる土壌汚染が出ようと,それによる損害が発生しようと、森友学園の自己責任になり、国の瑕疵担保責任や損害賠償責任はなくなると言う契約である.

(瑕疵担保責任とは契約段階で予想されなかった瑕疵の責任は売り主にあると言う意味だが、その適用は法的によくもめる所である.今回の土地売買契約は公開されていないので不明だが、瑕疵担保責任免除と言う言葉を使わずに、実質,一切,,国が責任を負わない契約になっていると想定される.)

大幅値引きと言っているのは、市場価格9億円から過剰と思われる土壌汚染除去費用8億円を差し引いて払い下げたと認識しているからだが、国の瑕疵担保責任が免責になっている事の重要性を認識していないようである.

この認識をしていれば、もし、金額に文句があるなら、’値引きはけしからん’ではなく’免責代金が高すぎる’となるのである.

この売買契約は森友学園から見れば,一見、安く土地購入が出来た様に見えるが,反面,上述のように、全てのリスクを森友学園は自己責任で対応する事になるのである. 全てのリスクが8億円以下で収まる保証もないのである.転売が出来ない事から、土地売買利益を得る事もないのである.

更に,もし、森友学園が資金不足,土壌汚染除去工事、教育基本法、手続き、等で、学校設立が遅れた時は勿論、自己責任になるし、最悪、設立が中止になれば、森友学園は建物を撤去したうえで、認定された土地価格で国が買い戻す事になるのである.森友学園にとっては,重いリスクを背負っているのである.

この売買契約は当初の賃貸契約を切り替えて契約されたようである.賃貸契約では国に瑕疵担保責任が発生し,汚染土壌除去費用の支出が限りなく発生したり、これによって,開校が出来なくなったり、学校運営や児童に被害が出れば、損害賠償責任も負わされるリスクがあったのである.

この賃貸契約のリスクを排除する為に、あるいは、ややこしそうな森友学園から離れたい心理もあってか、理財局は,あとくされのない,瑕疵担保責任を免除する売買契約に切り替えたのだと思う.

金額については理財局は、学校の敷地と言う事で、最大の土壌汚染除去費用を計算し、一切文句のつけられない額を出したのだと思う.或は、交渉上、既契約の賃貸料相当金額を前提に,免除費用8億円を逆算して見積もったとしても、不思議ではない.

一方,国が瑕疵担保責任を持ったまま、市場価格で払い下げる契約もある.この場合,賃貸契約と同じように、国が限りのない土壌汚染除去費用や,それによる損害賠償を負う事が予想されるのである.

又,国がきれいな土地にして、市場価格で払い下げる方法もあると思うが,国としては,開校に間に合わないし、多大な実費用の予算化も必要になる.かつ,払下げ後も瑕疵担保責任を負うことから,リスクが付きまとうのである.

そんなわけで、国としては、<市場価格9億円ー瑕疵担保責任免除代8億>で払い下げたと思うのである.この免除代8億が妥当かどうかの議論はあると思うが、<瑕疵担保責任費用+損害賠償費用>を考えれば,国としては、あとくされのない、リスクの生じない金額だとも考えられる.叉,もし、学校が中止になれば、転売は禁止されており、国有地はしっかり確保されるのである.

以上の事から、政治家,メデア,有識者の間違いを改めて列記しておきたい.

 ’8億円の大幅値引きで国有地を払下げた’と言っている事.

間違いの理由は上述の通りだが、値引きだと言えるのは,国が瑕疵責任を持ったまま、過剰な土壌汚染対策相当費用を市場価格から差し引いた場合である.こんな契約はしていないのである.論理的に問題点を言うなら ’高い瑕疵担保責任免除代金で国有地を払い下げた’である.

その上で,問題だと言うのであれば、免除に反対と言うか、免除代金が高いと言うか、である.高いと言うなら打倒する免除代金を示すべきである.

②’土壌汚染除去費用を実費で支払うべきだ’と言っている事.

この発言は値引きだと思っている人の言い方である.国に瑕疵担保責任を残したまま、実費精算をして行く事は,国が,限りなく,土壌汚染の責任と損害賠償を負う事を意味し,8億円を超えるリスクも残るのである.ちなみに、国の瑕疵担保責任を免除していれば、実費払いはあり得ないのである.

③’国が土壌汚染作業の進捗を管理していない’と言っている事.

契約上、国は、瑕疵担保責任を負っていないのだから、土壌汚染除去がどうなっているのか気にする必要はないのである.国から見れば、どうでも良いのである.すべて、森友学園側の自己責任だからである.従って、現地に行って、あるいは,国会で,土壌対策が問題だと言っている人は、瑕疵責任が国にあると勘違いしている人である.

勿論、学校認可の面で、認可審議部門(大阪)が土壌汚染の除去状態を調査する事はあると思う.

以上、当ブログを発信したのは、政治家、メデア、有識者が ’大幅値引きで国有地を払下げた’と根本的に間違った事を繰り返し言っている事に,黙っていられなくなったからである

しかし、当ブログが見られるわけでもなく、野党、メデア、有識者は間違いに気づくことなく ’9億円の市場価格を8億円値引きした事は国有財産の損失だ、政治力が絡んでいるに違いない’と叫び続け、テレビも、枕詞のように’国有地の大幅値引き問題は・・・’と言い続けると思う.

多分、当ブログを見た人は ’国有地を大幅値引で払い下げたのはけしからん’と繰り返して、得意満面で言う、政治家、メデア、有識者に対し,全く,分っていない人,何か別の意図をもって言っている人,単におもしろければ良いと思って言っている人,人の言っている事を吟味もせず受け売りしている人、に見えてくるのではないかと思うのである.

以上,私の考察が間違っているかもしれないが、一つの事象に対し、あまりにも、偏った主張が横行している事に,こんな見方もあると,一石が投じられれば良いと思うのである.

ついでながら、最近、瑕疵担保責任の話題が続いている.

今回の瑕疵担保責任免除代金を値引きと言ったり、東京都が豊洲市場用に汚染まみれの東京ガス工場跡地を市場価格で購入しているのに、売り主の東京ガスの瑕疵担保責任を免除していたり、挙句に,860億円の土壌汚染対策費を東京都が負う羽目になったり,おかしな事が起こっているのである.

更に言えば,オリンピックに絡んで、東京港湾埋立地の払い下げが多くあると思うが、地震や液状化、或は環境基準違反に対し、東京都の瑕疵担保責任がどうなっているのか,気になる所である.

この瑕疵担保責任の問題は公有地払下げだけではなく、民間の売買契約でも重要である.特に土地売買で自然災害に対する売り主の瑕疵の有無など,個人にとっても、気になる所である.

以上,瑕疵担保責任にかかわる契約は,売る方も,買う方も,改めて、しっかり確認しておく必要があると思うのである.

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2017.03.05

464 石原元都知事記者会見,反撃のつもりが又自滅

非難されっぱなしでは,たまらん、と石原氏は証人喚問を待たずに、3月3日、自らが記者会を開いた. その内容に対し、すでに、多くの人が述べているように、腹が立つほど、石原氏の無責任さだけが印象に残った会見だったのである.

今回も、石原氏が、ものを言うほど、自滅するのは、保身本能が露骨に前面に出たり、強気で言う言葉が的ハズレだからだと思う.年(84才)のせいか、論理より、本性が出ている感じである.その自滅語録を列記しておきたい.

語録①(豊洲市場問題の責任について)

最高責任者としての責任はあると思うが、担当部局、専門家の審議会、都議会で決議されたものを裁可しただけだ.私だけの責任ではない.

語録②(豊洲移転理由,瑕疵担保責任解除の契約、市場価格での土地購入、土壌汚染対策費の増大(860億円)、総額6000億円の増大、盛土ナシ、等に関する石原氏の認識)

豊洲移転はこれまでの経緯から最終決断した.その移転計画の実施については、専門家ではないので、担当部局、専門家の審議会、等に任せていた.従って、現在問題になっている事に関し、当時、部下から報告もなく、知らなかった.現在も調べていないので、知らない.

語録③(小池都知事の責任について)

小池都知事が専門家が安全だと言っている豊洲市場を移転延期した為に、安心でないとの風評を広げてしまった.技術が風評に負けた事は国辱だ.折角作った豊洲市場を放置している小池都知事には不作為の責任がある.一刻も早く移転すべきだ.

おおよそ、こんな感じである.この石原氏の語録に対し、感想を述べたい.

語録①に関して(全体の責任に関して)

私は豊洲移転計画を進めた行政の長としての都知事の責任と、チェック機能を果たさなかった都議会の責任があると思う.部局、審議会、都議会が判断した事を採決しただけだと言う発言は、言い換えると、私はめくら判を押していただけ、と言っているに等しいのである.

語録②に関して(計画遂行における問題に関して)

石原氏自身は専門家でもなく、知見もないとして、豊洲市場計画についても、言われるまま決断し、その計画の遂行においても、関係部門に一任し、報告も受けないまま推移した.従って、問題の内容は知らなかった,と言うのである.要するに、石原都知事は丸投げして、何も管理していなかったと言っているに等しいのである.

加えて、現在に至っても、何が行われたのか調べていないので、知らないと言うのである.行政の責任者であった自負も自覚もない姿勢に驚くばかりであった.

結局、語録①②で、言っている事を額面通りに受け止めれば、石原都知事は豊洲市場に関して、自らの指示や管理を全く、していなかった、と白状したようなものである.

本人は自己弁護のつもりらしいが、聞いている方からすると、自己弁護する程、無責任さが露呈するのである.自ら記者会見を開き、反撃に打って出たつもりが、あっけなく自滅した感じになったのである.

録③に関して(豊洲市場の移転を延期している小池都知事に関して)

会見で石原氏が一番言いたかった事は、過去を蒸し返す小池都知事批判だったようである.語録にあるように、安全な豊洲市場を放置している小池都知事には不作為の責任があると糾弾したのである.

思わず、不作為なの12年間も都知事を務めた石原都知事自身ではないのか、と思ったのである.ここでも、反撃に打って出たつもりが、あっけなく自滅した感じになったのである.

語録①②➂の自滅振りを見ると、石原氏に,可愛そうと言うか、寂しさを感じてしまうのである.むしろ、そう思われる事が本当の目的だったのかもしれない.これで証人喚問の追及が弱まったり、証人喚問への欠席が許されたりしたら大成功となる.

ところで、石原氏以外に、法的に安全だから、即刻、移転すべきだ,と言う有識者がいる.

地下水や土壌の安全性を環境基準で評価する事は間違いだとの主張である.地下水や土壌は地上と遮断されているからである.環境基準の物差しで基準オーバーと騒ぐのは悪い風評をまき散らし、不安感をあおっているだけだと言うのである.

ならば、この主張者たちは、勿論、石原氏も、過去に,地下水や土壌が汚染されていても,コンクリートで遮断するから問題はない、と主張していたのだろうか.

現実は、当初から土壌汚染対策は、いくらコンクリートで地表が覆われていて,科学的に安全だとしても、汚染土壌の上に生鮮食品市場がある事の気持ち悪さがある.そこで、汚染まみれの土壌をきれいにする事(特別な安全性の確保)を前提に豊洲が決断され、反対論者を説得してきたのだと思う.事実、石原氏は日本の技術で可能だと見栄を切っていたのである.

この土壌をきれいにするとは、明らかに,環境基準をクリアーすると言う意味だったと思う.汚染土壌が発覚する都度,地下水や土壌の安全基準を使わず、いつも環境基準を使っていた事でも明らかである.それ程、汚染対策のハードルをあげなければ,食品市場の安心は得られないと誰もが思っていたのだと思う. 

このように、当初から、土壌汚染対策は法的な安全確保を目的にしていたわけではなく、それを超えた特別な安性確保(環境基準のクリアー)を目標にしていたと思う.860億円も、その為に使ったと思うのである.

したがって、法的に安全だから,即刻、移転すべきだと主張するなら,生鮮市場ならではの特別な安全性確保と,その為の860億円の投入は間違いだった、土壌汚染をなくすとの築地市場関係者への約束も、守れなかった、と言わなければ,筋が通らないのである.

そう考えると、豊洲市場に即刻委移転すべきだとの主張は、過去の多くの問題点を不問にしたい,延期を決断した小池氏を悪者にしたい、との後付けの主張に聞こえるのである.

既に安全,安心に関する議論を要約して当ブログで発信しているが再掲示しておきたい.

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小池都知事は特別な安全性確保が安心につながるとの従来の考え方で、モニタリング結果を重視し,移転可否の判断を考えているのだと思う.もし、手のひらを返したように、法的に安全だから移転する、と決断すれば、延期した意味も薄れ、かつ,早期移転論者と同じ様に、信頼感も,安心感も,損なわれ,結果、市場関係者が一番恐れる,営業リスク(風評リスク)だけが大きくなると思うのである.

いづれにしても、当ブロクで発信しているように、移転可否の判断を小池都知事にゆだねるのではなく、何をもって移転を行うか、のコンセンサス作りが必要だと思うのである.

勿論、経緯における問題点が解明されないまま、なし崩し的に移転する事に反対する意見があると思うが,この点も、どう扱うか、コンセンサスを得て置くことが必要だと思うのである.更に言えば,営業リスクに対する東京都の保障も必要かもしれないのである.

次に、会見に出なかった懸念事項を列記しておきたい.

1.築地の土地の早期売却を優先して移転を計画したのか,の検証
2.東京ガスの瑕疵担保責任を実質免除した経緯と問題点の解明.

3.土壌汚染対策費、建設費の暴騰の理由.
4.豊洲市場総費用の暴騰にの立ち止まらなかった理由.
5.豊洲市場稼働で毎年100億赤字が出る事の対処
6.都議会のチェック機能欠如の問題(豊洲市場、オリンピック設備)

これらの問題についても、都議会の各党派は百条委員会と並行して、事の顛末を検証し,今後の対応をハッキリさせる事が議会のチェック機能を果たせなかったせめてもの責務だと思うのである.

この結果如何が都議選に係わってくると思う.勿論、都民も厳しく判断しないと、税金の放漫な使い方や利権介入を防止できず、都政の改革は出来ないと思うのである.

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2017.01.28

461 豊洲市場問題で唖然とする都議会の対応

先日、BS フジ,プライムニュースの中で,豊洲市場に対して,都議会のチェック機能が働いていないのではないか、との指摘に、出席の都議会議員は、都議には調査権もないし、技術的な事はわからないし、都議会に専門家がついているわけでもないし、都庁の役人が、汚染対策でも、建物でも、この費用が,かかります、と言われたら、反論出来ない、と言うような事を言っていた.要するに、チェック機能を果たせないと言っているのである.

都議会の豊洲市場に対する最大のチェック項目は,そんな事ではない.独立事業体の豊洲市場の創業費(汚染対策費、建築関連費)の上限を設定し、事業の採算をチェックしていたかである.

当然、独立事業である豊洲市場を経営するには、豊洲市場創業費,毎年の減価償却費と豊洲市場運営費、これに、築地売却額を勘案して、豊洲市場の採算見通しをチェックする必要がある.しかし、豊洲関連予算の都議会審議で、この採算見通しをチェックしていたとは思えないのである.赤字垂れ流しになっても、豊洲市場を開設すると言う考えがあったのだろうか.あるいは、採算の事など気にもしていなかったのだろうか.

そんな懸念の中で、東京都(築地市場問題プロジェクト)より、豊洲市場は年間70億の収入見通しに対し、年間100憶の赤字になるとの試算が発表された.

いくら汚染問題が解決しても、果たして、赤字垂れ流しの豊洲市場に移転できるのだろうか.移転すれば,それこそ住民訴訟が起こるかもしれない.その赤字を業者の賃料に跳ね返れば尻ぬぐいは筋違いと,大反発が起こる.都議会、都庁市場関係部門はどうするつまりだろうか.あまりにも、基本的な問題だけに、今更ながら、唖然とするのである.

もし、都議会で採算のチェックがされていれば,汚染対策や建設の計画段階で、豊洲市場開設を続けるのか、中止するのか,の議論が出来たはずである.その意味で,都議会の責任は極めて重いと思うのである.都議会は小池都知事が決断する前に、反省と対策を表明すべきだと思うのである.

ところで、こんな案があると専門家が話していた.築地市場を止めることなく、その上に、市場機能も含めた,多目的高層ビルを建てると言う案である.勿論、豊洲市場は売却か他の利用を考える事になる.この案は採算も取れる、築地ブランドも守れる、築地地区がさらに発展する、と言う主張である.

何か未来が明るくなる案である.当初から、こんな案があってもよさそうに思うが、議論されなかったのは,やっぱり’豊洲ありき’だったからだと思う.今からでも,検討すべき案のように感じるのである.

この一連の都議会、都庁職員の無責任な動きは,青天井になったオリンピック競技施設でも繰り返されたのである.キャップがかけられていない事から、チェックポイントもなく青天井になったのである.小池都知事がかろうじてチェックをしたものの、これまでの都政の大問題である.

ついでに言うと、豊洲への市場移転も、海の森への競技場誘致も、適否の議論より、埋立地ありきの計画が進められた感じがして、同じ動機不順が見えるのである.

ところで、全国の巨大な公共事業で、一度決めたら、軌道修正されることなく、費用が青天井になることがある.私見によれば、利権があっても、予算にキャップを掛けると言う概念も,軌道修正すると言う概念も,事業存続のチェックポイントと言う概念も,血税を使うと言う概念も,効果や回収と言った概念も,責任をとると言う概念も、ないからだと思う.

その結果、動機不順な公共事業がまかり通って、青天井の借金と,無用の長物を作り,その返済が未来の税金と主権在民権を奪っ行く事になるのである.

どんな公共事業でも、費用の増減はあると思うが、少なくとも、議会の審議で,予算の上限を設けて承認するか,追加予算が発生した時、継続か中止かの判断をすることが、責任ある議会の義務だと思うのである.

ところで、都議選が近づいてきたせいか、最近、自民党都議団は豊洲市場問題の被害者のような顔をして,都庁を責める立場になろうとしている.これまでの責任を’ほっかぶり’するつもりなのだろうか.又、無責任な言動をし始めたと映るのである.

全く反省もなければ、自ら顛末をまとめる素振りもない.勿論、責任を感じて辞任する議員もいない.更に言えば、豊洲市場問題の対策案も出てこない.テレビの番組を見て,東京大改革の為には現与党都議会議員の総入れ替えが必須だと感じたのである.

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2017.01.23

460 第45代アメリカ大統領就任演説への感想

2017年1月20日、ドナルド・トランプ氏が45代アメリカ大統領に就任した.就任演説は選挙中、あるいは、当選後、の主張と同じ、「米国第一主義を実行する」を前面に出した内容であった.その理由をトランプ氏は次のように述べたのである.

就任演説要旨(日経新聞1月22日朝刊より引用)

「米国は多国を豊かにしたが、我々の富、力、自信は消え去った.工場は閉鎖され,海外に移転され、取り残された何百万という労働者が顧みられることはなかった.それは過去のことだ.米国第一主義を実行する.貿易や税制、移民制度、外交などのあらゆる決定は米国の労働者と家族に恩恵を持たらすために実施する.

我々の製品をつくり、企業を盗み、職を奪う外国の破壊行為から国境を守らなければならない.自国産業の保護こそが素晴らしい繁栄と強さにつながる.米国は再び勝ち始め、かつてない勝利を収める.職、国境、富、夢を取り戻す.

国家全域にインフラを整備し、人々を福祉に頼る生活から仕事に戻らせる.我々の手と労働力で米国を再建する.我々が従うルールは米国製品買い、米国人を雇う、の二つだ.

世界の国々に友好親善を求めるが、全ての国が自己利益を求める権利を第一に考える権利を持つという理解の上でのことだ.これまでの同盟を強化するとともに、新しい同盟を構築する.過激なイスラム主義テロリズムを地球上から完全に撲殺する.中身にない対話の時代は終わりだ.行動を起こす時だ.

米国は再び栄え、豊かになる.新しい時代の扉が開こうとしている.次世代のエネルギーや産業、技術が実用化される.すべての国民が無視される事はもう二度とない.ともに米国を強く、豊かにしよう.米国に誇りの持てる、安全な国にしよう.ともに米国を再び偉大な国にしよう.」

そして、就任初日に発表した政策は

・OPECなどへのエネツギー依存からも脱却(米労働者のコスト引下げ)
・ISやイスラム過激派テロ組織の根絶(力を通じた平和構築)
・経済成長を促進し、2500万人の雇用創出(雇用を殺す制度の緩和)
・イランや北朝鮮を念頭にしたミサイル防衛システム開発(他国の軍事力抑制)
・不法移民,ギャング、薬物の流入を阻止(米国民の安全確保)
・TPP離脱、NAFTの再交渉、又は脱退(オバマ政権の政策転換、二国間交渉)

・気候行動計画の破棄(オバマ政権の温暖化ガス削減策の破棄)
・医療保険制度改革法の見直し(オバマケアーの見直し)

私の感想はトランプ氏が当選した時、発信した451 米国大統領トランプ氏の主張とその影響(16・11・11) ってい.その上で、こう切り返したくなるのである.

「これまで米国のやり方はダメだ、国民はだまされてきた、今こそ、国民の為の国を作ろう」と言う趣旨を述べていたが、富豪が社会主義革命を起こすような事を言って、米国民は違和感や懐疑心を持たなかったのかだろうか.

本心がどこにあるのか、実現性を、どう見ているのか不明だが、取りあえず、そうでも言わなければ,富豪は国民の支持を得られないと考え、インパクトを強くするために、よくあるアジテーターのように、一方的な断定口調で訴えたのではないのか,その分、歴史や事実を無視している事に,米国民は,疑問を抱かなかったのだろうか.

保護主義、国益、ナショナリズムの衝突で起こる、戦争や貿易摩擦は、もうやめて、フリー、フェアー、グローバルな世界を作ろうではないかと、米国が主導してきたのではないのか.TPPも5年間、厳しい交渉を,米国主導でやって来たのではないか.トランプ氏の頭の中に、グローバル時代前の、貿易摩擦時代があるとすれば、時代遅れではないのか.

ところで、1921年,第一次世界大戦後の不況を背景に、ベルサイユ条約や国際連盟に反対し、第29代大統領になった,共和党のウオーレン・ハーデンの孤立主義以来の保護主義者が誕生したと言う人もいる.

今や製造業は車に限らず、垂直構造から、国際的水平構造に移っている.多くの製品は国際調達部品で作られているのである.その中で、世界各国の企業は厳しい競争を続けながら、技術開発、製品開発を続けているのである.

その結果、産業・企業の栄枯衰退があり、産業の新人代謝がなされるのである.勿論、それに対応した、労働市場の流動化が必要になるのである.

この傾向の中で、貿易交渉は、第二次産業、及び、第三次産業(金融の自由化)では、フリー、フェアー、グローバルが進んでいるのである.そして、第一次産業(農畜産品)に関しては自然環境や国土の特質と関係している事から、最小限の保護政策がとられているのである.

この方向で、全体の品目の調整をしながら、多国間あるいは,二国間の貿易交渉が,これまで行われてきたのである.

一方、トランプ氏は、米国の貿易赤字が大きすぎる、これが雇用を奪っている、だから、関税を高くして、米国内に、工場誘致を図り、雇用を拡大するのだ、と言うのである.

本当に、そうだろうか.幾つか疑義を指摘したい.

①工場誘致と言っても、製品の組み立てくらいである.多くの部品まで、国内生産は出来ないと思う.従って、思ったほど、雇用は増えないのではないか.部品を輸入せざるを得なければ関税がかかって、製品の価格が挙がってしまうのではないか.

②工場製品の輸入関税、あるいは,部品の輸入関税は、米国も困るし、多くの部品製造国も困るのである.常に,すべて、国内製造ができないからである.又、技術革新の恩恵も受けにくくなるのである.

③また、工場誘致しても、米国の土地代、電力料金、人件費、等で、従来より価格が高くなり,あるいは、輸入品も関税で高くなる.結局、保護政策で製品価格が高くなれば,消費が落ち、結局、雇用機会がう失われるリスクもある.

④トランプ氏の思い通り、工場誘致が進んで、短期的に雇用が増えても、景気が悪くなったり、技術革新で、メーカーの勢力図が変わったり、国内の過当競争で工場淘汰が起これば、今度は大きな失業問題に発展するのである.

⑤輸入は雇用を奪うと言うが、必ずしもそうではない.輸入によって、輸入品の売上や関連ビジネスの拡大で、経済のパイが大きくなるのである.それによって,雇用も増えるのである.この様に、保護政策のリスクや輸入の効用(変化への対応)も見逃してはならないのである.

⑥結局、グローバル世界の中で、生産体制をどうするか、進出、撤退、は企業の利に適った選択で決められているのである.輸出先の雇用を増やす為に、工場進出をしているわけではないのである.これが自由経済の原理なのである.工場誘致をさせたいなら、保護主義の発想ではなく、進出企業の利に適った政策を出す事が必要だと思うのである.

⑦中国は米国の飛行機を数百機購入する条件として、中國に工場を作って,製造する事を条件にしたと言う.日本も、米国の飛行機を購入する条件に同じ事を言ったら、トランプ氏はどう答えるのだろうか.

ところで、アメ車が日本で売れないのは不公平があるからだ、とトランプ氏は言う.体操の試合で、米国が勝てないのは不公平があるからだと言っているようなものである.誤認しているのか,嘘を承知で言っているのかわからないが,これを前提に交渉(取引)を仕掛けてくる感じである.

明らかに、日本において、アメ車が売れない原因は車とそのアフターサービスが日本のユーザーニーズに合わないからである..欧州車は売れているのである.しかも、関税はかけていないのである.又,米国で日本車が売れるのは、人気があるからである.どこが不公平なのだろうか.

又、トランプ氏は雇用を確保する為に、車の工場を持って来い、と言っているが、現地すでに日本企業は米国に工場進出しているのである.現地生産の日本車がもっと増えると、米国の三大メーカーの復活はさらに遠のく可能性が高まるのである.

又,工場進出で米国内の競争が激しくなり、競争に負けたり、景気が悪くなれば、進出工場の撤退もあり得るのである.そうなると、従来なら貿易の減となるところが、今度は、米国内の失業問題になるのである.

それでも良いのだろうか.本心は米国のシンボルである三大メーカーの復活ではないのか、ならば、日本車に負けないユーザーニーズにあった車,サービスを考えろ、と叫ぶべきである.それとも、三大メーカーの凋落が続くと、苦し紛れに、今度は,日本車の工場は撤退しろ、日本車の輸入関税をもっと高くしろ、と叫ぶかもしれない.

トランプ氏はNAFTA契約国のメキシコからの輸入が、米国の雇用を奪っている,国境の壁の費用をメキシコが払わないなら、メキシコからの輸入に20%の関税をかけて壁代にする、と言うのである.日本も含めて,メキシコの工場で作って米国に輸出している企業は戦々恐々である.

しかし、米国がWTOも、NAFTA も脱会して、これをやるなら、メキシコ工場で製造している企業はメキシコから関税の安い国を経由して米国に輸出すると思う.米国の企業も,その製品を買うと思う.そうなると、壁代は出ないのである.

そうなると、トランプ氏はその経由国からの輸入品に高関税をかけざるを得なくなるが、結局、全ての国からの輸入品に高関税をかけるしかなくなるのである.勿論、世界からの報復関税を浴びる事になる.かくして、米国はみづから作った壁に取り囲まれて、自分の首を絞める事になるのである.

トランプ氏は関税を高くする事のむずかしさに気付いて、今度は、WTO、NAFTAを脱会せず、メキシコ産の車等の特定製品に高い付加価値税をかける手に出るかもしれない.実質の不買運動である.これはメキシコだけではなく、メキシコで製造している世界の企業、部品を提供している世界の部品メーカーを敵に回す事になる.

最後に、中国、日本、ドイツ、の対米輸出黒字国に、自国通貨安を批判し,その報復を考えるかもしれない..

どうやら通貨供給で為替誘導している事は不公平だと言っているようである.中国に対しては為替操作国だとして、早くから批判していたが、それに日本、ドイツを加えた感じである.

中國を除いて,変動相場制の米国はじめ世界の国は雇用対策や景気対策、あるいはデフレ対策で金融政策、財政政策をとったり,中央銀行が物価安定を目指して資金調整をやったりしているのである.日本の場合、日銀が物価の2%アップを目標に、資金調整をやっているのである.従って、トランプ氏の批判は当を得ていないのである.

為替レートの動きは、ドルの金利変動によっている.ドル高、円安は米国の金利によるところが大きいのである.勿論、ドル高は世界最強の経済大国として、基軸通貨として、信頼されている通貨であり、ドルの価値は世界経済の基礎になっているのである.米国第一主義はそんなドルの役割,責任はいらないとでも言うのだろうか.

元来、米国はドル高の下で、付加価値の低い製品は輸入し、武器や飛行機、ハイテク製品,あるいは、金融商品等の競争力のある高付加価値製品は経済発展国に輸出すると言う産業政策をとって来た.現に強い産業は世界企業になっているのである.一方、生活用品などに、米国産はほとんどないのも事実である.極めて経済原則に合致した考え方である.

その結果、米国においては、根強い事業家精神のもと、新技術、新産業が世界をリードし、産業の新人代謝を繰り返しているのである..ここ十年間を見ても、米国の世界的大企業の顔ぶれは、様変わりし、経済をけん引しているのである.米国の伝統である車産業も、例外ではなく、この新人代謝の中で、昔の勢力を失っているのである.

この米国は民主主義の元で、常に完全雇用を目指して来た.その為に、新技術、新産業、自動化、等で、常に産業の新人代謝をくり返しながら、経済を牽引し、雇用も流動化しながら雇用を確保しているのである.その結果、第二次産業から第三次産業への雇用の移動も、発生しているのである.勿論、世界の雇用も例外ではなく、国内の雇用先も流動化しているし、雇用ニーズにもとずいて、海外に雇用の場を求める傾向も出ているのである.

トランプ氏の米国第一主義の壁は経済原則の前ではスグ崩壊するのである.経済原理を無視した政策は長続きしないのである.各国の国益追及は明らかにトランフ氏とは違うのである.

トランプ氏は国内外の個別企業に米国内雇用拡大を求めて、口先介入しているが、大統領の言動として大問題である.米国民は、企業の独自経営に口を出す大統領をどう思っているのだろうか、もし、これで不利益が発生すれば、株主代表訴訟につながるのだが.

最後に、工場誘致と言っても、数年の時間がかかる.しかも,誘致の意思決定は将来の見通しが必要である.そんな事をトランプ氏の口先に従って実行しても良いのだろうかと、誰しもが疑心暗鬼になっているのである.中には、積極的にやりましょう、と言って、トランプ氏に迎合しつつ、トランプ氏の任期を見ながら、実際はのらりくらりする堅実な企業も見え隠れしているのである.

と突っ込みをしたくなるのである.

今回の就任式は選挙中の言動から,人種差別、女性蔑視が問題視され、反トランプ運動が展開され、就任式パレードの観衆は極めて少なく(報道では25万人程度)、しかも、白人だけだったと言う異常さもあったのである.現地報道陣のレポートによれば、トランプ支持者の集会の様だったそうである.

又、保護主義による米国第一主義をアジテートする事に対し,世界に不安を巻き散らしていると論評する人も多いのである.そんなことから、アンケートによれば、米国大統領の中で、最高の不支持率、最低の支持率になっていると言うのである.

勿論、トランプ氏は国を一企業の経営のように言うのは解かりやすいと評価する人もいる.しかし,国の経営は人も企業も、国家間も、利益相反の舵取であって、単純ではないし、その舵取りには、各国が共有できる、考え方(哲学)が必要になるのである.米国第一主義だけで,利益相反の舵取は出来ないと思うのである.そんな舵取りは眼中にないのかも知れないが.

このトランプ大統領の秩序より、価値観共有より、連携より、世界の安定より、世界の発展より、環境問題より、米国第一主義だ、米国の利益優先だ、と主張する事は、小国ならいざ知らず、世界一の経済大国、世界一の軍事大国が言えば、これは、強引で傲慢に映るのである.

この言動は確実に米国のステータスを落とし、付き合いの多い西側諸国との連帯や価値観に、ひび割れを起こすのである.12ケ国が,5年間、米国主導で検討し、苦労の末,まとめあげたTPPを、何の仁義もなく、簡単に反故にする姿勢に,怒りさえ覚えるのである.

マナーも配慮もない,人格も問われる大統領に信頼が生まれるだろうか.喜ぶのは、反米勢力だけである.4年間、何も起こらない事を願うのみである.

日本は、最近、英国に裏切られ、韓国に裏切られ、今度は米国に裏切られた感じであるが、是非とも「我利我利」ではなく、「我利利他」(自分の利益は相手の利益の中にある、WIN、WINの関係)の精神で、協調外交を展開して欲しいし、このオピニオンを世界に発信する良いチャンスかも知れないのである.

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2017.01.18

459 豊洲市場への移転条件の事前コンセンサスを

豊洲市場の地下水汚染の第9回モリタリング調査結果が公表されたが,予想だにしない環境基準越えの数値であった為、大騒動になった.移転スケジュールの見通しが付かなくなったからである.

この値が出た原因は地下水の排水設備が働いたからだと言う説がある.排水設備が働くと、地下水が吸い上げられ、地下の汚染物資も吸い上がって来たのではないかと言う説である.この説によれば、これまでの8回の調査で汚染物資の数値が低かったのは、排水設備が動作していなかったからだと言う事になる.

いずれにしても、今回の数値になった原因の解析、これまでの調査方法の検証、再度の調査の実施、が行われると思う.

このような大問題になるのは、法的にも、環境基準をクリアーがしなければ移転できないとの考えがあるからである.この考えで、これまで、土壌改良等の汚染対策が行われ、汚染濃度のチェックも、やってきたのだと思う.

消費者や業界関係者も、汚染まみれのこの土地であったからこそ、この基準が守られている事が安心安全の根拠になる、としていると思う.

小池都知事も、モニタリング調査の結果を得るまで、移転を延期してきたのだから、汚染物資濃度が環境基準を下回る事を条件にしているのだと思う.

従って、この考え方は、汚染濃度が環境基準をクリアーするまで、移転しないと言うことであり、最悪、豊洲撤退売却、築地再構築、新たな市場開発、等も辞さないと言う事態にまでつながるのである.

この考え方で、今後、汚染対策が進むのだろうか.建物があるだけに限界が出て,排水を続けて,汚染濃度が低くなるのを待つような事態になれば、見通しが付かなくなる事から、長期延期か豊洲撤退が現実のものになるのである.

一方,実質的な安全性で判断すべきだと言う意見もある.地下の汚染物資は遮断されており、しかも、浄化、排水設備で、汚染濃度は低くなっていくのだから、環境基準を超えても,問題はない、早期に移転すべきだ、と言う意見である.

但し、これで移転を決めると、汚染土壌が残留することになり、当初の都知事の約束と違う事になる.叉、汚染土壌の上に市場がある事による、営業リスク(風評、ブランド,集荷,値段,取引量、等への影響)が大きな問題になる.

このように、安全安心を確保して移転するには先が見えないし、実質的安全(科学的安全)で移転すれば、営業リスキが残るのである.此れに、築地の老朽化の問題が絡んでくるのである.

いれにせよ、混乱を防ぐ為に、豊洲への移転可否の条件を改めて整理し、どの条件なら移転するのか、消費者、業界、議会、技術者、等のコンセンサスを得て置く必要があると思う.知事にとっても、このコンセンサスは必要だと思うのである.本来、計画段階で決めて置く話だと思うが.

そこで、豊洲移転賛否のデシジョンテーブルを作ってみた(下図のクリックで拡大)

Photo_2
もう一つ、提言がある.

豊洲市場問題は,2001年の石原都知事の豊洲決定以来、汚染問題や960憶が6000憶になった問題が何も決着していないのである.歴代の都知事,都議会,都庁は何をして来たのだろうか,誰しもが、怒りの念を抱いているのである.

湾岸開発の赤字、東京銀行の赤字、更に、築地市場改修費用の増大(380億にとどまらず)、等による都財政の悪化対策として,築地市場の土地売却(1兆円?)が考えられたと言われている.

表向きは、築地市場の老朽化対策、都市博中止にかわる湾岸地区の利用促進,を名目に,豊洲市場移転が決定された.そして、汚染まみれの東京ガス工場跡地の購入と960億の予算の下で、築地市場開発が強引に進められたと言うのである.土地の選定にあたっては、豊洲ありきの候補地の比較がされていたのである.

もし、これが本当なら、築地市場はダシに使われただけで、築地の価値は捨てられる事になるのである.

これらの憶測があるにもかかわらず、事の顛末の釈明も総括も聞こえて来ないのである.政治家や役人の習性のようだが、極めて異常な状態、事件だと思うのである.せめて、6000億の成果物として、この顛末の記録を残す事が,当事者の責務だと思うのである.

都議会の審議内容の履歴を縦糸に、その時々の,都知事、都議会、都庁関連部署,業界の動きをまとめるだけでも、いろんな事が見えると思うのである.是非,東是京大改革の下敷きとして、又、後世に伝える戒めとして,事の顛末を資料化すべきだと思うのである.

私の感じるところ、東京オリンピックにも、動機不順なところを感じるのである.東京オリンピックのボート、水泳、バレ^-の各競技場の湾岸地域での建設も、もっと言えば、東京オリンピック誘致そのものも,スポーツ振興や有効なレガシー資産を残す事より、湾岸地区の土地売却や利権が先にあったかもしれないのである.

そうであれば、豊洲市場もオリンピック誘致も同じ動機が先に有った事になる.しかも、当初予算も、5~6倍に膨れ上がるところまでも、同じである.両方とも石原都知事の発案だっただけに、動機は同じだったのではないかと勘繰るのである.

いずれにせよ,’動機不順な計画は必ず破たんする’を肝に命じて、魑魅魍魎の都政、都庁を一掃して欲しいと,小池都政に期待するのである.その為にも、事の顛末をしっかり、都政や都庁に残す必要があると思うのである.

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